2023/09/04(月) - 08:40
序盤から横風分断が発生したブエルタ第9ステージで、レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が逃げ切り勝利。悪天候によりタイム計測地点がフィニッシュ手前2kmに変更されたレースは、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)が総合首位のまま第1週目を終えている。
9月3日(日)第9ステージ
カルタヘナ〜カラバカ・デ・ラ・クルス 184.5km(丘陵/山頂フィニッシュ)
第1週目の最終日を飾るのは184.5kmの丘陵ステージ。登場するカテゴリー山岳は1級と2級山岳の2つだけで、獲得標高差も2,836mと前日よりも800mほど少ない。しかしラストに待ち受ける2級山岳カラバカ・デ・ラ・クルスはリズムの掴みづらい登りとなっている。
距離8km/平均5.6%と数字上のインパクトはないものの、アップダウンを繰り返す登坂はフィニッシュ手前2km地点に20%が登場。直後に平坦路と下りを挟み、最後に16%の勾配が訪れるため、アタックするタイミングが勝利の鍵となる。
この日の出発地点は、昨年末にロードを引退し、現在はグラベルレースに参戦しているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)の出身地ムルシア州の街、カルタヘナ。マイヨロホを着るセップ・クス(アメリカ)を先頭に、162名の選手たちが午後1時57分にスタートを切った。
地中海から北西の内陸部を目指すレースは、序盤から強い横風が選手たちに吹き付けた。そのため僅か10kmで集団が分断し、ユンボ・ヴィスマはロベルト・ヘーシンク(オランダ)を除く7名が先頭集団に入ることに成功。レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)はマティア・カッタネオ(イタリア)と共に食らいつき、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)はチームメイト2人と、そして単騎のマテウジュ・ゴヴェカル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)からなる13名の精鋭集団が形成された。
それをレース序盤に遅れを取ったモビスターやバーレーン・ヴィクトリアスが中心となり追走する。この混沌により最初の1時間は平均スピード50km/hに達し、一時は45秒を得た先頭グループだったが、1級山岳の前に集団は一つに。振り出しに戻った集団からマッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)やレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ら有力クライマーが飛び出し、6名の逃げグループを形成した。
1級山岳の頂上手前でクリス・ハミルトン(オーストラリア、DSM・フィルメニッヒ)が、その下りでヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が合流したため先頭集団は8名に。ようやく落ち着きを取り戻したメイン集団はペースは、逃げグループに最大8分のリードを許した。
しかし、残り80kmを過ぎた地点で再び横風が集団を襲う。プロトンが3つに分かれたエシュロン(横風分断)の先頭にユンボはクスとプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が入り、エヴェネプールやフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)など総合上位陣がローテーションを回した。
30kmの追走の末、遅れを取った総合3位のレニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)らがクスのいる集団に合流。その後のプロトンはユンボがスローペースで牽引したため、3分台まで縮まった逃げ集団との差が一気に5分まで再び拡がった。
フィニッシュに向け選手たちに緊張感が高まっていくなか、レース主催者は路面上の悪化を理由にタイム計測地点をフィニッシュ手前2.05km地点に変更することを発表した。そのためフィニッシュ地点で与えられるタイムボーナスはなくなり、プロトンで走る総合勢は最大20%の勾配の先に引かれた地点を目指すこととなった。
逃げグループが2級山岳カラバカ・デ・ラ・クルス(距離8.2km/平均5.5%)に4分58秒のリードで到達。そのためステージ優勝は先頭8名に絞られ、ハミルトンが先んじてペースを上げる。複雑な勾配変化により一度遅れたルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)らが先頭をいく選手に合流したものの、残り5kmからケムナが加速し、唯一そのスピードに対応できたソブレロが追いかける。
登坂力はもちろんタイムトライアルにも長けるケムナは軽快にペダルを回し、タイム計測のされる20%の急勾配区間を通過する。直後の下りと登り返しも難なくクリアしたケムナは、単独のままフィニッシュラインに到達。ソブレロに13秒をつけ、ブエルタで自身初となる区間優勝を手に入れた。
2020年のツール・ド・フランスと2022年のジロ・デ・イタリアに続き、全グランツールでの区間優勝を飾ったケムナ。「ツールへの出場をスキップしたのは、ここでステージ優勝を狙っていたから。ここ数ヶ月に渡る努力が勝利という結果に繋がった。アップダウンを繰り返す最後のレイアウトはトリッキーで、ライバルを振り落とすタイミングが難しかった。そんな中で2分間に及ぶ限界値に達するアタックから勝利を掴んだ。本当に嬉しいよ」と、26歳のケムナは喜んだ。
フィニッシュ地点の変更によって戦略の練り直しを強いられたメイン集団は、スーダル・クイックステップが先頭でペースをコントロール。そこからジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が飛び出し、追従したアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)と共に前に出る。そのままアルメイダとウラソフはトップから3分11秒遅れで計測地点を越え、ログリッチやヴィンゲゴー、エヴェネプールはそこから5秒遅れ、クスは更に14秒遅れで通過した。
そのため総合順位に大きな変動はなく、クスが総合首位をキープ。総合4位に順位を上げたエヴェネプールは7秒差でログリッチ、11秒差でヴィンゲゴーが迫るなか、休息日を挟み第10ステージの25.8kmの個人タイムトライアルに臨む。
9月3日(日)第9ステージ
カルタヘナ〜カラバカ・デ・ラ・クルス 184.5km(丘陵/山頂フィニッシュ)
第1週目の最終日を飾るのは184.5kmの丘陵ステージ。登場するカテゴリー山岳は1級と2級山岳の2つだけで、獲得標高差も2,836mと前日よりも800mほど少ない。しかしラストに待ち受ける2級山岳カラバカ・デ・ラ・クルスはリズムの掴みづらい登りとなっている。
距離8km/平均5.6%と数字上のインパクトはないものの、アップダウンを繰り返す登坂はフィニッシュ手前2km地点に20%が登場。直後に平坦路と下りを挟み、最後に16%の勾配が訪れるため、アタックするタイミングが勝利の鍵となる。
この日の出発地点は、昨年末にロードを引退し、現在はグラベルレースに参戦しているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)の出身地ムルシア州の街、カルタヘナ。マイヨロホを着るセップ・クス(アメリカ)を先頭に、162名の選手たちが午後1時57分にスタートを切った。
地中海から北西の内陸部を目指すレースは、序盤から強い横風が選手たちに吹き付けた。そのため僅か10kmで集団が分断し、ユンボ・ヴィスマはロベルト・ヘーシンク(オランダ)を除く7名が先頭集団に入ることに成功。レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)はマティア・カッタネオ(イタリア)と共に食らいつき、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)はチームメイト2人と、そして単騎のマテウジュ・ゴヴェカル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)からなる13名の精鋭集団が形成された。
それをレース序盤に遅れを取ったモビスターやバーレーン・ヴィクトリアスが中心となり追走する。この混沌により最初の1時間は平均スピード50km/hに達し、一時は45秒を得た先頭グループだったが、1級山岳の前に集団は一つに。振り出しに戻った集団からマッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)やレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ら有力クライマーが飛び出し、6名の逃げグループを形成した。
1級山岳の頂上手前でクリス・ハミルトン(オーストラリア、DSM・フィルメニッヒ)が、その下りでヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が合流したため先頭集団は8名に。ようやく落ち着きを取り戻したメイン集団はペースは、逃げグループに最大8分のリードを許した。
しかし、残り80kmを過ぎた地点で再び横風が集団を襲う。プロトンが3つに分かれたエシュロン(横風分断)の先頭にユンボはクスとプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が入り、エヴェネプールやフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)など総合上位陣がローテーションを回した。
30kmの追走の末、遅れを取った総合3位のレニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)らがクスのいる集団に合流。その後のプロトンはユンボがスローペースで牽引したため、3分台まで縮まった逃げ集団との差が一気に5分まで再び拡がった。
フィニッシュに向け選手たちに緊張感が高まっていくなか、レース主催者は路面上の悪化を理由にタイム計測地点をフィニッシュ手前2.05km地点に変更することを発表した。そのためフィニッシュ地点で与えられるタイムボーナスはなくなり、プロトンで走る総合勢は最大20%の勾配の先に引かれた地点を目指すこととなった。
逃げグループが2級山岳カラバカ・デ・ラ・クルス(距離8.2km/平均5.5%)に4分58秒のリードで到達。そのためステージ優勝は先頭8名に絞られ、ハミルトンが先んじてペースを上げる。複雑な勾配変化により一度遅れたルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)らが先頭をいく選手に合流したものの、残り5kmからケムナが加速し、唯一そのスピードに対応できたソブレロが追いかける。
登坂力はもちろんタイムトライアルにも長けるケムナは軽快にペダルを回し、タイム計測のされる20%の急勾配区間を通過する。直後の下りと登り返しも難なくクリアしたケムナは、単独のままフィニッシュラインに到達。ソブレロに13秒をつけ、ブエルタで自身初となる区間優勝を手に入れた。
2020年のツール・ド・フランスと2022年のジロ・デ・イタリアに続き、全グランツールでの区間優勝を飾ったケムナ。「ツールへの出場をスキップしたのは、ここでステージ優勝を狙っていたから。ここ数ヶ月に渡る努力が勝利という結果に繋がった。アップダウンを繰り返す最後のレイアウトはトリッキーで、ライバルを振り落とすタイミングが難しかった。そんな中で2分間に及ぶ限界値に達するアタックから勝利を掴んだ。本当に嬉しいよ」と、26歳のケムナは喜んだ。
フィニッシュ地点の変更によって戦略の練り直しを強いられたメイン集団は、スーダル・クイックステップが先頭でペースをコントロール。そこからジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が飛び出し、追従したアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)と共に前に出る。そのままアルメイダとウラソフはトップから3分11秒遅れで計測地点を越え、ログリッチやヴィンゲゴー、エヴェネプールはそこから5秒遅れ、クスは更に14秒遅れで通過した。
そのため総合順位に大きな変動はなく、クスが総合首位をキープ。総合4位に順位を上げたエヴェネプールは7秒差でログリッチ、11秒差でヴィンゲゴーが迫るなか、休息日を挟み第10ステージの25.8kmの個人タイムトライアルに臨む。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第9ステージ結果 *悪天候により総合タイムはフィニッシュ手前2.05kmで計測
1位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:28:59 |
2位 | マッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:13 |
3位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、DSM・フィルメニッヒ) | +1:12 |
4位 | アマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック) | +1:00 |
5位 | ヨン・バレネチェア(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | +1:37 |
6位 | ルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス) | |
7位 | ヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +2:11 |
8位 | ダニエル・ナバーロ(スペイン、ブルゴスBH) | +2:41 |
9位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +3:16 |
10位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +3:11 |
15位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | +3:25 |
16位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +3:16 |
19位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +3:16 |
20位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +3:16 |
26位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +3:11 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 35:23:30 |
2位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:43 |
3位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +1:02 |
4位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +2:22 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:29 |
6位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
7位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +2:33 |
8位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
9位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +2:43 |
10位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +2:55 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 158pts |
2位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン) | 66pts |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 65pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ロット・デスティニー) | 21pts |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 20pts |
3位 | ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) | 12pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | 35:24:32 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +1:20 |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +1:41 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 105:39:44 |
2位 | UAEチームエミレーツ | +1:07 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +4:40 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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