ラ・ブエルタ・フェメニーナ2日目を締めくくる大集団スプリントでシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)が勝利。ダイガートのアーリーアタックを捉えたフォスを、23歳の新星がハイスピードで追い抜いた。



先頭でスタートを待つマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)とアンナ・ヘンダーソン(イギリス、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

第9回ラ・ブエルタ・フェメニーナ(UCI2.WWT)第2ステージは、オリウェラからピラール・デ・ラ・オラダダを結ぶ105.8kmで争われた。内陸部のワインディングロードを進みながらペドレラ貯水池を周り、地中海に向かう道のりは平坦路。残り20km地点にこの日唯一の4級山岳が登場するものの、平均勾配は僅か1.3%のため今大会最初のスプリントステージとして高速バトルが期待された。

午後2時21分にアクチュアルスタートが切られ、逃げ集団を形成したのは出場選手の中で最年少18歳のアンドレア・カサグランダ(イタリア、ビーピンク)を含む4名。しかしレースを通して吹きつけた横風と向かい風がメイン集団をハイペースにしたことにより、逃げ集団は最大1分20秒のリードしか許されなかった。

序盤から形成された4名による逃げグループ photo:A.S.O.

ペドレラ貯水池の横を周る選手たち photo:A.S.O.

2人まで減った逃げグループを捉えたプロトンでは、残り37km地点で大規模落車が発生する。最大の被害者となったのは総合上位を目指すシルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ)で、同じく巻き込まれたカロリーナ・クミエガ(ポーランド)や他の選手たちと協力し何とか集団復帰に成功している。

再びひと塊となったメイン集団は残り29km地点のボーナスタイム(1位-6秒、2位-4秒、3位-2秒)が与えられる中間スプリントを通過。トップを獲ったのはリーアンヌ・マルクス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)との姉妹対決を制したフェムケ・マルクス(オランダ、SDワークス)で、3位は前日のチームTTで活躍したクロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム)が入っている。

直後の4級山岳ではダイガートがハイペースを刻み、勾配が厳しくなる区間でキャニオン・スラムのカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)とエリーズ・シャベイ(スイス)がアタックする。メイン集団を30名程度に絞り込むことに成功したものの、その下りでスプリンターを含む追走集団が合流。そして勝負は大方の予想通り、大集団によるスプリントバトルに持ち込まれた。

この日唯一の4級山岳でキャニオン・スラムがペースを上げた photo:A.S.O.

フォスを下したシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) photo:CorVos

ピラール・デ・ラ・オラダダの市街地に突入し、フラムルージュ(残り1km)からSDワークスがカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー)のためにトレインを組む。そして入れ替わるようにマリアンヌ・フォス(オランダ)を擁するユンボ・ヴィスマが先頭に出ると、ダイガートが残り500mから飛び出した。

この虚を突くアタックにマイヨロホを着るアンナ・ヘンダーソン(イギリス、ユンボ・ヴィスマ)の追走からフォスがフィニッシュ手前で追いつく。しかし、その背後についたシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)がフォスを追い抜き、先頭でフィニッシュラインを通過。自身によるグランツール初優勝と共に、緑色のスプリント賞ジャージ(マイヨプントス)を獲得した。

グランツール初優勝を喜ぶシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) photo:A.S.O.

チームメイトから祝福を受けるシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) photo:A.S.O.

「グランツール初優勝に興奮しない選手はいない。大会最初のスプリントステージで勝利を掴むことができ、本当に嬉しい。最終盤で囲まれたしまったが、幸運にも活路を見出すことができた。(平坦ステージである)明日が楽しみ」とコール。昨年までエーススプリンターであったロレーナ・ウィーベス(オランダ)がSDワークスへ移籍後、その後釜を任された23歳が早速その役割を全うしてみせた。

そして総合リーダーの証であるマイヨロホは、区間2位のフォスが獲得。「2位は満足できる結果ではないが、チームとしてこのジャージを守ることができた。明日、またチーム一丸となり勝利を目指す」と、フォスはフラットステージである明日への意気込みを語った。

表彰台に上がったシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) photo:A.S.O.

チームでマイヨロホを守ったマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:A.S.O.
ラ・ブエルタ・フェメニーナ2023第2ステージ
1位 シャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM) 2:41:27
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
3位 クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム)
4位 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス)
5位 ラケーレ・バルビエーリ(イタリア、リブレーシング・テックファインド)
6位 アルバ・テルエル(スペイン、ラボラルクタクサ・ファンダシオン・エウスカディ)
7位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)
8位 ニーナ・ケスレル(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
9位 アンナ・ヘンダーソン(イギリス、ユンボ・ヴィスマ)
10位 クララ・コッポニ(フランス、FDJ・スエズ)
個人総合成績
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 2:59:24
2位 クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム) +0:01
3位 リーアンヌ・マルクス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +0:02
4位 アンナ・ヘンダーソン(イギリス、ユンボ・ヴィスマ) +0:06
5位 アムベル・クラーク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
6位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) +0:07
7位 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
8位 リカルダ・バウエルンファイント(ドイツ、キャニオン・スラム)
9位 アグニエシュカ・スカルニアクソイカ(ポーランド、キャニオン・スラム)
10位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、トレック・セガフレード)
その他の特別賞
ポイント賞 シャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)
山岳賞 ジャド・ウィエル(フランス、FDJ・スエズ)
チーム総合成績 ユンボ・ヴィスマ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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