ツアー・ダウンアンダー最終日と時を同じくして、ヨーロッパの2023年シーズンが開幕。スペイン・バレンシアを舞台にしたワンデーレースで20歳のアルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)が勝利した。



チームのエースとして欧州初戦に臨んだルカ・メズゲッツ(スロベニア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

クラシカ・コムニタ・バレンシアナ2023 image:Clàssica Comunitat Valenciana 1969 - Gran Premi València
1969年に初開催され、正式名称を「クラシカ・コムニタ・バレンシアナ1969・グランプリモ・バレンシア(UCI.1.1)」とするワンデーレースが1月22日に行われた。ヨーロッパシーズンの開幕戦と位置づけられる本レースの舞台は、その温暖な気候から多くのチームが合宿地として選ぶスペイン・バレンシア。新シーズンを占うべくモビスターやアルケア・サムシックなど5つのワールドチームを含む全17チームが集った。

コースはバレンシアから丘陵地帯を抜けてラ・ヌシアに向かう190km。中盤にバルクス(距離6km/平均5.6%)、残り40km地点からビクサウカ(距離17km/平均2.7%)という2つの丘が待ち受けるものの、どちらも低難易度のため集団スプリントに持ち込みたいワールドチームが展開を支配した。

時期早く実るバレンシア・オレンジ photo:CorVos

最終山岳ビクサウカを登るプロトン photo:CorVos

この日の逃げグループは、エオーロ・コメタのマッティア・バイス(フランス)を含む5名によって形成されたが、コフィディスが牽引するプロトンによってビクサウカの登坂で吸収。そのカウンターでマッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)やルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)ら5名が飛び出した。

小集団でフィニッシュラインを目指し突き進む5名だったが、今年からプロチームとして戦うロット・デスティニーがコントロールするプロトンにビクサウカの下りで飲み込まれる。残り3km地点からのコフィディスやモビスターなどによる散発的なアタックも実らないまま、勝負は大方の予想通り集団スプリントに持ち込まれた。

ロットのトレインを先頭に残り200mの最終コーナーを抜け、アルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)がスプリントを開始する。ヨナタン・ラストラ(スペイン、コフィディス)らの落車を尻目に、デリーの横からイエンセ・ビールマンス(ベルギー、アルケア・サムシック)が迫り、背後からエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー)が飛び出すタイミングを伺う。しかしそれらを上回るスピードを発揮したデリーが、ヨーロッパ開幕戦を制した。

プロ10勝目を飾ったアルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

表彰台:2位イエンセ・ビールマンス(ベルギー、アルケア・サムシック) 3位 、1位アルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)、3位エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー) photo:CorVos

「チームの働きによって常に展開をコントロールすることができた。だから勝利という結果でその走りに報い、シーズン初勝利をもたらすことができて嬉しい。最後の長い登りでも遅れなかったことが成長の証。良いシーズンの滑り出しとなったものの、僕はまだまだ勝利に飢えているよ」と、20歳と312日にしてプロ通算10勝目をマークしたデリーは語った。
クラシカ・コムニタ・バレンシアナ2023結果
1位 アルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー) 4:41:22
2位 イエンセ・ビールマンス(ベルギー、アルケア・サムシック)
3位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー)
4位 ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)
6位 アントニオ・ソト(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
7位 ゴツォン・マルティン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
8位 アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)
9位 ヴィクトル・ランゲロッティ(モナコ、ブルゴスBH)
10位 ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ジェイコ・アルウラー)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos