国内レースプレイバック前編は、2月から6月まで。Jプロツアー初開催の鹿児島での開幕戦から、ツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野の国内UCIレース連戦、ニセコクラシック、修善寺での全日本選手権までを振り返る。



2月・3月 鹿児島で開幕したJプロツアー JCLは3月に栃木県で開幕

Jプロツアー初開催となる鹿児島県鹿屋市・肝付町での開幕戦 photo:Satoru Kato

開幕戦は岡本隼が優勝 3位に草場啓吾が入って愛三工業レーシングチームが1-3フィニッシュ photo:Satoru Kato
第2戦の志布志クリテリウムも岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が優勝 photo:Satoru Kato


2023年の国内レースは、例年よりも早い2月に開幕した。鹿児島県で初開催となるJプロツアー、第1戦「鹿屋・肝付ロードレース」、第2戦「志布志クリテリウム」は、共に愛三工業レーシングチームの岡本隼が優勝。女子はシエルブルー鹿屋が地元レースで連勝を決めた。

明治神宮外苑の銀杏並木を駆け抜ける photo:Michinari TAKAGI

男子大学生グループ1は西村行生(慶応義塾大学)が優勝 photo:Michinari TAKAGI
女子は阿部花梨(順天堂大学)がゴールスプリントを制す photo:Michinari TAKAGI


一方、東京ではロードレース・カップ・シリーズ(RCS)最終戦となる「明治神宮外苑クリテリウム」が開催された。男子最上位カテゴリーとなるグループ1は、慶應義塾大学の西村行生が優勝。女子は阿部花梨が優勝した。

富士クリテリウムチャンピオンシップ 横塚浩平(VC FUKUOKA)が逃げ切り勝ち phoro:Satoru Kato

3月5日、静岡県富士市で2回目の開催となる「富士クリテリウムチャンピオンシップ」の決勝レースは、中盤に先行した11名の集団でのスプリント勝負となり、横塚浩平(VC福岡)が制して優勝。横塚にとっては2017年以来6年ぶりの勝利となった。

Jプロツアー第3戦・第4戦は静岡県袋井市のエコパスタジアムでのレース photo:Satoru Kato

今村駿介が第3戦、第4戦と2連勝を決めた photo:Satoru Kato

3月末、Jプロツアー第3戦・第4戦は、静岡県袋井市にあるエコパスタジアムを舞台に「袋井掛川ロードレース」が初開催された。冷たい雨にたたられたレースは、2日間共にチームブリヂストンサイクリングの今村駿介が優勝。この大会に出場しなかった岡本に代わってリーダージャージを獲得した。

JCL真岡芳賀ロードレース 独走勝利したカーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) photo:ヴィクトワール広島
JCL宇都宮清原クリテリウム 渡邊諒馬(VC FUKUOKA)が初優勝 photo:VC FUKUOKA/Itaru Mitsui


同日、栃木県では3年目を迎えたジャパンサイクルリーグ(JCL)が開幕。「真岡芳賀ロードレース」は、ヴィクトワール広島のカーター・ベトルス、「宇都宮清原クリテリウム」はVC福岡の渡邊諒馬が優勝した。



4月・5月 東西クラシック大会連続のJプロツアー 4年ぶりフルスペック開催のTOJ

兵庫県立播磨中央公園でのJプロツアー西日本ロードクラシック photo:Satoru Kato

急変した天候と混戦を制した岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)が初優勝 photo:Satoru Kato

4月後半、Jプロツアーは東西でレースグレードの高い大会が続いた。

4月16日、兵庫県立播磨中央公園で行われた「西日本ロードクラシック」は、急変する天候に合わせるかのようにレース展開も最終周回まで混戦となり、チームブリヂストンサイクリングの岡本勝哉が初優勝を挙げた。

春の群馬CSC 花が残った山桜の木の下を集団が行く photo:Satoru Kato

DAY1 150kmのレースを制した孫崎大樹(キナンレーシングチーム)はJプロツアー初優勝 photo:Satoru Kato
DAY2 入部正太朗と中井唯晶でシマノレーシング1-2フィニッシュ photo:Satoru Kato


翌週、群馬サイクルスポーツセンターで行われた「東日本ロードクラシック」は、6kmサーキット逆回りで行われた。2日間2連戦のレースは共に集団でのスプリント勝負に持ち込まれ、150kmのDAY1はキナンレーシングチームの孫崎大樹、60kmのDAY2はシマノレーシングの入部正太朗が制した。

全日本選手権トラック チームパーシュートで日本新記録を出したチームブリヂストンサイクリング photo:Satoru Kato

個人種目でも連日チームブリヂストンサイクリングが表彰台に登った photo:Satoru Kato
女子は梶原悠未が5冠達成 photo:Satoru Kato


5月、ゴールデンウィーク明けに開催された全日本選手権トラックは、年初からパリ五輪出場枠獲得に向けて海外大会を転戦してきたチームブリヂストンサイクリングが他を圧倒。4kmチームパーシュートでは3分52秒台の日本新記録をマークして優勝したのを手始めに、中距離種目全てを制覇して見せた。女子は梶原悠未(TEAM Yumi)が出場5種目全てで優勝して見せた。

初夏の日本を駆け抜けたツアー・オブ・ジャパン photo:Satoru Kato

個人総合連覇を決めたネイサン・アール(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato
ポイント賞を獲得したルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)2024年はクイックステップに加入する photo:Satoru Kato


4年ぶりのフルスペック開催となった「ツアー・オブ・ジャパン」。JCLチーム右京のネイサン・アールが前年大会に続き総合連覇を達成した一方で、飯田ステージで岡篤志(JCLチーム右京)、東京ステージで窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)と、日本人選手の活躍も目立った。また、ステージ3勝を挙げたルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)は、のちに2024年クイックステップ移籍が発表された。今後の活躍が期待される。



6月 天候に翻弄されたツール・ド・熊野 山本大喜の全日本選手権

ツール・ド・熊野を象徴する丸山千枚田を登る第1ステージ ©️TOUR de KUMANO

ツール・ド・熊野第1ステージは山本大喜(右)と岡篤志でJCLチーム右京1-2フィニッシュ photo:Satoru Kato
ツール・ド・熊野第2ステージは山本元喜とトマ・ルバでキナンレーシングチーム1-2フィニッシュ photo:Satoru Kato


ツアー・オブ・ジャパンがフルスペック開催を取り戻した一方で、「ツール・ド・熊野」は転機を迎えた。2日間2ステージのレースに変更された一方で、和歌山県古座川市でワンデーレース「古座川シティ・インターナショナルロードレース」が初開催されることが決まり、ツール・ド・熊野と連続して3日間のレースとされた。残念ながら古座川でのレースは悪天候により中止となり、ツール・ド・熊野初日もコースを短縮して行われた。

第1ステージで優勝し、リーダージャージを着た山本大喜(JCLチーム右京)だったが、第2ステージでは残り3kmで不運にもパンクに見舞われ、チームメイトの岡篤志が逆転で総合優勝する劇的展開となった。なお、2024年は古座川のレースがツール・ド・熊野の第1ステージとして行われ、3日間3ステージで行われる。

Jプロツアー第8戦 レース終盤を独走して優勝した金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) photo:Satoru Kato
Jプロツアー第9戦は濃霧のためレースキャンセル photo:Satoru Kato


6月11日、Jプロツアー第8戦となる「群馬CSCロードレース6月大会」は、金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)が優勝。全日本選手権を2週間後に控え、順調な仕上がりぶりを見せた。翌日の第9戦は、レース中盤から濃霧が発生したためキャンセルとなった。

羊蹄山がハッキリと姿を見せる快晴の下行われたニセコクラシック photo:Satoru Kato

150kmクラス全体のトップでフィニッシュする佐藤后嶺(石狩南高等学校) photo:Satoru Kato

6月18日、国内唯一のUCIグランフォンド「ニセコクラシック」は、4年ぶりに海外からの参加者も受け入れての開催となった。市民レーサーの国内トップクラスが集まる150kmクラスは、終盤に抜け出した佐藤后嶺(石狩南高等学校)が全体のトップでフィニッシュ。続く2位に牧野郁斗(YURIFitCycling Team)が入り、地元北海道勢が上位を占める結果となった。

午前11時 男子エリートのレースがスタート photo:Satoru Kato

2005年以来18年ぶりに日本サイクルスポーツセンターで開催された全日本選手権ロードレース。個人タイムトライアルは5kmサーキット逆回り、ロードレースは特設の8kmコースで行われた。

個人タイムトライアル優勝の小石祐馬(JCL TEAM UKYO) photo:Satoru Kato

単騎参戦の新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は最後まで勝利を目指したが photo:Satoru Kato

ガッツポーズと共にフィニッシュする山本大喜(JCL TEAM UKYO) photo:Satoru Kato

女子は與那嶺恵理(Human Powered Health)が力の差を見せつけて6度目の優勝 photo:Satoru Kato

注目の男子エリートは、個人タイムトライアルを小石祐馬、ロードレースを山本大喜が制し、JCLチーム右京が2冠を達成した。一方女子は、レース中盤から単独先行した與那嶺恵理(Human Powered Health)が逃げ切って6度目の優勝を決めた。

後編は7月から12月までをプレーバック。Jプロツアー後半戦、インターハイ&インカレ、シーズン終盤の国内UCIレースを振り返ります。


text:Satoru Kato

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