2024/12/29(日) - 16:45
ポガチャルによるストラーデビアンケでの81km独走やファンデルプールのパリ〜ルーベ連覇。ヴィスマ主力選手の相次ぐ怪我、そしてポガチャルのジロ・デ・イタリアでの区間6勝&初総合優勝など、激動の2024年シーズン前半を振り返る。後編はこちら。
ニュースター誕生のダウンアンダーからポガチャルの独走(1〜3月)
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ツアー・ダウンアンダー photo:CorVos 
ラ・フレーシュ・ワロンヌ photo:CorVos
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ストラーデビアンケ photo:CorVos
2024年のUCIワールドツアーは、28歳の遅咲きパンチャーであるスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)が1月のツアー・ダウンアンダーで総合優勝を飾り、波乱の幕開けとなった。その後も良い走りを続けたウィリアムズは「ユイの壁」でお馴染みラ・フレーシュ・ワロンヌでも勝利。躍進の年となった。
ヨーロッパにクラシックシーズンの訪れを告げる3月のストラーデビアンケは、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が残り81kmからアタック。圧巻の独走から自身2度目の優勝を飾ったポガチャルはその後、大成功のシーズンを送ることになる。
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総合優勝を飾ったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
パリ〜ニースをマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)が、ティレーノ〜アドリアティコはヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が総合優勝し、そのままシーズンを席巻すると思われていたヴィスマ・リースアバイク。しかし3月、主力のワウト・ファンアールト(ベルギー)がレース中の落車により鎖骨と肋骨などを骨折。さらに4月にはヴィンゲゴーが骨折と肺挫傷の重症を負い、チームに暗雲が立ち込めた。
アルペシンが席巻したモニュメント(4月)
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ミラノ〜サンレモ photo:CorVos
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ロンド・ファン・フラーンデレン photo:CorVos 
パリ〜ルーベ photo:CorVos
2024年モニュメント(5大クラシック)の初戦となる3月のミラノ〜サンレモは12名による集団スプリントとなり、登坂力を鍛えたヤスペル・フィリプセン(ベルギー)が初制覇。その後ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベ連覇をマチュー・ファンデルプール(オランダ)が達成し、アルペシン・ドゥクーニンクが改めてクラシックでの強さを示した。
ミラノ〜サンレモを除く春のモニュメントは全て独走での決着となり、今年はそれ以外のレースでも独走勝利が目立った。4月のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュではポガチャルが残り34km地点から一人旅を展開。2021年以来となる2度目の優勝と共に、自身6度目のモニュメント制覇を成し遂げた。
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リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ photo:CorVos
ジロでも終わらぬポガチャル劇場(5月)
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ジロ・デ・イタリア photo:CorVos
5月4日に開幕したジロ・デ・イタリアは、丘陵地帯を含む第1ステージでジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が優勝。初出場のポガチャルは3位と敗れたものの、翌日の第2ステージでは早速初勝利を飾る。そして着用したマリアローザを、最終日まで誰にも渡すことはなかった。
スプリントステージではティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)やジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)、オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)らが、勝利を分け合う熱戦を展開。初出場したジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)も第12ステージの逃げ切り勝利で見せ場を作る中、やはり大会の主役はポガチャルだった。
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独走勝利を決めたジュリアン・アラフィリップ photo:CorVos 
ハットトリックを達成したジョナサン・ミラン photo:CorVos
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区間6勝で総合優勝を決めたタデイ・ポガチャル photo:CorVos
独自の短いクランク長を回し、山岳でもハイケイデンスを維持したポガチャルは、区間6勝と総合2位ダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に9分56秒差をつける大差で総合優勝。マリアチクラミーノ(ポイント賞)には2年連続でミランが輝き、マリアビアンカ(ヤングライダー賞)は総合5位だった23歳、アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が獲得。イタリア期待の新星が存在感を示した。
プレイバック後編では、圧倒的な強さを見せたポガチャルと怪我から復活を遂げたヴィンゲゴーが激突したツール・ド・フランス、エヴェネプールが金メダルを獲得したパリオリンピック、そしてロード世界選手権の熱戦を振り返る。
ニュースター誕生のダウンアンダーからポガチャルの独走(1〜3月)
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2024年のUCIワールドツアーは、28歳の遅咲きパンチャーであるスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)が1月のツアー・ダウンアンダーで総合優勝を飾り、波乱の幕開けとなった。その後も良い走りを続けたウィリアムズは「ユイの壁」でお馴染みラ・フレーシュ・ワロンヌでも勝利。躍進の年となった。
ヨーロッパにクラシックシーズンの訪れを告げる3月のストラーデビアンケは、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が残り81kmからアタック。圧巻の独走から自身2度目の優勝を飾ったポガチャルはその後、大成功のシーズンを送ることになる。
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パリ〜ニースをマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)が、ティレーノ〜アドリアティコはヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が総合優勝し、そのままシーズンを席巻すると思われていたヴィスマ・リースアバイク。しかし3月、主力のワウト・ファンアールト(ベルギー)がレース中の落車により鎖骨と肋骨などを骨折。さらに4月にはヴィンゲゴーが骨折と肺挫傷の重症を負い、チームに暗雲が立ち込めた。
アルペシンが席巻したモニュメント(4月)
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2024年モニュメント(5大クラシック)の初戦となる3月のミラノ〜サンレモは12名による集団スプリントとなり、登坂力を鍛えたヤスペル・フィリプセン(ベルギー)が初制覇。その後ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベ連覇をマチュー・ファンデルプール(オランダ)が達成し、アルペシン・ドゥクーニンクが改めてクラシックでの強さを示した。
ミラノ〜サンレモを除く春のモニュメントは全て独走での決着となり、今年はそれ以外のレースでも独走勝利が目立った。4月のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュではポガチャルが残り34km地点から一人旅を展開。2021年以来となる2度目の優勝と共に、自身6度目のモニュメント制覇を成し遂げた。
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ジロでも終わらぬポガチャル劇場(5月)
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5月4日に開幕したジロ・デ・イタリアは、丘陵地帯を含む第1ステージでジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が優勝。初出場のポガチャルは3位と敗れたものの、翌日の第2ステージでは早速初勝利を飾る。そして着用したマリアローザを、最終日まで誰にも渡すことはなかった。
スプリントステージではティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)やジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)、オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)らが、勝利を分け合う熱戦を展開。初出場したジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)も第12ステージの逃げ切り勝利で見せ場を作る中、やはり大会の主役はポガチャルだった。
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独自の短いクランク長を回し、山岳でもハイケイデンスを維持したポガチャルは、区間6勝と総合2位ダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に9分56秒差をつける大差で総合優勝。マリアチクラミーノ(ポイント賞)には2年連続でミランが輝き、マリアビアンカ(ヤングライダー賞)は総合5位だった23歳、アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が獲得。イタリア期待の新星が存在感を示した。
プレイバック後編では、圧倒的な強さを見せたポガチャルと怪我から復活を遂げたヴィンゲゴーが激突したツール・ド・フランス、エヴェネプールが金メダルを獲得したパリオリンピック、そしてロード世界選手権の熱戦を振り返る。
2024年シーズン男子ロード 上半期海外主要レース結果
開催日 | レース | 勝者 |
---|---|---|
1月16-21日 | ツアー・ダウンアンダー | 総合優勝:スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック) |
3月2日 | ストラーデビアンケ | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
3月3-10日 | パリ〜ニース | 総合優勝:マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) |
3月4-10日 | ティレーノ〜アドリアティコ | 総合優勝:ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) |
3月16日 | ミラノ〜サンレモ | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) |
3月31日 | ロンド・ファン・フラーンデレン | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) |
4月7日 | パリ〜ルーベ | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) |
4月14日 | アムステルゴールドレース | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
4月17日 | ラ・フレーシュ・ワロンヌ | スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック) |
4月21日 | リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
5月4-26日 | ジロ・デ・イタリア | 総合優勝:タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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