昨年の9月から5月に開催時期が移った女子ブエルタこと「ラ・ブエルタ・フェメニーナ」が開幕。初日のチームタイムトライアルで、優勝候補のSDワークスが伸び悩むなかユンボ・ヴィスマが勝利し、アンナ・ヘンダーソン(イギリス)がマイヨロホを着用した。



リゾート地トレビエハで開幕した・ブエルタ・フェメニーナ photo:CorVos

大会3連覇を目論むアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:A.S.O.
デミ・フォレリング(オランダ)を中心に強力なメンバーを揃えたSDワークス photo:A.S.O.


ラ・ブエルタ・フェメニーナ(UCIワールドツアー)に名を改めた女子ブエルタ初日は、地中海に面した観光地トレビエハを駆け抜ける14.5kmのチームタイムトライアル。各チーム8名が一斉に走り、4番目にフィニッシュした選手のタイムがチームの成績をして反映される。

全7日間のステージ紹介はレースプレビューから。

午後12時34分にスペイン籍のコンチネンタルチーム、ソペラ・ウィメンズチームから全23チームがスタートしていく。気温23度のなか幅広の道路に直角コーナーが連続する、比較的テクニカルなコースをソペラは20分39秒でフィニッシュ。基準となったこのタイムをその後出走していったチームが続々と更新していった。

ソペラ・ウィメンズチームから順にスタート photo:A.S.O.

前半組でトップタイムをマークしたイスラエル・プレミアテック・ローランド photo:A.S.O.

前半スタートのイスラエル・プレミアテック・ローランドがこの日初めて平均時速45kmを上回り、19分3秒の暫定トップタイムを出す。それを後半組のリブレーシング・テックファインドとジェイコ・アルウラーが立て続けに更新。そして全体の15番目で走り出したユンボ・ヴィスマが、ジェイコより31秒早い18分3秒という圧巻のタイムを叩き出した。

マリアンヌ・フォスら強力なオランダ人選手たちが中心となり、平均時速48.2kmで14.5kmコースを駆け抜けたユンボ。その後出走したチームDSMやUAEチームADQがまずまずのタイムでまとめるなか、優勝候補のキャニオン・スラムがスタートを切る。

2019年のTT世界王者ながら翌年の世界選手権で落車し、左太腿の大怪我からようやく本格的な実戦復帰を果たしたクロエ・ダイガート(アメリカ)の牽引もあり、好走を披露したキャニオン。しかしユンボに僅か1秒遅れと逆転には至らなかった。

18分3秒でフィニッシュしたユンボ・ヴィスマ photo:CorVos

ユンボのタイムに1秒まで迫ったキャニオン・スラム photo:A.S.O.
マーレン・ローセル(スイス)がSDワークスを先導 photo:A.S.O.


フィニッシュ後「サプライズな好結果」と語ったアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:A.S.O.

直後にフィニッシュした昨年大会のチームTT優勝チーム、トレック・セガフレードも9秒遅れと届かず、続いて総合優勝候補であるデミ・フォレリング(オランダ)を擁するSDワークスがスタート。東京五輪のTT銀メダリストのマーレン・ローセル(スイス)が中心となったSDワークスだったが14秒遅れと振るわず、いよいよ昨年の覇者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ)を擁するモビスターが出走した。

過去にTTのアルカンシエルを2年連続で着用し、東京五輪TT金メダリストのファンフルーテンが長い時間チームを先導。しかし12秒遅れの18分15秒でフィニッシュし、この瞬間ユンボの優勝が決定した。

「素晴らしいグランツールの開幕レースとなった。できるだけまとまって走り、ベストを目指した成果が出た。ホットシートに座っても(他チームにタイムを更新されないか)とても緊張していた。だが、勝利が確定した瞬間は最高の気持ちがした」とチームを率いるフォスは語る。

ブエルタ初日を制したユンボ・ヴィスマ photo:CorVos

マイヨロホを着用するアンナ・ヘンダーソン(イギリス、ユンボ・ヴィスマ) photo:A.S.O.

そして総合首位の証である真っ赤なマイヨロホは、先頭でフィニッシュラインを通過したアンナ・ヘンダーソン(イギリス)の手に。翌日は山岳賞ジャージを着ることとなったフォスは「この後は更なるステージ優勝を目指し、この総合リーダージャージをどれだけ長く確保できるか見てみよう。なぜならこの後は平坦基調のステージが続くからね。でもひとまずは、皆でこの勝利を祝福したい」と喜びを表現した。

その一方で、初日を終えたファンフルーテン。「予想外なほど良い結果に驚いている。予定より早い段階でチームメイトが遅れていったものの、チームとして良い走りができた。トップから僅かなタイム差に終わり、次にまたチームTTをする機会が待ち遠しい。それがジロなのか、はたまた違うレースなのかはわからないが、このチームだったら勝利も夢じゃない」と、総合タイムを失いながらも笑顔でレースを振り返った。

翌日はオリウェラからピラール・デ・ラ・オラダダに向かう105.8km。コース後半に4級山岳が登場するもの、距離7km/平均勾配1.3%と難易度は低いため、スピードに長けたフォスを擁するユンボの走りが注目される。


ラ・ブエルタ・フェメニーナ2023第1ステージ
1位 ユンボ・ヴィスマ 18:03
2位 キャニオン・スラム +0:01
3位 トレック・セガフレード +0:09
4位 モビスター +0:12
5位 SDワークス +0:14
6位 FDJ・スエズ +0:25
7位 チームDSM
8位 ジェイコ・アルウラー +0:31
9位 UAEチームADQ +0:41
10位 リブレーシング・テックファインド +0:42
個人総合成績
1位 アンナ・ヘンダーソン(イギリス、ユンボ・ヴィスマ) 18:03
2位 アムベル・クラーク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
3位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
4位 リーアンヌ・マルクス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
5位 クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム) +0:01
6位 アグニエシュカ・スカルニアクソイカ(ポーランド、キャニオン・スラム)
7位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
8位 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
9位 リカルダ・バウエルンファイント(ドイツ、キャニオン・スラム)
10位 エリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード) +0:09
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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