昨年の初回大会が大成功に終わり、本日クレルモン・フェランで開幕する第2回ツール・ド・フランス ファム。全8日間に及ぶコースや、ファンフルーテンとフォレリングの対決が注目されるマイヨジョーヌ争いなどをプレビューします。



本日7月23日(日)に開幕するツール・ファム photo:CorVos

男子のツール・ド・フランス最終日と同日の7月23日(日)に、第2回ツール・ド・フランス・ファム・アヴェク・ズイフト(UCIワールドツアー)は開幕する。1955年に初開催され、2014〜21年まではワンデーレースとして行われてきた女子ツール。しかし昨年、オンラインサイクリング・プラットフォームであるズイフトをタイトルスポンサーに迎え、8日間のステージレースとして復活を遂げた。

出場するのは15のUCIワールドチームを含む全22チーム、合計154名の選手たち(1チーム7名)。第1回大会の総合優勝者であるアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)はもちろん、春のクラシックで無類の強さを誇ったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)や、今年6月に日本ロード王者に返り咲いた與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)など世界のトップ選手たちが出揃った。

超級山岳トゥールマレーが登場する8日間

ツール・ド・フランス・ファム2023コース全体図 image:A.S.O.

昨年パリで開幕したツール・ファムは、男子ツールが第1週目の休息日を過ごしたクレルモン・フェランで開幕する。集団スプリントが濃厚となる初日から、選手たちはスペインとの国境を目指すように南下。そして2日目は、早くも総合勢がマイヨジョーヌを争うであろう3級山岳モーリアック(距離3.4km/平均5.8%)にフィニッシュする丘陵ステージだ。

再び集団スプリントが濃厚と見られる3日目を挟み、4日目もコース終盤に勾配の厳しい3級山岳が登場する丘陵ステージ。そして平坦ステージとなる5、6日目を越え、7日目には超級山岳トゥールマレー(距離17km/平均7.3%)の頂上にフィニッシュするクイーンステージが待ち受ける。

そしてツール・ファムはポーに設定された22.6kmの個人タイムトライアルで締めくくられる。「選手から要望があった」ことにより大会初登場となったこのTTにて、大会最終日のステージ優勝者と第2代総合優勝者が決定する。

ツール・ド・フランス・ファム2023第7ステージ コースプロフィール image:A.S.O.
ツール・ド・フランス・ファム2023第8ステージ コースプロフィール image:A.S.O.

ツール・ド・フランス・ファム2023ステージリスト
ステージ 日時 スタート〜フィニッシュ 距離
第1ステージ 7月23日(日) クレルモン・フェラン〜クレルモン・フェラン 123.8km(平坦)
第2ステージ 7月24日(月) クレルモン・フェラン〜モーリアック 151.7km(丘陵)
第3ステージ 7月25日(火) コロンジュ・ラ・ルージュ〜モンティニャック・ラスコー 147.2km(平坦)
第4ステージ 7月26日(水) カオール〜ロデズ 177.1km(丘陵)
第5ステージ 7月27日(木) オネ・ル・シャトー〜アルビ 126.1km(平坦)
第6ステージ 7月28日(金) アルビ〜ブラニャック 122.1km(平坦)
第7ステージ 7月29日(土) ラヌムザン〜トゥールマレー 89.8km(山岳/山頂)
第8ステージ 7月30日(日) ポー〜ポー 22.6km(個人TT)


ファンフルーテンvsフォレリングのマイヨジョーヌ争いに注目

昨年、初代マイヨジョーヌを射止めたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos

初代総合優勝者かつ世界王者のファンフルーテンは今年も健在。春のクラシックこそ振るわなかったものの、ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナスとジロ・デ・イタリア・ドンネで総合優勝を飾りその好調ぶりを見せつけた。特にジロ・ドンネは区間3勝の全てを独走で決め、更に山岳賞とポイント賞ジャージを独占。今年限りで引退する40歳の力はいまだ衰えることを知らない。

対するのは春にストラーデビアンケとアムステルゴールドレース、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュなど主要クラシックを総ナメにしたフォレリング。ファンフルーテンとの直接対決となったブエルタこそ総合2位(区間2勝)に終わったものの、ジロ・ドンネをスキップしてオランダ選手権ロードで優勝。その後、高地合宿を行い万全のコンディションでツール・ファムに標準をあわせた。

昨年は総合2位と共にマイヨアポワを手に入れたデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) photo:Team SD Worx

ブエルタ6日目に勝利を挙げたガイア・レアリーニ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
エリーザ・ロンゴボルギーニ(リドル・トレック) photo:CorVos


トゥールマレーのような長い登りや独走力ではファンフルーテンが有利。しかし、フォレリングは共に総合エースを担うことができるロッタ・コペッキー(ベルギー)に加え、高速牽引のできるマーレン・ローセル(スイス)やベテランのクリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク)など世界一のチーム力を有する。

リドル・トレックはジロ・ドンネで不運な落車に見舞われたイタリア王者のエリーザ・ロンゴボルギーニがエースを担う。またジュリエット・ラブー(フランス、DSM・フィルメニッヒ)やセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ)、シルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ)の登坂力にも注目だ。

マイヨヴェール争いはウィーベスが最有力

マイヨヴェールの有力候補であるロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス) photo:CorVos

昨年区間2勝を挙げながらも、第7ステージで棄権したロレーナ・ウィーベス(オランダ)は今年SDワークスにチームを変えて出場する。2022年に20勝をマークした現欧州王者は今年も8勝と高い勝率を誇り、フォレリングと共に出場したブエルタ・ア・ブルゴスでは強力なアシスト役を全うするなど新たな走りも披露した。平坦スプリントではその高いチーム力で勝利とマイヨヴェールを狙う。

その対抗馬の筆頭として挙げられるのは、UAEツアーでウィーベスを2度下したシャーロッテ・コール(オランダ、DSM・フィルメニッヒ)。同じオランダ出身の同級生かつ元チームメイトであるコールは、ここまで10勝と大ブレイクを果たした注目のスプリンターだ。

ウィーベスの対抗馬として注目のシャーロッテ・コール(オランダ、DSM・フィルメニッヒ) photo:CorVos
ジロ・ドンネ最終日を勝利したキアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos


区間2勝を挙げ、マイヨヴェールに輝いたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

初代マイヨヴェールに輝いたマリアンヌ・フォス(オランダ)はユンボ・ヴィスマのエースを務め、前世界王者エリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)も昨年あと一歩届かなかったツールの区間優勝を狙う。また近々の勢いならばジロ・ドンネの最終ステージを2年連続で制したキアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ)も見逃せない存在となる。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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