「選手人生で最も激しい展開から掴んだ勝利」と、集団スプリントを制したティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)は語った。2位のミランや最後の丘でアタックしたポガチャル、追従したトーマスなどジロ第3ステージを選手のコメントで振り返ります。



区間優勝&マリアチクラミーノ ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

勝利と共にマリアチクラミーノを得たティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo: Soudal Quick-Step

僕の選手人生で最も激しい展開から掴んだ勝利だ。ラスト1kmで彼ら(ポガチャルとトーマス)を捉えたが、仲間を見失いスリップストリームを使うことができなかった。だからそこからは風を受けながら走り、その状態から残り300mでスプリントが始まった。ミランが左側から1、2番目にスプリントを開始するのが見え、(そんな状況のなかでも)本当に勝つことができて嬉しいよ。

勝因は最後の登りを良いペースでクリアできたことにある。その時僕の側にいてくれたマウリ・ファンセヴェナントやジュリアン・アラフィリップ)、ルーク・ランパーティ、ベルト(ファンレルベルへ)のおかげだ。彼らに感謝したい。

―レース中盤で形成された先頭集団のままフィニッシュできると思ったか。

その中には僕とルークが入った。25名ほどの集団に僕ら2人だけという状況は不利だったので、集団のローテーションを阻害しよう試みた。結果的にそれは正しい判断となった。

昨日、表彰台に上がるポガチャルを見て羨ましく思っていたんだ。だから今日、自分が表彰台に立つことができて本当に嬉しいよ。

区間2位 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)

ハンドル投げで惜しくも敗れたジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

今日は勝利に迫ることができて満足している。明日もまたスプリントのチャンスがあるので狙っていきたい。調子が良いからね。

最後の丘でポガチャルのアタックを見た時は、緊張感が走ったよ。最初は少しの距離だったものの、最終ストレートで姿を見た時はずいぶん遠くに感じた。だけど彼らを捉え、チームワークから良いスプリントができた。

マリアローザ&マリアアッズーラ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

フィニッシュ手前の丘で、ホノレのアタックに追従したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

最初の2時間はリラックスした時が流れ、小さい丘でスプリンターたちが加速した。その後追走集団も分裂したため、3つのグループが誕生した。そして集団が一つになり、最後の丘でホノレのアタックについていったんだ。

そしたら後続と差が生まれ、そこにトーマスも乗ってきた。だからそのまま先頭に立ち続けたんだ。(スプリンターの位置取り争いで)混沌とする集団にいるよりも、先頭にいる方が安全だと思ったからね。

―勝利の可能性があると思っていたのか?

それほど高くないと思っていた。今日のレイアウト的に、僕の勝利はないと考えていたからね。そして残り400mでつかまることになったけど、(スプリンターに対し)それはフィニッシュまで長い距離と言える。だが、トーマスとホノレ、そして僕は良い攻撃ができたと思うよ。良い脚のストレッチになったしね(笑)。

ポガチャルのアタックに追従したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

ポガチャルと共にフィニッシュするゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:INEOS Grenadiers

最後の丘は差を生むような登りではないが、(ライバルを)苦しめることはできると思い(チームとして)ペースを上げた。(ポガチャルのアタックに)反応したのは本能に従っただけ。

―反応ができた唯一の選手だという事実は自信に繋がるか?

そうとも言えるし、単純に反応できた位置にいたのが僕だけだったとも言える。とてもきつかったけどね。

レース後、SNSにてポガチャルへメッセージを綴るトーマス

楽しかったのは分かったが、明日は静かな一日にしないか?#最近の若者は

最後の登りでアタックしたミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)

ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

僕らのチームにはスプリンターや総合上位を狙う選手がいないので、ステージ優勝を掴みに行く動きがしたかった。今日のようなパンチ力を要するステージは好きだし、3年前の大会でも似たようなレイアウトのステージがあった。タデイ(ポガチャル)に食らいつくには脚の力が足りなかったが、良いトライだったと思う。

サイクルコンピュータを見ていなかったが、800~900Wは出ていたと思う。だから目を閉じ、歯を食いしばるように踏み続けたんだ。

レースが大好きな子どものような走りをするから、皆彼(ポガチャル)のことが好きなんだろうね。彼のようなチャンピオンと共に走ることできて嬉しかったし、彼のペースは凄まじかった。

text:Sotaro.Arakawa

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