第81回パリ〜ニースは初日からアタックの応酬に。ヴィンゲゴーやポガチャルが仕掛けた第1ステージはスプリントに持ち込まれ、ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が勝利した。



フランスのラ・ヴェリエールで開幕した第81回パリ〜ニース photo:CorVos

ブエルタ・ア・アンダルシアを総合優勝したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
グラン・カミーニョを3戦全勝で総合優勝を飾ったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos


3月5日(日)にパリ近郊の街ラ・ヴェリエールで第81回パリ〜ニース(UCI2.UWT)が開幕した。翌日スタートするイタリアのティレーノ〜アドリアティコとともに春のヨーロッパを代表するステージレースとしての地位を築き上げた同大会は、その名の通り、パリ近郊から地中海沿岸のニースまで南下する8日間のステージレースだ。

平坦、丘陵、山岳ステージと様々なレイアウトがバランスよく詰め込まれていることから「ミニツール」と呼ばれ、今大会は3日目にチームタイムトライアルが登場。そのためグランツールを見据える総合系やクラシックレースを目指すスプリンター、パンチャーなど様々な脚質の選手が顔を並べた。

なかでも注目を集めるのがツール・ド・フランス覇者ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)と前王者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の競演だろう。共に開幕レースを総合優勝(共に区間3勝)と絶好調の2人は、大会4日目と7日目の山頂フィニッシュで直接対決に挑む。

ポール・ウルスラン(フランス、トタルエネルジー)ら2名が逃げグループを形成 photo:CorVos

逃げを残り31km地点で飲み込んだプロトン photo:CorVos

初日はラ・ヴェリエールに設定された84.7kmコースを2周する平坦ステージ。合計2度登坂する3級山岳(距離500m/平均11.6%)とフィニッシュ手前6kmのボーナスタイム付きの中間スプリント(距離1.5km/平均4.7%)がレースのアクセントとなった。

風が鳴りを潜めたこの日、ポール・ウルスラン(フランス、トタルエネルジー)とヨナス・グレゴー(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)の2人が逃げを打つ。しかし残り31km地点で捉えられ、チームメイトの高速牽引を得たニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が3級山岳でアタックした。

ジャパンカップ覇者の加速にポガチャルが反応する一方で、ヴィンゲゴーはこれを静観。吸収されたパウレスは再び飛び出したものの決まらず、緩斜面の頂上に設定された中間スプリントをポガチャルが先頭通過して-6秒を獲得する。ヴィンゲゴーは出遅れたため、両者間には初日のフィニッシュを待たず6秒の差がついた。

ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)のアタックにポガチャルが追従 photo:CorVos

初日を制したティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

この波状アタックを飲み込んだプロトンは、そのまま集団スプリントへと突入。ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)のリードアウトから発射されたサム・ベネット(アイルランド)は伸びず、代わって先頭に出たティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が強豪スプリンターを一蹴。ベルギーチャンピオンが初日の勝者に輝いた。

「チームメイトが僕を信じ、それがモチベーションに繋がった。仲間の走りに勝利で報いることができ、またこのライオンのぬいぐるみを息子にプレゼントできるから本当に嬉しいよ。完璧なリードアウトから完璧なタイミングでスプリントを開始することができた。素晴らしい気持ちだよ」とメルリールは喜びを表現した。

翌日はバゼンヴィルからフォンテーヌブローを目指す163.7km。起伏のないフラットステージゆえ、再び白熱の集団スプリントが予想される。

マイヨジョーヌを獲得し、その副賞であるライオンのぬいぐるみを獲得したティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

パリ〜ニース2023第1ステージ結果
1位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 3:50:52
2位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
4位 オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
5位 アルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)
6位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
7位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス)
8位 イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
9位 カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
10位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
個人総合成績
1位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 3:50:42
2位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) +0:04
3位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
4位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) +0:06
5位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)
6位 ドリアン・ゴドン(フランス、AG2Rシトロエン) +0:08
7位 オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +0:10
8位 アルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)
9位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
10位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス)
その他の特別賞
ポイント賞 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
山岳賞 ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)
ヤングライダー賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 トレック・セガフレード
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)