レース序盤に横風分断が発生したラ・ブエルタ・フェメニーナ4日目。残り6km地点から独走に持ち込んだクリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール)が勝利し、マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)がマイヨロホ着用を叶えた。



前日に勝利を掴んだヴィスマ・リースアバイク photo:Unipublic

ラ・ブエルタ・フェメニーナ2024第4ステージ コースプロフィール image:Unipublic
マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)がプロ通算252勝を飾った翌日、ラ・ブエルタ・フェメニーナ(UCIワールドツアー)は第4ステージを迎えた。コースは標高約1,100mのモリナ・デ・アラゴンから緩やかに下りながら、北東のサラゴサに向かう142.3km。カテゴリー山岳が登場しないため、前日同様の集団スプリントが予想された。

この日はスタート直前にエレン・ファンダイク(オランダ、リドル・トレック)の棄権が発表された。ファンダイクは第1ステージのフィニッシュ直前に落車し、顎を縫う傷を抱えながら第2、3ステージに出場。しかし怪我の回復に専念するためレースを去り、残された131名の選手が14時にスタートを切った。

スタートして僅か27kmでエシュロンが発生する photo:Unipublic

強い風で知られる地域のため、SDワークス・プロタイムがコントロールする集団は序盤からハイスピードを維持する。そのため逃げを目指したいくつかのアタックは引き戻され、残り115kmで早くも横風による集団分裂(エシュロン)が発生。そのため時速46kmを超えるハイスピードで進むなか先頭では19名の集団で出来上がり、その中にSDワークスは総合リーダーのカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー)やエースのデミ・フォレリング(オランダ)を含む6名を入れることに成功した。

また前日勝者のマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)も入った先頭集団にはカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)の姿も。しかしエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)が入った一方で、ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック)やマビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ)ら総合優勝候補が遅れたため、リドルやリブ、モビスターが追走集団を先導する。

そのため最大2分弱まで拡がったタイムギャップを後続は40秒まで差を詰める。しかし各チームのエースたちはもちろん、牽引力のあるマーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム)らが作るペースによって先頭はリードを1分まで戻した。

先頭19名がローテーションを回しながらリードを維持した photo:Unipublic

順調にフィニッシュまでの距離を消化していく先頭集団では、残り51km地点でベテランのエレーナ・チェッキーニ(イタリア、SDワークス・プロタイム)がメカトラで脱落。時折雨が振り注ぐなか、前日より背中の痛みを訴えていたカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム)が一時遅れるシーンも。そして補給地点で単独落車のあったプロトンは、2分の差を最後までゼロに戻すことはできなかった。

そのため勝負は先頭の18名に絞られ、残り12.3km地点の中間スプリントをフォスが先着してポイント(と-6秒)を加算。2位はチームカーを巧みに利用して先頭集団に復帰したヴァシュが取り、ボーナスタイム-4秒を得ている。

残り5.8km地点の登りで飛び出し、単独先頭に立ったクリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) photo:CorVos

集団スプリントに持ち込まれると思われた残り7km地点でフォレリングが動き、その後の残り6km地点の短い丘ではクリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール)がアタックする。それを総合優勝を争うロンゴボルギーニとニエウィアドマ、フォレリング、ヴァシュが追走。しかしフォークナーは10秒差をキープし、ロンゴボルギーニら4名を捕らえた集団から逃げ続ける。

そして最後まで懸命に踏み続けたフォークナーが5.8kmの独走を成功させ、第4ステージの勝者に輝いた。

独走勝利を決めたクリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) photo:CorVos

2日目勝者のジャクソンと勝利を喜ぶクリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) photo:Unipublic

「幸運にも私とジャクソンが先頭集団に入ることができた。一時は後続と30秒差まで詰められたが、私達が力を使って再び引き離すことに成功した。最後のアタックは狙っていた。だからデミ(フォレリング)とロンゴボルギーニが動いた直後に、その背後から飛び出した。作戦と少しの運が勝利に繋がった」とフォークナーは語り、チームとして区間2勝目を喜んだ。

2位集団の先頭はジョージア・ベイカー(オーストラリア、リブ・アルウラー・ジェイコ)が獲り、3位だったフォスはボーナスタイム更に加算したため、ヴァシュを抜き総合首位に立っている。

勝利を掴んだクリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) photo:Unipublic

ボーナスタイムを加算し、総合首位に立ったマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:Unipublic

ラ・ブエルタ・フェメニーナ2024第4ステージ
1位 クリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) 3:02:37
2位 ジョージア・ベイカー(オーストラリア、リブ・アルウラー・ジェイコ) +0:10
3位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
4位 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム)
5位 シェイラ・グティエレス(スペイン、モビスター)
6位 マイケ・ファンデルダイン(オランダ、キャニオン・スラム)
7位 アリソン・ジャクソン(カナダ、EFエデュケーション・キャノンデール)
8位 シルケ・スムルデルス(オランダ、リブ・アルウラー・ジェイコ)
9位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
10位 マーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム)
13位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
15位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)
16位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)
個人総合成績
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 9:59:42
2位 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム) +0:05
3位 クリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) +0:09
4位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:14
5位 アリソン・ジャクソン(カナダ、EFエデュケーション・キャノンデール) +0:19
6位 リーアンヌ・マルクス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:20
7位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:21
8位 マーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム)
9位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム)
10位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) +0:28
その他の特別賞
ポイント賞 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム)
山岳賞 カーリーン・スウィンケルス(オランダ、UAEチームADQ)
ヤングライダー賞 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム)
チーム総合成績 SDワークス・プロタイム
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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