2010/07/23(金) - 15:46
トゥールマレー峠でのアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)とアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)の一騎打ちに沸いたツール・ド・フランス第17ステージ。有力選手たちを中心に、各選手のコメント。
アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ステージ優勝・総合2位
「今日はジャージを白色から黄色に変更したかった。残念ながらマイヨジョーヌ獲得は達成出来なかったけど、ステージ優勝には満足している。今日は本当に追い込んだ。リズムを変えたりアタックしたり、全力を出し尽くしたんだ。アルベルトがアタックした時も素早く反応出来た。上りでの力は対等だったと思う。でもアルベルトはゴールスプリントせず、ほとんど前を引き続けた自分に勝利を譲ってくれた。彼のその行為には敬意を表したい。彼が偉大なチャンピオンである証拠だ」
「今日はアルベルトがどんな状態なのかチェックしながら走った。ライバルがどんな調子でどんな強度で走っているのかを見極める必要がある。目を見れば大抵のことが分かるんだ。今日アルベルトはサングラスを外していたし、目を直接見ることが出来た。だから何度も振り返って確認したんだ。でもいつ見ても彼は調子が良さそうで、自信を失いそうになった」
「エル・ピストレロ(コンタドールの愛称)は手強かった。彼を脱落させることは不可能だった。振り返ると、いつも彼はそこにいた。彼が弱っている瞬間を突きたかったのに、一度も弱みを見せなかった。それどころかアタックして『ヘイ、若造、よく聞け、俺はここにいる。無駄な抵抗は止めろ』と言いたげだった。トゥールマレーの勝利はラルプ・デュエズでの勝利と同等。今年のクイーンステージで勝てて本当に嬉しいよ」
アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)ステージ2位・総合首位堅守
「トゥールマレーでは調子が良かった。アンディはずっとハイペースを保っていたけど、感触が良くて付いていくことに問題はなかった。2人は後ろの選手たちを引き離すことで一致していたんだ。今日は個人総合成績を考えて走ったので、ステージ優勝は二の次だった。これは大会制覇に向けて大きな一歩だ」
「これまでのような圧倒的な優位が影を潜めていると言われているけど、全てはレース展開に左右される。今年のツールは自らアタックする必要がなくて、コンサバティブに走るだけで良いのかも知れない。データを見る限り昨年と走りの強度は変わっていないし、3週間を通して調子が良いんだ」
「今日のキーワードはライバルたちからタイムを失わないこと。総合3位以下の選手を引き離すことが出来たけど、ツールではいつ何が起こるか分からない。ツールでは毎日新しいストーリーが生まれる。アンディが個人TTで良い走りを見せるかも知れないし、まだタイム差は小さい。TTにおいて最終走者は有利。ライバルたちのタイムをチェックしながら走ることが出来る」
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ステージ3位・総合7位
「自分の個人総合成績にとても満足している。今日は今年のツールで一番厳しいステージだった。休息日にしっかり休めたので、最後は自分のレースに持ち込めた。自分にとって初出場のツールなので、満足度も大きい。将来的にもっと上を狙えるかも知れない」
ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)ステージ4位・総合8位
「信じられない。休息日にまだ脚が残っていることを確認していたので、今日はそれを見せつけたいと思っていた。仕事をやり遂げることが出来たよ!」
「(アンディやコンタドールがアタックした時)他の選手たちは必死に前を追い始めたけど、僕は周りにいる選手たち(追走グループ)と一緒に走っていることで満足だった。グループの中で息をひそめ、ゴールが近づいてから全力で飛び出した。まだまだ自分は強くなっている。満足のいく結果を残せそうだ」
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)ステージ10位・総合9位
「今日の結果は良好だ。今日はリズムを崩すことなく上りを走り、セレクションに残ることが出来た。今の総合成績をキープするためには土曜日の個人タイムトライアルで良い走りをしなければならない。今年のように厳しくて競技レベルの高いツールでの総合トップ10という結果は、決して悪くないよ」
クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)ステージ8位・総合10位
「個人総合成績について走りながらあまり考えていなかった。ステージ優勝や、他のチャンスが生まれないか考えていた。確かにアンディとコンタドールの走りはずば抜けていたけど、追走グループが彼らを捕まえるかも知れないと思っていた。周りにケースデパーニュの選手がいなかったので、チーム総合成績のリードを広げることが出来た。もう個人タイムトライアルでリスクを背負って走る必要が無くなったよ」
「今年は第1週から第3週までずっとチームの仕事に専念した。ランスが自分を必要としていれば彼に尽くし、リーヴァイが自分を必要としていれば彼に尽くしてきた。今日初めて自分の走りに徹して、ステージ上位に絡むことが出来たんだ。3週間を通しての走りに満足している」
アントニー・シャルトー(フランス、Bboxブイグテレコム)マイヨアポワキープ
「大成功。今日は自分のキャリアの中で最高の一日だ。自分に何が起こったのか理解出来ない。ロッテルダムをスタートした時点では、こんなこと想像出来なかった。難易度の高い山岳では、リラックスして、自分のキャパシティーを信じて走り続けた。そのおかげで今このジャージを手にすることが出来ている」
「チームはパーフェクトな走りを見せてくれた。今日の逃げグループには山岳賞争いにおける危険な選手は入っていなかった。とにかく落ち着いて走ったよ。トゥールマレーで集団のペースが速かったけど、クリストフ・モローが脱落したと聞いて、一気にプレッシャーが緩んだ。ラスト1kmは沿道からの歓声に身を任せながら独走を楽しんだよ」
ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)ステージ17位
「とにかくタフなステージだった。厳しいのはトゥールマレー峠だけじゃない。気象条件も悪かった。トゥールマレーの登り突入前からペースが速くて、コンタドールやシュレクがこの伝説的な上りで勝利を狙っているのが見て取れた。チームにとって重要なのは、出来るだけ前方でレースを展開して、チーム総合成績を守ること。チームはそれを達成したんだ」
「正直言うと、こんな苦しいエンデュランス系スポーツから離れたい。これからは楽しむためにバイクに乗り、そして走りたい。家族はもうパリに行ってしまったけど、(息子の)ルークは居残った。彼はチームの仕事を手伝っている。そして今日から彼がルームメイト。ツール期間中にルームメイトをもつなんてこれが初めてだ」
アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)ステージ49位
「今日はチームが機能した。自分は呼吸に問題が起こってしまって、アルベルトをしっかりサポート出来なかった。でもアルベルト『問題ない』と言っていたよ。ステージ2位だったけど、マイヨジョーヌをキープ。アルベルトは上手く立ち振る舞ったと思う。個人的には個人タイムトライアルに集中している。ステージ優勝を狙わない手はない」
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ステージ59位
「今日は自分のテンポで走り続けた。今年のツールは序盤の落車で野望が打ち砕かれてしまったけど、まだレースに残っている。諦めて家に帰るなんてことは考えていない」
イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)ステージ69位
「今日は苦しさとの闘いだった。でもどうしてもゴールに辿り着きたかった。コースの難易度と過酷な気象条件に苦しんだけど、ツールはあと数日で終わる。このレースのために費やした努力を無駄にしたくなくて、走り続けたんだ。今夜はゆっくり寝て、明日からの3ステージをトラブルなく走りたい」
カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)果敢に単独アタック
「今日はバイクに乗る楽しみを感じるための一日だった。挑戦したいと思っていた。チームメイト(コノヴァロヴァス)のサポートを受けることが出来て良かったよ。彼はレース開始直後から献身的に走ってくれた。挑戦したけど、先頭グループに追いつくほどの脚力がなかった。でも今日は勝利以上の何かを掴むことが出来た気がするよ」
トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)マイヨヴェールキープ
「自分にとって今日はそれほど厄介なステージではなかった。早い段階でグルペットに入って、そこからエネルギーを浪費しないように一定ペースで走り続けた。今日はスピードのある逃げグループが序盤に形成されてしまったので、スプリントポイントでポイントを稼ぐチャンスはなかった。トゥールマレーを上るエピックなステージだったけど、自分のポジションからは、先頭でどんなレースが展開されているのか分からなかった。ピレネーを終えて、力が更に増しているように感じる。今着ているこのマイヨヴェールを誰にも渡したくない。(第18ステージのゴール地点)ボルドーで集団スプリントに持ち込まれる可能性が高いので、注意して走らなければならない。マイヨヴェールを守る最高の方法はステージ優勝を飾ること」
選手コメントはレース公式サイトやチーム公式サイト、レキップ紙より。
text:Kei Tsuji
アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ステージ優勝・総合2位
「今日はジャージを白色から黄色に変更したかった。残念ながらマイヨジョーヌ獲得は達成出来なかったけど、ステージ優勝には満足している。今日は本当に追い込んだ。リズムを変えたりアタックしたり、全力を出し尽くしたんだ。アルベルトがアタックした時も素早く反応出来た。上りでの力は対等だったと思う。でもアルベルトはゴールスプリントせず、ほとんど前を引き続けた自分に勝利を譲ってくれた。彼のその行為には敬意を表したい。彼が偉大なチャンピオンである証拠だ」
「今日はアルベルトがどんな状態なのかチェックしながら走った。ライバルがどんな調子でどんな強度で走っているのかを見極める必要がある。目を見れば大抵のことが分かるんだ。今日アルベルトはサングラスを外していたし、目を直接見ることが出来た。だから何度も振り返って確認したんだ。でもいつ見ても彼は調子が良さそうで、自信を失いそうになった」
「エル・ピストレロ(コンタドールの愛称)は手強かった。彼を脱落させることは不可能だった。振り返ると、いつも彼はそこにいた。彼が弱っている瞬間を突きたかったのに、一度も弱みを見せなかった。それどころかアタックして『ヘイ、若造、よく聞け、俺はここにいる。無駄な抵抗は止めろ』と言いたげだった。トゥールマレーの勝利はラルプ・デュエズでの勝利と同等。今年のクイーンステージで勝てて本当に嬉しいよ」
アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)ステージ2位・総合首位堅守
「トゥールマレーでは調子が良かった。アンディはずっとハイペースを保っていたけど、感触が良くて付いていくことに問題はなかった。2人は後ろの選手たちを引き離すことで一致していたんだ。今日は個人総合成績を考えて走ったので、ステージ優勝は二の次だった。これは大会制覇に向けて大きな一歩だ」
「これまでのような圧倒的な優位が影を潜めていると言われているけど、全てはレース展開に左右される。今年のツールは自らアタックする必要がなくて、コンサバティブに走るだけで良いのかも知れない。データを見る限り昨年と走りの強度は変わっていないし、3週間を通して調子が良いんだ」
「今日のキーワードはライバルたちからタイムを失わないこと。総合3位以下の選手を引き離すことが出来たけど、ツールではいつ何が起こるか分からない。ツールでは毎日新しいストーリーが生まれる。アンディが個人TTで良い走りを見せるかも知れないし、まだタイム差は小さい。TTにおいて最終走者は有利。ライバルたちのタイムをチェックしながら走ることが出来る」
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ステージ3位・総合7位
「自分の個人総合成績にとても満足している。今日は今年のツールで一番厳しいステージだった。休息日にしっかり休めたので、最後は自分のレースに持ち込めた。自分にとって初出場のツールなので、満足度も大きい。将来的にもっと上を狙えるかも知れない」
ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)ステージ4位・総合8位
「信じられない。休息日にまだ脚が残っていることを確認していたので、今日はそれを見せつけたいと思っていた。仕事をやり遂げることが出来たよ!」
「(アンディやコンタドールがアタックした時)他の選手たちは必死に前を追い始めたけど、僕は周りにいる選手たち(追走グループ)と一緒に走っていることで満足だった。グループの中で息をひそめ、ゴールが近づいてから全力で飛び出した。まだまだ自分は強くなっている。満足のいく結果を残せそうだ」
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)ステージ10位・総合9位
「今日の結果は良好だ。今日はリズムを崩すことなく上りを走り、セレクションに残ることが出来た。今の総合成績をキープするためには土曜日の個人タイムトライアルで良い走りをしなければならない。今年のように厳しくて競技レベルの高いツールでの総合トップ10という結果は、決して悪くないよ」
クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)ステージ8位・総合10位
「個人総合成績について走りながらあまり考えていなかった。ステージ優勝や、他のチャンスが生まれないか考えていた。確かにアンディとコンタドールの走りはずば抜けていたけど、追走グループが彼らを捕まえるかも知れないと思っていた。周りにケースデパーニュの選手がいなかったので、チーム総合成績のリードを広げることが出来た。もう個人タイムトライアルでリスクを背負って走る必要が無くなったよ」
「今年は第1週から第3週までずっとチームの仕事に専念した。ランスが自分を必要としていれば彼に尽くし、リーヴァイが自分を必要としていれば彼に尽くしてきた。今日初めて自分の走りに徹して、ステージ上位に絡むことが出来たんだ。3週間を通しての走りに満足している」
アントニー・シャルトー(フランス、Bboxブイグテレコム)マイヨアポワキープ
「大成功。今日は自分のキャリアの中で最高の一日だ。自分に何が起こったのか理解出来ない。ロッテルダムをスタートした時点では、こんなこと想像出来なかった。難易度の高い山岳では、リラックスして、自分のキャパシティーを信じて走り続けた。そのおかげで今このジャージを手にすることが出来ている」
「チームはパーフェクトな走りを見せてくれた。今日の逃げグループには山岳賞争いにおける危険な選手は入っていなかった。とにかく落ち着いて走ったよ。トゥールマレーで集団のペースが速かったけど、クリストフ・モローが脱落したと聞いて、一気にプレッシャーが緩んだ。ラスト1kmは沿道からの歓声に身を任せながら独走を楽しんだよ」
ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)ステージ17位
「とにかくタフなステージだった。厳しいのはトゥールマレー峠だけじゃない。気象条件も悪かった。トゥールマレーの登り突入前からペースが速くて、コンタドールやシュレクがこの伝説的な上りで勝利を狙っているのが見て取れた。チームにとって重要なのは、出来るだけ前方でレースを展開して、チーム総合成績を守ること。チームはそれを達成したんだ」
「正直言うと、こんな苦しいエンデュランス系スポーツから離れたい。これからは楽しむためにバイクに乗り、そして走りたい。家族はもうパリに行ってしまったけど、(息子の)ルークは居残った。彼はチームの仕事を手伝っている。そして今日から彼がルームメイト。ツール期間中にルームメイトをもつなんてこれが初めてだ」
アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)ステージ49位
「今日はチームが機能した。自分は呼吸に問題が起こってしまって、アルベルトをしっかりサポート出来なかった。でもアルベルト『問題ない』と言っていたよ。ステージ2位だったけど、マイヨジョーヌをキープ。アルベルトは上手く立ち振る舞ったと思う。個人的には個人タイムトライアルに集中している。ステージ優勝を狙わない手はない」
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ステージ59位
「今日は自分のテンポで走り続けた。今年のツールは序盤の落車で野望が打ち砕かれてしまったけど、まだレースに残っている。諦めて家に帰るなんてことは考えていない」
イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)ステージ69位
「今日は苦しさとの闘いだった。でもどうしてもゴールに辿り着きたかった。コースの難易度と過酷な気象条件に苦しんだけど、ツールはあと数日で終わる。このレースのために費やした努力を無駄にしたくなくて、走り続けたんだ。今夜はゆっくり寝て、明日からの3ステージをトラブルなく走りたい」
カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)果敢に単独アタック
「今日はバイクに乗る楽しみを感じるための一日だった。挑戦したいと思っていた。チームメイト(コノヴァロヴァス)のサポートを受けることが出来て良かったよ。彼はレース開始直後から献身的に走ってくれた。挑戦したけど、先頭グループに追いつくほどの脚力がなかった。でも今日は勝利以上の何かを掴むことが出来た気がするよ」
トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)マイヨヴェールキープ
「自分にとって今日はそれほど厄介なステージではなかった。早い段階でグルペットに入って、そこからエネルギーを浪費しないように一定ペースで走り続けた。今日はスピードのある逃げグループが序盤に形成されてしまったので、スプリントポイントでポイントを稼ぐチャンスはなかった。トゥールマレーを上るエピックなステージだったけど、自分のポジションからは、先頭でどんなレースが展開されているのか分からなかった。ピレネーを終えて、力が更に増しているように感じる。今着ているこのマイヨヴェールを誰にも渡したくない。(第18ステージのゴール地点)ボルドーで集団スプリントに持ち込まれる可能性が高いので、注意して走らなければならない。マイヨヴェールを守る最高の方法はステージ優勝を飾ること」
選手コメントはレース公式サイトやチーム公式サイト、レキップ紙より。
text:Kei Tsuji
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