2024/09/23(月) - 08:00
世界最速を決めるロード世界選手権個人タイムトライアルでレムコ・エヴェネプール(ベルギー)が快走。2位のガンナを6秒差で下し、大会連覇と共にパリ五輪とのTT2冠を達成した。
スイス最大の都市チューリッヒで開幕した2024年ロード世界選手権。大会2日目である9月22日(日)に、男子エリートの個人タイムトライアルが行われた。
全長46.1kmのコースはエルリコン・ヴェロドロームを出発し、ライフェン湖畔の横を通過しながら南東へ。その後西に進路を変えた直後に距離2.4km/平均勾配4.9%の丘(最大勾配8.5%)を越え、チューリッヒ湖を沿うように北上。そしてフィニッシュまでは緩いコーナーしかない直線路だ。
純粋な高出力とエアロポジションが勝負を分かつTTスペシャリスト向きの戦いに臨んだのは、難民オリンピックチームを加えた41つの国と地域を含む59名の選手たち。パリ五輪で逃げたアフリカTT王者のチャールズ・カギム(ウガンダ)から順にスタート。クラブチームやコンチネンタルチームに所属する選手たちが続々とフィニッシュするなか、イスラエル・プレミアテックで走るピアアンドレ・コーテ(カナダ)が56分フラットという最速タイムをマークした。
カナダTT王者であるコーテのタイムが前半組の基準となるなか、地元スイス出身で元ヨーロッパTT王者であるシュテファン・ビッセガーのタイムは伸び悩む。直後に走り出したカスパー・アスグリーン(デンマーク)は54分32秒の暫定トップタイムでフィニッシュするなか、優勝候補の1人であったマグナス・シェフィールド(アメリカ)はこれに及ばない(最終的に13位)。
そしてシェフィールドの直後にフィニッシュしたエドアルド・アッフィニ(イタリア)が53分56秒という最速タイムをマーク。2週間前のTTヨーロッパ選手権を制した勢いそのままに、尻上がりにスピードを増していったアッフィニは平均スピードを51km/h台に乗せる快走を披露。そしてここから約30分に渡りホットシートに座り続けることになった。
ワウト・ファンアールト(ベルギー)の怪我による不出場もあり、4年振りのTT世界選手権出場となったヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)や、2022年の覇者トビアス・フォス(ノルウェー)もアッフィニのタイムには届かない。ジェイ・ヴァイン(オーストラリア)が最終的に5位に入る好走を見せるなか、スイス出身のシュテファン・キュングはトップタイム更新に54秒至らず、ジョシュア・ターリング(イギリス)がスタートを切った。
19歳だった昨年のTTヨーロッパ選手権を制し、世界選手権で3位に入ったターリング。12.5km地点に設定された第1計測地点をトップタイムで駆け抜けたものの、登りで力を使ったためか後半にペースを落とし、最速タイムには13秒届かなかった。
そしていよいよ昨年2位のフィリッポ・ガンナ(イタリア)がスタート。イタリアナショナルジャージの青色とコントラストになる真っ赤のバイクで駆けるガンナは、第1、第2(26.6km)、第3(36.7km)とトップタイムを次々と塗り替えていく。平均スピードが52km/h台に迫る53分8秒という最速タイムを叩き出し、暫定トップに立つ。
しかし、これを2分後にスタートしたエヴェネプールが6.43秒上回った。
スタートの約1分ほど前にエヴェネプールは、ペダルを逆回転させてバイクのチェーンが外れるトラブルが発生。急いでスペアバイクが用意されたものの、メカニックがチェーンを嵌め直して無事スタートを切る。そしてここからエヴェネプールがトラブルの影響を微塵も感じさせない快走を披露した。
第1計測をガンナより6秒早く通過し、丘の頂上でそのタイムを9秒まで拡げる。第3計測で19秒あった差は終盤縮まったものの、ガンナを6.43秒上回る53分1秒でフィニッシュ。平均スピードを出場選手の中で唯一52km/h台に乗せる圧巻の走りで、TT世界選手権の連覇を達成した。
「タイムトライアルの世界タイトルを守ることができて、これ以上喜ばしいことはない。アルカンシエルという自転車競技を象徴するジャージを、あと1年着ることができるのだからね。今日は選手キャリアで最も厳しいTTとなった。オリンピックと同じく優勝することができてとても嬉しいが、決して簡単なことではなかった。これでリラックスして来週のロードレースに臨むことができる」と、エヴェネプールは喜びを語った。
ガンナは2年連続の2位となり、同じイタリア出身のアッフィニが自身初となる世界選手権の舞台で表彰台に上がっている。
選手たちのコメントは別記事にて紹介します。
スイス最大の都市チューリッヒで開幕した2024年ロード世界選手権。大会2日目である9月22日(日)に、男子エリートの個人タイムトライアルが行われた。
全長46.1kmのコースはエルリコン・ヴェロドロームを出発し、ライフェン湖畔の横を通過しながら南東へ。その後西に進路を変えた直後に距離2.4km/平均勾配4.9%の丘(最大勾配8.5%)を越え、チューリッヒ湖を沿うように北上。そしてフィニッシュまでは緩いコーナーしかない直線路だ。
純粋な高出力とエアロポジションが勝負を分かつTTスペシャリスト向きの戦いに臨んだのは、難民オリンピックチームを加えた41つの国と地域を含む59名の選手たち。パリ五輪で逃げたアフリカTT王者のチャールズ・カギム(ウガンダ)から順にスタート。クラブチームやコンチネンタルチームに所属する選手たちが続々とフィニッシュするなか、イスラエル・プレミアテックで走るピアアンドレ・コーテ(カナダ)が56分フラットという最速タイムをマークした。
カナダTT王者であるコーテのタイムが前半組の基準となるなか、地元スイス出身で元ヨーロッパTT王者であるシュテファン・ビッセガーのタイムは伸び悩む。直後に走り出したカスパー・アスグリーン(デンマーク)は54分32秒の暫定トップタイムでフィニッシュするなか、優勝候補の1人であったマグナス・シェフィールド(アメリカ)はこれに及ばない(最終的に13位)。
そしてシェフィールドの直後にフィニッシュしたエドアルド・アッフィニ(イタリア)が53分56秒という最速タイムをマーク。2週間前のTTヨーロッパ選手権を制した勢いそのままに、尻上がりにスピードを増していったアッフィニは平均スピードを51km/h台に乗せる快走を披露。そしてここから約30分に渡りホットシートに座り続けることになった。
ワウト・ファンアールト(ベルギー)の怪我による不出場もあり、4年振りのTT世界選手権出場となったヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)や、2022年の覇者トビアス・フォス(ノルウェー)もアッフィニのタイムには届かない。ジェイ・ヴァイン(オーストラリア)が最終的に5位に入る好走を見せるなか、スイス出身のシュテファン・キュングはトップタイム更新に54秒至らず、ジョシュア・ターリング(イギリス)がスタートを切った。
19歳だった昨年のTTヨーロッパ選手権を制し、世界選手権で3位に入ったターリング。12.5km地点に設定された第1計測地点をトップタイムで駆け抜けたものの、登りで力を使ったためか後半にペースを落とし、最速タイムには13秒届かなかった。
そしていよいよ昨年2位のフィリッポ・ガンナ(イタリア)がスタート。イタリアナショナルジャージの青色とコントラストになる真っ赤のバイクで駆けるガンナは、第1、第2(26.6km)、第3(36.7km)とトップタイムを次々と塗り替えていく。平均スピードが52km/h台に迫る53分8秒という最速タイムを叩き出し、暫定トップに立つ。
しかし、これを2分後にスタートしたエヴェネプールが6.43秒上回った。
スタートの約1分ほど前にエヴェネプールは、ペダルを逆回転させてバイクのチェーンが外れるトラブルが発生。急いでスペアバイクが用意されたものの、メカニックがチェーンを嵌め直して無事スタートを切る。そしてここからエヴェネプールがトラブルの影響を微塵も感じさせない快走を披露した。
第1計測をガンナより6秒早く通過し、丘の頂上でそのタイムを9秒まで拡げる。第3計測で19秒あった差は終盤縮まったものの、ガンナを6.43秒上回る53分1秒でフィニッシュ。平均スピードを出場選手の中で唯一52km/h台に乗せる圧巻の走りで、TT世界選手権の連覇を達成した。
「タイムトライアルの世界タイトルを守ることができて、これ以上喜ばしいことはない。アルカンシエルという自転車競技を象徴するジャージを、あと1年着ることができるのだからね。今日は選手キャリアで最も厳しいTTとなった。オリンピックと同じく優勝することができてとても嬉しいが、決して簡単なことではなかった。これでリラックスして来週のロードレースに臨むことができる」と、エヴェネプールは喜びを語った。
ガンナは2年連続の2位となり、同じイタリア出身のアッフィニが自身初となる世界選手権の舞台で表彰台に上がっている。
選手たちのコメントは別記事にて紹介します。
ロード世界選手権2024 男子エリートタイムトライアル結果
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー) | 53:01.98 |
2位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア) | +0:06.43 |
3位 | エドアルド・アッフィニ(イタリア) | +0:54.44 |
4位 | ジョシュア・ターリング(イギリス) | +1:17.63 |
5位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア) | +1:24.18 |
6位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク) | +1:30.11 |
7位 | トビアス・フォス(ノルウェー) | +1:44.50 |
8位 | シュテファン・キュング(スイス) | +1:48.34 |
9位 | ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー) | +1:55.16 |
10位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ) | +1:58.03 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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