パリ五輪トラック競技の中距離種目は、男女揃ってチームパーシュート(団体追い抜き=団抜き)の出場枠を獲得し、各4名ずつが出場する。出場種目と日程をプレビューし、各選手のコメントを紹介する。



男女揃ってチームパーシュートの出場権を得た中距離代表は、マディソンとオムニアムの出場枠も得て計8名が出場する(写真は男子) photo:JCF

短距離種目同様に5月29日に行われた記者発表会の席で、男子4名、女子4名のパリ五輪中距離種目出場メンバーが発表された。出場選手と種目は以下の通り。
パリ五輪 トラック中距離種目出場選手
氏名(所属) 出場種目
中距離・男子
今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) チームパーシュート
窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング/日本競輪選手会) チームパーシュート、マディソン、オムニアム
橋本英也(チームブリヂストンサイクリング/日本競輪選手会) チームパーシュート、マディソン
中野慎詞(チーム楽天Kドリームス/日本競輪選手会) チームパーシュート
中距離・女子
池田瑞紀(チーム楽天Kドリームス/早稲田大学) チームパーシュート
内野艶和(チーム楽天Kドリームス/日本競輪選手会) チームパーシュート、マディソン
垣田真穂(チーム楽天Kドリームス/早稲田大学) チームパーシュート、マディソン
梶原悠未(TEAM Yumi) チームパーシュート、オムニアム
松田祥位(チームブリヂストンサイクリング) リザーブ
男子はチームパーシュートの出場枠確保に伴い、最大数の4名の出場が可能になった。リオデジャネイロ五輪代表の窪木一茂、東京五輪代表の橋本英也ら五輪経験者2名と、今村駿介、中野慎詞でパリ五輪のチームパーシュートに挑む。さらに、マディソンは窪木と橋本、オムニアムに窪木が出場する。

ネイションズカップ第2戦のオムニアムで銅メダルを獲得した橋本英也と窪木一茂 photo:JCF

チームパーシュートはケイリンにも出場する中野を加えた変則的な構成となるが、短距離選手の牽引力でどのようなタイムを出せるのか気になるところ。初出場となるマディソンは五輪経験者の窪木と橋本が組んで世界とどこまで渡り合えるのか注目したい。窪木はオムニアムも含め3種目に出場。男子中距離代表の中で今一番強いと言われている窪木は、2大会ぶりの五輪をどう戦うか?

今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) photo:Satoru Kato
窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング/日本競輪選手会) photo:Satoru Kato
橋本英也(チームブリヂストンサイクリング/日本競輪選手会) photo:Satoru Kato



今村駿介
「今回は1種目だけだが、チーム内のライバルとして刺激を与えられれば良いと思うし、何があっても対応できるように100%準備していきたい。持ってる力を出し切れるようになって戦術の幅が出て、得意なところが見つかってきたことが大きいと思っている。チームパーシュートはこれから詰めていかねばならないが、やることは個人の走力を伸ばして全ての状況に対応できる力をつけることと考えている」

窪木一茂
「3種目に出ることは望んできたことなので、メダルを目指して頑張りたい。チームパーシュートは中野選手と走ることになったが、自分の役割は今までと変わらない。出場出来なかった選手達の分もしっかりと走りたい。リオ五輪の時は全然歯が立たなかったが、今はスプリント力に自信を持っている。それを活かして戦いたい」

橋本英也
「前回は1種目だったが、今回は2種目に出場出来るのでよりメダルに近いと思うので、パリからメダルを持って帰りたい。東京ではコテンパンにやられたので、基礎的な部分の強化に力を入れてきた。東京五輪はコロナ禍だったので、色々と自分の思っていた五輪と違っていたが、パリでは五輪の雰囲気を楽しみたい」

ネイションズカップ第2戦で銅メダルを獲得した女子チームパシュート 左から内野艶和、池田瑞紀、梶原悠未、垣田真穂 photo:JCF

女子もチームパーシュートの出場枠を獲得し、4名が出場。東京五輪オムニアム銀メダリストの梶原悠未を筆頭に、内野艶和、池田瑞紀、垣田真穂の4名でチームパーシュートを走り、内野と垣田はマディソン、梶原はオムニアムにも出場する。

東京五輪後に大きく入れ替わった中距離女子代表チーム。特に、まだ10代の池田と垣田が加わったことは大きなトピックと言えよう(池田は五輪期間中に20歳になる)。マディソンに出場する内野と垣田のペアは、昨年の国内選手権でも他を圧倒する力を見せ、今年のアジア選手権とネイションズカップ第2戦で優勝。五輪本番での活躍も期待したいところだ。

ネイションズカップ第2戦のオムニアムで優勝した梶原悠未 photo:JCF

そして東京五輪に続きオムニアムに出場する梶原。東京五輪後は怪我や故障が続いた時期もあったが、今年はアジア選手権とネイションズカップ第2戦で優勝し、パリ五輪に向けて合わせてきている。悲願の金メダル獲得なるか?

池田瑞紀(チーム楽天Kドリームス/早稲田大) photo:Satoru Kato
内野艶和(チーム楽天Kドリームス/日本競輪選手会) photo:Satoru Kato


池田瑞紀
「オリンピックはその競技を知らない人も見てくれる大きな大会。チームパーシュートは約4分間の中での走りなので、自分の想いと今まで練習してきた成果を出したい。私がペースを維持できるかで最終的なタイムに影響するので、そこが重要だと思っている」

内野艶和
「2023年からの1年間、自分にとって濃い時間を過ごし、自分の成長にもつながった。五輪代表に決まって楽しみで嬉しい気持ちでいっぱい。チームパーシュートは自分の力を出し切ってチームに貢献できる走りをしたい。マディソンは垣田選手と良い走りをしてメダルを獲得出来るように頑張りたい」

垣田真穂(チーム楽天Kドリームス/早稲田大) photo:Satoru Kato
梶原悠未(TEAM Yumi) photo:Satoru Kato


垣田真穂
「小さい頃からの夢だったので、選手として選ばれて嬉しい気持ちと楽しみ。チームパーシュートは出場枠獲得ギリギリだったけれど、本番までにしっかり細かいところを修正して8位以内を目指していきたい。マディソンはネイションズカップで良い成績を出せたので(内野)艶和さんと一緒に頑張りたい」

梶原悠未
「東京五輪に続き夢の舞台に2度立てることはとても嬉しい。東京では銀メダルでとても悔しかったので、次は全力で金メダルを獲りに行きたい。昨年1年間は怪我や不調に悩まされたが、多くの人に支えてもらった。パリでは応援の力を感じ取って自分の力にして走りたい。そうすれば金メダルを獲れると信じている。ライバルも最上の状態で臨んでくると思うので、自分史上最高の状態で臨みたい」

※各選手コメントは5月29日の発表記者会見より抜粋
パリ五輪 トラック中距離種目日程(日本人出場種目)
日程 種目
8月5日 男子チームパーシュート(予選)
8月6日 男子チームパーシュート(第1ラウンド)、女子チームパーシュート(予選)
8月7日 男子チームパーシュート(決勝、順位決定戦)、女子チームパーシュート(第1ラウンド〜決勝)
8月8日 男子オムニアム(決勝)
8月9日 女子マディソン(決勝)
8月10日 男子マディソン(決勝)
8月11日 女子オムニアム(決勝)