2023/03/09(木) - 16:06
3月5日(日)に千葉県成田市の下総運動公園で行われた「しもふさクリテリウム」でQNリーグの最終戦が開催。最終戦まで縺れ込んだシリーズ争いはNリーグで稲葉恵人(TEAM BFY Racing)が、Qリーグで岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン)がリーグチャンピオンに輝いた。主催者からのレポートで紹介する。
3月5日(日)、千葉県成田市・下総運動公園で「しもふさクリテリウム MATRIX ヒヤリハンター杯 3月」が開催。昨年4月からスタートした今シーズンの最終戦となった。
今大会はサイクルロードレース協会東日本(マトリックス)主催で下総運動公園内にある1周回・約1.5kmの常設サイクリングコースでおこなわれ、トップクラスはもちろん、ジュニアやキッズにも人気の高い「しもふさクリテ」初の3月開催。リーグ対象レースはQリーグとNリーグで、中学生女子NWはレディース、Nリーグ中学生男子Nは中学生で走りリーグポイントを競う。それぞれ最終戦に相応しい熱い展開で会場は盛り上がった。
天候は曇り時々晴れ。雨の心配はないが風は冷たいなか、大会ホストチームでJプロツアーを中心に活躍するマトリックスパワータグの所属選手達が朝のサイクルクリニック指導や、レース参戦ライダーをエスコートしながら大会を盛り上げていく。
朝の120分エンデューロが終了した後、10時40分にスタートとなったのがNリーグ中学生男子Nの対象レースとなる「中学生」クラス。今回は41名のライダーがエントリーし、6周回=9kmで競われる。短いレース時間になることで、スタートから集団の速度は上がり1周目からアタックがかかる。前半にはNリーグの安藤友識(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)が積極的に動き、そのためメイン集団から早々と脱落選手が出る状況に。
その後のメイン集団はスプリントでゴール。久しぶりのシリーズ戦参加となった宮嵜が「集団で動きがあったときにブリッジをかけたりはしたんですが(決定的となった)稲葉選手の動きに反応できなかった。ちょっと難しい展開でした」という状況で粘り、集団の頭を取りレース2位、最終戦でのボーナス5ポイントも加えてランキング3位に浮上することが出来た。
一方、目の前で「まさか逃げ切られると思っていなかったので、とても悔しいです」とわずか4ポイント差で年間総合リーダーの座を逃した宇田川瀬那(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)。しかしメイン集団に残ったうえにレース5位となり、ランキング2位に留まり年間ランキングのTOP3を維持することは出来た。
年間総合ポイントリーダー授与式では、年間総合ポイントランキングの上位3名が揃い特別賞を贈呈。来年は高校生となる宮嵜と宇田川は、中学校ともにNリーグも卒業となる。宇田川は「高校生になっても自転車レースで引き続き頑張ります」、宮嵜は「先ずは全日本選手権ロードレース出場を目指します」とコメント。そして来シーズンは中学3年生としてNリーグ続投する稲葉は「来シーズンは、もっと強い選手がリーグに参戦してくると思うので、負けないように頑張ります!」と力強いコメントをくれた。
この後、キッズの年齢別レースを挟んで12時6分にスタートしたのはQリーグ、そしてNリーグ中学生女子NWの対象レース「レディース」クラス。エントリー15名で5周回=7.5kmで争われたレースは、最初は選手達が拮抗し集団の動きが膠着した状態。
そんな状態から2周目に飛び出したのはNリーグの⻄山千智(High Ambition 女子サイクリングアカデミー)。「レースに参加出来たらいいなあ、と思い切って動いてみました」という彼女は、しばらくしてメイン集団に戻ったがチームに入り動きも覚え始めている様子なので、今後もリーグ対象レース参戦を通してさまざまな経験を積んでほしい。1つにまとまった集団から、筒井楓(SPORTSKID ZYYX)がアタックを仕掛けたり、古谷桜子(内房レーシングチーム)が積極的に集団の前に出るが、そのなかで落ち着いて様子を窺っていたのが岡本 彩那(ブラウ・ブリッツェン)。
「古谷さんと筒井さんが動いていて、ちょっと辛かったけど思い切って最終周回でアタックしたら上手くいきました」とゴールスプリントを決めてガッツポーズの岡本はレースを振り返りコメント。「いつも最後のアタックでタイミングが遅すぎる傾向があるので、落ち着いて少し早めに(アタックを)かけたら上手くいけました」とホッとした表情で、前戦の大磯クリテリウムで誓っていた「レース優勝を決めて年間リーダーを守り切りたい」の願いを叶え、笑顔を見せていた。
QリーグとNリーグ中学生女子NWの授与式では、10月から守り続けていたQリーグポイントリーダーの証・アメジストジャージ姿を堂々と披露する岡本の横で、初のバトルマリンジャージを緊張した面持ちで大会ゲストのマトリックスの小林海選手から受け取る⻄山。ブラウ・ブリッツェンで幼いころからチーム練習を重ねレース経験も豊富な岡本は、来シーズン高校2年生。「いろんなレースで1位を取りたいです!」と意気込みをみせてくれた。
来シーズン中学3年生となる⻄山は、Nリーグ続投について「強い選手についていって、最後までメイン集団で走れるようになりたいです」と目の前の目標をキチンと捉えていた。今後もリーグ対象大会では同じレースカテゴリーで走る機会も多いと思われる2人。ベテランの域に達している岡本の走りを⻄山が参考にできる機会も多いだろう。さらにレースでは岡本に続く2位に入った篠塚萠依(AVENTURA)は今シーズンのNリーグ中学生女子NWシリーズ戦で活躍を続け総合ポイントランキング2位となり、こちらも引き続き目が離せない存在となるだろう。
レディースレースの後には将来、競技者を目指す中学生・高校生向けの「ジュニア強化レース」が大会協賛社の提供で開催された。これは今大会にエントリーしていれば参加料は無料、年齢の近い同士が手合わせできる機会となり、積極的なレース展開となってこちらも会場を盛り上げていた。
3期目となった今シーズン、リーグシリーズ戦の設定と開催、そして対象レースでのリーグ登録選手達の熱い闘いと走りは観る人たちに、大きなレースでは隅に追いやられがちな「女子」そして「中学生・ジュニア」の存在を改めて示すし、自転車レースの未来を担う大事で重要な存在であると気づかせたはずだ。それはリーグ提携団体の主催レースにおいて女子やジュニア向けの企画が広がっていることでも証明されている。
今後はリーグの対象レースを広げることで登録する女子・ジュニアの活躍の場も広げていきながら、さらに多くの方々に日本自転車レースの面白さと楽しさを「エリート男子」以外の機会で知っていただけるよう活動を続けていきたい。そして、Q リーグ・N リーグのポイントリーダーの証・アメジストジャージとバトルマリンジャージを巡る熱い闘いは、来シーズン2023-2024も新たなドラマを作っていくだろう。引き続き4期目となるQリーグ・Nリーグにご注目ください!
photo:Yosuke SUGA, QNリーグ事務局
text:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
3月5日(日)、千葉県成田市・下総運動公園で「しもふさクリテリウム MATRIX ヒヤリハンター杯 3月」が開催。昨年4月からスタートした今シーズンの最終戦となった。
今大会はサイクルロードレース協会東日本(マトリックス)主催で下総運動公園内にある1周回・約1.5kmの常設サイクリングコースでおこなわれ、トップクラスはもちろん、ジュニアやキッズにも人気の高い「しもふさクリテ」初の3月開催。リーグ対象レースはQリーグとNリーグで、中学生女子NWはレディース、Nリーグ中学生男子Nは中学生で走りリーグポイントを競う。それぞれ最終戦に相応しい熱い展開で会場は盛り上がった。
天候は曇り時々晴れ。雨の心配はないが風は冷たいなか、大会ホストチームでJプロツアーを中心に活躍するマトリックスパワータグの所属選手達が朝のサイクルクリニック指導や、レース参戦ライダーをエスコートしながら大会を盛り上げていく。
朝の120分エンデューロが終了した後、10時40分にスタートとなったのがNリーグ中学生男子Nの対象レースとなる「中学生」クラス。今回は41名のライダーがエントリーし、6周回=9kmで競われる。短いレース時間になることで、スタートから集団の速度は上がり1周目からアタックがかかる。前半にはNリーグの安藤友識(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)が積極的に動き、そのためメイン集団から早々と脱落選手が出る状況に。
その後のメイン集団はスプリントでゴール。久しぶりのシリーズ戦参加となった宮嵜が「集団で動きがあったときにブリッジをかけたりはしたんですが(決定的となった)稲葉選手の動きに反応できなかった。ちょっと難しい展開でした」という状況で粘り、集団の頭を取りレース2位、最終戦でのボーナス5ポイントも加えてランキング3位に浮上することが出来た。
一方、目の前で「まさか逃げ切られると思っていなかったので、とても悔しいです」とわずか4ポイント差で年間総合リーダーの座を逃した宇田川瀬那(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)。しかしメイン集団に残ったうえにレース5位となり、ランキング2位に留まり年間ランキングのTOP3を維持することは出来た。
年間総合ポイントリーダー授与式では、年間総合ポイントランキングの上位3名が揃い特別賞を贈呈。来年は高校生となる宮嵜と宇田川は、中学校ともにNリーグも卒業となる。宇田川は「高校生になっても自転車レースで引き続き頑張ります」、宮嵜は「先ずは全日本選手権ロードレース出場を目指します」とコメント。そして来シーズンは中学3年生としてNリーグ続投する稲葉は「来シーズンは、もっと強い選手がリーグに参戦してくると思うので、負けないように頑張ります!」と力強いコメントをくれた。
この後、キッズの年齢別レースを挟んで12時6分にスタートしたのはQリーグ、そしてNリーグ中学生女子NWの対象レース「レディース」クラス。エントリー15名で5周回=7.5kmで争われたレースは、最初は選手達が拮抗し集団の動きが膠着した状態。
そんな状態から2周目に飛び出したのはNリーグの⻄山千智(High Ambition 女子サイクリングアカデミー)。「レースに参加出来たらいいなあ、と思い切って動いてみました」という彼女は、しばらくしてメイン集団に戻ったがチームに入り動きも覚え始めている様子なので、今後もリーグ対象レース参戦を通してさまざまな経験を積んでほしい。1つにまとまった集団から、筒井楓(SPORTSKID ZYYX)がアタックを仕掛けたり、古谷桜子(内房レーシングチーム)が積極的に集団の前に出るが、そのなかで落ち着いて様子を窺っていたのが岡本 彩那(ブラウ・ブリッツェン)。
「古谷さんと筒井さんが動いていて、ちょっと辛かったけど思い切って最終周回でアタックしたら上手くいきました」とゴールスプリントを決めてガッツポーズの岡本はレースを振り返りコメント。「いつも最後のアタックでタイミングが遅すぎる傾向があるので、落ち着いて少し早めに(アタックを)かけたら上手くいけました」とホッとした表情で、前戦の大磯クリテリウムで誓っていた「レース優勝を決めて年間リーダーを守り切りたい」の願いを叶え、笑顔を見せていた。
QリーグとNリーグ中学生女子NWの授与式では、10月から守り続けていたQリーグポイントリーダーの証・アメジストジャージ姿を堂々と披露する岡本の横で、初のバトルマリンジャージを緊張した面持ちで大会ゲストのマトリックスの小林海選手から受け取る⻄山。ブラウ・ブリッツェンで幼いころからチーム練習を重ねレース経験も豊富な岡本は、来シーズン高校2年生。「いろんなレースで1位を取りたいです!」と意気込みをみせてくれた。
来シーズン中学3年生となる⻄山は、Nリーグ続投について「強い選手についていって、最後までメイン集団で走れるようになりたいです」と目の前の目標をキチンと捉えていた。今後もリーグ対象大会では同じレースカテゴリーで走る機会も多いと思われる2人。ベテランの域に達している岡本の走りを⻄山が参考にできる機会も多いだろう。さらにレースでは岡本に続く2位に入った篠塚萠依(AVENTURA)は今シーズンのNリーグ中学生女子NWシリーズ戦で活躍を続け総合ポイントランキング2位となり、こちらも引き続き目が離せない存在となるだろう。
レディースレースの後には将来、競技者を目指す中学生・高校生向けの「ジュニア強化レース」が大会協賛社の提供で開催された。これは今大会にエントリーしていれば参加料は無料、年齢の近い同士が手合わせできる機会となり、積極的なレース展開となってこちらも会場を盛り上げていた。
3期目となった今シーズン、リーグシリーズ戦の設定と開催、そして対象レースでのリーグ登録選手達の熱い闘いと走りは観る人たちに、大きなレースでは隅に追いやられがちな「女子」そして「中学生・ジュニア」の存在を改めて示すし、自転車レースの未来を担う大事で重要な存在であると気づかせたはずだ。それはリーグ提携団体の主催レースにおいて女子やジュニア向けの企画が広がっていることでも証明されている。
今後はリーグの対象レースを広げることで登録する女子・ジュニアの活躍の場も広げていきながら、さらに多くの方々に日本自転車レースの面白さと楽しさを「エリート男子」以外の機会で知っていただけるよう活動を続けていきたい。そして、Q リーグ・N リーグのポイントリーダーの証・アメジストジャージとバトルマリンジャージを巡る熱い闘いは、来シーズン2023-2024も新たなドラマを作っていくだろう。引き続き4期目となるQリーグ・Nリーグにご注目ください!
photo:Yosuke SUGA, QNリーグ事務局
text:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
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