2024/05/25(土) - 08:37
濡れた路面の下りでアタックしたアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)が、ジロ・デ・イタリア第19ステージで逃げ切り勝利。動きのなかったプロトンではGトーマスが落車したものの、タイムを失うことなくフィニッシュしている。
第107回ジロ・デ・イタリアも残すところあと3日。第19ステージはスタート地点であるモルテリアーノから約86kmは平坦路だが、そこから3つのカテゴリー山岳が登場し、そのため今大会最後の逃げ切りチャンスとなった。
最初に臨む2級山岳パッソ・ドゥロン(距離4.4km/平均9.7%)は序盤に最大勾配18%が登場する過酷な登り。続く3級山岳セッラ・ヴァルカルダ(距離5.4km)を越え、徐々に標高を上げながら最終2級山岳チーマ・サッパーダ(距離8.5km/平均4.7%)へ。そしてフィニッシュ地点はこの山頂ではなく6.2km進んだ先にある。
コース途中にマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)の故郷トルメッゾを通る157kmレースは、リタイア者が続出し4名で奮闘するヴィスマ・リースアバイクが積極的に動く。その結果エドアルド・アッフィニ(イタリア)とアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー)が入った10名の逃げ集団が形成されたものの、すぐさまメイン集団が引き戻し、一旦落ち着いたメイン集団から区間2勝目を狙うジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が飛び出した。
その動きには同じく今大会勝利しているジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)やペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター)が付き合い、5名の先頭集団を作る。しかしプロトンは落ち着くことはなく、リドル・トレックのヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)とエドワルト・トゥーンス(ベルギー)が入った4名が追いかけ、更にヤン・トラトニク(スロベニア、ヴィスマ・リースアバイク)を中心とする9名も合流を目指した。
そして残り距離が80kmを過ぎた地点でこの3つの集団は一つとなり、19名の逃げ集団が形成された。
メイン集団ではトラトニク・グループによる飛び出しの後に蓋がされ、UAEチームエミレーツがペースを落ち着ける。そのため逃げとプロトンの差は一気に5分まで拡がり、インテルジロ(残り56.6km地点)をマヌエーレ・トロッツィ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先頭通過する頃にその差は8分を超えた。
この日最初の山岳である2級パッソ・ドゥロン(距離4.4km/平均9.7%)の、最大勾配18%の区間に入るとアラフィリップが踏みを強め、この動きにナルバエスが追従。また第17ステージでプロ初勝利を飾ったゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)やサンチェスなども食らいつき、頂上地点で先頭は6名に絞られる。
この時点でプロトンは10分のリードを許し、連戦の疲れが蓄積した選手たちはそれに異を唱えなかったため、早くもこのステージの勝者は逃げグループに絞られた。
登坂距離5.4kmの3級山岳セッラ・ヴァルカルダに入った先頭の6名では、ここでもアラフィリップが鋭いアタックを見せる。しかしナルバエスらを引き離すには至らず、また今大会は胃腸炎に苦しめられているルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)は一度遅れながらも、意地の追走で先頭集団に復帰する。そのためレースは先頭6名を、登りで遅れたトラトニクやイタリア王者シモーネ・ヴェラスコ(アスタナ・カザクスタン)のいる5名が40秒差で追う構図で進行した。
この頃から雨脚は強くなり、濡れた路面でアンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)が落車する。今大会積極的な走りが光ったピッコロに骨折はなかったものの、第19ステージでリタイアという悔しいジロデビューとなった。
セッラ・ヴァルカルダの頂上を越え、スリッピーな下りに入った先頭集団では残り29km地点でアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)がアタックする。この虚を突く動きに反応できた選手はおらず、自身2度目のジロ勝利を目指すヴェンドラーメは10kmで40秒のリードを稼ぎ出す。そして最終2級山岳チーマ・サッパーダ(距離8.5km/平均4.7%)に入ると、後続との差は1分まで拡がった。
ヴェンドラーメにジリジリと差を拡げられる追走集団からはシュタインハウザーが飛び出し、単独追走を試みる。遅れてサンチェスが合流するものの、ヴェンドラーメは1分差を保つ順調なペースでチーマ・サッパーダを駆け上がる。そして淡々とハイペースで踏み続けたヴェンドラーメが、歓声に応えるガッツポーズを何度も繰り返しながらフィニッシュした。
今年2月のトロフェオ・ライグエーリアで2年連続の2位となり、4月のツール・ド・ロマンディでは2日連続で2位と「シルバーコレクター」と呼ばれていたヴェンドラーメ。しかし地元イタリア最大のステージレースであるジロで、その不名誉な肩書を払拭する区間優勝を成し遂げた。
「逃げに乗ることを目標としていた。このステージは開幕の時から狙っており、監督と数日間に渡り議論を重ねていた。少しクレイジーとも思われる下りでアタックし、”ジョーカー”と呼ばれるにふさわしい動きができた。チームカーから監督が励ましてくれ、また適切な情報提供によって僕を勝利へと導いてくれた」と、2021年に続く自身2度目のジロ勝利をヴェンドラーメはそう喜んだ。
区間2位にはシュタインハウザーを追い抜いたサンチェスが入っている。
エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)が総合ジャンプアップのためアタックしたプロトンでは、残り6km地点でアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の後輪に接触したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車した。素早くバイク交換をしたトーマスを総合勢は待ったため、上位陣は一人も遅れることなくトップから15分56秒遅れでフィニッシュしている。
「愚かなミスだったよ」とレース後に語ったトーマスは、左ひじから出血しながらも大きな怪我はなかった。
第107回ジロ・デ・イタリアも残すところあと3日。第19ステージはスタート地点であるモルテリアーノから約86kmは平坦路だが、そこから3つのカテゴリー山岳が登場し、そのため今大会最後の逃げ切りチャンスとなった。
最初に臨む2級山岳パッソ・ドゥロン(距離4.4km/平均9.7%)は序盤に最大勾配18%が登場する過酷な登り。続く3級山岳セッラ・ヴァルカルダ(距離5.4km)を越え、徐々に標高を上げながら最終2級山岳チーマ・サッパーダ(距離8.5km/平均4.7%)へ。そしてフィニッシュ地点はこの山頂ではなく6.2km進んだ先にある。
コース途中にマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)の故郷トルメッゾを通る157kmレースは、リタイア者が続出し4名で奮闘するヴィスマ・リースアバイクが積極的に動く。その結果エドアルド・アッフィニ(イタリア)とアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー)が入った10名の逃げ集団が形成されたものの、すぐさまメイン集団が引き戻し、一旦落ち着いたメイン集団から区間2勝目を狙うジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が飛び出した。
その動きには同じく今大会勝利しているジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)やペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター)が付き合い、5名の先頭集団を作る。しかしプロトンは落ち着くことはなく、リドル・トレックのヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)とエドワルト・トゥーンス(ベルギー)が入った4名が追いかけ、更にヤン・トラトニク(スロベニア、ヴィスマ・リースアバイク)を中心とする9名も合流を目指した。
そして残り距離が80kmを過ぎた地点でこの3つの集団は一つとなり、19名の逃げ集団が形成された。
メイン集団ではトラトニク・グループによる飛び出しの後に蓋がされ、UAEチームエミレーツがペースを落ち着ける。そのため逃げとプロトンの差は一気に5分まで拡がり、インテルジロ(残り56.6km地点)をマヌエーレ・トロッツィ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先頭通過する頃にその差は8分を超えた。
この日最初の山岳である2級パッソ・ドゥロン(距離4.4km/平均9.7%)の、最大勾配18%の区間に入るとアラフィリップが踏みを強め、この動きにナルバエスが追従。また第17ステージでプロ初勝利を飾ったゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)やサンチェスなども食らいつき、頂上地点で先頭は6名に絞られる。
この時点でプロトンは10分のリードを許し、連戦の疲れが蓄積した選手たちはそれに異を唱えなかったため、早くもこのステージの勝者は逃げグループに絞られた。
登坂距離5.4kmの3級山岳セッラ・ヴァルカルダに入った先頭の6名では、ここでもアラフィリップが鋭いアタックを見せる。しかしナルバエスらを引き離すには至らず、また今大会は胃腸炎に苦しめられているルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)は一度遅れながらも、意地の追走で先頭集団に復帰する。そのためレースは先頭6名を、登りで遅れたトラトニクやイタリア王者シモーネ・ヴェラスコ(アスタナ・カザクスタン)のいる5名が40秒差で追う構図で進行した。
この頃から雨脚は強くなり、濡れた路面でアンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)が落車する。今大会積極的な走りが光ったピッコロに骨折はなかったものの、第19ステージでリタイアという悔しいジロデビューとなった。
セッラ・ヴァルカルダの頂上を越え、スリッピーな下りに入った先頭集団では残り29km地点でアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)がアタックする。この虚を突く動きに反応できた選手はおらず、自身2度目のジロ勝利を目指すヴェンドラーメは10kmで40秒のリードを稼ぎ出す。そして最終2級山岳チーマ・サッパーダ(距離8.5km/平均4.7%)に入ると、後続との差は1分まで拡がった。
ヴェンドラーメにジリジリと差を拡げられる追走集団からはシュタインハウザーが飛び出し、単独追走を試みる。遅れてサンチェスが合流するものの、ヴェンドラーメは1分差を保つ順調なペースでチーマ・サッパーダを駆け上がる。そして淡々とハイペースで踏み続けたヴェンドラーメが、歓声に応えるガッツポーズを何度も繰り返しながらフィニッシュした。
今年2月のトロフェオ・ライグエーリアで2年連続の2位となり、4月のツール・ド・ロマンディでは2日連続で2位と「シルバーコレクター」と呼ばれていたヴェンドラーメ。しかし地元イタリア最大のステージレースであるジロで、その不名誉な肩書を払拭する区間優勝を成し遂げた。
「逃げに乗ることを目標としていた。このステージは開幕の時から狙っており、監督と数日間に渡り議論を重ねていた。少しクレイジーとも思われる下りでアタックし、”ジョーカー”と呼ばれるにふさわしい動きができた。チームカーから監督が励ましてくれ、また適切な情報提供によって僕を勝利へと導いてくれた」と、2021年に続く自身2度目のジロ勝利をヴェンドラーメはそう喜んだ。
区間2位にはシュタインハウザーを追い抜いたサンチェスが入っている。
エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)が総合ジャンプアップのためアタックしたプロトンでは、残り6km地点でアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の後輪に接触したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車した。素早くバイク交換をしたトーマスを総合勢は待ったため、上位陣は一人も遅れることなくトップから15分56秒遅れでフィニッシュしている。
「愚かなミスだったよ」とレース後に語ったトーマスは、左ひじから出血しながらも大きな怪我はなかった。
ジロ・デ・イタリア2024第19ステージ結果
1位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 3:51:05 |
2位 | ペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター) | +0:54 |
3位 | ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:07 |
4位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | +2:27 |
5位 | ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | |
6位 | シモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | +2:30 |
7位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、ヴィスマ・リースアバイク) | |
8位 | ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
9位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) | +2:32 |
10位 | クインテン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +3:52 |
21位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +15:56 |
23位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
32位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 71:24:03 |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +7:42 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +8:04 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +9:47 |
5位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +10:29 |
6位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +11:10 |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +12:42 |
8位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +13:33 |
9位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +13:52 |
10位 | ヤン・ヒルト(チェコ、スーダル・クイックステップ) | +14:44 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 327pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 200pts |
3位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 143pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 230pts |
2位 | ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 153pts |
3位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | 148pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 71:34:32 |
2位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:41 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +3:23 |
チーム総合成績
1位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | 214:45:20 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +19:13 |
3位 | UAEチームエミレーツ | +50:07 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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