男子3名、女子3名がそれぞれコースを1周し、合計タイムで競うロード世界選手権タイムトライアル・ミックスリレー。オコーナーなど強豪メンバーで臨んだオーストラリアがドイツを1秒差で下し優勝。ブラウンが女子エリート個人TTとの2冠を達成した。



フィリッポ・ガンナも臨んだタイムトライアル・ミックスリレー photo:UCI

ロード世界選手権2024 タイムトライアル・ミックスリレーコースプロフィール image:UCI

開催中のロード世界選手権は9月25日(水)に、今年で5回目を迎えたチームタイムトライアル・ミックスリレー(Mixed Relay)が行われた。先に男子3名が走り出し、隊列を組みながら26.85kmのコースを1周。フィニッシュと同時に女子3名がスタートし、男子と同じコースを駆ける史上最長となった53.7kmのタイムトライアルだ。

平坦路で争われることの多いタイムトライアルだが、今年は男女エリートのTTでも使用したチューリッヒ湖手前に設定された丘を使用した。そのため総獲得標高差が948mのレイアウトとなったコースに、2022年、23年と2連覇中のスイスを含む20チームが挑んだ。

最初にスタートしたモンゴルや中国などアジアの国々が登りやテクニカルな下りに苦戦するなか、続いてヨーロッパの強豪国が続々とスタートを切る。そして各チームが接戦を演じたレースを制したのは、強力なメンバーを揃えたオーストラリアだった。

トップタイムを叩き出したオーストラリア photo:CorVos

グレース・ブラウンが軽快に丘を登っていく photo:CorVos

リアヌ・リッパートを擁するドイツは僅差の2位 photo:CorVos

オーストラリアが男子メンバーに揃えたのは、ベテランのマイケル・マシューズに直近のブエルタ・ア・エスパーニャで総合2位に入ったベン・オコーナー、そして男子エリートの個人TTで落車し、額を3針縫う怪我を負いながらも5位入賞を果たしたジェイ・ヴァイン。男子は優勝候補の一角であるイタリアに8秒差をつけ、女子エリートの個人TTとパリ五輪との2冠を達成したグレース・ブラウン、ブローディー・チャップマン、ルビー・ローズマンギャノンら3名にバトンタッチした。

ブラウンたちはリアヌ・リッパートを中心となるドイツに差を縮められたものの、1時間12分52秒というトップタイムでフィニッシュ。ドイツを僅か0.85秒で下し、ヨーロッパ国外のチームとして初優勝を手に入れた。

初優勝を喜ぶオーストラリア photo:UCI

3連覇を目指したスイスは男子チームからスタート後僅か5分でヨハン・ヤコブスが遅れ、苦しい状態のなか全体の9位で女子にバトンタッチ。エリーズ・シャベイら女子はその遅れを取り戻すことはできず、2分52秒遅れの8位に沈んだ。

また男子エリート個人TTで2位に入ったフィリッポ・ガンナを擁するイタリアは、男子がトップのオーストラリアに8秒差でフィニッシュ。エリーザ・ロンゴボルギーニとガイア・レアリーニのリドル・トレック所属の2人に、キャニオン・スラム所属のソラヤ・パラディンという強力チームで臨んだものの、オーストラリアに8秒、ドイツに7秒届かず3位で表彰台に上がった。

ロード世界選手権2024 タイムトライアル・ミックスリレー表彰台:2位ドイツ、1位オーストラリア、3位イタリア photo:UCI

アルカンシエルを獲得したオーストラリア photo:UCI

「過去にグランツールでステージ優勝に加え、総合リーダージャージを着用した経験のある良いチームで臨んだ。僕らはスマートかつ強く走ることができたし、何よりレース楽しむことができた」とオコーナーは喜ぶ。また額に絆創膏を貼りながらも、好走を見せたヴァインは「ブエルタが良いトレーニングに繋がり、日曜のロードレースでもメダルが取れるように頑張りたい」と語った。

そして個人TTに続く2枚目のアルカンシエルを獲得したブラウンは、「男子が最速タイムでやってきたので、その良い走りを優勝に繋げたかった。僅差の戦いだったが終盤まで脚に力を込めた。最後は空っぽになるほど追い込むことができた」と笑顔を見せた。
ロード世界選手権2024 タイムトライアル・ミックスリレー結果
1位 オーストラリア 1:12:52
2位 ドイツ +0:01
3位 イタリア +0:08
4位 フランス +0:24
5位 デンマーク +2:06
6位 アメリカ +2:17
7位 カナダ +2:42
8位 スイス +2:52
9位 スペイン +3:50
10位 オーストリア +4:51
text:Sotaro.Arakawa
photo:UCI, CorVos
Amazon.co.jp