積極的な戦力補強でストーブリーグの中心となっているリドル・トレックが、今年で現役を退くミヒャエル・シェアー(スイス、AG2Rシトロエン)の監督就任を発表した。シェアーは「自転車競技の向こう側を見ることが楽しみだ」と語っている。



リドル・トレックのスポーツディレクター就任が発表されたミヒャエル・シェアー(スイス) photo:Lidl - Trek

2011年から21年までツール・ド・フランスに11大会連続出場を果たしたミヒャエル・シェアー(AG2Rシトロエン)は、スイス出身の37歳。プロデビューした2006年から18年に及んだ現役生活において、奇しくも今年引退したグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)とは2011年のBMCレーシングからCCC、そしてAG2Rシトロエンと13年に渡りチームメイトとして走った。

今夏に現役引退を発表し、ツール・ド・ロマンディとツール・ド・スイスで母国ファンに最後の走りを披露したシェアー。今年はグランツール出場はなかったものの、198cmの長身を活かした走りでストラーデビアンケやパリ〜ルーベなど主要クラシックを完走。ファンアーヴェルマートと共に現役最終レースとなったパリ〜トゥールではレース前に選手たちが作る花道を通り、祝福を受けた。

そしてシェアーが次なるキャリアに選んだのが監督(スポーツディレクター)業だった。「18年に渡りワールドツアーを走り、違う側面からレースに携わる良い時だと思った。これが僕にとって新しい章の始まりだ」とシェアー。また現役時代に所属したことのないリドル・トレック加入のついては「(リドル・トレックのGMである)ルカ・グエルチレーナから電話がかかってきたんだ。彼は昔、スイスナショナルチームのコーチをしており、五輪や世界選手権を共に戦った仲」と説明する。

現役最後のツール・ド・スイスで逃げたミヒャエル・シェアー(スイス、AG2Rシトロエン) photo:CorVos

子ども用の自転車に乗り、花道を進むミヒャエル・シェアー(スイス、AG2Rシトロエン) photo:CorVos
10月のパリ〜トゥールでファンアーヴェルマートと共に現役最終レースを走った photo:CorVos


今年6月にセガフレードがタイトルスポンサーから撤退し、スーパーマーケットチェーンを展開するリドル社がついたことでチーム予算が大幅に増額されたと言われているリドル・トレック。そのため元ジロ・デ・イタリア覇者のテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)や、今年のジロでマリアチクラミーノ(ポイント賞)に輝いたジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)を獲得。またスーダル・クイックステップからは"トラクター"ティム・デクレルク(ベルギー)と、今年躍進した若手クライマーのアンドレア・バジオーリ(イタリア)を加えるなど、今季ストーブリーグで主役級の補強を行っている。

すでにアメリカで行われたチームのトレーニング合宿に参加したと語るシェアー。「このチームの哲学が気に入り、またチームビルディングも素晴らしかった」と言葉を締めくくっている。

text:Sotaro.Arakawa

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