男子のツール・ド・スイスが佳境を迎える6月15日(土)、ツール・ド・スイス・ウィメンが開幕。デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)が1級山岳で仕掛けたレアリーニを退け、独走勝利で4日間のスタートを切った。



前年覇者マーレン・ロイサーが不在ながら、デミ・フォレリングが出場したSDワークス・プロタイム photo:CorVos

ジロ・デ・イタリア・ウィメンを3週間後に控えた6月15日(土)、UCIウィメンズワールドツアー第20戦として開幕したのがツール・ド・スイス・ウィメンだ。全8日間の男子ツール・ド・スイスが佳境を迎えるなか、女子レースは全4日間のステージレース。山岳ステージからはじまり2日目は個人タイムトライアルが行われ、3日目と4日目は丘が登場するステージと様々な脚質の選手にチャンスのあるレイアウトが用意された。

昨年総合優勝を飾ったマーレン・ロイサー(スイス)は体調不良で不出場のなか、同じSDワークス・プロタイムから5月はラ・ブエルタ・フェメニナとラ・ブエルタ・フェメニナ、ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナスで3連続総合優勝を飾っているデミ・フォレリング(オランダ)が出場。その敵なしの現オランダ王者にリドル・トレックはエリーザ・ロンゴボルギーニとガイア・レアリーニ(共にイタリア)を揃えた。

濡れた路面のなか最初の2級山岳を登っていくプロトン photo:CorVos

大会初日の舞台となったのは58.6kmのショートコース。同日に行われた男子レース(第7ステージ)のコース後半を使用するレイアウトは、スタートから2級山岳を登り、一度下ってから1級山岳ヴィラール・シュル・オロン(距離7.9km/平均7.7%)を駆け上がる。雨で濡れた路面のなか午前11時にスタートが切られ、直後の2級山岳から早くもエリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)が仕掛けた。

ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナスでは総合4位と表彰台を逃したシャベイは2級山岳をトップ通過し、その下りで後続とのタイム差を拡げていく。一方残り20km地点で2分差を得たシャベイに対し、SDワークス・プロタイムが先導するメイン集団からマリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス・プロタイム)が飛び出してシャベイとの合流を目指した。

21歳のシュライバーはシャベイに追いつかず、シャベイは2分38秒差で1級山岳ヴィラール・シュル・オロン(距離7.9km/平均7.7%)に突入。ここから23歳の若きヨーロッパ王者のミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ、SDワークス・プロタイム)が高速牽引によってプロトンの人数を絞り、そこから残り5km地点でレアリーニがアタックした。

ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック)のアタックに追従したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:Tour de Suisse

これには当然フォレリングがつく一方で、ロンゴボルギーニやジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)などは遅れていく。レアリーニとフォレリングはフィニッシュまで1.3km地点でシャベイを捉え、直後にフォレリングが飛び出す。そしてハイケイデンスで脚を回すオランダ王者にレアリーニはついていけず、フォレリングが初日勝利を手に入れた。

大会初日を独走で制したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

「短い距離に山岳が詰め込まれた奇妙なレースだった。マーレン(ロイサー)が不在の中、得意な総合争いで良い結果を得たい」とフォレリングは笑顔を見せた。

区間2位には22秒遅れでレアリーニが入り、健闘したシャベイは46秒遅れの3位。ロンゴボルギーニは58秒遅れの4位で初日を終えている。

総合首位に立ったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

ツール・ド・スイス・ウィメン2024第1ステージ結果
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) 1:47:10
2位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:22
3位 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) +0:46
4位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:58
5位 キム・カゾー(ニュージーランド、EFエデュケーション・キャノンデール) +1:03
6位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +1:17
7位 マリオン・ビュネル(フランス、サンミッシェル・マヴィック・オーベル93)
8位 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)
9位 ウルシュカ・ジガート(スロベニア、リブ・アルウラー・ジェイコ)
10位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、リドル・トレック) +1:29
個人総合成績
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) 1:47:00
2位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:26
3位 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) +0:49
4位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) +1:08
5位 キム・カゾー(ニュージーランド、EFエデュケーション・キャノンデール) +1:13
6位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +1:27
7位 マリオン・ビュネル(フランス、サンミッシェル・マヴィック・オーベル93)
8位 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)
9位 ウルシュカ・ジガート(スロベニア、リブ・アルウラー・ジェイコ)
10位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、リドル・トレック) +1:39
その他の特別賞
ポイント賞 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)
山岳賞 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
ヤングライダー賞 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック)
チーム総合成績 リドル・トレック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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