暑さ厳しい中東オマーンで開催中のツアー・オブ・オマーン。集団スプリントに持ち込まれた4日目をディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が制し、マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)が総合首位のまま最終日前日を終えた。



地元のコーヒーショップでスタートの準備を進める選手たち photo:CorVos

山岳地帯から北のオマーン湾に向って緩やかに下っていくツアー・オブ・オマーン(UCI.2.Pro)第4ステージ。今大会最長距離である204.9kmコースの終盤には3つの短い丘が設定され、フィニッシュ地点はイッティ・ヒルズ(距離1.7km/平均5.9%)の頂上だ。

総合成績変動が難しいであろうこの日は、ヨセフ・チェルニー(チェコ、スーダル・クイックステップ)が飛び出したものの逃げという逃げが決まらないままレースは進む。アタックと吸収を繰り返すなか、レース中盤にてようやく現U23世界王者エフゲニー・フェドロフ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)を含む4名の逃げが成立した。

この日逃げたエフゲニー・フェドロフ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)ら4名 photo:CorVos

オマーンの山岳地帯を進むプロトン photo:A.S.O.

アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)に追従するマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

最後から2つ目の山岳アル・ジサー(距離3.2km/平均5.4%)で逃げが引き戻されると、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・デスティニー)の牽引から若き総合エースのマキシム・ファンヒルス(ベルギー)がアタック。しかしこの動きを封じたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)が先頭で頂上を通過し、勝負は最終山岳イッティ・ヒルズ(距離1.7km/平均5.9%)に持ち込まれた。

山本大喜(JCL TEAM UKYO)を含む約40名のメイン集団の中から、スプリンターのパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)が虚を突くアタック。しかしこれは決まらず、コフィディスが先頭で最終ストレートに突入。クライマーやパンチャーたちによるスプリントバトルをディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が制した。

集団スプリントで先頭に立つディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

今季初勝利を飾ったディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

総合でも2位に浮上したディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) photo:A.S.O.

「シーズン最初の勝利だ。とても嬉しい。暑さのせいで序盤から苦しかったが、アッカーマンによる残り8kmのアタックやフォルモロのアシストが僕を勝利へと導いてくれた。チームとしてとても良い形でシーズンをスタートできたと思う」と、33歳のウリッシはプロ通算45勝目をそう喜んだ。

この結果マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)が総合首位をキープし、ウリッシは5秒差で総合2位にジャンプアップ。また山本は最終山岳で先頭集団に食らいつき、トップと同タイムの36位でフィニッシュしている。

大会最終日の第5ステージはジャバル・アルカイダ(距離5.7km/平均10%)の頂上で、区間優勝と共に第12代総合優勝者が決定する。

ツアー・オブ・オマーン2023第4ステージ結果
1位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 4:36:48
2位 アクセル・ジングレ(フランス、コフィディス)
3位 イーデ・スヘリング(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ヨルディ・ワルロップ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
5位 ルイス・ベンディクセン(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
6位 イエンセ・ビールマンス(ベルギー、アルケア・サムシック)
7位 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)
8位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)
9位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
10位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)
個人総合成績
1位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) 11:25:48
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:05
3位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
4位 ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン) +0:14
5位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー) +0:15
6位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) +0:16
7位 レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) +0:18
8位 ヴィクトル・ランゲロッティ(モナコ、ブルゴスBH)
9位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック)
その他の特別賞
ポイント賞 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
ヤングライダー賞 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
チーム総合成績 ボーラ・ハンスグローエ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos