2023/03/24(金) - 18:42
京都に拠点を構える国内代理店の岩井商会が4年ぶりの展示会を開催。コロナ禍で取り扱いがスタートしたレペンテや、定番のヴィットリアとチネリに加えて、国内メーカーによる新製品も充実したショップ向けショーをレポートする。
1924年に創業し100周年まであと1年に迫った老舗代理店の岩井商会が展示会を開催。この機会は実に4年ぶり。トラック系のフレームやパーツを得意とし、国内メーカーの扱いも手広い岩井商会が案内する製品とヴィットリアジャパン(以下、VTJ)の製品を一覧できる久々のチャンスに多くのショップスタッフが訪れた。
プロダクトはもちろんだが今回の展示会では岩井商会としての取り組みも紹介されており、会社ロゴが毛筆のようなデザインに変更されたことや岩井商会レーシングとしてチーム活動を行っていること、そしてオリジナルフレームのガンウェルを筆頭としたトラックやピスト競技も案内され、岩井商会のカラーが感覚的にわかるような展示会として演出された。
ガンウェルは2021年のKEIRINグランプリで古性優作が優勝した際に乗っていたフレームとして、ガンウェルを指名する選手が増えている。シンプルゆえにシビアな性能が求められる競輪フレームにおいてガンウェルが選ばれるのはビッグレースでの勝利だけではなく、ビルダーの橋本さんのフレーム製作へのこだわりがバイクに反映されているからだ。
シンプルな機材ゆえにフレームの性能はダイレクトにライダーに伝わり、走行に反映される。選手の要望を物へと落とし込むために橋本さんは選手とのコミュニケーションを欠かさない。選手の声から求めている性能を考え、ジオメトリーのような数値的な部分、溶接時の火入れを調整するのだとか。その結果生み出されるのがKEIRINグランプリで勝利するバイクだ。
フレームの力だけではないと控えめにコメントする橋本さんは、競輪フレームだけではなくロードなども手がける。シビアな競輪で培ったフレームビルディングの経験値をもとに制作されるオーダーメイドのバイクが魅力的なのは間違いない。現在は競輪フレームの引き合いが多く、ロードバイクの製作には短くない製作期間が必要になるが、それでも橋本さんが作るフレームに乗りたいと支持するファンもいるほど。
岩井商会は競輪選手が使うNJS認定製品を数多く用意しており、昨年より取り扱いを開始しているレペンテのQUSARなどもラインナップされている。トラック競技という面ではイタリアのコンポーネントブランド、ミケのラインアップが充実しており、近年大型化が進むチェーンリングのSEI GIORNI OROも展開開始。最大サイズの68Tは驚くほどの大きさだ。トラック競技も進化が著しいため、機材ファンはチェックすると面白いはずだ。
また、ストリートのピストクリテリウムをチネリでカバーしているのも岩井商会の特色。国内で開催されている固定ギアクリテリウムのsfiDARE CRITに岩井商会レーシングのメンバーが参戦し、VIGORELLIなどチネリのバイクやカルチャーなどを紹介している。
そんなVIGORELLIは2022年にモデルチェンジしており、今回の展示会はその実車をチェックできる機会となった。今作のVIGORELLIは前下がり気味のフロントトライアングルとエアロ形状のチューブが特徴。ラメが散りばめられ、光の角度によっては虹色に輝くチネリらしい遊び心もあるデザインに仕上がっている。他にもチネリはトラッククロスなどにぴったりなTUTTO PLUSや、アグレッシブなロゴが目をひくGAZETTAなども注目だ。
岩井商会が販売代理店を務めるインポートブランドの中でもヴィットリアとレペンテも注目だ。いずれもVTJが輸入代理店を担っているブランドで、昨シーズンより取り扱いが始まっているイタリアンサドルブランドのレペンテは、サドルトップとベースが別体となりユーザーが好みの組み合わせをチョイスできるブランドの特徴を活かした認定クラフトショップの展開を開始。
ここではオンラインでは手に入らないそれぞれのパーツ(ベースやトップ)を個別に購入することができ、ショップスタッフとともに相談しながら自分に合ったサドルにカスタムすることが可能だ。レペンテは新進気鋭のブランドながら丁寧なものづくりと、ユニークな発想の設計、軽量なサドルが魅力のため、ブランドのことを知るためにも一度ショップに足を運んでみても良さそうだ。
ヴィットリアはナチュラルカラーのサイドウォールが採用されたミドルグレードRUBINO PROが登場。ヴィットリアが得意とするコットンケーシングのようなルックスに仕上がっており、ヴィットリアらしいタイヤを求めている方にピッタリ。また、MTBタイヤも徐々に定着し始めているというため、これから始まるゲレンデシーズンに向けて新しいタイヤの選択肢として検討してみてはいかがだろうか。
また岩井商会は国内ブランドも数多く扱っており、ゴルフ用グリップを開発するIOMIC(イオミック)もその一つだ。ゴルフ製品で培ったテクノロジーは競輪用のグリップに活用され、さらにはバーテープを現在開発中。イオミックは今シーズンからVC福岡をサポートしており、早くも選手たちはイオミックのバーテープを巻いてレースに参戦しており、雨降る富士クリテリウムで横塚浩平の優勝にイオミックのバーテープが早くも貢献した。
展示会場で実際に握ってみたところ、手を置いただけでも感じられる非常に高いグリップ力を備えている。程よい厚みによるクッション性と素材とパターンから生み出されるグリップ力によって、肩の力を抜いてハンドルに手を置けるような印象を受けた。国内で開発された独自素材を使用したイオミックのバーテープには期待したいところ。
ウィンタースポーツでお馴染みの存在であるワックスメーカーGALLIUM(ガリウム)が自転車チェーン用ワックスを手がけ始めた。自転車用製品は3年前よりスタートしており、展示会がカムバックした今年から多くのショップでチェックできる存在となりそうだ。
ワックスメーカーということもあり、ラインアップされるチェーンルブ全てがオイルを使わないワックスタイプとなっている。自転車用のチェーンワックスというと溶剤を揮発させてから使うような印象もあるが、ガリウムの製品は液状のワックスを使用したいわゆるウェット系だ。
酸化せず乾かない、防汚性、低摩擦性というワックスならではの性能に加えて、モデルごとにモリブデンやPTFEを添加することで優れた性能を実現させている。ラインアップはスプリント、ヒルクライムといった低抵抗モデルと、ロングライド、ロングライドライトという高耐久モデル、そしてレイン&ダートというオフロードなどハードコンディション向けの5種類。加えて、ディグリーザーも速乾性と遅乾性の2種類が揃う。こちらも注目したいブランドだ。
他にも高いコストパフォーマンスでお馴染みのケミカルブランド、エバーズはセラミックを配合した新型ルブリカントをリリース。こちらはベースオイルに固体のセラミックを配合することで、金属表面の微細な凹凸を埋めることによる潤滑性や耐久性を向上させている。
ドイターは満を持してバイクパッキングに参入。超定番のバックパックブランドが作るバイクバッグにも期待したい。またサイクリストには定番のバックパックRACEシリーズなども新しくなるほか、新型のROTSOORD 25+5も注目だ。ROTSOORD 25+5は通勤通学に使える見た目に仕上げられているが、機能はドイターならではのいたれり尽せり。メインの荷室だけではなく、シューズを分けて収納できるスペースなども備えられており、宿泊を伴うツーリングなどにはピッタリだ。
このように非常に多くのブランドを抱える岩井商会。国内で展開開始された製品はSNSで発信するとのことなので、ぜひツイッターやフェイスブック、インスタグラムをチェックしてもらいたい。
text&photo:Gakuto Fujiwara
1924年に創業し100周年まであと1年に迫った老舗代理店の岩井商会が展示会を開催。この機会は実に4年ぶり。トラック系のフレームやパーツを得意とし、国内メーカーの扱いも手広い岩井商会が案内する製品とヴィットリアジャパン(以下、VTJ)の製品を一覧できる久々のチャンスに多くのショップスタッフが訪れた。
プロダクトはもちろんだが今回の展示会では岩井商会としての取り組みも紹介されており、会社ロゴが毛筆のようなデザインに変更されたことや岩井商会レーシングとしてチーム活動を行っていること、そしてオリジナルフレームのガンウェルを筆頭としたトラックやピスト競技も案内され、岩井商会のカラーが感覚的にわかるような展示会として演出された。
ガンウェルは2021年のKEIRINグランプリで古性優作が優勝した際に乗っていたフレームとして、ガンウェルを指名する選手が増えている。シンプルゆえにシビアな性能が求められる競輪フレームにおいてガンウェルが選ばれるのはビッグレースでの勝利だけではなく、ビルダーの橋本さんのフレーム製作へのこだわりがバイクに反映されているからだ。
シンプルな機材ゆえにフレームの性能はダイレクトにライダーに伝わり、走行に反映される。選手の要望を物へと落とし込むために橋本さんは選手とのコミュニケーションを欠かさない。選手の声から求めている性能を考え、ジオメトリーのような数値的な部分、溶接時の火入れを調整するのだとか。その結果生み出されるのがKEIRINグランプリで勝利するバイクだ。
フレームの力だけではないと控えめにコメントする橋本さんは、競輪フレームだけではなくロードなども手がける。シビアな競輪で培ったフレームビルディングの経験値をもとに制作されるオーダーメイドのバイクが魅力的なのは間違いない。現在は競輪フレームの引き合いが多く、ロードバイクの製作には短くない製作期間が必要になるが、それでも橋本さんが作るフレームに乗りたいと支持するファンもいるほど。
岩井商会は競輪選手が使うNJS認定製品を数多く用意しており、昨年より取り扱いを開始しているレペンテのQUSARなどもラインナップされている。トラック競技という面ではイタリアのコンポーネントブランド、ミケのラインアップが充実しており、近年大型化が進むチェーンリングのSEI GIORNI OROも展開開始。最大サイズの68Tは驚くほどの大きさだ。トラック競技も進化が著しいため、機材ファンはチェックすると面白いはずだ。
また、ストリートのピストクリテリウムをチネリでカバーしているのも岩井商会の特色。国内で開催されている固定ギアクリテリウムのsfiDARE CRITに岩井商会レーシングのメンバーが参戦し、VIGORELLIなどチネリのバイクやカルチャーなどを紹介している。
そんなVIGORELLIは2022年にモデルチェンジしており、今回の展示会はその実車をチェックできる機会となった。今作のVIGORELLIは前下がり気味のフロントトライアングルとエアロ形状のチューブが特徴。ラメが散りばめられ、光の角度によっては虹色に輝くチネリらしい遊び心もあるデザインに仕上がっている。他にもチネリはトラッククロスなどにぴったりなTUTTO PLUSや、アグレッシブなロゴが目をひくGAZETTAなども注目だ。
岩井商会が販売代理店を務めるインポートブランドの中でもヴィットリアとレペンテも注目だ。いずれもVTJが輸入代理店を担っているブランドで、昨シーズンより取り扱いが始まっているイタリアンサドルブランドのレペンテは、サドルトップとベースが別体となりユーザーが好みの組み合わせをチョイスできるブランドの特徴を活かした認定クラフトショップの展開を開始。
ここではオンラインでは手に入らないそれぞれのパーツ(ベースやトップ)を個別に購入することができ、ショップスタッフとともに相談しながら自分に合ったサドルにカスタムすることが可能だ。レペンテは新進気鋭のブランドながら丁寧なものづくりと、ユニークな発想の設計、軽量なサドルが魅力のため、ブランドのことを知るためにも一度ショップに足を運んでみても良さそうだ。
ヴィットリアはナチュラルカラーのサイドウォールが採用されたミドルグレードRUBINO PROが登場。ヴィットリアが得意とするコットンケーシングのようなルックスに仕上がっており、ヴィットリアらしいタイヤを求めている方にピッタリ。また、MTBタイヤも徐々に定着し始めているというため、これから始まるゲレンデシーズンに向けて新しいタイヤの選択肢として検討してみてはいかがだろうか。
また岩井商会は国内ブランドも数多く扱っており、ゴルフ用グリップを開発するIOMIC(イオミック)もその一つだ。ゴルフ製品で培ったテクノロジーは競輪用のグリップに活用され、さらにはバーテープを現在開発中。イオミックは今シーズンからVC福岡をサポートしており、早くも選手たちはイオミックのバーテープを巻いてレースに参戦しており、雨降る富士クリテリウムで横塚浩平の優勝にイオミックのバーテープが早くも貢献した。
展示会場で実際に握ってみたところ、手を置いただけでも感じられる非常に高いグリップ力を備えている。程よい厚みによるクッション性と素材とパターンから生み出されるグリップ力によって、肩の力を抜いてハンドルに手を置けるような印象を受けた。国内で開発された独自素材を使用したイオミックのバーテープには期待したいところ。
ウィンタースポーツでお馴染みの存在であるワックスメーカーGALLIUM(ガリウム)が自転車チェーン用ワックスを手がけ始めた。自転車用製品は3年前よりスタートしており、展示会がカムバックした今年から多くのショップでチェックできる存在となりそうだ。
ワックスメーカーということもあり、ラインアップされるチェーンルブ全てがオイルを使わないワックスタイプとなっている。自転車用のチェーンワックスというと溶剤を揮発させてから使うような印象もあるが、ガリウムの製品は液状のワックスを使用したいわゆるウェット系だ。
酸化せず乾かない、防汚性、低摩擦性というワックスならではの性能に加えて、モデルごとにモリブデンやPTFEを添加することで優れた性能を実現させている。ラインアップはスプリント、ヒルクライムといった低抵抗モデルと、ロングライド、ロングライドライトという高耐久モデル、そしてレイン&ダートというオフロードなどハードコンディション向けの5種類。加えて、ディグリーザーも速乾性と遅乾性の2種類が揃う。こちらも注目したいブランドだ。
他にも高いコストパフォーマンスでお馴染みのケミカルブランド、エバーズはセラミックを配合した新型ルブリカントをリリース。こちらはベースオイルに固体のセラミックを配合することで、金属表面の微細な凹凸を埋めることによる潤滑性や耐久性を向上させている。
ドイターは満を持してバイクパッキングに参入。超定番のバックパックブランドが作るバイクバッグにも期待したい。またサイクリストには定番のバックパックRACEシリーズなども新しくなるほか、新型のROTSOORD 25+5も注目だ。ROTSOORD 25+5は通勤通学に使える見た目に仕上げられているが、機能はドイターならではのいたれり尽せり。メインの荷室だけではなく、シューズを分けて収納できるスペースなども備えられており、宿泊を伴うツーリングなどにはピッタリだ。
このように非常に多くのブランドを抱える岩井商会。国内で展開開始された製品はSNSで発信するとのことなので、ぜひツイッターやフェイスブック、インスタグラムをチェックしてもらいたい。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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