2023/12/29(金) - 10:14
スーパープレスティージュ第7戦は名物のナイトアーバンクロス。マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が誰も寄せ付けない圧倒的な力を見せつけた。
連戦に次ぐ連戦。年末年始の過密スケジュールの真っ只中を突き進むヨーロッパのシクロクロスサーキットは、12月26日(火)のUCIワールドカップ第10戦、そして27日(水)のスーパープレスティージュ第6戦に続くスーパープレスティージュ第7戦を迎えた。ベルギーの自転車中心地であるフランダース地方の街ディーゲム市内を駆け巡る、名物のナイトレースにトップレーサーたちが揃い踏みした。
市街地の舗装路と公園を繋いだコースは、絶えずコーナーが連続するインターバル風味強めの味付けだ。名物のキャンバーに、市街地の整った石畳、人工サンドセクション。コースは一部区間を除いてドライコンディションが保たれたため、各カテゴリー共に高速レースが展開されることとなった。
女子エリート:出遅れたアルバラードを尻目にピーテルスが独走
女子エリートレースはセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が連戦出場した一方、不参加のフェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と入れ替わるようにパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が出場。この日はスタートでホールショット職人のマリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス)がペダルキャッチをミスし、さらにコーナーでタイヤを滑らせストップ。その余波を受けたアルバラードが大きく遅れるという幕開けでレースが動き出した。
「このコースは5秒遅れただけで復帰するのが難しい。だから最初からフルガスで攻めた」と言うピーテルスが積極的に飛ばし、復帰に手間取るアルバラードを尻目に僅か5分ほどで独走態勢に持ち込む。たった一人のバニーホップの使い手であることも、このコースレイアウトでは大きな武器になった。
アルバラードはピーテルスとほぼ変わらないラップタイムを刻んで追い上げを試みたものの、強いピーテルスを相手に負ったビハインドはあまりにも大きかった。ファンの大声援をかき分けるように飛ばし続けたピーテルスが、2日前のW杯に続く勝利をウイリーで祝った。
「最後はファンに求められてウイリーしたけど、風が強くて上手くできなかった(笑)。次に顔を合わせるW杯でフェム(ファンエンペル)のライバルになれることを願っている。それが今の大きな目標」と21歳のオランダ女王は言う。2位に甘んじたアルバラードも調子自体は悪くなく「ひどいスタートだったけれど、それがレース。パックとほぼ同じスピードで走れたことは自信になる」とコメントを残している。3位は元U23世界女王のインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン)だった。
ファンデルプールが男子エリートレースを制圧
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が出走(前日勝者ワウト・ファンアールトは不参加)した男子エリートレースは現地時間20時45分のスタート。観客の盛り上がりが消費されるビールの数と共に最高潮に達する中、ファンデルプールとピドコックが共に好ダッシュを決めた。
中盤までこの2人を軸とした先頭パックが形成。数を揃えるバロワーズ・トレック・ライオンズ勢がペースアップを試みたものの、絶え間なく加減速が続くコースで決定的な動きには繋がらない。暫くライバルの様子を見ていたファンデルプールが動いたのは、レース時間が半分に達しようかというタイミングだった。
「風も強かったし、このコースでずっと独走するのは厳しすぎるんだ。だから意図的にペースを控えていたけれど、一番難しくて差がつくサンドセクションで仕掛けた。そこで抜け出せると分かっていたんだ」と言う世界王者が猛烈なプッシュで抜け出し、リードを拡大。ピドコックをはじめライバル勢はファンデルプールを見送ることしかできなかった。
ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が落車リタイア(のちにチームは打撲のみであることを発表)する中、圧倒的なペースで飛ばしたファンデルプールが勝利。2位ピドコックとは49秒、3位エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)とは53秒もの大差がついた。
相性の良いディーゲムで5度目の勝利を掴んだファンデルプールは「レースが続くタフなスケジュールだ。2日前のガーフェレは長いレースだったけど、今日は55分。短いレースだったので良かったよ」と余裕のコメントを残している。
本日12月29日(金)開催のエクザクトクロス(ローンハウト)にはビッグスリーのうちファンデルプールのみが出場し、2日後のW杯で再び3人が再戦を果たす予定。全日本王者の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)は両日ともに参戦予定だ。W杯はJ SPORTSでの生中継も行われる。日本からの声援を送りたい。
連戦に次ぐ連戦。年末年始の過密スケジュールの真っ只中を突き進むヨーロッパのシクロクロスサーキットは、12月26日(火)のUCIワールドカップ第10戦、そして27日(水)のスーパープレスティージュ第6戦に続くスーパープレスティージュ第7戦を迎えた。ベルギーの自転車中心地であるフランダース地方の街ディーゲム市内を駆け巡る、名物のナイトレースにトップレーサーたちが揃い踏みした。
市街地の舗装路と公園を繋いだコースは、絶えずコーナーが連続するインターバル風味強めの味付けだ。名物のキャンバーに、市街地の整った石畳、人工サンドセクション。コースは一部区間を除いてドライコンディションが保たれたため、各カテゴリー共に高速レースが展開されることとなった。
女子エリート:出遅れたアルバラードを尻目にピーテルスが独走
女子エリートレースはセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が連戦出場した一方、不参加のフェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と入れ替わるようにパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が出場。この日はスタートでホールショット職人のマリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス)がペダルキャッチをミスし、さらにコーナーでタイヤを滑らせストップ。その余波を受けたアルバラードが大きく遅れるという幕開けでレースが動き出した。
「このコースは5秒遅れただけで復帰するのが難しい。だから最初からフルガスで攻めた」と言うピーテルスが積極的に飛ばし、復帰に手間取るアルバラードを尻目に僅か5分ほどで独走態勢に持ち込む。たった一人のバニーホップの使い手であることも、このコースレイアウトでは大きな武器になった。
アルバラードはピーテルスとほぼ変わらないラップタイムを刻んで追い上げを試みたものの、強いピーテルスを相手に負ったビハインドはあまりにも大きかった。ファンの大声援をかき分けるように飛ばし続けたピーテルスが、2日前のW杯に続く勝利をウイリーで祝った。
「最後はファンに求められてウイリーしたけど、風が強くて上手くできなかった(笑)。次に顔を合わせるW杯でフェム(ファンエンペル)のライバルになれることを願っている。それが今の大きな目標」と21歳のオランダ女王は言う。2位に甘んじたアルバラードも調子自体は悪くなく「ひどいスタートだったけれど、それがレース。パックとほぼ同じスピードで走れたことは自信になる」とコメントを残している。3位は元U23世界女王のインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン)だった。
ファンデルプールが男子エリートレースを制圧
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が出走(前日勝者ワウト・ファンアールトは不参加)した男子エリートレースは現地時間20時45分のスタート。観客の盛り上がりが消費されるビールの数と共に最高潮に達する中、ファンデルプールとピドコックが共に好ダッシュを決めた。
中盤までこの2人を軸とした先頭パックが形成。数を揃えるバロワーズ・トレック・ライオンズ勢がペースアップを試みたものの、絶え間なく加減速が続くコースで決定的な動きには繋がらない。暫くライバルの様子を見ていたファンデルプールが動いたのは、レース時間が半分に達しようかというタイミングだった。
「風も強かったし、このコースでずっと独走するのは厳しすぎるんだ。だから意図的にペースを控えていたけれど、一番難しくて差がつくサンドセクションで仕掛けた。そこで抜け出せると分かっていたんだ」と言う世界王者が猛烈なプッシュで抜け出し、リードを拡大。ピドコックをはじめライバル勢はファンデルプールを見送ることしかできなかった。
ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が落車リタイア(のちにチームは打撲のみであることを発表)する中、圧倒的なペースで飛ばしたファンデルプールが勝利。2位ピドコックとは49秒、3位エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)とは53秒もの大差がついた。
相性の良いディーゲムで5度目の勝利を掴んだファンデルプールは「レースが続くタフなスケジュールだ。2日前のガーフェレは長いレースだったけど、今日は55分。短いレースだったので良かったよ」と余裕のコメントを残している。
本日12月29日(金)開催のエクザクトクロス(ローンハウト)にはビッグスリーのうちファンデルプールのみが出場し、2日後のW杯で再び3人が再戦を果たす予定。全日本王者の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)は両日ともに参戦予定だ。W杯はJ SPORTSでの生中継も行われる。日本からの声援を送りたい。
テレネット・スーパープレスティージュ2023-2024第7戦 女子エリート結果
1位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 47:06 |
2位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:06 |
3位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン) | +0:27 |
4位 | カータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス) | +0:34 |
5位 | サンヌ・カント(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +0:42 |
6位 | マリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス) | +0:50 |
7位 | ゾーイ・バックステッド(イギリス、キャニオン・スラム) | +1:06 |
8位 | サラ・カサソラ(イタリア、FASエアポートサービス・グエルチョッティ) | +1:09 |
9位 | アンマリー・ワースト(オランダ、シクロクロスレッズ) | +2:24 |
10位 | アニック・ファンアルフェン(オランダ、シクロクロスレッズ) | +2:52 |
テレネット・スーパープレスティージュ2023-2024 第7戦 男子エリート結果
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | 55:27 |
2位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:49 |
3位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:53 |
4位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:58 |
5位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:00 |
6位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:26 |
7位 | エミエル・フェルストリンゲ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +1:40 |
8位 | ランダー・ロックス(ベルギー) | +1:43 |
9位 | ワルド・ユイブス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:44 |
10位 | ミカエル・ボロシュ(チェコ) | +1:45 |
text:So.Isobe
Amazon.co.jp