S-WORKSよりも安くて、S-WORKSに近いモノが良い。そんな贅沢なニーズを満たすべく、スペシャライズドのロードシューズ「TORCH」のセカンド〜ボトムグレードとヘルメット「PROPERO」が次世代モデルへと生まれ変わった。最速インプレッションを交えて紹介する。



買いやすい値段だが妥協点はなし スペシャライズドの新型ミドルヘルメット&シューズ

スペシャライズドの新型ミドルヘルメット&シューズが登場。早速インプレッションを行った photo:So Isobe

TARMACやAETHOSといったバイク車体と同じく、スペシャライズドのラインアップにおいて高い評価と人気を集めているのが、ヘルメットや、サドル、シューズといったギア群。25年におよぶBody Geometryで培った経験を活かした各種製品はプロアマ問わず愛され、トップモデルの証である「S-WORKS」を冠した製品はモデルチェンジのたびに世のサイクリストの話題をさらってきた。

そんなスペシャライズドのロードシューズとヘルメットのミドルグレードモデルが、このたび一挙にブラッシュアップを遂げた。

シューズは「TORCH 3.0」と弟分である「TORCH 2.0」がS-WORKS同様の構造と純アジアンフィットを手に入れ、S-WORKSの血統を引くセカンドグレードヘルメットPROPEROは上級モデル「PREVAIL」と「EVADE」のイイとこどりをした「PROPERO 4.0」へとフルモデルチェンジ。しかも、TORCH 3.0は29,700円、TORCH 2.0は19,800円、PROPERO 4.0は19,800円という、今のご時世に嬉しいバリュープライスをひっさげる。トップモデルはもちろん、弟分モデルでも高い人気を誇るスペシャライズドだけに、その注目度はことさら高いと言えるだろう。



PROPERO 4.0:S-WORKSロゴが付いていてもおかしくない。一つ上のハイスペックヘルメット

スペシャライズド PROPERO 4.0 photo:So Isobe

スペシャライズドのヘルメットでおなじみの快適性や安全性はそのままに、大刷新を遂げたヘルメットがPROPERO 4.0だ。

数値流体力学やモーガンヒル本社にある自社風洞「Win Tunnel」を有効活用して大規模なテストを重ねたという第4世代は、そのフォルムからも確認できる通り、S-WORKS EVADE 3の空力性能とS-WORKS PREVAIL 3のベンチレーションを組み合わせたことが最大の特徴。高速巡航やヒルクライムまで、あらゆる場面で使えるオールラウンドヘルメットとして開発されたという。

S-WORKS EVADE 3の基本フォルムを盛り込むことでトータル4ワットの削減に成功。これはS-WORKS PREVAIL 3と比べた際に距離40kmの走行で15秒の短縮に繋がるもの。ベンチレーションに関してはPREVAIL 3の後部のデザインを取り入れ、2mmオフセットさせた微細な溝(マイクロチャネリング)によってヘルメット内側に乱流を作り出すことで、常に新鮮な空気を取り込む工夫が凝らされたという。

S-WORKS EVADE譲りのフォルムに様変わりを果たした photo:So Isobe

ベンチレーションシステムはPREVAILを参考にしたもの
EVADEの空力と、PREVAILのベンチレーションを組み合わせた新機軸ヘルメット



転倒時の安心を高めるMIPSテクノロジーは従来モデルから継続され、快適さが終始続くフィットシステムなどS-WORKS同様のシステムを多数投入。スペシャライズド曰く、「バージニアテック5つ星受賞の安全性をベースにヨーロッパの安全規格に適合させた」と、ヘルメットに求められる高い安全機能も有しているという。

「どんどん風が入ってくることが一番印象的でした。特に額のあたりに強く風が当たる印象がありますね。ぱっと見エアロヘルメットですが、その弱点である通気性の悪さを一切感じませんでした」と言うのはCWスタッフの高木。週末のトレーニングライドで250kmを走り、マイナス気温から10度までと幅広い気温の中で、新型のTORCH 3.0シューズと合わせてテストした印象だ。

「S-WORKSのロゴがついていても全くおかしくない」 photo:So Isobe

「もちろんPREVAILのような軽量モデルとは違いますが、ヘルメット内部に熱がこもりません。頭頂部後ろ側の薄いベンチレーションと後ろの4箇所からの風抜けをしっかりと感じます。シェルの下側が浅いデザインなので、そのぶん後頭部下側に熱がこもらずすごく涼しいんです。冬の強い北風の中を走っても頭がもっていかれることが少ないし、エアロ性能はしっかり感じました」。

「エアロヘルメットらしからぬ通気性の良さ。どんどん風が入り、通り抜けていく」 photo:So Isobe

唯一アイウェアを差し込みづらいことがネックだが、MIPSがついて、この性能で、この価格ならとても優秀なヘルメット、S-WORKSのロゴがついていても全くおかしくないと高木は言う。日本国内では全て日本人にフィットするラウンドフィットモデルが展開されるため、大部分のユーザーにマッチすることだろう。カラーはホワイトとブラック、そしてパールホワイトにレモンイエローを加えた「Hyper Dove Grey」の3種類が揃う。サイズはS、M、そしてLの3種類展開だ。



TORCH 3.0 & TORCH 2.0:本当のワイドフィットを達成した、価値あるロードシューズ

スペシャライズド TORCH 3.0 photo:So Isobe

今回モデルチェンジした上級ロードシューズが「TORCH 3.0」と弟分である「TORCH 2.0」だ。

S-WORKSに次ぐハイグレードであるTORCH 3.0は、一方向性カーボンを用いたプレートや、2つのBOA Li2ダイアル、縫い目をなくしたTPUとメッシュ素材のアッパーなど各種構造をS-WORKS TORCH同様に変更してモデルチェンジ。従来品はS-WORKS 7シューズを手本にしていたため、S-WORKSを後追いする形で世代交代を果たしている。

「S-WORKSに迫るパワー伝達性能を実現した」と言うカーボンソールのつま先と踵には大きめのラバーグリップを採用したこともポイント。カフェストップはもちろん、停車中や歩行時の安心感を増すための構造であり、これはS-WORKSと異なる実用的な変更点だ。

モデルチェンジによってアッパーを含む完全ワイドフィット化を達成 photo:So Isobe

3.0はBoa Li2 ダイアルを2つ装備。S-WORKSと異なり一気に開放可能だ
フルカーボンソールを採用する3.0。歩きやすいラバーグリップも嬉しい



TORCH 2.0は、エントリーグレードを卒業した次の一足を探すユーザーにベストマッチするロードシューズ。編み込みの軽量カーボンソールを使用し、3.0同様にカフェストップでの安心感を高める大きめのラバーグリップを採用する。クロージャーは3.0と異なりBoa Li2 ダイアル1個とベルクロを組み合わせたシステムを採用し、穴開け加工で快適性を高めた合皮製アッパーに組み込んでいる。

様々な点を改良したTORCH2モデルだが、最も注目すべきはそれぞれの従来モデルと異なり、アッパーとソールのどちらもが日本人にマッチするワイドフィットとなったことだ。

従来モデルは世界共通のソールにワイド化されたアッパーを組み合わせたものだったが、S-WORKSシューズが7からTORCHにモデルチェンジしたことを機にアッパーとソール両方がワイド化され、S-WORKS TORCHをベースにする2.0と3.0も後追いでアッパー&ソールのワイド化を達成。今まで以上に日本人に合う、本当のワイドフィット化を達成したのだ。

「カーボンソールとしては少し柔らかめの踏み味。ナイロンソールや同価格帯モデルからの履き替えにベスト」 photo:So Isobe

「今まで履いたスペシャライズドシューズで一番つま先が広い。包み込んでくれるようなフィット感」
「全開放できるBOAダイヤルは使い勝手が良い」



TORCH 3.0で250kmを走った高木も、ワイド化は実感した部分だった。そして、アッパーのフィット感の良さにも太鼓判を押す。「今まで履いたスペシャライズドシューズの中で一番つま先空間が広いですね。外反母趾の人にも合うと思うし、ライド後半で足がむくんできても対応してくれます。踵以外は全部一枚アッパーで縫い目がないから、局所的なストレスがなく、包み込んでくれるようなフィット感を味わえました。ベルクロがなくなったので、具体的に言うと、締め込んだ時に真ん中〜後ろ側でホールドする感じ。このアッパーの作りの良さはトップグレードに引けを取りません」。

「アウターソールはS-WORKSのようなハイエンドレースシューズと比べると柔らかく、ストレスの無いフィーリングです。硬いハイエンドシューズを履き続けてきた人には合わないかもしれませんが、ナイロンソールのシューズからステップアップするような人、同じ価格帯のシューズから履き替えを検討する人には良い選択肢になるはず」。

「BOAダイヤルもS-WORKSとは違って一気に全開放できますし、ラバーグリップも絶対的な安心感がありました。ノンストップでトレーニングに集中する人ってごく僅かですし、すごくユーザーフレンドリーな作りです。タンも柔らかく、デザインがシンプルなのも良い。硬いシューズを好む人以外、多くのユーザーに合うシューズだと思います」。

ギア類に定評あるスペシャライズドが放つ新型ミドルヘルメット&シューズ。注目すべきアイテムたちだ photo:So Isobe



スペシャライズド PROPERO 4.0
カラー:3色展開(White、Black、Hyper Dove Grey)
サイズ(重量):S(280g)、M(310g)、L(330g)
価格:19,800円 (税込)
製品詳細URL: https://www.specialized.com/jp/ja/propero-4/p/1000208618

スペシャライズド TORCH 3.0 Road Shoes
カラー:3色展開(Oak Green/Moss Green/Limestone、White、Black)
サイズ:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46
※Oak Green/Moss Green/Limestoneカラーのみ、37及び46サイズの展開はありません
価格:29,700円 (税込)
製品詳細URL: https://www.specialized.com/jp/ja/torch-30-road-shoes/p/1000135004?colo…

スペシャライズド TORCH 2.0 Road Shoes
カラー:3色展開(Deep Marine/Terra Cotta、White、Black)
サイズ:36、37、38、39、40、41、42、42.5(Blackのみ)、43、44、45
※Deep Marine/Terra Cottaカラーのみ、36及び37サイズの展開はありません
価格:19,800円 (税込)
製品詳細URL: https://www.specialized.com/jp/ja/torch-20-road-shoes/p/1000135009

text&photo:So Isobe

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