「頂上付近にいた大観衆が力をくれた」と語ったのは、最難関ステージを制したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)。逃げから勝利を狙ったキンタナや、総合で大差をつけられたトーマスなどジロ15日目を終えた選手たちの言葉を紹介します。



区間優勝&マリアローザ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

キンタナを引き離し、大観衆のなかフィニッシュを目指すタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:RCS Sport

キャリア最高とは言わないまでも、今日はとても良いステージとなった。良い登りが設定されたステージでチームメイトたちは見事な走りを見せてくれた。昨年の12月頃からこのステージを意識していた。だからとても強い逃げ集団がいるなか展開をコントロールし、最後の15kmで全力を出した。

このクイーンステージを、そして僕がイタリアで好きな場所の一つであるリヴィーニョで勝つことができ、とても嬉しいよ。

ラファウ(マイカ)とフェリックス(グロスシャートナー)と風の状況などを話し合い、逃げにあまりリードを与えないようにしていた。その後ラファウがスイッチバックからすごい牽引を見せ、追い風もあった影響で彼のペースにつくライバルたちが苦しんでいたんだ。だから引き離せることを願いながらペースを上げた。

圧巻の登坂スピードで最終山岳を駆け上がったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

―最後に抜いたのは、君が子どもだった10年前にジロを制したキンタナだった。

その時はフルームとキンタナがアタック合戦を繰り広げていた。だがその当時、僕はキンタナに腹が立っていたんだ。だって(フルームに追従して)フィニッシュ手前でアタックしていたのだからね。

でも今日の彼が見せた走りは素晴らしかった。また3位に入ったシュタインハウザーも目を見張る走りだった。だから彼らの走りを称えたい。

区間2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

シュタインハウザーを抜き、レース先頭に立ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos

勝利こそ掴めなかったものの、僕らはチームとして戦った。ここに戻ってきて勝利を狙うことは、今後戦い続ける力をくれる。応援してくれた全ての人に感謝したい。

区間6位&総合2位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

総合のリードを拡げられたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:RCS Sport

序盤はチームから逃げに選手を送ることができた。UAEがプロトンを牽引していたので、ステージ優勝を狙っていることは明らかだった。彼らの走りには脱帽だよ。(ポガチャルが)アタックした瞬間、僕の状態は100%ではなく、またステージを通して調子が良くなかったので自信もなかった。

だから他の選手に追わせて、それを利用して追いかけられればと思ったんだ。その後は追いかけっこが始まった。しばらくすると脚の状態が好転し、ダニー(マルティネス)と共に他の総合勢からタイムを奪うことができた。

彼は違ったレベル、違った世界で戦っている。でも僕自身のベストは尽くしたよ。もちろん彼と一緒に行けたらよかったが、たとえできたとしても途中で脚が終わっていただろう。だから保守的なペースで登ったんだ。

ポガチャルの最終アシストを務めたラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)

山岳で最終アシストを担ったラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

向かい風だったが、それが追い風に変わったのでペースを上げた。タデイの勝利が嬉しいし、またチームの皆は完璧な走りを見せた。ポガチャルのような選手がいれば、逃げとのタイム差をコントロールするのは簡単なこと。

明日の休息日を楽しみ、第3週目に厳しいステージは2つだけだ。(総合リードは大幅に拡がったが)僕らはさらなる勝利を求めていく。

UAEチームエミレーツ監督のヨクサン・フェルナンデス氏

序盤からプロトンのペースを握ったUAEチームエミレーツ photo:CorVos

タデイはこれまでグランツールを2度総合優勝し、25歳で経験も豊富な選手。日を重ねるほど強くなり、キャパシティも拡げっていく一方だ。

―ポガチャルは今朝、緊張しているように見えたか。

全く見られなかった。

―このステージに向けて立てた作戦は?

最初に設定された2つ登りまで2人のスプリンターが牽引し、その後はミッケル(ビョーグ)が牽引を担当する。3名で残り61km地点の谷まで進み、ドメン(ノヴァク)とフェリックス(グロスシャートナー)、そして最後にラファウ(マイカ)が牽引する予定だった。今日は手札と計画が完璧にハマったよ。そして(最後から2つ目の)フォスカーニョでは追い風となる事がわかっていたので、集団の人数を絞る作戦だった。そしてマイカと会話してペースを上げ、最後にタデイがアタックしたんだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:RCS Sport

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