2023/06/13(火) - 12:40
MTBレースの最高峰「UCI MTBワールドカップ」第2戦。世界王者ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム)が母国レースで圧勝し、W杯最多優勝記録を更新する34勝目をマークした。日本から参戦した小林あか里(女子U23、弱虫ペダルサイクリングチーム)はメカトラに見舞われながら59位完走、男子エリートの北林力(Athlete Farm Specialized)は91位、平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)は101位だった。
女子U23小林はパンクから追い上げ59位 エリートはルコントが圧勝
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パンクから追い上げる小林あか里(女子U23、弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:UCI チェコで開催された開幕戦から約1ヶ月、MTBレースの最高峰シリーズである「UCI MTBワールドシリーズ」はMTB大国スイスの名門コース、レンツァーハイデに場所を移し第2戦目を迎えた。
女子U23カテゴリーに参戦する小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)にとっては第1戦に続くW杯参戦だ。やわたはま国際MTBレースでアジア勢を相手に圧勝して弾みをつけた小林だったが、木曜日に開催されたショートトラック(ランキング上位40名が出場)では「突然襲われた呼吸困難と体から力が抜ける感覚、初めての経験に驚きと悔しさをにじませ、小林はコースを去った(チームレポートより)」。
20ヶ国67名が出走したU23のXCOレース。小林はスタート直後は大集団に位置取っていたが、ピットから一番遠い位置でパンクを喫してしまう。80%カットルールから逃げながら最後尾から追い上げ、最終的に59位でゴール。「XCCはスタートでトップ集団に着いていくことが出来たが、そのハイペースがそのまま維持できるスキルを持ち合わせていなかった。そして標高も含め、どう体調を整えていくかということが新しい課題となった。XCOはXCC同様スタートは先頭集団で走ることが出来て、前回よりも上位に行ける感覚があったが、最も大切なスタートループでのパンクはレースを失うほどの失態だった」。
「しかしながら経験を積んでマインドセットする能力を身に着けてきたので、再びレースに集中し、トップ集団にいるつもりで最後まで走りきることが出来た。今回の遠征ではトップを走る選手も同じ苦しみを感じている、と理解できたことがこれまでと違うところなのかもしれない」と振り返っている(コメントはチームレポートより)。
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ハイペースを刻むロアナ・ルコント(フランス、キャニオンCLLCTV) photo:UCI
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ルコントとフェランプレヴォがレースを引っ張る photo:UCI ![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/06/13/353034130_244807058248986_338959476603128466_n.jpeg)
独走体制を築いたロアナ・ルコント(フランス、キャニオンCLLCTV) photo:UCI
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フィニッシュに飛び込むロアナ・ルコント(フランス、キャニオンCLLCTV) photo:UCI
女子エリートレースで主導権を握ったのはロアナ・ルコント(フランス、キャニオンCLLCTV)。第1戦勝者のパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)や世界女王ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)らと共に先頭グループを組み、絞り込んでいく。最終周回の登りでのアタックが決定打となり、そのまま独走勝利を収めた。
シューターが母国でワールドカップ最多優勝記録更新
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男子エリートレーススタート前。手前に平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)の姿が見える photo:UCI
山本幸平と共にW杯を回る北林力(Athlete Farm Specialized)と、八幡浜国際から転戦した平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)も顔を揃えた男子エリートレース。序盤から積極的にペースを上げ、レースを作ったのはアルカンシエルに袖を通すニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム)だった。
「全力で飛ばし、素晴らしいファンの前で勝ちたいと思っていた」と言うシューターのペースに追従できたのはマティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン)ただ一人だけ。しかしそのフルッキガーも全7周回中の4周目の登り区間でアタックしたシューターに振り切られてしまう。昨年に世界選手権10勝を打ち立てた、衰え知らずの37歳がフィニッシュまで続く独走体制を築き上げた。
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マティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン)らを引き連れてペースメイクするニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム) photo:UCI
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ロックセクションを下るニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム) photo:UCI ![](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2023/06/13/353009514_244807524915606_1418596361420995691_n.jpeg)
シューターの記録樹立を待つトーマス・フリッシュクネヒトやチームスタッフ photo:UCI
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W杯34勝目をマークしたニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム) photo:UCI
失速したフルッキガーを捕らえた元世界王者ジョーダン・サルー(フランス、チームBMC)が2位に上がったものの、最終周回に入るとアラン・ハースリー(南アフリカ、キャノンデールファクトリーレーシング)とトマ・グリオ(フランス、キャニオンCLLCTV)が追いつき三つ巴のアタック合戦に移行する。激しい2位争いも優勝戦線まで絡むことはなく、シューターが喜びを噛みしめながらフィニッシュラインに到達した。
シューターが、かつての盟友でありライバルだったジュリアン・アブサロン(フランス)と共に保持していたワールドカップ最多優勝記録を塗り替える34勝目をマーク。2022年4月の開幕戦でタイ記録に並んでから、1年以上をかけての記録更新を母国ファンの目前で達成した。
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男子エリートレース表彰台 photo:UCI
"GOAT(greatest of all time)"と評されるレジェンドは「最高の場所で記録を打ち立てることができたし、ここまで長い道のりだった。レンツァーハイデでのレースが最後になるかもしれないと思うだけで感情的になっていた」と偉大な記録更新を振り返る。「今日は完全にファンの後押しがあったからこそ勝てた。たくさんのエネルギーを得ることができたんだ。こういう瞬間は本当に楽しいし、僕を応援しに来てくれた全ての人、そして会場に大きな感謝を伝えなければならない。最高だ」と加えている。
またこの日、熾烈な2位争いをハースリーが制し、スプリントでグリオを退けたサルーが3位入賞。北林は91位で完走に手が届かなった。「思う事、感じた事はたくさんありますが、今はとにかく来週のワールドカップ三戦目に向けて変えれる事と気持ちを作って切り替えてまた挑みます」とSNSに綴っている。平林は101位だった。
女子U23小林はパンクから追い上げ59位 エリートはルコントが圧勝
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女子U23カテゴリーに参戦する小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)にとっては第1戦に続くW杯参戦だ。やわたはま国際MTBレースでアジア勢を相手に圧勝して弾みをつけた小林だったが、木曜日に開催されたショートトラック(ランキング上位40名が出場)では「突然襲われた呼吸困難と体から力が抜ける感覚、初めての経験に驚きと悔しさをにじませ、小林はコースを去った(チームレポートより)」。
20ヶ国67名が出走したU23のXCOレース。小林はスタート直後は大集団に位置取っていたが、ピットから一番遠い位置でパンクを喫してしまう。80%カットルールから逃げながら最後尾から追い上げ、最終的に59位でゴール。「XCCはスタートでトップ集団に着いていくことが出来たが、そのハイペースがそのまま維持できるスキルを持ち合わせていなかった。そして標高も含め、どう体調を整えていくかということが新しい課題となった。XCOはXCC同様スタートは先頭集団で走ることが出来て、前回よりも上位に行ける感覚があったが、最も大切なスタートループでのパンクはレースを失うほどの失態だった」。
「しかしながら経験を積んでマインドセットする能力を身に着けてきたので、再びレースに集中し、トップ集団にいるつもりで最後まで走りきることが出来た。今回の遠征ではトップを走る選手も同じ苦しみを感じている、と理解できたことがこれまでと違うところなのかもしれない」と振り返っている(コメントはチームレポートより)。
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女子エリートレースで主導権を握ったのはロアナ・ルコント(フランス、キャニオンCLLCTV)。第1戦勝者のパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)や世界女王ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)らと共に先頭グループを組み、絞り込んでいく。最終周回の登りでのアタックが決定打となり、そのまま独走勝利を収めた。
シューターが母国でワールドカップ最多優勝記録更新
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山本幸平と共にW杯を回る北林力(Athlete Farm Specialized)と、八幡浜国際から転戦した平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)も顔を揃えた男子エリートレース。序盤から積極的にペースを上げ、レースを作ったのはアルカンシエルに袖を通すニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム)だった。
「全力で飛ばし、素晴らしいファンの前で勝ちたいと思っていた」と言うシューターのペースに追従できたのはマティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン)ただ一人だけ。しかしそのフルッキガーも全7周回中の4周目の登り区間でアタックしたシューターに振り切られてしまう。昨年に世界選手権10勝を打ち立てた、衰え知らずの37歳がフィニッシュまで続く独走体制を築き上げた。
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失速したフルッキガーを捕らえた元世界王者ジョーダン・サルー(フランス、チームBMC)が2位に上がったものの、最終周回に入るとアラン・ハースリー(南アフリカ、キャノンデールファクトリーレーシング)とトマ・グリオ(フランス、キャニオンCLLCTV)が追いつき三つ巴のアタック合戦に移行する。激しい2位争いも優勝戦線まで絡むことはなく、シューターが喜びを噛みしめながらフィニッシュラインに到達した。
シューターが、かつての盟友でありライバルだったジュリアン・アブサロン(フランス)と共に保持していたワールドカップ最多優勝記録を塗り替える34勝目をマーク。2022年4月の開幕戦でタイ記録に並んでから、1年以上をかけての記録更新を母国ファンの目前で達成した。
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"GOAT(greatest of all time)"と評されるレジェンドは「最高の場所で記録を打ち立てることができたし、ここまで長い道のりだった。レンツァーハイデでのレースが最後になるかもしれないと思うだけで感情的になっていた」と偉大な記録更新を振り返る。「今日は完全にファンの後押しがあったからこそ勝てた。たくさんのエネルギーを得ることができたんだ。こういう瞬間は本当に楽しいし、僕を応援しに来てくれた全ての人、そして会場に大きな感謝を伝えなければならない。最高だ」と加えている。
またこの日、熾烈な2位争いをハースリーが制し、スプリントでグリオを退けたサルーが3位入賞。北林は91位で完走に手が届かなった。「思う事、感じた事はたくさんありますが、今はとにかく来週のワールドカップ三戦目に向けて変えれる事と気持ちを作って切り替えてまた挑みます」とSNSに綴っている。平林は101位だった。
UCI MTBワールドカップ2023 第2戦 XCO女子エリート結果
1位 | ロアナ・ルコント(フランス、キャニオンCLLCTV) | 1:24:41 |
2位 | アン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング) | 1:24:59 |
3位 | アレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン) | 1:25:13 |
4位 | ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) | 1:25:20 |
5位 | パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | 1:25:35 |
UCI MTBワールドカップ2023 第2戦 XCO男子エリート結果
1位 | ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシングチーム) | 1:24:04 |
2位 | アラン・ハースリー(南アフリカ、キャノンデールファクトリーレーシング) | 1:24:19 |
3位 | ジョーダン・サルー(フランス、チームBMC) | 1:24:20 |
4位 | トマ・グリオ(フランス、キャニオンCLLCTV) | 1:24:20 |
5位 | ダビ・バレロ(スペイン、BH・コロマ) | 1:24:44 |
text:So Isobe
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