栄光のピンクジャージをかけた3週間の戦いが、明日5月4日(日)に開幕。初出場で総合優勝を目指すのは、過去2度ツール・ド・フランスを制覇したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)。対するGトーマスやオコーナーなど、マリアローザ争いをプレビューする。



総合優勝者に渡されるトロフェオ・センツァフィーネ photo:RCS Sport

イタリア北西部にある第4の都市、トリノで開幕する第107回ジロ・デ・イタリア。その総合優勝者が最終到着地点で手にするのが、天に向かい螺旋するトロフェオ・センツァフィーネとピンクに彩られたマリアローザだ。

1931年大会より続く「バラ色ジャージ」はガゼッタ・デッロ・スポルト紙の色。そのジャージスポンサーは今年も元国営の電力会社であるエネル社が務める。

連日総合リーダーに与えられ、最終日にその獲得者が決まるマリアローザ photo:CorVos

マリアローザはツール・ド・フランスのマイヨジョーヌと同じく、各ステージの成績を積算し、そのタイムが最も少ない選手が翌日のステージで着用する。そして最終日を終えた時点でマリアローザを着ている選手がジロ・デ・イタリア総合優勝の栄冠に輝く。

また各ステージのフィニッシュにはボーナスタイムが設定されており、個人TTを除く各ステージの上位3名(1位-10秒、2位-6秒、3位-4秒)と、中間スプリントポイント上位3名(1位-3秒、2位-2秒、3位-1秒)に与えられる。そのためフィニッシュでの着順はもちろん、日々積み重ねる秒数が総合タイムに影響を及ぼすことになる。



大本命ポガチャルが自身初のマリアローザを目指す

初出場で総合優勝を狙うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

今年の断トツの総合優勝候補に挙げられるのは、大会初登場となるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だ。昨年の覇者プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)がボーラ・ハンスグローエ移籍と共にツールに狙いを変え、コロナ感染で途中棄権したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)も今年はツールに注力。そのためログリッチと同じくスロベニア出身のポガチャルがマリアローザ獲得を目指す。

ポガチャルは今年初戦となったストラーデビアンケで81kmの独走勝利を披露し、3月のボルタ・ア・カタルーニャは7戦4勝で総合優勝。そして高地トレーニング明けのリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでも34km独走を決め、これ以上ないコンディションでジロ開幕を迎える。唯一懸念点があるとすれば、選手層の厚いUAEにしては心許ないアシスト陣か。

対抗はチーム力で優るGトーマスとオコーナー

昨年は第20ステージでマリアローザを失ったゲラント・トーマス(イギリス) photo:CorVos

今大会でゼッケン1をつけるのは、昨年第19ステージまでマリアローザを着用したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)。今季はここまで一切勝利に絡んでいないものの、それはベテランらしいピーキングが上手く行っている証拠。またフィリッポ・ガンナ(イタリア)や昨年総合6位のテイメン・アレンスマン(オランダ)などチーム力ではUAEを上回る。

今季の成績で言えば、ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)を優勝候補の2番手に挙げる声も多い。ここまでUAEツアーとツール・ド・ジ・アルプスで総合2位に入る好調ぶりに加え、今季同じくコンディションの良いパレパントル兄弟(オレリアン&ヴァランタン)と共に高みを目指す。

ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) photo:CorVos

ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
10度目のリエージュ出場となったロマン・バルデ photo:CorVos


他には自身初の単独エースに臨むダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)やロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)に注目。また2022年ツール・ド・ラヴニールの覇者で21歳のキアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)の走りにも期待したい。

またジェイコ・アルウラーはエディ・ダンバー(アイルランド)とルーク・プラップ(オーストラリア)を揃え、バーレーン・ヴィクトリアスはダミアーノ・カルーゾ(イタリア)とアントニオ・ティベーリ(イタリア)が総合と区間優勝を狙う。

ちなみに2014年覇者であり、7年振りの出場となるナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は総合は狙わず、あくまでも区間優勝を目指すとコメントしている。
歴代マリアローザ獲得選手
2023年 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)
2022年 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)
2021年 エガン・ベルナル(コロンビア)
2020年 テイオ・ゲイガンハート(イギリス)
2019年 リチャル・カラパス(エクアドル )
2018年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2017年 トム・デュムラン(オランダ)
2016年 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)
2015年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2014年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2013年 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)
2012年 ライダー・ヘシェダル(カナダ)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2009年 デニス・メンショフ(ロシア)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2005年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2004年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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