安定した走りと盤石のレース運び。全日本選手権XCO女子エリートを制したのは小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)。余裕ある走りで10月のアジア選手権、そして2024年パリ五輪へとつながる切符を手にした。

絶対的な走力を持つ小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝候補だ photo:Makoto AYANO
長野県・富士見パノラマリゾートで開催されたMTB全日本選手権の2日目、XCO(クロスカントリー・オリンピック)種目の女子はエリート、U23、ジュニア、ユース、マスターズの各レースが同時出走で行われた(エリートのグループを先頭にスタートの整列により各カテゴリーが並んだ)。
もちろん各カテゴリーの優勝者には日の丸をあしらったナショナルチャンピオンジャージが授与され、そのデザインのジャージを1年間着用する権利が与えられる。

女子はエリート、U23、ジュニア、ユース、マスターズの各レースが同時出走でコースに飛び出していく photo:Makoto AYANO
エリート女子は12人の出走。昨日のXCC(クロスカントリー・ショートトラック)を前哨戦的なものと捉えると、注目はXCCチャンピオンとなった川口うらら(TEAM TATSUNO)が小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)に対してどのような走りをするか。6ヶ月の活動休止というブランクがあった川口は徐々に調子を上げてきており、U23の昨年からすでにエリートを上回る走りを見せていた小林も油断はできない。

スタートループから先頭に出た小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANO
加えてU23の石田唯(TRKWorks)は先日の全日本選手権ロードでも全体5位とエリートの表彰台に肉薄する勢いを見せたが、この全日本選手権がMTBレースデビューとなる超新星。まだ慣れないMTBだが昨年のシクロクロス世界選代表選手でもあり、全日本ロードでもシクロクロス東京でも小林とバトルを演じたことは記憶に新しい。

追走パックを形成して小林を追う川口うらら(TEAM TATSUNO) photo:Makoto AYANO
豪雨という予想から一転、レースに雨は降らず、曇天のまま持ちこたえた。各選手タイヤ選択はウェット&ドライ路面を意識した選択で、朝のピットはタイヤセッティングで忙しそうだった。
スタートから上り始める緩い坂を経て、1.2kmのスタートループから先頭に出たのは小林。10秒以上の差を持って長い登りと林間の本周回4.2kmへと入っていく。川口うららは2位パックを形成し、ユースの日吉彩華(LimitedTeam846まるいち)とジュニアの北津留千羽(Q-MAX)らを伴って4人の追走グループで小林を追う。

安定の走りで独走体制を築いた小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANO
小林の走りは安定し、上り・下りともにその差を広げる。後方4人は川口と日吉彩華の2人になり、川口をペースメーカーに使った日吉がユースのトップに。1周少なくフィニッシュするユースの日吉だが川口に対してアタックし、前に出る場面も見られた。しかし川口も再度抜き返し、小林を追う。

カテゴリー違いの日吉彩華(LimitedTeam846まるいち)が川口うらら(TEAM TATSUNO)に対抗する photo:Makoto AYANO

下りでのテクニック不足が響いた石田唯(TRKWorks) photo:Makoto AYANO
パワフルな登りスピードで何度か2人に目前まで迫った石田は2度の転倒を喫し、最終的に追い上げることができなかった。
そして登りが長く、濡れた芝が重いフィジカル重視のコースで小林の優位は最後まで崩れなかった。修善寺・日本CSCの東京五輪オリンピックMTBコースで行われた昨年の全日本選手権では難所・枯山水で落車し、前歯を折ったまま走り続けて勝利を手にし、レース後即救急搬送された小林だったが、今回は大きな余裕をもって危なげなく勝利を手にした。

女子エリートを制した小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANO
笑顔でフィニッシュに戻ってくると、アトランタ五輪代表選手の母、可奈子さんも安堵の表情で迎えた。

勝利を喜ぶ小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)をアトランタ五輪代表選手の母・可奈子さんが迎えた photo:Makoto AYANO
小林は言う。「4年ぶりにこの会場を走るレースでした。正直、今年走ったレースでは一番納得の行くものでした。今年はワールドカップなどを転戦してきても成績が出ず、気持ちの面で弱い自分に負けている自分が居て、これを克服しなければならないって思っていたんですが、それがなかなかできずにここまできていました。今日のレースは自分に克つことを目標に走り、それができたと思います。昨日のXCCで負けた(2位)ことについては「昨日は昨日、今日は今日」と、完全に切り替えることができました」。

フィニッシュして小林あか里の勝利を祝福する川口うらら(TEAM TATSUNO) photo:Makoto AYANO
小林に2分40秒遅れて2位でフィニッシュした川口。6ヶ月のレース活動休止期間を経て、卒業からの就職。しかし会社のサポートによって全力でレースに取り組める体制を手に入れ、新たな出発点に立った。
「結果とかタイムとか見たら全然なんですけど、内容としては満足しています。やっと集中して走ることができた。今回の走りが自分にとって良い励みになりました。練習不足は自分でわかっていたので、ここから、また良い走りのイメージを求めて頑張っていきます。まずはアジア選手権を見据えて、もっと煮詰めて行ければと思います。すべてはこれからです」。

日吉彩華(LimitedTeam846まるいち)がユースのチャンピオンに photo:Makoto AYANO
全体の3位でフィニッシュした石田がU23チャンピオンに。川口に劣らぬ走りを見せた日吉彩華がユースの、北津留千羽(Q-MAX)がジュニアのチャンピオンに。そしてマスターズはこのカテゴリー初出場の片岡幸(Team轍屋)が新チャンピオンに輝いた。

ジュニアチャンピオンになった北津留千羽(Q-MAX) photo:Makoto AYANO 
マスターズの新チャンピオンになった片岡幸(Team轍屋) photo:Makoto AYANO

MTB全日本選手権女子エリート表彰 1位小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)、2位川口うらら(TEAM TATSUNO)、3位橋口陽子(AX MTB team elite) photo:Makoto AYANO

女子ユース表彰 日吉彩華(LimitedTeam846まるいち)がチャンピオンに photo:Makoto AYANO 
ジュニア表彰 北津留千羽(Q-MAX)がチャンピオンに photo:Makoto AYANO

マスターズ表彰 1位片岡幸(Team轍屋)、2位小林真清(Team Soleil悠)、3位中川左裕里(SOHAYA RACING B) photo:Makoto AYANO

長野県・富士見パノラマリゾートで開催されたMTB全日本選手権の2日目、XCO(クロスカントリー・オリンピック)種目の女子はエリート、U23、ジュニア、ユース、マスターズの各レースが同時出走で行われた(エリートのグループを先頭にスタートの整列により各カテゴリーが並んだ)。
もちろん各カテゴリーの優勝者には日の丸をあしらったナショナルチャンピオンジャージが授与され、そのデザインのジャージを1年間着用する権利が与えられる。

エリート女子は12人の出走。昨日のXCC(クロスカントリー・ショートトラック)を前哨戦的なものと捉えると、注目はXCCチャンピオンとなった川口うらら(TEAM TATSUNO)が小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)に対してどのような走りをするか。6ヶ月の活動休止というブランクがあった川口は徐々に調子を上げてきており、U23の昨年からすでにエリートを上回る走りを見せていた小林も油断はできない。

加えてU23の石田唯(TRKWorks)は先日の全日本選手権ロードでも全体5位とエリートの表彰台に肉薄する勢いを見せたが、この全日本選手権がMTBレースデビューとなる超新星。まだ慣れないMTBだが昨年のシクロクロス世界選代表選手でもあり、全日本ロードでもシクロクロス東京でも小林とバトルを演じたことは記憶に新しい。

豪雨という予想から一転、レースに雨は降らず、曇天のまま持ちこたえた。各選手タイヤ選択はウェット&ドライ路面を意識した選択で、朝のピットはタイヤセッティングで忙しそうだった。
スタートから上り始める緩い坂を経て、1.2kmのスタートループから先頭に出たのは小林。10秒以上の差を持って長い登りと林間の本周回4.2kmへと入っていく。川口うららは2位パックを形成し、ユースの日吉彩華(LimitedTeam846まるいち)とジュニアの北津留千羽(Q-MAX)らを伴って4人の追走グループで小林を追う。

小林の走りは安定し、上り・下りともにその差を広げる。後方4人は川口と日吉彩華の2人になり、川口をペースメーカーに使った日吉がユースのトップに。1周少なくフィニッシュするユースの日吉だが川口に対してアタックし、前に出る場面も見られた。しかし川口も再度抜き返し、小林を追う。


パワフルな登りスピードで何度か2人に目前まで迫った石田は2度の転倒を喫し、最終的に追い上げることができなかった。
そして登りが長く、濡れた芝が重いフィジカル重視のコースで小林の優位は最後まで崩れなかった。修善寺・日本CSCの東京五輪オリンピックMTBコースで行われた昨年の全日本選手権では難所・枯山水で落車し、前歯を折ったまま走り続けて勝利を手にし、レース後即救急搬送された小林だったが、今回は大きな余裕をもって危なげなく勝利を手にした。

笑顔でフィニッシュに戻ってくると、アトランタ五輪代表選手の母、可奈子さんも安堵の表情で迎えた。

小林は言う。「4年ぶりにこの会場を走るレースでした。正直、今年走ったレースでは一番納得の行くものでした。今年はワールドカップなどを転戦してきても成績が出ず、気持ちの面で弱い自分に負けている自分が居て、これを克服しなければならないって思っていたんですが、それがなかなかできずにここまできていました。今日のレースは自分に克つことを目標に走り、それができたと思います。昨日のXCCで負けた(2位)ことについては「昨日は昨日、今日は今日」と、完全に切り替えることができました」。

小林に2分40秒遅れて2位でフィニッシュした川口。6ヶ月のレース活動休止期間を経て、卒業からの就職。しかし会社のサポートによって全力でレースに取り組める体制を手に入れ、新たな出発点に立った。
「結果とかタイムとか見たら全然なんですけど、内容としては満足しています。やっと集中して走ることができた。今回の走りが自分にとって良い励みになりました。練習不足は自分でわかっていたので、ここから、また良い走りのイメージを求めて頑張っていきます。まずはアジア選手権を見据えて、もっと煮詰めて行ければと思います。すべてはこれからです」。

全体の3位でフィニッシュした石田がU23チャンピオンに。川口に劣らぬ走りを見せた日吉彩華がユースの、北津留千羽(Q-MAX)がジュニアのチャンピオンに。そしてマスターズはこのカテゴリー初出場の片岡幸(Team轍屋)が新チャンピオンに輝いた。






MTB全日本選手権2023 XCO女子 リザルト
女子エリート | ||
1位 | 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 1:01:06.67 |
2位 | 川口うらら(TEAM TATSUNO) | +2:40.29 |
3位 | 橋口陽子(AX MTB team elite) | +12:17.75 1 |
女子U23 | ||
1位 | 石田唯(TRKWorks) | 1:04:15.30 |
女子ジュニア | ||
1位 | 北津留千羽(Q-MAX) | 1:06:37.46 |
女子ユース | ||
1位 | 日吉彩華(LimitedTeam846まるいち) | 42:56.80 |
女子マスターズ | ||
1位 | 片岡幸(Team轍屋) | 49:19.76 |
2位 | 小林真清(Team Soleil悠) | +4:19.12 |
3位 | 中川左裕里(SOHAYA RACING B) | +5:29.91 |
フォトギャラリー
Amazon.co.jp
[日本正規総代理店] Hyperice Hyperflux Leg Package-Standard ハイパーアイス ハイパーフラックス Normatec ノルマテック コンディショニング フットケア 足先 ふくらはぎ アスリート
Twins
¥144,800 (¥144,800 / 1)