ツアー・オブ・ジャパンに集結したプロバイクを紹介する前編。総合優勝を挙げたジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCLチーム右京)のバイクを筆頭に、ルージャイ・インシュランス、ブリッジレーン、ジャイアントの新型TCRを投入したシマノレーシングの4チームを紹介します。



ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCLチーム右京)/ファクター OSTRO VAM

ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCLチーム右京)のファクター OSTRO VAM photo:So Isobe

全8日間のうち、ステージ4勝とジョバンニ・カルボーニ(イタリア)による総合優勝をかっさらう大活躍を見せたJCLチーム右京。大補強を行なった今年は2月のアルウラーツアーやツアー・オブ・オマーンでシーズンイン、続くツール・ド・台湾では小石祐馬による総合2位獲得など順調なスタートを切り、勢いそのままにTOJに乗り込んだ。

チームバイクは、代表である片山右京氏がかつて所属したF1チームのエンジニアが興したファクター。軽量オールラウンダーであるOSTRO VAM(先代モデル)を全員が使用し、山本大喜の初音ミクカラーはスペアバイクとしてチームカーのルーフ上に載せられていた。なおOSTRO VAMの新モデルは今後導入される可能性があるという。

富士山ステージで総合優勝を引き寄せたジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)。激坂対策でホイールとギア比を変えている ©️TOJ2024

写真のゼッケン5は総合優勝したカルボーニのバイク。DURA-ACEのギア構成は前54-40T、後11-34T(クランク長は172.5mm)。富士山ステージではインナーリングを小さなもの(34T?)に入れ替えて日本屈指の激坂に挑んだ。ホイールはC50を基本に平坦ステージはC60、山岳ステージはC36とDURA-ACEの全ラインナップを使用していた。クライマーだがコラムスペーサーを取り払い、なるべく低く抑えたハンドルセッティングを運用。タイヤはヴィットリアのCORSA PRO TLR(28c)で統一されていた。



ルージャイ・インシュランス/ニッチサイクリング Legend4

ルージャイ・インシュランスのニッチサイクリング Legend4 photo:So Isobe

ニッチサイクリングのオリジナルホイール(カーボンスポーク)を運用 photo:So Isobe
ボントレガーのエンデュランスタイヤを使用 photo:So Isobe



東南アジアの大手自動車保険ブローカーがスポンサーを務め、現在アジアツアーランキング2位につけるタイのルージャイ・インシュランスが駆るのは、同じくタイの新興ブランドであるNICH Cycling(ニッチサイクリング)。多くのメンバーが紫色が目立つエアロロード「Legend4」に乗り、波状リムとカーボンスポークで組まれたオリジナルホイール「ATEM SILKROAD 5.5」をセットしていた。

コンポーネントは22速のシマノDI2で統一しているが、写真のヴァレンティン・ミディ(フランス)はFORCEクランクにSRM、プラクシスワークスのチェーンリング、セラミックスピードのOSPWプーリーと賑やかな構成。タイヤはボントレガーのエンデュランスモデルのR3と軽量性よりも耐パンク性を重視したセットだ。



チーム・ブリッジレーン/サーヴェロ SOLOIST

チーム・ブリッジレーンのサーヴェロ SOLOIST photo:So Isobe

来日に合わせてバーテープを桜模様にチェンジ photo:So Isobe
タイヤはマキシスのHIGH ROAD。チューブラー率が高い photo:So Isobe



UCIワールドツアーに多くの選手を送り込んだ実績を持つオーストラリアの老舗育成チーム、チーム・ブリッジレーンのバイクはサーヴェロ。エアロのSシリーズでも軽量なRシリーズでもなく、ミドルグレードに位置付けられるSOLOISTで揃えられている。「トップモデルではないけど走りが良いので選手たちも満足しているよ。(ケーブル類が)面倒な完全内装式じゃないので整備性はありがたいね」とは帯同メカニックの談。

コンポーネントとホイールはシマノDURA-ACEで統一され、マキシスのHIGH ROADタイヤを組み合わせる。チューブラータイヤユーザーが半数越えというのも興味深いポイントだ。バーテープはスパカズで、来日に合わせて桜模様のテープに巻き替えてきたという。



風間翔眞(シマノレーシング)/ジャイアント TCR ADVENCED SL

風間翔眞(シマノレーシング)のジャイアント TCR ADVENCED SL photo:So Isobe

ジャイアントを駆るシマノレーシングは発表されたばかりの新型TCRをツアー・オブ・ジャパンに投入。さかみちくんこと風間翔眞が大理石調のパールペイントが美しい「オパール」カラーのTCR ADVENCED SLをエアロロードのPROPELと乗り分けつつ実戦投入した。

コンポーネントやホイールはもちろんDURA-ACEのフルセット photo:So Isobe

ヴィットリアのCORSA PRO。幅は26c photo:So Isobe
人気のオパールカラー。大理石調の色合いが美しい photo:So Isobe



風間によれば「あまり旧型TCRに乗っていないので比較はできませんが、PROPELと同じくらい剛性がある。スピードの伸びも良いしとても優秀なバイクです」とのこと。シマノのスポンサーチームだけにコンポーネントやホイールなどは全てシマノDURA-ACEとPROの各種製品で固められ、ステムのみTCR専用品。タイヤはプロトンの定番となったヴィットリアのCORSA PROだが、26cと現在のスタンダードよりも1サイズ細めなことに注目したい。



後編はアスタナ・カザクスタンデベロップメントチーム、トレンガヌ・サイクリングチーム、セントパイラン、そしてNIPPO・EF・マルティーグの4チームを紹介。国内チームのバイクは掲載中の特集記事で確認を。

text&photo:So Isobe

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