2022/11/29(火) - 18:31
11月23日に、モビリティリゾートもてぎにて開催された「もてぎ7時間エンデューロ2022 秋」。3年越しの開催となった人気の耐久レースに、雨にも負けない熱いサイクリストたちが全国から集まった。
Moto GPをはじめ、国際的なモーターレースの舞台として用いられてきたモビリティリゾートもてぎ。そのモビリティリゾートという名の通り、国内でもトップクラスの規模を誇るサーキットを中心に、グランピングや空中アスレチックなど、さまざまなアクティビティを楽しめるスポットとして人気を集めている。
そんなモビリティリゾートもてぎを舞台とした人気サイクルイベントが「もてぎ7時間エンデューロ」だ。例年、春大会と秋大会の2大会が開催され、それぞれの多くのチームが集まる耐久レースとして歴史を重ねてきた。しかし、このコロナ禍で2年間にわたり開催中止に追い込まれてきた。他の多くのイベントも置かれた状況は同じだったが、年2回開催ということもあり、その喪失感も2倍に感じられたのではないだろうか。
そんなもてぎ7時間エンデューロがついに3年ぶりに帰ってきた。冬の足音もすぐそこまで迫ってきた11月23日、夜も明けきらない頃からモビリティリゾートもてぎのゲートに参加者の車が列を形成している。非常に広大な会場だけに、出来るだけ近い位置に駐車したいというのが誰しもが思うところ。便利な駐車スペースを確実に確保したい参加者のために、メイン会場至近を割り当てられたプレミアム駐車券も用意されている。
暗いうちから受付も開始され、夜明けとほぼ同時にコース試走タイムに。前回大会の参加者でも、このコースを走ったのは3年前となるわけで、しっかりとコースの状況を把握する必要がある。しかも、今回は残念なことに雨模様。ウェット路面での限界をしっかり把握しておくためにも、試走はマストだ。
試走時間も終われば、いよいよレース種目の始まりだ。まずは、日本のサイクリングの未来を担う子供たちが主役のキッズレースからもてぎ7時間エンデューロは始まる。雨がしとしと降る中でも、やる気に満ちた子供たちがスタートラインに集合した。
そんな彼らを待ってくれていたのは超豪華なゲストライダー達。宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼン、マトリックスパワータグ、さいたまディレーブといった国内プロチームの選手らに加え、日本で初めてツールを走ったレジェンドの今中大介さんと、日本人最多のツール出場記録を持つ新城幸也選手がスタートを待つキッズをお出迎え。中でも、東京五輪選手でもある新城選手が、同日に開催されたオリンピックレガシーイベントではなく、このもてぎに参加しているというのはかなりのサプライズ。新城選手のもてぎ7時間エンデューロへの思いが伝わってくるというものだ。
年齢ごとに3つの距離に分けられた子供たちのレースだが、どのクラスも真剣勝負。スタートから飛び出す選手の勢いが良すぎてゲストライダーが抜かされてしまう瞬間もあるほど、キッズたちの走りは大人の予想を超えていた。この中から、今中さん、そして新城選手に続くレーサーが出てきてほしいと、そう思わされる。
子ども達の真剣勝負が終われば、次は大人たちの時間。タイトルレースでもある7時間エンデューロ、そして4時間エンデューロの参加者たちがホームストレートにズラリと整列。キッズレースに引き続き、前方をゲストライダーが固める。
雨にも負けず、流行り病にも負けず、再びもてぎに集まったサイクリストたち。3年の時を経て、9時ちょうど鳴らされた号砲と共に走り出した。
マヴィックカー先導によるパレードランを終え、再びホームストレートに帰ってきた集団から先導車が外れ、リアルスタートが切られると一気にペースが上がる。特に最初は安全面からも集団の密度を下げるため、サポートライダーも積極的にペースアップを図っている。
サーキットとしても高規格で、広いコース幅と綺麗な路面を持つもてぎは、雨でも走りやすいコースであるが、こういった細かな取り組みが落車を防ぎ、皆さんが無事に家へと帰れる安心安全な大会へと繋がっているのだ。ちなみに長大なコースには、立哨ポストにしっかり人員が配置されており、万一のトラブル時にも迅速に発見、対応が出来る体制も整えられている。
アップダウンに富んだコースは、周回を重ねるごとに走力が問われるレイアウト。前半は一気に標高を上げる直登区間と、大きく蛇行しながら下るダウンヒルが続き、後半は緩斜面のストレートが連続する。前半では出来るだけセーブしたいところだが、後半は集団の利を活かしたい、ペース配分の難しいコースでもある。
雨の中、そんな攻略しがいのあるコースを走り続ける参加者たち。ピットで仲間の帰りを待つチーム参加の皆さんも、身体を冷やさないための防寒対策もばっちりだ。走り終わったらしっかりと身体を拭いて、乾いたウエアに着替えて次の出番に備えよう。
ピットエリアの側には、マヴィックやインターマックス、チャンピオンシステム、シュアラスターやヴィプロスといったブランドが出展するブースエリアも。それぞれ自慢の製品を展示したり、販売したり、様々なサービスが受けられたりと、会場を盛り上げるのに余念が無い。
レースの合間には、新城選手によるトークショーがMCブースで繰り広げられたほか、サイン会も開催。色紙はもちろん、スマホやバイクなど愛用のものにサインをもらう方も。ファンのみなさんにとっては、とても充実したひと時となったのではないだろうか。
そうこうしているうちに、4時間エンデューロの参加者たちがフィニッシュ。次々に参加者たちがコースから離れていき、しばらく7時間エンデューロの参加者のみが走る時間に。集団が小さくなるため、7時間の参加者にとってはこの時間帯が最も厳しいタイミングだろう。
しかしそれもつかの間。しばらくすると2時間エンデューロの参加者たちが再びコースイン。2時間エンデューロは初心者もウエルカムなカテゴリーとなっており、希望者には事前に集団での走り方を教えてもらう講習会も開催されている。このクリニックは那須ブラーゼンの若杉代表らが講師を務め、座学と実走行を織り交ぜた実戦的な内容。集団走行が初めてという参加者向け、ということになっているが、よほどの上級者でもない限り受講してソンは無い企画となっている。
フレッシュな2時間エンデューロがスタートすると、コース上も再び活性化。大きめの集団もいくつかでき、走りやすくなるはずだ。レース中にも、新城選手をはじめとしたゲストライダーは走ってくれており、実際に彼らの走り方を間近に見れるだけでなく、話かけることも可能。レース開始当初はペースメイクをするのに専念していたゲストライダーも、状況が落ち着いた頃合いには各集団にバラけてくれるので、コミュニケーションを取るならそのあたりがオススメだ。
だんだんと日が傾きはじめ、山の向こうに太陽が隠れる頃合いで、7時間エンデューロと2時間エンデューロもフィナーレを迎える。ライトで照らされたホームストレートに、一日走り切った参加者たちが続々と帰還。フィニッシュラインを越える皆さんが浮かべる、達成感と疲労感が程よく綯交ぜになった表情は、耐久レースのフィニッシュシーンならではの光景だ。
3年ぶりの開催となった今大会は、表彰カテゴリーも大幅に拡大。チームやソロの上位だけでなく、5歳刻みの年代別や、企業対抗賞、ショップ対抗賞なども用意されている。また、制限時間と同時にフィニッシュに飛び込んだピタリ賞も初開催。脚力が無くとも、表彰台に上るチャンスを開いてくれるのは、ファンライダーにとってはうれしい仕掛けだろう。
夜明け前から日が落ちるまで、秋の1日をフルに楽しんだもてぎ7時間エンデューロ。きっと来年は、春大会も開催されるハズ。また再び、このもてぎのコースがサイクリストで埋め尽くされる日が楽しみだ。
text&photo:Naoki Yasuoka
Moto GPをはじめ、国際的なモーターレースの舞台として用いられてきたモビリティリゾートもてぎ。そのモビリティリゾートという名の通り、国内でもトップクラスの規模を誇るサーキットを中心に、グランピングや空中アスレチックなど、さまざまなアクティビティを楽しめるスポットとして人気を集めている。
そんなモビリティリゾートもてぎを舞台とした人気サイクルイベントが「もてぎ7時間エンデューロ」だ。例年、春大会と秋大会の2大会が開催され、それぞれの多くのチームが集まる耐久レースとして歴史を重ねてきた。しかし、このコロナ禍で2年間にわたり開催中止に追い込まれてきた。他の多くのイベントも置かれた状況は同じだったが、年2回開催ということもあり、その喪失感も2倍に感じられたのではないだろうか。
そんなもてぎ7時間エンデューロがついに3年ぶりに帰ってきた。冬の足音もすぐそこまで迫ってきた11月23日、夜も明けきらない頃からモビリティリゾートもてぎのゲートに参加者の車が列を形成している。非常に広大な会場だけに、出来るだけ近い位置に駐車したいというのが誰しもが思うところ。便利な駐車スペースを確実に確保したい参加者のために、メイン会場至近を割り当てられたプレミアム駐車券も用意されている。
暗いうちから受付も開始され、夜明けとほぼ同時にコース試走タイムに。前回大会の参加者でも、このコースを走ったのは3年前となるわけで、しっかりとコースの状況を把握する必要がある。しかも、今回は残念なことに雨模様。ウェット路面での限界をしっかり把握しておくためにも、試走はマストだ。
試走時間も終われば、いよいよレース種目の始まりだ。まずは、日本のサイクリングの未来を担う子供たちが主役のキッズレースからもてぎ7時間エンデューロは始まる。雨がしとしと降る中でも、やる気に満ちた子供たちがスタートラインに集合した。
そんな彼らを待ってくれていたのは超豪華なゲストライダー達。宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼン、マトリックスパワータグ、さいたまディレーブといった国内プロチームの選手らに加え、日本で初めてツールを走ったレジェンドの今中大介さんと、日本人最多のツール出場記録を持つ新城幸也選手がスタートを待つキッズをお出迎え。中でも、東京五輪選手でもある新城選手が、同日に開催されたオリンピックレガシーイベントではなく、このもてぎに参加しているというのはかなりのサプライズ。新城選手のもてぎ7時間エンデューロへの思いが伝わってくるというものだ。
年齢ごとに3つの距離に分けられた子供たちのレースだが、どのクラスも真剣勝負。スタートから飛び出す選手の勢いが良すぎてゲストライダーが抜かされてしまう瞬間もあるほど、キッズたちの走りは大人の予想を超えていた。この中から、今中さん、そして新城選手に続くレーサーが出てきてほしいと、そう思わされる。
子ども達の真剣勝負が終われば、次は大人たちの時間。タイトルレースでもある7時間エンデューロ、そして4時間エンデューロの参加者たちがホームストレートにズラリと整列。キッズレースに引き続き、前方をゲストライダーが固める。
雨にも負けず、流行り病にも負けず、再びもてぎに集まったサイクリストたち。3年の時を経て、9時ちょうど鳴らされた号砲と共に走り出した。
マヴィックカー先導によるパレードランを終え、再びホームストレートに帰ってきた集団から先導車が外れ、リアルスタートが切られると一気にペースが上がる。特に最初は安全面からも集団の密度を下げるため、サポートライダーも積極的にペースアップを図っている。
サーキットとしても高規格で、広いコース幅と綺麗な路面を持つもてぎは、雨でも走りやすいコースであるが、こういった細かな取り組みが落車を防ぎ、皆さんが無事に家へと帰れる安心安全な大会へと繋がっているのだ。ちなみに長大なコースには、立哨ポストにしっかり人員が配置されており、万一のトラブル時にも迅速に発見、対応が出来る体制も整えられている。
アップダウンに富んだコースは、周回を重ねるごとに走力が問われるレイアウト。前半は一気に標高を上げる直登区間と、大きく蛇行しながら下るダウンヒルが続き、後半は緩斜面のストレートが連続する。前半では出来るだけセーブしたいところだが、後半は集団の利を活かしたい、ペース配分の難しいコースでもある。
雨の中、そんな攻略しがいのあるコースを走り続ける参加者たち。ピットで仲間の帰りを待つチーム参加の皆さんも、身体を冷やさないための防寒対策もばっちりだ。走り終わったらしっかりと身体を拭いて、乾いたウエアに着替えて次の出番に備えよう。
ピットエリアの側には、マヴィックやインターマックス、チャンピオンシステム、シュアラスターやヴィプロスといったブランドが出展するブースエリアも。それぞれ自慢の製品を展示したり、販売したり、様々なサービスが受けられたりと、会場を盛り上げるのに余念が無い。
レースの合間には、新城選手によるトークショーがMCブースで繰り広げられたほか、サイン会も開催。色紙はもちろん、スマホやバイクなど愛用のものにサインをもらう方も。ファンのみなさんにとっては、とても充実したひと時となったのではないだろうか。
そうこうしているうちに、4時間エンデューロの参加者たちがフィニッシュ。次々に参加者たちがコースから離れていき、しばらく7時間エンデューロの参加者のみが走る時間に。集団が小さくなるため、7時間の参加者にとってはこの時間帯が最も厳しいタイミングだろう。
しかしそれもつかの間。しばらくすると2時間エンデューロの参加者たちが再びコースイン。2時間エンデューロは初心者もウエルカムなカテゴリーとなっており、希望者には事前に集団での走り方を教えてもらう講習会も開催されている。このクリニックは那須ブラーゼンの若杉代表らが講師を務め、座学と実走行を織り交ぜた実戦的な内容。集団走行が初めてという参加者向け、ということになっているが、よほどの上級者でもない限り受講してソンは無い企画となっている。
フレッシュな2時間エンデューロがスタートすると、コース上も再び活性化。大きめの集団もいくつかでき、走りやすくなるはずだ。レース中にも、新城選手をはじめとしたゲストライダーは走ってくれており、実際に彼らの走り方を間近に見れるだけでなく、話かけることも可能。レース開始当初はペースメイクをするのに専念していたゲストライダーも、状況が落ち着いた頃合いには各集団にバラけてくれるので、コミュニケーションを取るならそのあたりがオススメだ。
だんだんと日が傾きはじめ、山の向こうに太陽が隠れる頃合いで、7時間エンデューロと2時間エンデューロもフィナーレを迎える。ライトで照らされたホームストレートに、一日走り切った参加者たちが続々と帰還。フィニッシュラインを越える皆さんが浮かべる、達成感と疲労感が程よく綯交ぜになった表情は、耐久レースのフィニッシュシーンならではの光景だ。
3年ぶりの開催となった今大会は、表彰カテゴリーも大幅に拡大。チームやソロの上位だけでなく、5歳刻みの年代別や、企業対抗賞、ショップ対抗賞なども用意されている。また、制限時間と同時にフィニッシュに飛び込んだピタリ賞も初開催。脚力が無くとも、表彰台に上るチャンスを開いてくれるのは、ファンライダーにとってはうれしい仕掛けだろう。
夜明け前から日が落ちるまで、秋の1日をフルに楽しんだもてぎ7時間エンデューロ。きっと来年は、春大会も開催されるハズ。また再び、このもてぎのコースがサイクリストで埋め尽くされる日が楽しみだ。
text&photo:Naoki Yasuoka
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