イタリアのアルプス山脈を巡るツアー・オブ・ジ・アルプスが開幕。5日間レースの初日は登りフィニッシュで決着し、強力なトレインに発射されたテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が勝利を挙げた。



全5ステージで行われるツアー・オブ・ジ・アルプスが開幕 photo:CorVos

タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が独走勝利を決めたアムステルゴールドレースの翌日、イタリアではアルプス山脈を舞台にした「ツアー・オブ・ジ・アルプス(UCI2.Pro)」が開幕した。2016年までジロ・デル・トレンティーノと呼ばれてきた本大会は4月17日(月)から21日(金)までの全5ステージで行われ、約3週間後のジロ・デ・イタリアを目指す総合勢が調整の場として臨むレースとなっている。

「アルプス」の名前を冠してるだけにコースの山岳比率は極めて高く、初日と3日目が山頂フィニッシュで、その他のステージも勾配の厳しいカテゴリー山岳が詰め込まれている。開幕地ラッテンベルクには2017年大会覇者ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)、ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)など豪華な選手たちが顔を揃えた。

先導するレース主催者がコースを誤り、一時レースが中断した photo:CorVos

レースは終始イネオス・グレナディアーズがコントロールし、アタックを潰した photo:CorVos

初日は男子レースとしては距離の短い127.5kmで、終盤に3級と2級山岳を越え、最後はアルプバッハ(距離6.3km/平均4.6%)に登りつめる山岳ステージ。レースは序盤からワールドチームのヴァランタン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン)とセルヒオ・サミティエル(スペイン、モビスター)を含む6名が逃げグループを形作った。

しかし、この日はイネオス・グレナディアーズが積極的だった。トーマスの他にテイオ・ゲイガンハート(イギリス)や新加入テイメン・アレンスマン(オランダ)ら豪華メンバーを揃えたイネオスは、逃げに3分以上のリードを許さないタイトなコントロールを披露。最終登坂を前に逃げ集団を予定通り飲み込んだ。

アルプバッハ(距離6.3km/平均4.6%)を前にしたプロトンからは、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)がアタック。そこにジェフェルソン・セペダ(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が合流してフィニッシュを目指したものの、トーマスによる高速牽引によって2人は引き戻された。

最終登坂を前に単独アタックしたジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

今季2勝目を飾ったテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

残り700mで今後はカーシーが飛び出したものの、それを遥かに上回る登坂スピードでゲイガンハートが追い抜く。猛追するフェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン)も振り切ってツアー・オブ・ジ・アルプスの初日勝者に輝いた。

「終盤に入っても冷静さを保ち、良いステージにすることができた。ヘイグがその強さを見せたが、前日に最終登坂を試走していたのでチーム一丸となれば追いつく自信があった」とゲイガンハートは勝因を語っている。

2020年にジロ・デ・イタリア総合優勝を果たしながらも、その後長い不調に陥っていたゲイガンハート。しかし今年はコーチやトレーニング方法を一新。今年2月のボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナで久々となる勝利を飾り、総合でもティレーノ~アドリアティコで総合3位と、復調の兆しを見せている。

リーダージャージに袖を通したテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

ツアー・オブ・ジ・アルプス2023第1ステージ結果
1位 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 3:18:00
2位 フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) +0:02
3位 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:04
4位 イバン・ソーサ(コロンビア、モビスター) +0:06
5位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
個人総合成績
1位 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 3:17:50
2位 フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) +0:06
3位 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:10
4位 イバン・ソーサ(コロンビア、モビスター) +0:16
5位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
その他の特別賞
ポイント賞 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
山岳賞 ジェフェルソン・セペダ(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)
ヤングライダー賞 マックス・プール(イギリス、チームDSM)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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