武山晃輔(JCL TEAM UKYO)が逃げに乗ったツアー・オブ・オマーン第2ステージ。フィニッシュ手前に設定された10%勾配でヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)が勝利を掴み、総合首位に浮上した。



出走サインをするマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:CorVos

初日の集団スプリントで幕を開けたツアー・オブ・オマーン(UCI.2.Pro)は、ここから4日連続で登りフィニッシュが待ち受ける。第2ステージはサッカー&陸上競技場であるスルタン・カーブース・スポーツコンプレックスからクライヤトまでの174kmで、終盤にフィニッシュラインの引かれた距離2.6km/平均7.2%の登りを2度駆け上がる。前日に火花散らしたスプリンターには厳しい登りだが、クライマーだけでなくパンチャーにもチャンスがあるステージだ。

スタート直後に設定されたアル・ジャバル(距離3.7km/平均8.8%)の登りで勃発した激しいアタック合戦の末、武山晃輔(JCL TEAM UKYO)を含む6名が先頭として逃げる展開に。4分差をつけたこの逃げグループをアスタナ・カザフスタンとUAEチームエミレーツが中心となって追いかけた。

サウジ・ツアーに続き逃げに乗った武山晃輔(JCL TEAM UKYO) photo:CorVos

ひと塊のままクライヤトの登坂に入るプロトン photo:CorVos

サウジ・ツアーでも逃げに入った武山ら逃げ集団は残り24kmで吸収され、最後まで粘った2人も残り7kmでプロトンに飲み込まれる。そして23歳の若き総合エース、マキシム・ファンヒルス(ベルギー)を擁するロット・デスティニーやボーラ・ハンスグローエがペースを上げたメイン集団がクライヤトの登りに突入した。

勾配が10%に達する残り200mから腰を上げ、ライバルたちを一蹴したのはヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)だった。プロ13年目を迎えた32歳のエラダは切れ味鋭い登坂スプリントで、ファンヒルスやディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を引き離し勝利した。

今シーズン初勝利を挙げたヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) photo:CorVos

リーダージャージに袖を通したヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) photo:CorVos

「頂上付近に集団のまま来ることができれば、僕の勝機が高まると思っていた。チームによる良いアシストを受けることができ、それが勝利に繋がった。この大会は2019年に出場していたので、ある程度コースを知っていたことも勝利の要因の一つだ」と、区間優勝と共に緑色の総合リーダージャージに袖を通したエラダは語っている。

JCL TEAM UKYOからはベンジャミ・プラデス(スペイン)がメカトラで遅れたものの、小石祐馬が38位(24秒遅れ)、山本大喜が41位(25秒遅れ)でフィニッシュしている。
ツアー・オブ・オマーン2023第2ステージ結果
1位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) 4:21:07
2位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
4位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
5位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
6位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン) +0:03
7位 レミ・ロシャス(フランス、コフィディス) +0:05
8位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック)
9位 スタン・デウルフ(ベルギー、AG2Rシトロエン)
10位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
個人総合成績
1位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) 7:51:57
2位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー) +0:04
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:06
4位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:10
5位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
6位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン) +0:13
7位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:15
8位 レネルツ・テウヘルス(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)
9位 ニクラス・イー(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
10位 アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザフスタン)
その他の特別賞
ポイント賞 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
ヤングライダー賞 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)
チーム総合成績 ビンゴール・パウェルスソースWB
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos