4名による集団スプリントで決着したツール・ド・スイス・ウィメン第4ステージ。デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)が圧巻のスピードでロンゴボルギーニを退け、区間3勝目と共に総合優勝を手に入れた。



最終日を迎えたツール・ド・スイス・ウィメン photo:Tour de Suisse

キャニオン・スラムが逃げ切りワンツーフィニッシュを決めた翌日、ツール・ド・スイス・ウィメンは最終第4ステージを迎えた。コースは前日のフィニッシュ地点であるシャンパーニュを発着する127.5kmで、序盤と中盤に2級山岳が登場し、それ以降は下りと平坦路がフィニッシュまで続く丘陵ステージだ。

スタート直後から始まったアタック合戦の末、ウルシュカ・ジガート(スロベニア、リブ・アルウラー・ジェイコ)と19歳のニンケ・フィンケ(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)という2人が逃げを打つ。これをメイン集団から飛び出したニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム)ら7名が追いかけ、残り58km地点で合流。しかしその中に総合6位(2分56秒遅れ)のジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が入ったため、リドル・トレックやSDワークス・プロタイムがメイン集団をタイトにコントロールした。

最終的に9名となった逃げグループ photo:Tour de Suisse

プロトンはリドル・トレックやSDワークス・プロタイムがペースメイクした photo:Tour de Suisse

一時3分まで拡がった逃げ集団のリードは残り距離の消化と共に減っていき、この日2つ目の2級山岳はアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム)が先頭で通過。その下りで先頭は5名まで減り、それを追うプロトンも登りで人数が絞られる。

一気にペースの上がったメイン集団は残り13kmで逃げを捉え、下りでカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)が仕掛ける。しかしエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)や総合リーダーであるデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)を引き離すことはできず、またその背後には前日勝者のニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)もつく。そして先頭4名のまま最終ストレートに突入し、最終日の勝負はスプリントに持ち込まれた。

ロンゴボルギーニを抜き、先頭に立ったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:Tour de Suisse

区間3勝目を掴んだデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:Tour de Suisse

ニエウィアドマのリードアウトからブラッドバリーは飛び出すことができず、代わりにロンゴボルギーニとフォレリングがほぼ同時にスプリントを開始する。そしてトップスピードでロンゴボルギーニを上回ったフォレリングが、区間3勝目で総合優勝に華を添えた。

「今日、勝利ができるとは思っていなかった。ただ長く遠ざかっていたスプリントができて良かったし、何より勝てた。また大きな目標であるツール・ド・フランス・ファムに向け、山岳を含むレースでの総合優勝は良いことだ」と喜びを語ったフォレリング。5月のラ・ブエルタ・フェメニナからこれで4大会連続の総合優勝と敵なし状態のまま、翌日(本日)行われるオランダTT選手権に臨む予定だ。

ツール・ド・スイス・ウィメン2024総合表彰台:3位ブラッドバリー、1位フォレリング、2位ロンゴボルギーニ photo:Tour de Suisse

ツール・ド・スイス・ウィメン2024第4ステージ結果
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) 3:17:53
2位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)
3位 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)
4位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
5位 シュテフィ・ヘーベルリン(スイス・ナショナルチーム) +0:42
6位 エヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ)
7位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
8位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム)
9位 ロジータ・レインハウト(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
10位 ウルシュカ・ジガート(スロベニア、リブ・アルウラー・ジェイコ)
個人総合成績
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) 9:03:17
2位 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム) +1:28
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) +1:30
4位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +2:24
5位 キム・カゾー(ニュージーランド、EFエデュケーション・キャノンデール) +3:47
6位 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム) +4:11
7位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +5:33
8位 キム・カゾー(ニュージーランド、EFエデュケーション・キャノンデール) +5:44
9位 ウルシュカ・ジガート(スロベニア、リブ・アルウラー・ジェイコ) +6:00
10位 エヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ) +6:49
その他の特別賞
ポイント賞 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)
山岳賞 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
ヤングライダー賞 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)
チーム総合成績 キャニオン・スラム
text:Sotaro.Arakawa
photo:Tour de Suisse