ヴォルタ・アン・アルガルヴェ第3ステージはガンナとフォスの新旧TT世界王者によるアタックが成功。小集団スプリントをマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が先着し、2日連続で勝利を掴んだ。



前日勝者でリーダージャージを着るマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

ポルトガル本土の最南端、アルガルヴェ地方を舞台とするヴォルタ・アン・アルガルヴェ(UCI2.Pro)第3ステージは、ファロからスペインとの国境沿いを進みタビラにフィニッシュする丘陵ステージ。序盤に2つの3級山岳をクリアし、細かなアップダウンを越えて残り約34kmは平坦路だ。

今大会最長距離である203.1kmコースで先行したのは、ポルトガル人選手を中心とした6名。初日も逃げに乗ったアレクサンドル・グリゴレフ(ロシア、アファペルサイクリング)が序盤の3級山岳2つをトップ通過して山岳ポイントを加算し、それを追うメイン集団はファビオ・ヤコブセン(オランダ)で勝利を狙うスーダル・クイックステップが中心となり牽引した。

大会再長距離の第3ステージで逃げた6名 photo:CorVos

プロトンはファビオ・ヤコブセン(オランダ)で勝利を狙うスーダル・クイックステップが牽引 photo:CorVos

大西洋沿いを進む残り32kmでプロトンは逃げを吸収し、ボーナスタイム付きの中間スプリントを前にトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を引き連れたフィリッポ・ガンナ(イタリア)がペースアップ。この動きに追従したリーダージャージを着るマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が先行して-6秒のボーナスタイムを獲得した。

コルトたちがプロトンに戻り大方の予想通り集団スプリントに持ち込まれると思われたが、ガンナとトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)という新旧TT世界王者を含む6名はそのまま突き進む。ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)やポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ)のいる先頭集団に対し、スーダル・クイックステップやボーラ・ハンスグローエ、UAEチームエミレーツが先頭でメイン集団を牽引したものの、スプリントに持ち込むことは叶わなかった。

中間スプリントでの争いをキッカケに先行したトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)ら6名 photo:CorVos

2日連続勝利を飾ったマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

猛追するメイン集団を振り切った6名のなかから、残り250mでコルトがロングスプリントを先んじて仕掛ける。ガンナやフォスが決死の追走を見せたものの、リーダージャージを着るコルトのスピードに敵う選手はいなかった。

「想定外の勝利。当初の予定はこのステージを楽にこなすことだった。たとえ集団スプリントに持ち込まれても参加するつもりはなかった。クイックステップが逃げとの差をタイトにコントロールしてくれたおかげで、ボーナスタイム付きの中間スプリントを争うことができた。そしたらイネオスとフォスが”このまま行こうぜ!”と声をかけ、僕もそのアイデアに同調したんだ。完璧なチームタイムトライアルだったよ(笑)」と、レースをコルトはレースを振り返った。

この日、中間スプリントと区間優勝で合計-16秒のボーナスタイムを獲得したコルトはリーダージャージのキープに成功。総合優勝の争いは最終山岳マルハオ山(距離2.5km/平均9.8%)にフィニッシュする翌第4ステージに持ち越された。

リーダージャージをキープしたマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2023第3ステージ結果
1位 マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) 5:05:14
2位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
3位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ)
5位 ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)
6位 ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
8位 トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)
9位 エドワルト・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
10位 ルイス・アスキー(イギリス、グルパマFDJ)
個人総合成績
1位 マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) 15:01:18
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) +0:18
3位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:20
4位 ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) +0:26
5位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
7位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) +0:27
8位 トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) +0:28
9位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
その他の特別賞
ポイント賞 マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
山岳賞 アントニオ・フェレイラ(ポルトガル、ケリー・シモルデスUDO)
ヤングライダー賞 フレデリク・ワンダール(デンマーク、ボーラ・ハンスグローエ)
チーム総合成績 EFエデュケーション・イージーポスト
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos