2023/12/18(月) - 12:28
屈指の難易度を誇るナミュール要塞のアップダウンコース。トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が2度のメカトラブルを乗り越え今季CX2戦目で初勝利を収めている。
年末年始の過密スケジュールに向けてレース頻度を高めるヨーロッパシクロクロスシーン。X2Oトロフェー第3戦の翌日となる12月17日(日)にはUCIワールドカップ第8戦がベルギーのナミュール要塞を舞台に開催された。
高低差20mに及ぶスタート直後の激坂登りに始まり、轍が平行に刻まれた名物キャンバーや、何度も訪れる担ぎ上げ区間と急勾配ドロップオフなど、大きな起伏が繰り返されるヨーロッパ屈指の難コース。昨年ヨーロッパ選手権の舞台となったため、この場所がW杯に戻ってくるのは2年ぶりとなる。
女子エリート:ピーテルスとブラントを退け、アルバラードが今季W杯3勝目
女子エリートカテゴリーは前日勝者フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)こそ不在となったものの、W杯ランキング首位を走るセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)やパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)、好調ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が参戦。この日はアルバラードが終始圧倒的な走りを見せつけることとなる。
ブラントはスタートで出遅れ、ピーテルスはチェーン落ちのトラブルでポジションダウン。そんなライバル勢を尻目に「登りは全力で踏み、他の部分は徐々にペースを上げていく作戦で走った」というアルバラードが攻めのダウンヒルを披露しながら独走する。2番手パックで追走するブラントとピーテルスも、最終的にリーダーの背中を捉えることはできなかった。
アルバラードがランキングリードをさらに広げる今季W杯3勝目を達成した。肩と肩をぶつけ合う接戦のまま雪崩れ込んだ2位争いのスプリントはピーテルスが制し、アルバラードは3位。「満足しているし、こんなに上手く走れるとは思わなかった。レース前はすごく緊張していたけれど、チャンスを感じて攻めた結果。ナミュールで初めて勝つことができたので特別な思い出になった」とアルバラードは言葉を残している。
男子エリート:ピドコックが"予想外の勝利" 2度のトラブルから追い上げる
前日圧勝したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)こそ不出場だが、同じシーズンイン初戦で2位に入ったトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が参戦。群を抜いたテクニックとパンチ力を誇るMTB五輪覇者はパンクで20番手前後まで沈んだものの、各グループを飛び石のように伝い1周目終了時点で6位まで上げてみせる。ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)やマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)も同じく出遅れからの追い上げを強いられた。
ピドコックは2周目に先頭グループに追いついたものの、キャンバー区間の木の根でチェーンを落とすミスで再び遅れてしまう。チャンスとみたピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が単独逃げに持ち込んだものの、「OK、今日はまだチャンスがある、と自分に言い聞かせながら走っていた。でも決して簡単じゃない。限界を超えるとすぐに30秒を失うコースだったから」と振り返るピドコックが淡々と追い上げていく。全8周回中の6周目、レース時間が40分に達するタイミングでついにピドコックがロンハールに追いついた。
しばらくライバルの様子を確認していたピドコックがアタックしたのは7周目のことだった。登りを抜けた先の平坦区間で一気に先頭に立ち、追走を試みるロンハールを徐々に引き離していく。「暫く諦めずに追走していたけど、最終周回でもう無理だと分かった」と白旗を上げた元U23世界王者を振り切って、ピドコックが15秒リードでフィニッシュラインに飛び込んだ。
「満足いく結果になった。シクロクロスの練習は1回だけで、昨日は2位、そして今日優勝という結果に自分でも驚いてる。ここ最近何度かMTBに乗っていたからテクニック面は問題なかった。6週間に及ぶトレーニングセッションの結果が現れていると思う。僕のベースレベルは今非常に高いところにある」とピドコックは振り返っている。
来週にベルギーのアントワープで開催される第9戦にはピドコックとファンデルプール、そしてワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が揃い踏みする予定。大きな注目度を集めている。
年末年始の過密スケジュールに向けてレース頻度を高めるヨーロッパシクロクロスシーン。X2Oトロフェー第3戦の翌日となる12月17日(日)にはUCIワールドカップ第8戦がベルギーのナミュール要塞を舞台に開催された。
高低差20mに及ぶスタート直後の激坂登りに始まり、轍が平行に刻まれた名物キャンバーや、何度も訪れる担ぎ上げ区間と急勾配ドロップオフなど、大きな起伏が繰り返されるヨーロッパ屈指の難コース。昨年ヨーロッパ選手権の舞台となったため、この場所がW杯に戻ってくるのは2年ぶりとなる。
女子エリート:ピーテルスとブラントを退け、アルバラードが今季W杯3勝目
女子エリートカテゴリーは前日勝者フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)こそ不在となったものの、W杯ランキング首位を走るセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)やパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)、好調ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が参戦。この日はアルバラードが終始圧倒的な走りを見せつけることとなる。
ブラントはスタートで出遅れ、ピーテルスはチェーン落ちのトラブルでポジションダウン。そんなライバル勢を尻目に「登りは全力で踏み、他の部分は徐々にペースを上げていく作戦で走った」というアルバラードが攻めのダウンヒルを披露しながら独走する。2番手パックで追走するブラントとピーテルスも、最終的にリーダーの背中を捉えることはできなかった。
アルバラードがランキングリードをさらに広げる今季W杯3勝目を達成した。肩と肩をぶつけ合う接戦のまま雪崩れ込んだ2位争いのスプリントはピーテルスが制し、アルバラードは3位。「満足しているし、こんなに上手く走れるとは思わなかった。レース前はすごく緊張していたけれど、チャンスを感じて攻めた結果。ナミュールで初めて勝つことができたので特別な思い出になった」とアルバラードは言葉を残している。
男子エリート:ピドコックが"予想外の勝利" 2度のトラブルから追い上げる
前日圧勝したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)こそ不出場だが、同じシーズンイン初戦で2位に入ったトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が参戦。群を抜いたテクニックとパンチ力を誇るMTB五輪覇者はパンクで20番手前後まで沈んだものの、各グループを飛び石のように伝い1周目終了時点で6位まで上げてみせる。ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)やマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)も同じく出遅れからの追い上げを強いられた。
ピドコックは2周目に先頭グループに追いついたものの、キャンバー区間の木の根でチェーンを落とすミスで再び遅れてしまう。チャンスとみたピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が単独逃げに持ち込んだものの、「OK、今日はまだチャンスがある、と自分に言い聞かせながら走っていた。でも決して簡単じゃない。限界を超えるとすぐに30秒を失うコースだったから」と振り返るピドコックが淡々と追い上げていく。全8周回中の6周目、レース時間が40分に達するタイミングでついにピドコックがロンハールに追いついた。
しばらくライバルの様子を確認していたピドコックがアタックしたのは7周目のことだった。登りを抜けた先の平坦区間で一気に先頭に立ち、追走を試みるロンハールを徐々に引き離していく。「暫く諦めずに追走していたけど、最終周回でもう無理だと分かった」と白旗を上げた元U23世界王者を振り切って、ピドコックが15秒リードでフィニッシュラインに飛び込んだ。
「満足いく結果になった。シクロクロスの練習は1回だけで、昨日は2位、そして今日優勝という結果に自分でも驚いてる。ここ最近何度かMTBに乗っていたからテクニック面は問題なかった。6週間に及ぶトレーニングセッションの結果が現れていると思う。僕のベースレベルは今非常に高いところにある」とピドコックは振り返っている。
来週にベルギーのアントワープで開催される第9戦にはピドコックとファンデルプール、そしてワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が揃い踏みする予定。大きな注目度を集めている。
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第8戦 女子エリート結果
1位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | 51:57 |
2位 | パック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)+0:17 | |
3位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:29 |
4位 | サラ・カサソラ(イタリア、FASエアポートサービス・グエルチョッティ) | +2:15 |
5位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン) | +2:29 |
6位 | マリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス) | +2:38 |
7位 | アンマリー・ワースト(オランダ、シクロクロスレッズ) | +2:46 |
8位 | レオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +3:01 |
9位 | ラウラ・フェルドンショット(ベルギー) | +3:25 |
10位 | エレーヌ・クラウツェル(フランス、ASバイクレーシング) | +3:26 |
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第8戦 男子エリート結果
1位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 59:45 |
2位 | ピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:15 |
3位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:33 |
4位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:52 |
5位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:02 |
6位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:08 |
7位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:30 |
8位 | トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +1:38 |
9位 | ワイツ・メーウセン(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +1:44 |
10位 | ライアン・カンプ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:58 |
text:So.Isobe
Amazon.co.jp