2024/02/21(水) - 12:43
Jプロツアー開幕を4日後に控えた2月20日、今年から活動を開始する新チーム「チームサイクラーズスネル」が東京都内で記者発表会を開いた。競技と仕事の両方でキャリアを積める「デュアルキャリア」を掲げるチームについて、チームの母体となるサイクラーズ株式会社の福田隆代表、監督の三瀧光誠氏、キャプテンの佐藤宇志・大志兄弟に話を聞いた。
2024年から活動を開始する新チーム「チームサイクラーズスネル」は、母体となるサイクラーズ株式会社のオフィスがある東京都内にて記者発表会を行った。チーム体制については昨年末にプレスリリースにて発表されているが、今回の発表会では新たに松本一成を加えた所属選手全7名とスタッフが揃い、チームオーナーのサイクラーズ株式会社福田隆代表も出席。チームジャージと使用機材もお披露目された。
「チームサイクラーズスネル」は、近年主流の地域密着型チームと異なり、企業を母体とするチーム。所属選手とスタッフはサイクラーズ株式会社やグループ企業の社員として所属し、仕事をしながら競技活動をする実業団形式で運営される。選手7名のうち5名(うち1名は4月入社)が社員として仕事をしながら競技活動をすることになる。
発表会の冒頭で挨拶した福田代表は、「目標に向けて年間の計画を立ててそれを実行していくというスポーツのやり方は仕事にも活かせると思うし、逆に仕事をスポーツに活かせる点もある。サイクラーズなりのプロスポーツのあり方があるのではないかと考え、このチームを設立した。競技と仕事で相乗効果を生み、選手達が成長してチームが高いパフォーマンスを発揮できると信じている」と、チーム設立の理念を語った。
発表会直前の2月18日に日本サイクルスポーツセンターで行われた東京都ウィンターロードレースに出場。三瀧光誠監督は週末に迫った鹿児島でのJプロツアー開幕戦に向けての手応えをつかめたと話す。
サイクラーズ株式会社 福田隆 代表取締役
「持続可能な方法としての実業団形式。広告効果よりも人」
2009年に宇都宮ブリッツェンが発足して以降、日本国内で新たに結成されるロードレースチームは地域密着型チームが主流となっている。そんな中で、「チームサイクラーズスネル」は実業団形式のチームとして誕生した。その理由について、サイクラーズの福田代表に聞いた。
「2010年に沖美穂さん(現JKA)を人づてに紹介していただいたことがきっかけで、JCF(日本自転車競技連盟)のオフィシャルスポンサーになり、今年で14年目になります。自転車以外にもバスケットボールのBリーグチームのスポンサーもやっていますが、スポーツのスポンサーは広告効果ではなく人だと思っています。
選手は年間の目標と計画を立ててそれを実行していくけれど、普通の人はなかなか出来ないことです。私自身、中学から大学までラグビーをやっていた経験があり、現役時代はこう考えていたなと思うこともありますから、スポーツでの考え方を仕事にも活かせたらかなりいけるのではないかと思っています。だから、もっとスポーツ選手に携わってもらうのが良いと考え、このチーム設立を決めました。
現在主流の地域密着型チームというのは実は難しくて、マイナースポーツな自転車競技を地域に売り込んでいくには大変な労力がかかります。収益を上げる方法がとても大変で難しく、それをみんなで成り立たせようと頑張るだけで疲れてしまう。それならちゃんとした戦力として働いてもらって給料をつけてあげた方が選手にとって気持ちが楽だろうし、運営する側も楽になりますよね。
ラグビーも実業団型じゃないと無理なんです。1チームの人数が多いのに試合数は少ないから、無理なく続けていくには実業団型が最適です。フランスのラグビーもプロと言いながら実業団型でやってますが、それは収益を上げるシステムが無いからなんです。自転車競技も似たところがあるから、その方が持続可能だと思います。
自転車に限らず、かつての実業団は仕事をしながら競技活動をすると言っても、企業の本体とは区別されていました。だから選手は仕事をしていなかったし、キャリアを積み上げることも出来ない状態でした。
我々の場合はどのようなレベルを目指すかによってプランを用意して、午前中仕事をして午後から練習することも出来れば、フルタイムで仕事をして定時以降に練習することも出来る。引退してホビーレーサーになりたいと言うなら、Jエリートツアーに登録するチームに入って走ることも出来る。それらは選手が選択できるようになっているので、以前の実業団のシステムよりも進んでいると考えています。
いずれはワールドツアーへ、とは言いましたが、それは遥か先の話。まずは1戦1戦をしっかり戦って、Jプロツアーの中で存在感を出すこと。一歩ずつ積み重ねていき、1勝挙げることが出来ればと思っています」
三瀧光誠監督
「このチームがモデルケースとなって新たな選択肢となるように」
かつてチームブリヂストン・アンカーの選手として活躍した三瀧監督。選手引退後は自転車業界で働いていたが、2023年7月にサイクラーズに入社し、チームの監督に就任した。仕事と競技を両立させる「究極のデュアルキャリアを目指すチーム」の監督に就任した動機やチームの方針を聞いた。
「競技をやってきて、最終的にいつか監督をやりたいという想いがありました。以前マヴィックで働いていたことがありましたが、マヴィックは引退した自転車選手の働き口として受け入れていくという方針があり、今も元選手が何人かいてキャリアと実績を作っています。僕はサービスセンターでサポートなどの業務をやっていましたが、いずれ引退した選手を部下に迎えて育てていこうと考えていました。今回声をかけてもらって改めてそういう想いが湧いてきて、1人でも多くの選手を導いていくことが出来ればと監督就任を決めました。
今回揃ったメンバーは一人一人は実力ある選手ですが、怪我や不調、環境的影響で力を発揮しきれなかった選手もいます。それでもやる気があって来てくれていて、かなり希望のある選手達だと思っています。平均年齢25歳と若い選手達ですが、若い力で風穴をあけて行けるようになって欲しいし、その可能性は十分あると思っています。
高校生や大学生の中には、卒業後に競技を続けるか辞めるかという選択を迫られている選手がいるだろうし、もっと続ければ伸びたはずだけれど辞めてしまった選手も多かったと思います。このチームがそうした選手の選択肢となり、自転車競技者の裾野を広げていくことが出来ればと考えています。
また、例えば僕と年齢が近い選手で、来年どうしようかと考えている選手に来てもらい、若い世代の底上げを担ってもらえるようになればとも思います。もちろんサイクラーズの社員になってもらう必要はあるけれど、そうした選手達の選択肢にもなれるといいですね。
半分仕事をしながら、という点は選手としてのプライドに関わるところもあるかもしれないけれど、チームのメンバーにはモデルケースとなれるように、ある意味レースの結果と同等がそれ以上に重要な役目になると思っています。
僕の選手時代を知っている方にはマヴィックでサポートしてる時から声をかけてもらうこともありましたが、これからはチームのファンとして応援してもらえると選手もスタッフもやる気が上がります。学生時代を過ごした鹿屋で開幕戦というのも何か縁を感じますね。その点は選手以上に意気込みを持っていますが、指導者として戻るというのは不思議な気持ちもあってワクワクしています。
まずはJプロツアーのチームランキング5位以内、経済産業大臣旗の獲得、全日本選手権優勝、この3つを大きな目標としていきます。私自身も仕事をしているので、競技も仕事も円滑に進めていくことも目標です。
将来的にはUCI登録してツアー・オブ・ジャパンに出場し、東京ステージで優勝してみたいですね。グループ会社の東港金属株式会社が東京ステージのコースに近い京浜島にあるので、社員総出で応援に来てもらった前でガッツポーズを決められたら一番カッコイイですね」
デュアルキャプテン 佐藤宇志・佐藤大志
「双子でDNAが一緒だから答え合わせ出来ることが強み」
チームサイクラーズスネルのキャプテンは、佐藤宇志・大志の兄弟2人が務める異例の体制。明星大学在学中の2020年には揃って那須ブラーゼンに加入。大学を卒業した2022年からは宇志がシマノレーシングに移籍した。別チームで活動して気づいたことがあるという。
ー久々に兄弟揃って同じチームになりましたが、いかがですか?
佐藤宇志「大学を卒業して別々のチームで走って、一緒に走れていたことですごく恩恵があったなと初めて気がつきました。昨年からまた兄弟で一緒に走りたいと思っていたところ、2人揃って声をかけてもらったのですごく嬉しいです。今年1月から千葉で働きながら生活していますが、湯浅(博貴)も一緒で3人で練習して、良いリズムが出来てきました」
佐藤大志「双子でDNAが一緒なので、体が一緒だから客観的意見を擦り合わせることが出来ます。競技の面では答え合わせをして軌道修正出来ることが2人の強みだなと思っているので、その点を改めて実感しましたね」
ー先日のウィンターロードではチームの手応えはいかがでしたか?
佐藤大志「アタックが決まって、展開に恵まれてチームで表彰台を独占出来ました。公式戦ではないのであまり喜べなかったけれど、調子の良さと手応えを感じることが出来ました。昨年までは若手だったのがいきなり最年長になったので、環境が変わったことに緊張しているのもあり、手探りな部分がたくさんあります。みんなアットホームな感じで友達のようにやっているので、今のところ不安はないですね」
佐藤宇志「兄弟そろって後輩に対して強く言えるタイプではないけれど、競技に対する想いとか取り組み方とか、「こういうふうにしていけば良いんだ」と思ってもらえる姿を見せるとか、背中で語れるようになりたいですね」
ー若い選手が揃いましたが、キャプテンとしてメンバーに期待することはありますか?
佐藤大志「僕自身まだ26歳なのでベテランではないけれど、ここからステップアップを目指す若手もいると思います。一人一人が自分が勝つという意識でガツガツと走って欲しいし、自分もそういう意識で今年はやろうと思っています」
佐藤宇志「若いチームなので集団内での位置取りは難しいと思うが、個人個人が実力があることをしっかり証明していかなければと思います」
ー今年目標とするレースは?
佐藤大志「僕は秘密です(笑)」
佐藤宇志「小柄な選手が多いから列車を組むようなことは難しいと思うので、スプリントステージになるようなコース以外では展開に乗って飛び出していくようにするのが成績を残しやすいかなと考えてます」
ーそれぞれ違うチームに所属して得た経験があると思いますが、キャプテンとしてどう活かしていきますか?
佐藤宇志「自分はシマノレーシングというすごい環境のチームにいたので、そこで良かった点は真似をしていきたいと思っているし、先輩方に色々教えてもらったことを若い子にも出来る範囲で教えていきたいと思ってます」
佐藤大志「僕はステージレースも走りましたが、まだプロレベルのレースも走ったことが無いメンバーもいるから、基礎的な部分はちゃんと伝えていきたいと思います」
ー開幕戦に向けての意気込みは?
佐藤大志「鹿児島のコースは走ったことが無いのですが、宇志からはスプリントになりやすいコースだと聞いています。僕らとしてはうまく抜け出して少人数の逃げをつくることでチャンスを掴める可能性があると思っています。スプリントしないような展開を作らねばならないですね」
佐藤宇志「初戦なので反省点も色々出ると思うけれど、しっかりみんなで問題解決して今後に活かせるようにしたいです。まずは前々で逃げを狙うような走りを出来たらなと思う。そこからチームプレーが出来るようにしていきたいです」
text:Satoru Kato
2024年から活動を開始する新チーム「チームサイクラーズスネル」は、母体となるサイクラーズ株式会社のオフィスがある東京都内にて記者発表会を行った。チーム体制については昨年末にプレスリリースにて発表されているが、今回の発表会では新たに松本一成を加えた所属選手全7名とスタッフが揃い、チームオーナーのサイクラーズ株式会社福田隆代表も出席。チームジャージと使用機材もお披露目された。
「チームサイクラーズスネル」は、近年主流の地域密着型チームと異なり、企業を母体とするチーム。所属選手とスタッフはサイクラーズ株式会社やグループ企業の社員として所属し、仕事をしながら競技活動をする実業団形式で運営される。選手7名のうち5名(うち1名は4月入社)が社員として仕事をしながら競技活動をすることになる。
発表会の冒頭で挨拶した福田代表は、「目標に向けて年間の計画を立ててそれを実行していくというスポーツのやり方は仕事にも活かせると思うし、逆に仕事をスポーツに活かせる点もある。サイクラーズなりのプロスポーツのあり方があるのではないかと考え、このチームを設立した。競技と仕事で相乗効果を生み、選手達が成長してチームが高いパフォーマンスを発揮できると信じている」と、チーム設立の理念を語った。
発表会直前の2月18日に日本サイクルスポーツセンターで行われた東京都ウィンターロードレースに出場。三瀧光誠監督は週末に迫った鹿児島でのJプロツアー開幕戦に向けての手応えをつかめたと話す。
サイクラーズ株式会社 福田隆 代表取締役
「持続可能な方法としての実業団形式。広告効果よりも人」
2009年に宇都宮ブリッツェンが発足して以降、日本国内で新たに結成されるロードレースチームは地域密着型チームが主流となっている。そんな中で、「チームサイクラーズスネル」は実業団形式のチームとして誕生した。その理由について、サイクラーズの福田代表に聞いた。
「2010年に沖美穂さん(現JKA)を人づてに紹介していただいたことがきっかけで、JCF(日本自転車競技連盟)のオフィシャルスポンサーになり、今年で14年目になります。自転車以外にもバスケットボールのBリーグチームのスポンサーもやっていますが、スポーツのスポンサーは広告効果ではなく人だと思っています。
選手は年間の目標と計画を立ててそれを実行していくけれど、普通の人はなかなか出来ないことです。私自身、中学から大学までラグビーをやっていた経験があり、現役時代はこう考えていたなと思うこともありますから、スポーツでの考え方を仕事にも活かせたらかなりいけるのではないかと思っています。だから、もっとスポーツ選手に携わってもらうのが良いと考え、このチーム設立を決めました。
現在主流の地域密着型チームというのは実は難しくて、マイナースポーツな自転車競技を地域に売り込んでいくには大変な労力がかかります。収益を上げる方法がとても大変で難しく、それをみんなで成り立たせようと頑張るだけで疲れてしまう。それならちゃんとした戦力として働いてもらって給料をつけてあげた方が選手にとって気持ちが楽だろうし、運営する側も楽になりますよね。
ラグビーも実業団型じゃないと無理なんです。1チームの人数が多いのに試合数は少ないから、無理なく続けていくには実業団型が最適です。フランスのラグビーもプロと言いながら実業団型でやってますが、それは収益を上げるシステムが無いからなんです。自転車競技も似たところがあるから、その方が持続可能だと思います。
自転車に限らず、かつての実業団は仕事をしながら競技活動をすると言っても、企業の本体とは区別されていました。だから選手は仕事をしていなかったし、キャリアを積み上げることも出来ない状態でした。
我々の場合はどのようなレベルを目指すかによってプランを用意して、午前中仕事をして午後から練習することも出来れば、フルタイムで仕事をして定時以降に練習することも出来る。引退してホビーレーサーになりたいと言うなら、Jエリートツアーに登録するチームに入って走ることも出来る。それらは選手が選択できるようになっているので、以前の実業団のシステムよりも進んでいると考えています。
いずれはワールドツアーへ、とは言いましたが、それは遥か先の話。まずは1戦1戦をしっかり戦って、Jプロツアーの中で存在感を出すこと。一歩ずつ積み重ねていき、1勝挙げることが出来ればと思っています」
三瀧光誠監督
「このチームがモデルケースとなって新たな選択肢となるように」
かつてチームブリヂストン・アンカーの選手として活躍した三瀧監督。選手引退後は自転車業界で働いていたが、2023年7月にサイクラーズに入社し、チームの監督に就任した。仕事と競技を両立させる「究極のデュアルキャリアを目指すチーム」の監督に就任した動機やチームの方針を聞いた。
「競技をやってきて、最終的にいつか監督をやりたいという想いがありました。以前マヴィックで働いていたことがありましたが、マヴィックは引退した自転車選手の働き口として受け入れていくという方針があり、今も元選手が何人かいてキャリアと実績を作っています。僕はサービスセンターでサポートなどの業務をやっていましたが、いずれ引退した選手を部下に迎えて育てていこうと考えていました。今回声をかけてもらって改めてそういう想いが湧いてきて、1人でも多くの選手を導いていくことが出来ればと監督就任を決めました。
今回揃ったメンバーは一人一人は実力ある選手ですが、怪我や不調、環境的影響で力を発揮しきれなかった選手もいます。それでもやる気があって来てくれていて、かなり希望のある選手達だと思っています。平均年齢25歳と若い選手達ですが、若い力で風穴をあけて行けるようになって欲しいし、その可能性は十分あると思っています。
高校生や大学生の中には、卒業後に競技を続けるか辞めるかという選択を迫られている選手がいるだろうし、もっと続ければ伸びたはずだけれど辞めてしまった選手も多かったと思います。このチームがそうした選手の選択肢となり、自転車競技者の裾野を広げていくことが出来ればと考えています。
また、例えば僕と年齢が近い選手で、来年どうしようかと考えている選手に来てもらい、若い世代の底上げを担ってもらえるようになればとも思います。もちろんサイクラーズの社員になってもらう必要はあるけれど、そうした選手達の選択肢にもなれるといいですね。
半分仕事をしながら、という点は選手としてのプライドに関わるところもあるかもしれないけれど、チームのメンバーにはモデルケースとなれるように、ある意味レースの結果と同等がそれ以上に重要な役目になると思っています。
僕の選手時代を知っている方にはマヴィックでサポートしてる時から声をかけてもらうこともありましたが、これからはチームのファンとして応援してもらえると選手もスタッフもやる気が上がります。学生時代を過ごした鹿屋で開幕戦というのも何か縁を感じますね。その点は選手以上に意気込みを持っていますが、指導者として戻るというのは不思議な気持ちもあってワクワクしています。
まずはJプロツアーのチームランキング5位以内、経済産業大臣旗の獲得、全日本選手権優勝、この3つを大きな目標としていきます。私自身も仕事をしているので、競技も仕事も円滑に進めていくことも目標です。
将来的にはUCI登録してツアー・オブ・ジャパンに出場し、東京ステージで優勝してみたいですね。グループ会社の東港金属株式会社が東京ステージのコースに近い京浜島にあるので、社員総出で応援に来てもらった前でガッツポーズを決められたら一番カッコイイですね」
デュアルキャプテン 佐藤宇志・佐藤大志
「双子でDNAが一緒だから答え合わせ出来ることが強み」
チームサイクラーズスネルのキャプテンは、佐藤宇志・大志の兄弟2人が務める異例の体制。明星大学在学中の2020年には揃って那須ブラーゼンに加入。大学を卒業した2022年からは宇志がシマノレーシングに移籍した。別チームで活動して気づいたことがあるという。
ー久々に兄弟揃って同じチームになりましたが、いかがですか?
佐藤宇志「大学を卒業して別々のチームで走って、一緒に走れていたことですごく恩恵があったなと初めて気がつきました。昨年からまた兄弟で一緒に走りたいと思っていたところ、2人揃って声をかけてもらったのですごく嬉しいです。今年1月から千葉で働きながら生活していますが、湯浅(博貴)も一緒で3人で練習して、良いリズムが出来てきました」
佐藤大志「双子でDNAが一緒なので、体が一緒だから客観的意見を擦り合わせることが出来ます。競技の面では答え合わせをして軌道修正出来ることが2人の強みだなと思っているので、その点を改めて実感しましたね」
ー先日のウィンターロードではチームの手応えはいかがでしたか?
佐藤大志「アタックが決まって、展開に恵まれてチームで表彰台を独占出来ました。公式戦ではないのであまり喜べなかったけれど、調子の良さと手応えを感じることが出来ました。昨年までは若手だったのがいきなり最年長になったので、環境が変わったことに緊張しているのもあり、手探りな部分がたくさんあります。みんなアットホームな感じで友達のようにやっているので、今のところ不安はないですね」
佐藤宇志「兄弟そろって後輩に対して強く言えるタイプではないけれど、競技に対する想いとか取り組み方とか、「こういうふうにしていけば良いんだ」と思ってもらえる姿を見せるとか、背中で語れるようになりたいですね」
ー若い選手が揃いましたが、キャプテンとしてメンバーに期待することはありますか?
佐藤大志「僕自身まだ26歳なのでベテランではないけれど、ここからステップアップを目指す若手もいると思います。一人一人が自分が勝つという意識でガツガツと走って欲しいし、自分もそういう意識で今年はやろうと思っています」
佐藤宇志「若いチームなので集団内での位置取りは難しいと思うが、個人個人が実力があることをしっかり証明していかなければと思います」
ー今年目標とするレースは?
佐藤大志「僕は秘密です(笑)」
佐藤宇志「小柄な選手が多いから列車を組むようなことは難しいと思うので、スプリントステージになるようなコース以外では展開に乗って飛び出していくようにするのが成績を残しやすいかなと考えてます」
ーそれぞれ違うチームに所属して得た経験があると思いますが、キャプテンとしてどう活かしていきますか?
佐藤宇志「自分はシマノレーシングというすごい環境のチームにいたので、そこで良かった点は真似をしていきたいと思っているし、先輩方に色々教えてもらったことを若い子にも出来る範囲で教えていきたいと思ってます」
佐藤大志「僕はステージレースも走りましたが、まだプロレベルのレースも走ったことが無いメンバーもいるから、基礎的な部分はちゃんと伝えていきたいと思います」
ー開幕戦に向けての意気込みは?
佐藤大志「鹿児島のコースは走ったことが無いのですが、宇志からはスプリントになりやすいコースだと聞いています。僕らとしてはうまく抜け出して少人数の逃げをつくることでチャンスを掴める可能性があると思っています。スプリントしないような展開を作らねばならないですね」
佐藤宇志「初戦なので反省点も色々出ると思うけれど、しっかりみんなで問題解決して今後に活かせるようにしたいです。まずは前々で逃げを狙うような走りを出来たらなと思う。そこからチームプレーが出来るようにしていきたいです」
text:Satoru Kato
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