ウィメンズ・ツアーから名を改め、6月6日に開幕したツアー・オブ・ブリテン・ウィメン。4日間のステージレース初日は9名によるスプリントに持ち込まれ、ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)が写真判定の僅差で勝利した。



6月6日(木)に開幕したツアー・オブ・ブリテン・ウィメン The Tour Of Britain

ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)が3戦全勝したライドロンドン・クラシック閉幕から11日後の6月6日(木)、同じイギリス・ロンドンを舞台にしたツアー・オブ・ブリテン・ウィメン(UCIワールドツアー)が開幕した。一昨年までウィメンズ・ツアーと呼ばれ昨年は資金難のため中止されたものの、今年はレース名を新たに復活を遂げた4日間のステージレースだ。

SDワークスがウィーベスと世界王者であるロッテ・コペッキー(ベルギー)を揃えたレースは、大会初日と2日目に1級山岳が登場するものの、いずれも勾配が緩く登坂距離も長くない丘陵ステージ。また大会を通してフィニッシュ手前は平坦路のため、スプリンターが活躍する大会と予想された。

アタックと吸収が連続したレースは序盤に1級山岳が登場した The Tour Of Britain

アタックによりプロトンは分裂し、9名の先頭集団が形成された photo:CorVos

1日目はコース中盤に1級山岳(距離5.8km/平均5.5%)と2級山岳(距離2.7km/平均3.4%)が登場する丘陵ステージ。逃げを目指すアタックが起こってはメイン集団が吸収する展開が続くなか、1級山岳を越え、2級山岳の手前でファイファー・ジョルジ(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が仕掛けた。

この動きには、共にイギリス・ナショナルチームとして走るエリザベス・ダイグナンやアンナ・ヘンダーソンなどが反応し、遅れてコペッキーもクリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、SDワークス・プロタイム)と合流。そのため9名となった先頭集団が2級山岳を越え、ウィーベスなどスプリンターのいるプロトンとの差を拡げていった。

イギリス王者のファイファー・ジョルジ(DSMフィルメニッヒ・ポストNL)など強力なメンバーも入った先頭グループは、一気に4分のリードを奪う。一方のメイン集団はワールドチームのほどんどが選手を入れたため追走の意思はなく、勝負は9名によるスプリントに持ち込まれた。

ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)にレティツィア・パテルノステル(イタリア、リブ・アルウラー・ジェイコ)が迫る The Tour Of Britain

僅かに先着したロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) The Tour Of Britain

最終ストレートではマジュラスのリードアウトを受けたコペッキーがスプリントを開始する。その背後についたレティツィア・パテルノステル(イタリア、リブ・アルウラー・ジェイコ)が並んでハンドルを投げ、フィニッシュ後勝利を確信したパテルノステルはガッツポーズを作る。しかし写真判定の結果、コペッキーに勝利が告げられた。

「強力な先頭グループで、最後はマジュラスは素晴らしい走りをしてくれた。スプリントではミスを犯してしまったが、無事勝利に繋げることができた」と、今季5勝目を掴んだコペッキーは喜んだ。

初日勝利を喜ぶロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) The Tour Of Britain
ツアー・オブ・ブリテン・ウィメン2024第1ステージ結果
1位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) 4:04:18
2位 レティツィア・パテルノステル(イタリア、リブ・アルウラー・ジェイコ)
3位 ファイファー・ジョルジ(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
4位 エリザベス・ダイグナン(イギリス・ナショナルチーム)
5位 エリーヌ・ヤンセン(オランダ、フォルカーヴェッセルス・ウィメンズプロサイクリングチーム)
6位 アンナ・ヘンダーソン(イギリス・ナショナルチーム)
7位 ビクトリー・ギルマン(カナダ、サンミッシェル・マヴィック・オーベル93)
8位 クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、SDワークス・プロタイム)
9位 ルビー・ローズマンギャノン(オーストラリア、リブ・アルウラー・ジェイコ)
10位 ルーシー・リー(イギリス、DASハッチンソン・ブラザーUK) +3:49
個人総合成績
1位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) 4:04:06
2位 レティツィア・パテルノステル(イタリア、リブ・アルウラー・ジェイコ) +0:03
3位 ファイファー・ジョルジ(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:07
4位 エリザベス・ダイグナン(イギリス、リドル・トレック) +0:12
5位 エリーヌ・ヤンセン(オランダ、フォルカーヴェッセルス・ウィメンズプロサイクリングチーム)
6位 アンナ・ヘンダーソン(イギリス・ナショナルチーム)
7位 ビクトリー・ギルマン(カナダ、サンミッシェル・マヴィック・オーベル93)
8位 クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、SDワークス・プロタイム)
9位 ルビー・ローズマンギャノン(オーストラリア、リブ・アルウラー・ジェイコ)
10位 ルーシー・リー(イギリス、DASハッチンソン・ブラザーUK) +4:01
その他の特別賞
ポイント賞 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)
山岳賞 エリザベス・ダイグナン(イギリス、リドル・トレック)
ヤングライダー賞 エリーヌ・ヤンセン(オランダ、フォルカーヴェッセルス・ウィメンズプロサイクリングチーム)
チーム総合成績 SDワークス・プロタイム
text:Sotaro.Arakawa
photo:The Tour Of Britain