2024/06/23(日) - 21:44
雨の修善寺で行われた全日本選手権ロードレース男子エリートは、14周目に形成された逃げの4名によるスプリントで決着。元U23日本王者の小林海(マトリックスパワータグ)が金子宗平らを下し、念願のナショナルチャンピオンジャージに袖を通した。
静岡県修善寺町にある日本サイクルスポーツセンターが2年連続で舞台となった全日本選手権ロードレース。男子エリートが行われた2024年大会の最終日、6月23日(日)の天候は雨。レース前日まではコース短縮や中止が検討されるほどの悪天候が心配されたものの、スタート前から降り続いた雨はレース距離が進むにつれて弱まり、そしてフィニッシュする頃には止んでいた。
日本一の称号を争う男子エリートのロードレースは1周8kmのコースを20周する160kmで争われ、総獲得標高差は5,000mを超える世界的にも稀有なほど過酷なレイアウト。登りでは追い風、下りでは向かい風が吹くなか、昨年の日本チャンピオンである山本大喜(JCLチーム右京)とロードパリ五輪代表の新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が集団の先頭に並ぶ。またその両脇にはトラック競技での五輪出場が内定している橋本英也と今村駿介(共にチームブリヂストンサイクリング)も揃うなか、午前11時にスタートの号砲が鳴った。
その直後、橋本が勢いよく飛び出し見せ場を作る。しかしこのレースを通して主導権を握ったJCLチーム右京の石橋学が早々に橋本をキャッチ。そして集団がスローペースで1周目を終える直前に、2014年大会で2位に入った43歳のベテラン井上和郎(バルバワークス)が飛び出し、1度目のコントロールラインをトップ通過した。
序盤はNIPPO・EF・マルティーグに所属し、日本では弱虫ペダルのジャージを着て走る内田宇海などが攻めに出る。だがいずれも逃げ形成には至らず、シマノレーシングや右京、キナンレーシングが先頭に人数を集め、4周目には新城が加速するシーンも。また直後には昨年4位だった石上優大(愛三工業レーシングチーム)や金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)もアタックし、有力選手たちがライバルたちの反応を伺った。
集団は依然としてひと塊のまま6度目のコントロールラインを通過し(7周目)、35名程度に絞られたメイン集団から増田成幸(JCLチーム右京)が仕掛ける。2022年10月に負った大怪我から復活を果たし、トップコンディションに戻した増田はキナンなどが引き戻したものの、増田は8周目に入った直後に再度アタック。今度はマークする選手たちを振り切り、逃げの形成に成功した。
そこに遅れて宮崎泰史(キナンレーシングチーム)がジョイン。更に登りで遅れた山本元喜(キナンレーシング)が復帰したプロトンからは、宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ)が飛び出し、単独で先頭の2名を目指した。
逃げの形成によってレース展開は一度落ち着き、逃げの増田と宮崎は2分半のリードを得る。しかし12周目で増田は後輪のパンクに見舞われ、その後合流した宇賀と共に単独先頭の宮崎を追いかけた。
スピードを増したメイン集団が増田と宮崎を捉えるなか、13周目の下りで新城が落車する。レース前に「転ばないことが最優先」と語っていた新城だったが、木の下の濡れた葉にタイヤを滑らせ左肩を強打。ドクターカーによる治療を受けた新城をプロトンは待ち、そして14周目に入った所で新城は無事集団に復帰した。
その後メイン集団は宮崎を吸収すると、14周目の登り区間で金子が渾身のアタックを見せた。
2日前の個人タイムトライアルで2度目の優勝を飾った金子には、小林海(マトリックスパワータグ)やJCLチーム右京の山本大喜と小石祐馬が反応する。一方で序盤に脚を使った山本元喜は食らいつくことができず、また序盤から積極的な走りを見せていた留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)や新城もこの動きに遅れを取った。
14周目で形成された先頭グループ
金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)
小林海(マトリックスパワータグ)
小石祐馬(JCLチーム右京)
山本大喜(JCLチーム右京)
金子を中心に前TT日本王者の小石やロード2連覇を狙う山本大喜、そして2016年のTTとロードU23日本王である小林という強力な4名は順調にローテーションを回す。それを追う集団には留目&新城というワールドチーム所属の2名の他に、石上と石原悠希(シマノレーシング)、そして岡篤志(JCLチーム右京)の5名という実力確かな選手たちが入ったものの、1分前後のタイム差はなかなか縮まらない。
追走集団からは最初に石原が遅れ、岡も登りで離されながら得意の下りで追いつくことを繰り返す。そのまま2つの集団は周回を重ね、18周目を終えるコントロールラインの手前で小林が動いた。
追い風に背中を押されながらスピードに乗る小林は、そのまま緩斜面の登りに先頭で突入する。しかし小林が全力で踏み続けることはなく、金子ら3名が追いつくと4名の集団には再び静寂が訪れる。一方の追走集団からは岡、次に新城が脱落し、留目と石上に絞られる。しかしこの2名が先頭に追いつくことは最後までなかった。
レースは最終周回に突入しても先頭の4名は動かず、急勾配の坂でも登りの得意な金子は何度も後ろを振り返り、ライバルたちの動きをチェックするだけ。そして坂を登りを終え、テクニカルな下りコーナーで小石が踏み込み差を作る。しかしこれを金子が引き戻し、力が尽きた小石が遅れていくなか小林が加速。終盤は先頭交替を拒否して脚を溜めていた山本がこれを潰し、ここに金子も必死に食らいつく。
3名は緩斜面の最終ストレートに至ると、牽制によってスピードが落ちたため小石が追いつく。そのまま小石はスプリントを開始し、すぐさま反応した金子が踏み込んで先頭に立つ。そのトップスピードに山本が遅れる一方で、一連の動きを冷静に見ていた小林が金子に並ぶ。残り50mで金子を追い抜いた小林がフィニッシュラインに先着。そして右手を突き上げ、勝利の雄叫びを上げた。
全日本選手権では毎年優勝候補の一人に挙げられながらも、これまでその実力を発揮できないでいた小林。2022、23年と2年連続で途中棄権という不本意な結果を払拭した小林が、ついにエリートカテゴリーで自身初となる日本チャンピオンの座を掴み取った。
「正直、勝てると思っていなかったので自分でもビックリしています。レース中はずっとキツく、すごく強かった金子に負けるだろうと思い、また右京の2人の脚を溜めているキツい状況でした。序盤から厳しい展開で”これは無理だろう”と思っていたのですが、一周一周を集中してこなしました。(スプリントでは)先に金子が駆けたのですが、残り200〜100mの看板で”勝った”と思いました」と、小林は優勝者インタビューでそうレースを振り返った。
追走集団では留目を引き離した石上が5位に入り、新城は3分28秒遅れの7位で約5時間に渡ったレースを終えている。
各選手によるコメントは別記事にて紹介します。
静岡県修善寺町にある日本サイクルスポーツセンターが2年連続で舞台となった全日本選手権ロードレース。男子エリートが行われた2024年大会の最終日、6月23日(日)の天候は雨。レース前日まではコース短縮や中止が検討されるほどの悪天候が心配されたものの、スタート前から降り続いた雨はレース距離が進むにつれて弱まり、そしてフィニッシュする頃には止んでいた。
日本一の称号を争う男子エリートのロードレースは1周8kmのコースを20周する160kmで争われ、総獲得標高差は5,000mを超える世界的にも稀有なほど過酷なレイアウト。登りでは追い風、下りでは向かい風が吹くなか、昨年の日本チャンピオンである山本大喜(JCLチーム右京)とロードパリ五輪代表の新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が集団の先頭に並ぶ。またその両脇にはトラック競技での五輪出場が内定している橋本英也と今村駿介(共にチームブリヂストンサイクリング)も揃うなか、午前11時にスタートの号砲が鳴った。
その直後、橋本が勢いよく飛び出し見せ場を作る。しかしこのレースを通して主導権を握ったJCLチーム右京の石橋学が早々に橋本をキャッチ。そして集団がスローペースで1周目を終える直前に、2014年大会で2位に入った43歳のベテラン井上和郎(バルバワークス)が飛び出し、1度目のコントロールラインをトップ通過した。
序盤はNIPPO・EF・マルティーグに所属し、日本では弱虫ペダルのジャージを着て走る内田宇海などが攻めに出る。だがいずれも逃げ形成には至らず、シマノレーシングや右京、キナンレーシングが先頭に人数を集め、4周目には新城が加速するシーンも。また直後には昨年4位だった石上優大(愛三工業レーシングチーム)や金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)もアタックし、有力選手たちがライバルたちの反応を伺った。
集団は依然としてひと塊のまま6度目のコントロールラインを通過し(7周目)、35名程度に絞られたメイン集団から増田成幸(JCLチーム右京)が仕掛ける。2022年10月に負った大怪我から復活を果たし、トップコンディションに戻した増田はキナンなどが引き戻したものの、増田は8周目に入った直後に再度アタック。今度はマークする選手たちを振り切り、逃げの形成に成功した。
そこに遅れて宮崎泰史(キナンレーシングチーム)がジョイン。更に登りで遅れた山本元喜(キナンレーシング)が復帰したプロトンからは、宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ)が飛び出し、単独で先頭の2名を目指した。
逃げの形成によってレース展開は一度落ち着き、逃げの増田と宮崎は2分半のリードを得る。しかし12周目で増田は後輪のパンクに見舞われ、その後合流した宇賀と共に単独先頭の宮崎を追いかけた。
スピードを増したメイン集団が増田と宮崎を捉えるなか、13周目の下りで新城が落車する。レース前に「転ばないことが最優先」と語っていた新城だったが、木の下の濡れた葉にタイヤを滑らせ左肩を強打。ドクターカーによる治療を受けた新城をプロトンは待ち、そして14周目に入った所で新城は無事集団に復帰した。
その後メイン集団は宮崎を吸収すると、14周目の登り区間で金子が渾身のアタックを見せた。
2日前の個人タイムトライアルで2度目の優勝を飾った金子には、小林海(マトリックスパワータグ)やJCLチーム右京の山本大喜と小石祐馬が反応する。一方で序盤に脚を使った山本元喜は食らいつくことができず、また序盤から積極的な走りを見せていた留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)や新城もこの動きに遅れを取った。
14周目で形成された先頭グループ
金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)
小林海(マトリックスパワータグ)
小石祐馬(JCLチーム右京)
山本大喜(JCLチーム右京)
金子を中心に前TT日本王者の小石やロード2連覇を狙う山本大喜、そして2016年のTTとロードU23日本王である小林という強力な4名は順調にローテーションを回す。それを追う集団には留目&新城というワールドチーム所属の2名の他に、石上と石原悠希(シマノレーシング)、そして岡篤志(JCLチーム右京)の5名という実力確かな選手たちが入ったものの、1分前後のタイム差はなかなか縮まらない。
追走集団からは最初に石原が遅れ、岡も登りで離されながら得意の下りで追いつくことを繰り返す。そのまま2つの集団は周回を重ね、18周目を終えるコントロールラインの手前で小林が動いた。
追い風に背中を押されながらスピードに乗る小林は、そのまま緩斜面の登りに先頭で突入する。しかし小林が全力で踏み続けることはなく、金子ら3名が追いつくと4名の集団には再び静寂が訪れる。一方の追走集団からは岡、次に新城が脱落し、留目と石上に絞られる。しかしこの2名が先頭に追いつくことは最後までなかった。
レースは最終周回に突入しても先頭の4名は動かず、急勾配の坂でも登りの得意な金子は何度も後ろを振り返り、ライバルたちの動きをチェックするだけ。そして坂を登りを終え、テクニカルな下りコーナーで小石が踏み込み差を作る。しかしこれを金子が引き戻し、力が尽きた小石が遅れていくなか小林が加速。終盤は先頭交替を拒否して脚を溜めていた山本がこれを潰し、ここに金子も必死に食らいつく。
3名は緩斜面の最終ストレートに至ると、牽制によってスピードが落ちたため小石が追いつく。そのまま小石はスプリントを開始し、すぐさま反応した金子が踏み込んで先頭に立つ。そのトップスピードに山本が遅れる一方で、一連の動きを冷静に見ていた小林が金子に並ぶ。残り50mで金子を追い抜いた小林がフィニッシュラインに先着。そして右手を突き上げ、勝利の雄叫びを上げた。
全日本選手権では毎年優勝候補の一人に挙げられながらも、これまでその実力を発揮できないでいた小林。2022、23年と2年連続で途中棄権という不本意な結果を払拭した小林が、ついにエリートカテゴリーで自身初となる日本チャンピオンの座を掴み取った。
「正直、勝てると思っていなかったので自分でもビックリしています。レース中はずっとキツく、すごく強かった金子に負けるだろうと思い、また右京の2人の脚を溜めているキツい状況でした。序盤から厳しい展開で”これは無理だろう”と思っていたのですが、一周一周を集中してこなしました。(スプリントでは)先に金子が駆けたのですが、残り200〜100mの看板で”勝った”と思いました」と、小林は優勝者インタビューでそうレースを振り返った。
追走集団では留目を引き離した石上が5位に入り、新城は3分28秒遅れの7位で約5時間に渡ったレースを終えている。
各選手によるコメントは別記事にて紹介します。
全日本選手権ロードレース2024 男子エリート 結果
1位 | 小林海(マトリックスパワータグ) | 4時間47分25秒 |
2位 | 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) | |
3位 | 山本大喜(JCLチーム右京) | |
4位 | 小石祐馬(JCLチーム右京) | +10秒 |
5位 | 石上優大(愛三工業レーシングチーム) | +1分4秒 |
6位 | 留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト) | +1分28秒 |
7位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | +3分28秒 |
8位 | 岡篤志(JCLチーム右京) | +7分3秒 |
9位 | 山本元喜(キナンレーシング) | +9分36秒 |
10位 | 増田成幸(JCLチーム右京) | |
11位 | 宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ) | +10分4秒 |
12位 | 岡本隼(愛三工業レーシングチーム) | +10分33秒 |
13位 | 石原悠希(シマノレーシング) | +11分13秒 |
14位 | 宮崎泰史(キナンレーシングチーム) | +11分29秒 |
15位 | 木村純気(シエルブルー鹿屋) | +11分54秒 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Yuichiro Hosoda, Satoru Kato
photo:Yuichiro Hosoda, Satoru Kato
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