2023/10/31(火) - 17:30
パリ五輪出場枠を賭けたアジアMTB選手権。日本勢は男女ジュニアで金メダルを獲得したものの、エリートカテゴリーでは中国勢に敗れ表彰台ならず。パリ五輪出場を叶えることができなかった。
第28回アジアMTB選手権、第14回アジアジュニアMTB選手権の舞台となったのは、インド南部・ケララ州の州都であるティルバナンタプーラム。熱帯雨林の山肌を削った赤土コースで、アジアチャンピオンの座、UCIポイント、そして五輪出場枠を賭けたアジア諸国の戦いが繰り広げられた。
開催国枠とIOC(国際オリンピック委員会)の三者委員会が決定する「ユニバーサリティ枠」を含め、パリ五輪の出場枠は男女ともに36ずつ。各国の最大枠は男女2ずつ(東京2020の3枠から1枠減)であり、このアジア選手権の男女エリートレースで優勝した選手の国は自動的に1枠を獲ることができる。
オリンピック予選期間中に獲得したポイントの合計順に1位から8位の国が2枠、9位から19位の国が1枠を与えられるものの、ここで日本はランキング外。そのためこのレースで勝つことが最後の出場枠獲得のチャンスとなったものの、インドの高温多湿な環境の中、男女とも出場最大人数である6名を送り込んだ中国勢に挑むという苦しい戦いを強いられることとなった。
女子エリートレースに参戦したのは小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)と川口うらら(TEAM TATSUNO)の2名。川口はスタートダッシュを決めたものの、序盤の登坂区間で中国勢の後塵を拝した。ジャパンMTBカップを2位で終えた小林も優勝争いに絡めず、結果的に小林6位、川口7位。中国は1位〜5位までを独占する形になった。
小林は「悔しいです。本当に悔しいです。でも、今ある120%を出し切っての結果です。今シーズンは本当にたくさんのことを学び、経験しました。辛いこと、苦しいこと、楽しいこと。全て乗り越えて、このアジア選手権のスタートラインに立てたのは、支えてくださるスポンサー、チーム、友達、そして家族のおかげです。ありがとうございます。2024パリ五輪出場の夢は叶いませんが、ここからが勝負だと思っています。この悔しさを忘れず、3年後は五輪の切符を掴みに行きます。そして、もっと強くなるために前を向いて戦い続けます。本当にたくさんの応援ありがとうございました。」とSNSにコメント。川口も「中国に全く及ばず、このままじゃだめだと強く感じたレースでした」と悔しさを語っている。
昨年覇者の北林力(Athlete Farm SPECIALIZED)と、先のアジア大会で3位に入った沢田時(宇都宮ブリッツェン)、全日本王者の平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)、そして宮津旭(PAXPROJECT)という4名で臨んだ男子エリートレースだったが、結果的には北林の5位が最高位。序盤こそ全員が先頭に立ち、北林がリードしていたものの、人数を揃えて追いかける中国に歯止めをかけることはできなかった。
結果的に、中国は1〜4位までを独占。北林が中国以外の国での最上位となった。
フィニッシュ後に沈痛な表情をみせ、8位の沢田と言葉を交わした北林はSNSに「パリオリンピックに出たい気持ちは1番だと思って4年間過ごしてきてレースも全力で走れましたが、一番大事なこの特殊なレースで勝つ為の気持ちと準備が中国よりも絞って出来ていなかったのが、今回の結果に出たと思います。パリオリンピック出場は叶わずでしたが、今回は負けをはっきり認めて必ず来年のアジア選手権でやり返します!」と綴った。
この結果をもって、日本男子勢はMTBがオリンピックの正式種目となったアトランタ大会からの連続出場記録が途絶える事態に。参加枠自体がリオまで59枠、東京38枠、そして今年は34枠と年々減少し、世界各国の出場争いが熾烈を極める中、今回のアジア選手権では最大人数を送り込んだ中国の強さが際立つ結果となった。今こそ国を上げた強化体制の必要性が問われることとなるだろう。
また、男子U23レースを選択した副島達海(大阪産業大学)は3位銅メダル、女子U23の石田唯(TRKWorks/早稲田大学)は前日試走での落車で脳震盪の可能性を懸念してDNS。男子ジュニアの高橋翔(TeensMAP/東京都立多摩高等学校)は独走で2年連続のアジア王者となり、嶋崎亮我(FUKAYA RACING/日本大学第二高等学校)も3位銅メダル。女子ジュニアの日吉愛華(LimitedTeam846まるいち/岐阜第一高等学校)も優勝しチャンピオンジャージを獲得している。
text:So Isobe
第28回アジアMTB選手権、第14回アジアジュニアMTB選手権の舞台となったのは、インド南部・ケララ州の州都であるティルバナンタプーラム。熱帯雨林の山肌を削った赤土コースで、アジアチャンピオンの座、UCIポイント、そして五輪出場枠を賭けたアジア諸国の戦いが繰り広げられた。
開催国枠とIOC(国際オリンピック委員会)の三者委員会が決定する「ユニバーサリティ枠」を含め、パリ五輪の出場枠は男女ともに36ずつ。各国の最大枠は男女2ずつ(東京2020の3枠から1枠減)であり、このアジア選手権の男女エリートレースで優勝した選手の国は自動的に1枠を獲ることができる。
オリンピック予選期間中に獲得したポイントの合計順に1位から8位の国が2枠、9位から19位の国が1枠を与えられるものの、ここで日本はランキング外。そのためこのレースで勝つことが最後の出場枠獲得のチャンスとなったものの、インドの高温多湿な環境の中、男女とも出場最大人数である6名を送り込んだ中国勢に挑むという苦しい戦いを強いられることとなった。
女子エリートレースに参戦したのは小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)と川口うらら(TEAM TATSUNO)の2名。川口はスタートダッシュを決めたものの、序盤の登坂区間で中国勢の後塵を拝した。ジャパンMTBカップを2位で終えた小林も優勝争いに絡めず、結果的に小林6位、川口7位。中国は1位〜5位までを独占する形になった。
小林は「悔しいです。本当に悔しいです。でも、今ある120%を出し切っての結果です。今シーズンは本当にたくさんのことを学び、経験しました。辛いこと、苦しいこと、楽しいこと。全て乗り越えて、このアジア選手権のスタートラインに立てたのは、支えてくださるスポンサー、チーム、友達、そして家族のおかげです。ありがとうございます。2024パリ五輪出場の夢は叶いませんが、ここからが勝負だと思っています。この悔しさを忘れず、3年後は五輪の切符を掴みに行きます。そして、もっと強くなるために前を向いて戦い続けます。本当にたくさんの応援ありがとうございました。」とSNSにコメント。川口も「中国に全く及ばず、このままじゃだめだと強く感じたレースでした」と悔しさを語っている。
昨年覇者の北林力(Athlete Farm SPECIALIZED)と、先のアジア大会で3位に入った沢田時(宇都宮ブリッツェン)、全日本王者の平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)、そして宮津旭(PAXPROJECT)という4名で臨んだ男子エリートレースだったが、結果的には北林の5位が最高位。序盤こそ全員が先頭に立ち、北林がリードしていたものの、人数を揃えて追いかける中国に歯止めをかけることはできなかった。
結果的に、中国は1〜4位までを独占。北林が中国以外の国での最上位となった。
フィニッシュ後に沈痛な表情をみせ、8位の沢田と言葉を交わした北林はSNSに「パリオリンピックに出たい気持ちは1番だと思って4年間過ごしてきてレースも全力で走れましたが、一番大事なこの特殊なレースで勝つ為の気持ちと準備が中国よりも絞って出来ていなかったのが、今回の結果に出たと思います。パリオリンピック出場は叶わずでしたが、今回は負けをはっきり認めて必ず来年のアジア選手権でやり返します!」と綴った。
この結果をもって、日本男子勢はMTBがオリンピックの正式種目となったアトランタ大会からの連続出場記録が途絶える事態に。参加枠自体がリオまで59枠、東京38枠、そして今年は34枠と年々減少し、世界各国の出場争いが熾烈を極める中、今回のアジア選手権では最大人数を送り込んだ中国の強さが際立つ結果となった。今こそ国を上げた強化体制の必要性が問われることとなるだろう。
また、男子U23レースを選択した副島達海(大阪産業大学)は3位銅メダル、女子U23の石田唯(TRKWorks/早稲田大学)は前日試走での落車で脳震盪の可能性を懸念してDNS。男子ジュニアの高橋翔(TeensMAP/東京都立多摩高等学校)は独走で2年連続のアジア王者となり、嶋崎亮我(FUKAYA RACING/日本大学第二高等学校)も3位銅メダル。女子ジュニアの日吉愛華(LimitedTeam846まるいち/岐阜第一高等学校)も優勝しチャンピオンジャージを獲得している。
text:So Isobe
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