2024/05/07(火) - 08:11
フィニッシュ手前の丘でマリアローザのポガチャルが飛び出したジロ・デ・イタリア第3ステージ。勝負は集団スプリントの末、ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がミランらを退け勝利した。
第107回ジロ・デ・イタリアは大会3日目にしてようやくスプリンターに出番が回ってきた。ノヴァーラからフォッサーノまでの166kmは、4級山岳が一つ設定されただけの平坦路。しかしフィニッシュ手前4.5kmから距離約1.5km/平均5.3%の丘が、集団スプリントのアクセントとなった。
アクチュアルスタート直後からアタックが勃発した前日から一転、この日は誰も逃げを目指すことのない静かな序盤となった。第2ステージの落車のより膝を負傷し、未出走だったエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)を除く174名は互いに言葉を交わしながら一つの集団で走行。そして唯一のカテゴリー山岳である4級ル(Lu)を前に、マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を狙うリリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ)が飛び出した。
今年4月のラ・フレーシュ・ワロンヌとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで逃げ、初日でも逃げを打ったカルメジャーヌにはダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ・カザクスタン)が追従する。そしてカルメジャーヌが狙い通り山岳を先頭通過(最大3ポイントを獲得)し、すぐにプロトンへと戻ったためバッレリーニが単独先頭に立った。
しかしバッレリーニもその後、ペダルを踏み込むことなくプロトンに吸収される。そして時折雨が落ちるなか、残り87.2km地点に設定された中間スプリントでスプリントバトルの前哨戦が勃発。早めにスプリントを開始したカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)をジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)がライン直前で抜き、最大の12ポイントを得た。
その直後に紫色のマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着たフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)がアタックし、それを追いかけたスプリンターを含む24名の先頭集団が形成される。この中にはミランやメルリール、オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)などこの日の優勝候補たちが揃い、メイン集団と1分差をつけた。
一方のプロトンは、この動きを逃したポルティ・コメタやモビスターが先導する。そして先頭集団はインテルジロに突入。ここでもミランが先頭通過(12ポイント獲得)し、残り60kmを切った辺りでメイン集団は分裂する。総合上位を目指す選手とチームにとって移動日(楽なステージ)となるはずが、ここからレースはタイムを失いかねない慌ただしい展開に持ち込まれた。
マリアローザを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がプロトン(第2集団)に残る一方で、総合3位のキアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)やルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)などが遅れる。そのためヴィスマのティム・ファンダイケ(オランダ)とアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー)の懸命な追走によってプロトンをキャッチ。またスピードが緩んだ先頭集団もプロトンに吸収されたため、残り43km地点で選手たちはひと塊の集団に戻った。
その後、集団は序盤と同じスローペースでレースは進行する。そして中間ポイントはなくボーナスタイムのみが与えられる残り22.1km地点では、ポガチャルが飛び出す。それをトーマスに代わって阻止しようとベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が追従。36歳のベテランによる試みは成功し、ポガチャルは2位通過(-2秒)、トーマスは3位通過(-1秒)となった。
そしてプロトンはイネオスが先導する形で、フィニッシュ手前4.5kmから始まる距離約1.5km/平均5.3%の丘に突入する。スプリンターたちがこのハイペースに必死に食らいつくなか、頂上の手前でミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出した。
このアタックには3番手につけていたポガチャルが反応し、当然トーマスも追従する。ポガチャルが先頭固定で作るハイペースにホノレが遅れ、集団スプリントが濃厚と見られたステージで総合優勝候補の2人が先頭に立った。
後続ではスプリントを目指すバーレーン・ヴィクトリアスやポルティ・コメタ、スーダル・クイックステップが猛追する。一方、ポガチャルに先頭交代を求められたトーマスはそれを固辞。そのため先頭2人のペースは上がらず、アルベルト・ダイネーゼのリードアウトを務めるマッテオ・トレンティン(共にイタリア、チューダー・プロサイクリング)がポガチャルらを捉え、トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)の踏み込みにより集団スプリントが幕開けた。
アンドレースンと背後につくダイネーゼのスピードが伸び悩むなか、その右からメルリール、左からミランが追い抜く。更にメルリールとフェンスの狭い間からビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)も踏み込み、3者(メルリール、ミラン、ギルマイ)によるハンドル投げをメルリールが制した。
「僕の選手人生で最も厳しい展開からの勝利となった。最終盤でリードアウトを見失ったため、常に風に晒されながらのスプリントとなった。しかしその後背後につくべき選手を見つけ、自信のある僕の脚とスペシャライズドのバイクのおかげで勝つことができた」とメルリールはコメント。これが自身2度目となるジロの勝利かつ、スーダルにとって大会通算30勝目となった。
一方、最後の丘でアタックしたポガチャルは「ホノレがアタックし、それに反応したらトーマスもついてきた。(スプリント前の)混沌としてプロトンにいるよりも、レース先頭を走った方が安全だという考えだった」とコメント。また「勝利の可能性は低いと思いながら走っていたし、脚のいいストレッチになったよ(笑)」と答えた。
第107回ジロ・デ・イタリアは大会3日目にしてようやくスプリンターに出番が回ってきた。ノヴァーラからフォッサーノまでの166kmは、4級山岳が一つ設定されただけの平坦路。しかしフィニッシュ手前4.5kmから距離約1.5km/平均5.3%の丘が、集団スプリントのアクセントとなった。
アクチュアルスタート直後からアタックが勃発した前日から一転、この日は誰も逃げを目指すことのない静かな序盤となった。第2ステージの落車のより膝を負傷し、未出走だったエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)を除く174名は互いに言葉を交わしながら一つの集団で走行。そして唯一のカテゴリー山岳である4級ル(Lu)を前に、マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を狙うリリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ)が飛び出した。
今年4月のラ・フレーシュ・ワロンヌとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで逃げ、初日でも逃げを打ったカルメジャーヌにはダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ・カザクスタン)が追従する。そしてカルメジャーヌが狙い通り山岳を先頭通過(最大3ポイントを獲得)し、すぐにプロトンへと戻ったためバッレリーニが単独先頭に立った。
しかしバッレリーニもその後、ペダルを踏み込むことなくプロトンに吸収される。そして時折雨が落ちるなか、残り87.2km地点に設定された中間スプリントでスプリントバトルの前哨戦が勃発。早めにスプリントを開始したカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)をジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)がライン直前で抜き、最大の12ポイントを得た。
その直後に紫色のマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着たフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)がアタックし、それを追いかけたスプリンターを含む24名の先頭集団が形成される。この中にはミランやメルリール、オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)などこの日の優勝候補たちが揃い、メイン集団と1分差をつけた。
一方のプロトンは、この動きを逃したポルティ・コメタやモビスターが先導する。そして先頭集団はインテルジロに突入。ここでもミランが先頭通過(12ポイント獲得)し、残り60kmを切った辺りでメイン集団は分裂する。総合上位を目指す選手とチームにとって移動日(楽なステージ)となるはずが、ここからレースはタイムを失いかねない慌ただしい展開に持ち込まれた。
マリアローザを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がプロトン(第2集団)に残る一方で、総合3位のキアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)やルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)などが遅れる。そのためヴィスマのティム・ファンダイケ(オランダ)とアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー)の懸命な追走によってプロトンをキャッチ。またスピードが緩んだ先頭集団もプロトンに吸収されたため、残り43km地点で選手たちはひと塊の集団に戻った。
その後、集団は序盤と同じスローペースでレースは進行する。そして中間ポイントはなくボーナスタイムのみが与えられる残り22.1km地点では、ポガチャルが飛び出す。それをトーマスに代わって阻止しようとベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が追従。36歳のベテランによる試みは成功し、ポガチャルは2位通過(-2秒)、トーマスは3位通過(-1秒)となった。
そしてプロトンはイネオスが先導する形で、フィニッシュ手前4.5kmから始まる距離約1.5km/平均5.3%の丘に突入する。スプリンターたちがこのハイペースに必死に食らいつくなか、頂上の手前でミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出した。
このアタックには3番手につけていたポガチャルが反応し、当然トーマスも追従する。ポガチャルが先頭固定で作るハイペースにホノレが遅れ、集団スプリントが濃厚と見られたステージで総合優勝候補の2人が先頭に立った。
後続ではスプリントを目指すバーレーン・ヴィクトリアスやポルティ・コメタ、スーダル・クイックステップが猛追する。一方、ポガチャルに先頭交代を求められたトーマスはそれを固辞。そのため先頭2人のペースは上がらず、アルベルト・ダイネーゼのリードアウトを務めるマッテオ・トレンティン(共にイタリア、チューダー・プロサイクリング)がポガチャルらを捉え、トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)の踏み込みにより集団スプリントが幕開けた。
アンドレースンと背後につくダイネーゼのスピードが伸び悩むなか、その右からメルリール、左からミランが追い抜く。更にメルリールとフェンスの狭い間からビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)も踏み込み、3者(メルリール、ミラン、ギルマイ)によるハンドル投げをメルリールが制した。
「僕の選手人生で最も厳しい展開からの勝利となった。最終盤でリードアウトを見失ったため、常に風に晒されながらのスプリントとなった。しかしその後背後につくべき選手を見つけ、自信のある僕の脚とスペシャライズドのバイクのおかげで勝つことができた」とメルリールはコメント。これが自身2度目となるジロの勝利かつ、スーダルにとって大会通算30勝目となった。
一方、最後の丘でアタックしたポガチャルは「ホノレがアタックし、それに反応したらトーマスもついてきた。(スプリント前の)混沌としてプロトンにいるよりも、レース先頭を走った方が安全だという考えだった」とコメント。また「勝利の可能性は低いと思いながら走っていたし、脚のいいストレッチになったよ(笑)」と答えた。
ジロ・デ・イタリア2024第3ステージ結果
1位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 3:54:35 |
2位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | |
3位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
4位 | イエンセ・ビールマンス(ベルギー、アルケアB&Bホテルズ) | |
5位 | トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | |
6位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
7位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | |
8位 | スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス) | |
9位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター) | |
10位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チューダー・プロサイクリング) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 11:03:02 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:46 |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:47 |
4位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +0:56 |
5位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | |
6位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | +1:07 |
7位 | フアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック) | +1:11 |
8位 | ヤン・ヒルト(チェコ、スーダル・クイックステップ) | +1:13 |
9位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザクスタン、アスタナ・カザクスタン) | +1:26 |
10位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 63pts |
2位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 63pts |
3位 | フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | 42pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 51pts |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | 26pts |
3位 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ) | 23pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 11:03:58 |
2位 | アレックス・ボーダン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +0:44 |
3位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:48 |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 33:13:36 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +0:32 |
3位 | アスタナ・カザクスタン | +0:46 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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