4日連続山頂フィニッシュの2日目となったツール・ド・スイス第5ステージ。残り1.5kmでアタックしたアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)がライバルたちを引き離し、アルメイダとワンツーフィニッシュを決めると共に総合リード拡大に成功した。



今年2月の肩甲骨や鎖骨骨折から復帰したルイ・コスタ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

ツール・ド・スイス2024第5ステージ コースプロフィール image:Tour de Suisse
ツール・ド・フランスに向かう選手たちが多数集結したツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)は第5ステージを迎え、この日は比較的距離の短い148.6kmコースで争われた。序盤から2級と1級山岳を立て続けに登り、その後は100kmほどの平坦路。そしてフィニッシュ地点は1級山岳カリ(距離10.2km/平均8%)の頂上にある。

この日は第3ステージに総合リーダージャージを着用したものの、前日の落車でアルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)が未出走。また同じく落車で顔を縫う怪我を負ったリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)もレースを去り、158名となった選手たちがスタート地点であるアンブリを出発した。

この日はアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン)が積極的に仕掛ける photo:CorVos

レースは複数のアタックからアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン)ら7名が逃げを打つ。しかしそれを脅威と思ったメイン集団はそれを引き戻し、唯一抗ったルツェンコが単独先頭に立つ。イネオス・グレナディアーズのハイペース牽引が早くもプロトンの人数を絞っていくなか、先頭を行くルツェンコに今年ラ・フレーシュ・ワロンヌで金星を挙げたスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)ら3名が合流した。

遅れてヨハネス・スターンミッテ(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク)もジョインしたため逃げ集団は5名となり、プロトンの牽引に戻ったUAEチームエミレーツは2分差以上を許さないタイトなペースでコントロール。そして1級山岳カリ(距離10.2km/平均8%)に入る手前の登りで逃げは吸収され、勝負はプロトンの総合上位勢に委ねられた。

ツール出場を予定し、現在総合4位(49秒遅れ)につけるエガン・ベルナル(コロンビア)のためにイネオス・グレナディアーズが登りでペースを作る。22歳のアメリカン・クライマーであるマシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)が積極的なアタックを試みる場面もありながら、ひと塊のプロトンからジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がペースアップ。それにマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)やキアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)など総合上位陣をふるい落とされた。

プロトンは長い時間、イネオス・グレナディアーズがペースメイクした photo:CorVos

アルメイダの高速牽引には総合リーダージャージを着るアダム・イェーツ(イギリス)の他に、エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)とエンリク・マス(スペイン、モビスター)、マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)3名が追従する。そしてフィニッシュまで残り1.7km地点でアルメイダが役目を終えると、イェーツがアタック。ダンシングで軽快に飛ばすイェーツはライバルたちを引き離し、そのまま大観衆の待つフィニッシュに到達した。

後方ではアシストに徹したアルメイダがベルナルなどを追い抜き、5秒遅れでフィニッシュ。そのためUAEが1級山岳でワンツーフィニッシュを決めた。

アルメイダとのワンツーフィニッシュを決めたアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

「この勝利はジョアン(アルメイダ)が最終盤でクレイジーなペースを刻んでくれたおかげ。チームの皆はいま最高のコンディションにあり、モチベーションも高い。これで総合1位&2位ということは最高の状況が作り出せた」と、今季2勝目を飾ったイェーツは喜んだ。

この結果イェーツが総合首位のリードを拡げ、アルメイダが総合2位(35秒)に浮上。総合3位(1分11秒遅れ)には区間3位のベルナルが入っている。

ステージ優勝し、総合リードを拡大したアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

ツール・ド・スイス2024第5ステージ結果
1位 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) 3:54:37
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:05
3位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +0:16
4位 マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) +0:18
5位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +0:22
6位 オスカー・オンリー(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:54
7位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
8位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) +1:03
9位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) +1:19
10位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) +1:20
個人総合成績
1位 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) 15:44:35
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:35
3位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +1:11
4位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +1:49
5位 マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) +1:53
6位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +2:17
7位 オスカー・オンリー(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +2:21
8位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +2:46
9位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) +2:51
10位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) +3:01
その他の特別賞
ポイント賞 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)
山岳賞 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)
ヤングライダー賞 マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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