重馬場のパワー勝負となったUCIシクロクロスワールドカップ第3ラウンド。セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が男女エリートレースを制している。



コースコンディションは泥。担ぎ区間も多く出来上がった photo:CorVos

長い階段区間もコースに含まれる photo:CorVos
観戦のお供はフリッツ photo:CorVos



前日の激マッドレースから一夜明け、各チームは同じベルギーのオースト=フランデレン州にあるデンデルモンデへと移動する。郊外の牧草地帯でUCIシクロクロスワールドカップ第3ラウンドを迎えた。

緩やかなアップダウンと平坦区間を組み合わせたコースはやはり泥コンディションだが、W杯ランキングリーダーのラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)曰く「昨日よりも条件は良いけどタフであることには変わらない」。ほぼ全周を覆った柔らかい泥で、馬力を問うパワーレースが繰り広げられた。



女子エリート:好調アルバラードが独走、W杯ランキングリーダーに浮上

スタートと共に飛び出したルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos

1周目、セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)がブラントを置き去りに photo:CorVos

フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)とパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)不在の女子エリートレースだが、肩の怪我からのリハビリでシーズンインが遅れていたルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が遂に復帰。スタートと同時にその元世界女王がダッシュを決めた。

勢いよく先行するブラントを追ったのはセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)で、すぐに「スタートは良かったけれどリズムに乗れなかった」と言うブラントを置き去りにする。得意の勝ちパターンに持ち込んだアルバラードは、55分に及ぶレースの大部分を独走してフィニッシュに飛び込んだ。

力強い走りで優勝したセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
笑顔で2位フィニッシュするルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos


W杯リーダージャージに袖を通したセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

前日のスーパープレスティージュに続く2日連続勝利を挙げたアルバラードは「同じ週末に2勝するのは2年ぶり。こんな気分でレースを走れるのは久々だし、今すごく身体が仕上がっている」と言う。出場しなかったファンエンペルに変わりW杯ランキングリーダーにも浮上することとなった。



男子エリート:22歳ロンハールが初のW杯エリート優勝

ライアン・カンプ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)がホールショットを決める photo:CorVos

スタートダッシュ中の接触によって欧州選手権2位のキャメロン・メイソン(イギリス、シクロクロスレッズ)は前輪破損。そんな混乱を尻目に、バイク交換無し作戦で先頭に立ったのはトーン・ファンデボッシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン)だった。

24歳のファンデボッシュが積極的にリードする後ろは団子状態に。前日不調で26位に終わったティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が出場を取りやめる中、ファンデボッシュにはチームメイトのローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン)とピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が追いついてくる。前日勝者エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)はこの日先頭争いに加わることができなかった。

ロンハールはクレラン勢2人に対して力強い走りを披露した。「チーム監督に3,4周は我慢して走ることが大切だと言われていたんだ」と振り返る元U23世界王者は、全7周回中の4周目にアタックして2人を置き去りにする。序盤から力を使ったファンデボッシュは遅れ、スウェークにはファンデルハールが追いついてくる。こうしてロンハールの独走態勢が確立されていった。

泥コースで独走するピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos
脱臼を思わせない走りを披露したラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos


W杯エリートで初勝利を挙げたピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos

22歳のロンハールが自身初となるW杯エリートカテゴリー優勝をマーク。「すごく意味のある勝利だ。コッペンベルグでは5分も差をつけられて負けていたんだから。欧州選手権前には3日間メンタルを整えたら良いレースができた。今日も監督の意見を聞いて、ポジティブに走ることができたんだ」と優勝インタビューで喜んでいる。

前日の肩脱臼を思わせない走りを披露したファンデルハールが2位に入り、3位は「まだ今季初勝利は遠いように思う」と言うスウェーク。最後尾から追い上げ続けたメイソンは1分遅れの11位までポジションを戻してフィニッシュしている。バロワーズ勢にとっては、開幕戦のネイス、第2戦のファンデルハールに続く3タテ。リーダージャージはファンデルハールが維持している。

UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第3戦 男子エリート表彰台 photo:CorVos
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第3戦 女子エリート結果
1位 セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) 55:45
2位 ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +0:37
3位 ゾーイ・バックステッド(イギリス、キャニオン・スラム) +1:35
4位 マリオン・ノーブルリブロール(ベルギー、クレラン・コレンドン) +2:01
5位 マノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン) +2:11
6位 クリスティナ・ゼマノヴァ(チェコ、ブライオンレーシングチームMB) +2:22
7位 アニック・ファンアルフェン(オランダ、シクロクロスレッズ) +2:27
8位 ラウラ・フェルドンショット(ベルギー) +2:43
9位 サンヌ・カント(ベルギー、クレラン・コレンドン) +2:47
10位 アリシア・フランク(ベルギー) +2:57
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第3戦 男子エリート結果
1位 ピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 56:04
2位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +0:16
3位 ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン) +0:27
4位 エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:33
5位 ヘルベン・クイペルス(ベルギー、サーカス・レウス・テックノルド) +0:40
6位 ケヴィン・クーン(スイス、サーカス・レウス・テックノルド) +0:42
7位 イェンス・アダムス(ベルギー) +0:45
8位 ヨラン・ウィズール(ベルギー、クレラン・コレンドン) +0:48
9位 トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン) +0:54
10位 ライアン・カンプ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:56
text:So.Isobe

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