2010/07/24(土) - 11:51
フラットなコースで争われたツール第18ステージは、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)が集団スプリントを制し今大会4勝目。総合上位陣に変動はない。
パリ・シャンゼリゼを除けば実質最後のスプリンターのためのステージとなる第18ステージ。サリー・ド・ベアルン〜ボルドー間の198kmには山岳ポイントはひとつも設定されない、オールフラットなコースで争われた。
レースは開始直後から激しいアタック合戦が繰り広げられたが、11km地点でダニエル・オス(イタリア、リクイガス)、ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)、ブノワ・ヴォグルナール(フランス、フランセーズデジュー)、マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)の4名がこの日の逃げを決定づけた。
メイン集団をコントロールするのは、ここまでツールの平坦ステージでそうであったようにチームHTCコロンビア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ勢。それぞれエーススプリンターのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)のための動きだ。
スタート時点でマイヨヴェールのトール・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)から4ポイントのビハインドのペタッキの目標はステージ優勝&マイヨヴェール奪取。4人が逃げたため中間スプリントポイントでの争いは無く、マイヨをかけてゴール勝負にむけてランプレ勢が積極的に集団をコントロールした。
逃げる4人はいずれもクラシックレースやタイムトライアルに強さを見せる選手たち。集団も警戒し、差は3分前後のままレースは進んでいく。沿道にはハリウッドスターのトム・クルーズやキャメロン・ディアスが歓声を送るというサプライズもあったものの、レースにはサプライズは無し。
残り30kmを切ってチームHTCコロンビア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニが本格的に追走を開始。残り23km地点でその差は1分を切ったものの、追い風が災いしてメイン集団はなかなか差を詰め切れない。
後方に迫るメイン集団のプレッシャーを感じて、最初にアタックをしたのはピノー。しかしこのアタックを利用して強烈なカウンターで抜け出したのはオス。残りの3人はお見合い状態で、集団に吸収された。
残り12kmで単独先頭を走るオスは35秒のリード。トラック出身の若手がその力を遺憾なく発揮するものの、メイン集団も全開で追走。チームHTCコロンビアはトニ・マルティン(ドイツ)、ランプレはダミアーノ・クネゴ(イタリア)が牽引に加わって差を詰めていく。
健闘したオスは残り3km地点で吸収。しかし最後の最後まで諦めない意志のある走りでこの日の敢闘賞に輝いた。
残り2kmで列車を組んだのはチームスカイ。統率のとれた連携を見せるも、そこにフースホフトを引連れたサーヴェロテストチームの隊列がかぶせていく。混戦模様の中、残り200mでスプリントを仕掛けたのはペタッキ。しかし番手につけていたカヴェンディッシュにとってこれ以上ないタイミング。
カヴらしい爆発的な加速でペタッキを置き去りにすると、後続にどんどん差をつける圧倒的なスプリント力で余裕の勝利。今大会4勝目を挙げた。2位には追い上げたジュリアン・ディーン(ニュージーランド、ガーミン・トランジションズ)、3位にペタッキが入った。
フースホフトが区間14位に沈んだため、マイヨヴェールはペタッキの手に渡った。ペタッキはポイントで10ポイントのリードを持って、最終ステージパリ・シャンゼリゼに臨むことになった。マイヨヴェール争いは例年同様、最後の最後まで決着を見ない。
集団内で静かに過ごした総合上位陣の成績に変動は無し。選手たちはこのツールを決定づける翌日の個人タイムトライアルを見据える。52kmのタイムトライアルで、激動のツール・ド・フランス2010は決着を見ることになる。
ツール・ド・フランス2010第18ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) 4h37'09"
2位 ジュリアン・ディーン(ニュージーランド、ガーミン・トランジションズ)
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
4位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)
5位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
6位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
7位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
9位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)
10位 ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)
14位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)
16位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)
第17ステージ敢闘賞
ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 88h09'48"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +08"
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +3'32"
4位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +3'53"
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)+5'27"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +6'41"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +7'03"
8位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ) +9'18"
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス) +10'12"
10位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック) +10'37"
112位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +3h09'56"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ) 213pts
2位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム) 203pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)197pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 アントニー・シャルトー(フランス、Bboxブイグテレコム) 143pts
2位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ) 128pts
3位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) 116pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) 88h09'56"
2位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +6'33"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス) +10'04"
チーム総合成績
1位 レディオシャック 264h36'07"
2位 ケースデパーニュ +8'30"
3位 ラボバンク +33'39"
text:Yufta Omata
photo:Makoto Ayano,Cor Vos
パリ・シャンゼリゼを除けば実質最後のスプリンターのためのステージとなる第18ステージ。サリー・ド・ベアルン〜ボルドー間の198kmには山岳ポイントはひとつも設定されない、オールフラットなコースで争われた。
レースは開始直後から激しいアタック合戦が繰り広げられたが、11km地点でダニエル・オス(イタリア、リクイガス)、ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)、ブノワ・ヴォグルナール(フランス、フランセーズデジュー)、マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)の4名がこの日の逃げを決定づけた。
メイン集団をコントロールするのは、ここまでツールの平坦ステージでそうであったようにチームHTCコロンビア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニ勢。それぞれエーススプリンターのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)のための動きだ。
スタート時点でマイヨヴェールのトール・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)から4ポイントのビハインドのペタッキの目標はステージ優勝&マイヨヴェール奪取。4人が逃げたため中間スプリントポイントでの争いは無く、マイヨをかけてゴール勝負にむけてランプレ勢が積極的に集団をコントロールした。
逃げる4人はいずれもクラシックレースやタイムトライアルに強さを見せる選手たち。集団も警戒し、差は3分前後のままレースは進んでいく。沿道にはハリウッドスターのトム・クルーズやキャメロン・ディアスが歓声を送るというサプライズもあったものの、レースにはサプライズは無し。
残り30kmを切ってチームHTCコロンビア、ランプレ・ファルネーゼヴィーニが本格的に追走を開始。残り23km地点でその差は1分を切ったものの、追い風が災いしてメイン集団はなかなか差を詰め切れない。
後方に迫るメイン集団のプレッシャーを感じて、最初にアタックをしたのはピノー。しかしこのアタックを利用して強烈なカウンターで抜け出したのはオス。残りの3人はお見合い状態で、集団に吸収された。
残り12kmで単独先頭を走るオスは35秒のリード。トラック出身の若手がその力を遺憾なく発揮するものの、メイン集団も全開で追走。チームHTCコロンビアはトニ・マルティン(ドイツ)、ランプレはダミアーノ・クネゴ(イタリア)が牽引に加わって差を詰めていく。
健闘したオスは残り3km地点で吸収。しかし最後の最後まで諦めない意志のある走りでこの日の敢闘賞に輝いた。
残り2kmで列車を組んだのはチームスカイ。統率のとれた連携を見せるも、そこにフースホフトを引連れたサーヴェロテストチームの隊列がかぶせていく。混戦模様の中、残り200mでスプリントを仕掛けたのはペタッキ。しかし番手につけていたカヴェンディッシュにとってこれ以上ないタイミング。
カヴらしい爆発的な加速でペタッキを置き去りにすると、後続にどんどん差をつける圧倒的なスプリント力で余裕の勝利。今大会4勝目を挙げた。2位には追い上げたジュリアン・ディーン(ニュージーランド、ガーミン・トランジションズ)、3位にペタッキが入った。
フースホフトが区間14位に沈んだため、マイヨヴェールはペタッキの手に渡った。ペタッキはポイントで10ポイントのリードを持って、最終ステージパリ・シャンゼリゼに臨むことになった。マイヨヴェール争いは例年同様、最後の最後まで決着を見ない。
集団内で静かに過ごした総合上位陣の成績に変動は無し。選手たちはこのツールを決定づける翌日の個人タイムトライアルを見据える。52kmのタイムトライアルで、激動のツール・ド・フランス2010は決着を見ることになる。
ツール・ド・フランス2010第18ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) 4h37'09"
2位 ジュリアン・ディーン(ニュージーランド、ガーミン・トランジションズ)
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
4位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)
5位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
6位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
7位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
8位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
9位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)
10位 ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)
14位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)
16位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)
第17ステージ敢闘賞
ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 88h09'48"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +08"
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +3'32"
4位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +3'53"
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)+5'27"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +6'41"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +7'03"
8位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ) +9'18"
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス) +10'12"
10位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック) +10'37"
112位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +3h09'56"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ) 213pts
2位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム) 203pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)197pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 アントニー・シャルトー(フランス、Bboxブイグテレコム) 143pts
2位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ) 128pts
3位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) 116pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) 88h09'56"
2位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +6'33"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス) +10'04"
チーム総合成績
1位 レディオシャック 264h36'07"
2位 ケースデパーニュ +8'30"
3位 ラボバンク +33'39"
text:Yufta Omata
photo:Makoto Ayano,Cor Vos
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