2025/03/30(日) - 09:00
強風のためカテゴリー山岳がなくなり、選手たちの抗議の末約28kmで争われたボルタ・ア・カタルーニャ第6ステージ。クイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)が残り1km地点で飛び出し、ワールドツアー初勝利を掴んだ。

主催者の決定に異論を唱えるトム・パコ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) photo:A.S.O.
スペイン北東部カタルーニャ州を巡る7日間のボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)もあと2日。この日は今大会3度目の登りフィニッシュを含む山岳ステージを予定していたものの、強風の影響でコースが大幅に変更。当初は超級山岳のみが削除されるところ、フィニッシュ地点である1級山岳も危険と判断されたため、ベルガを発着点に周回コースを2周する146kmに変更された。
1周目をニュートラルで走り、安全が確認された後に2周目からレースがスタートする予定だったが、これに選手たちが異議を唱える。2023年の総合優勝者であるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がレース主催者と話し合い、即時スタートの1周回を提案。主催者はその案を受け入れ、実質的に約28kmのレースが始まった。

プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がレース主催者と話し合う photo:A.S.O.
直後に形成されたのはカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)ら4名による逃げ集団。メイン集団ではイネオス・グレナディアーズやモビスターが高速牽引し、レースはハイスピードな展開に。残り13km地点でレースの先頭ではベローナが加速してフランク・ファンデンブルーク(オランダ、ピクニック・ポストNL)以外を引き離した。
しかしファンデンブルークが先頭交代を拒否したため、ベローナ1人ではリードが保てず残り8.5km地点で吸収された。ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も牽引するなか、総合タイムが計測される残り5km地点を通過。その結果、総合順位に変動はなくフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)がリーダージャージをキープした。

集団先頭でペースを作ったイネオス・グレナディアーズ photo:A.S.O.

残り5km地点を過ぎてからアタック合戦が繰り広げられた photo:A.S.O.
登り区間に入るとナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が先頭に出るシーンもありながら、それまでの静寂を破るようにアタックが散発的に起こる。しかしいずれも決め手に欠き、ひと塊の集団のまま残り1km地点に到着。すると直後にクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)が飛び出した。
後続が牽制し合う中、元アメリカ王者はひたすら高出力で踏み続ける。そしてカタルーニャの旗「サニェーラ」が振られる緩斜面の最終ストレートに到着。何度も背後を振り返り、迫るパヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL)との差を確かめながら、フィニッシュラインを通過した。

ワールドツアー初勝利を飾ったクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) photo:A.S.O.
「選手キャリアで最も奇妙な日となった。レースが開始から1度中断し、2周だったはずが僅か28kmになった。僕は中止するべきだと思ったが、まさかそんなレースでワールドツアー初勝利を飾るとは思ってもいなかった」とシモンズは語る。「スタートで遅れ、2km地点で自分のレースは終わったのだと思っていた。そもそもこの大会も急遽出場が決まったんだ」と予想外の展開に戸惑いながらも、シモンズは満面の笑みでワールドツアー初勝利を喜んだ。

スペイン北東部カタルーニャ州を巡る7日間のボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)もあと2日。この日は今大会3度目の登りフィニッシュを含む山岳ステージを予定していたものの、強風の影響でコースが大幅に変更。当初は超級山岳のみが削除されるところ、フィニッシュ地点である1級山岳も危険と判断されたため、ベルガを発着点に周回コースを2周する146kmに変更された。
1周目をニュートラルで走り、安全が確認された後に2周目からレースがスタートする予定だったが、これに選手たちが異議を唱える。2023年の総合優勝者であるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がレース主催者と話し合い、即時スタートの1周回を提案。主催者はその案を受け入れ、実質的に約28kmのレースが始まった。

直後に形成されたのはカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)ら4名による逃げ集団。メイン集団ではイネオス・グレナディアーズやモビスターが高速牽引し、レースはハイスピードな展開に。残り13km地点でレースの先頭ではベローナが加速してフランク・ファンデンブルーク(オランダ、ピクニック・ポストNL)以外を引き離した。
しかしファンデンブルークが先頭交代を拒否したため、ベローナ1人ではリードが保てず残り8.5km地点で吸収された。ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も牽引するなか、総合タイムが計測される残り5km地点を通過。その結果、総合順位に変動はなくフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)がリーダージャージをキープした。


登り区間に入るとナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が先頭に出るシーンもありながら、それまでの静寂を破るようにアタックが散発的に起こる。しかしいずれも決め手に欠き、ひと塊の集団のまま残り1km地点に到着。すると直後にクイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)が飛び出した。
後続が牽制し合う中、元アメリカ王者はひたすら高出力で踏み続ける。そしてカタルーニャの旗「サニェーラ」が振られる緩斜面の最終ストレートに到着。何度も背後を振り返り、迫るパヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL)との差を確かめながら、フィニッシュラインを通過した。

「選手キャリアで最も奇妙な日となった。レースが開始から1度中断し、2周だったはずが僅か28kmになった。僕は中止するべきだと思ったが、まさかそんなレースでワールドツアー初勝利を飾るとは思ってもいなかった」とシモンズは語る。「スタートで遅れ、2km地点で自分のレースは終わったのだと思っていた。そもそもこの大会も急遽出場が決まったんだ」と予想外の展開に戸惑いながらも、シモンズは満面の笑みでワールドツアー初勝利を喜んだ。
ボルタ・ア・カタルーニャ2025第6ステージ
1位 | クイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック) | 25:04 |
2位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、ピクニック・ポストNL) | |
3位 | アナス・フォレーヤ(デンマーク、ジェイコ・アルウラー) | |
4位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット) | |
5位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | |
6位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | |
7位 | ドリアン・ゴドン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | |
8位 | アクセル・ローランス(フランス、イネオス・グレナディアーズ) | |
9位 | パウ・ミケル(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | |
10位 | ハロルド・ロペス(エクアドル、XDSアスタナ) |
個人総合成績
1位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | 22:48:07 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:01 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:21 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) | +0:22 |
5位 | レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:28 |
6位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ) | +0:59 |
7位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | |
8位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット) | +1:10 |
9位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:14 |
10位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:27 |
その他の特別賞
ポイント賞 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) |
山岳賞 | ブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) |
ヤングライダー賞 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) |
チーム総合成績 | ヴィスマ・リースアバイク |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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