2022/11/21(月) - 08:49
2020東京五輪が開催された伊豆・修善寺の日本CSCのMTBコースで開催されたMTBクロスカントリー全日本選手権。女子エリート優勝は末政実緒(SANTA CRUZ/ヨツバサイクル)。U23混走でエリートを上回る走りでの総合トップは怪我を押して走り続けた小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)だった。
レース会場は東京オリンピックのレガシーとして常設となった静岡県伊豆市・修善寺の日本サイクルスポーツセンターにある伊豆MTBコース。女子エリートと女子U23は混走の1レースとなり、エリート・5人、U23・3人の8人出走のレースとなった。
エントリーリスト上の優勝候補は今年エリートに上がった矢吹優夏(NESTO FACTORY RACING)だが、このコースで10月に開催されたジャパン・マウンテンバイク・カップの試走中に転倒・負傷したために不出走を決めている。U23を含め走力では小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が飛び抜けているが、レースを面白くしたのは末政実緒(SANTA CRUZ/ヨツバサイクル)の参戦だった。
今年はクロスカントリーのレースを走る予定は無かったが、「このコースでぜひ走って欲しい」という周囲の声を受けて参戦を決めた末政。言わずと知れたMTBトライアルとダウンヒルをルーツにもつレジェンドライダーで、2004年の世界選手権ダウンヒルの銀メダリスト。全日本選手権ダウンヒルは2000年から17連覇しているほか、2013年からはクロスカントリーにも参戦し、2015・2016年の2度全日本チャンピオンにも輝いている。
「ワールドクラスのテクニックをもつ末政が、この難コースをどう走るのか観てみたい」 そうした期待の声が出場を後押ししたかたちだ。
先に行われた男子ジュニア&ユースレースの終盤から降り出した雨は、小降りながらもコースを濡らし、難易度を徐々に上げていった。飛び出した小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)はすぐに独走に入り、走り出した8人の差もすぐに広がり、ディフェンディングチャンピオンの橋口陽子(AXteam elite)は滑りやすい岩の路面に苦戦する展開に。
1周目から独走に入った小林だが、1周め後半の岩盤と土の組み合わされた激下り「枯山水」で滑ってクラッシュ。顔面から岩に落ちるアクシデントに襲われる。前歯が折れる怪我を負いながらも再出走した小林は、血を流しながらも周囲の制止の声に耳を貸さずにレースを走り続けた。
他に誰も乗車でクリアできない枯山水でテクニックを披露したのが末政。トライアルのようにバイクを操り、ホップやジャンプを織り交ぜながら華麗にクリア。そして巨大な岩が連続する浄蓮の滝でもあえて難しいラインを通り、観客を沸かせた。ドライコンディションであっても難しい、空中のラインを繋ぐような難セクションを次々とクリアしていく。
スタートで最後尾近くだった末政は見る間に順位を上げるが、しかしそれでもトップを独走する小林との差は開き続けた。気迫あふれる走りを披露してトップフィニッシュした小林あか里がエリート含めた総合1位とU23チャンピオンに。
小林は歓喜のフィニッシュでレースを終えると路面に倒れ込み、その時初めて痛みを感じたかのように泣きだした。手に骨折の疑いもあり、そのまま病院へと搬送された。
小林から10分遅れでフィニッシュした2位末政実緒が、女子エリートのトップフィニッシュ。今は家庭を優先するママ選手。サポートしてくれた夫と子どもたちに迎えられ、クロスカントリーでは3度めの全日本チャンピオンに。
「ただでさえ難しいコースが雨と泥で笑っちゃうほど難しくなりました。皆さんの『ここで走る姿を観てみたい』の声に押されて出場したレースでしたから、難しいセクションでも無理してトライアル的にチャレンジして、楽しく走ることができました。楽しんだことで少し遅くなってるかも知れないですが」と末政は笑う。
エリート2位は橋口陽子(AXteam elite)、3位 平田千枝(Club La.sista Offroad Team)
。4位の早瀨久美(日本ろう自転車競技協会)までが完走。全体の3位でフィニッシュした松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED)がU23の2位に。
レース会場は東京オリンピックのレガシーとして常設となった静岡県伊豆市・修善寺の日本サイクルスポーツセンターにある伊豆MTBコース。女子エリートと女子U23は混走の1レースとなり、エリート・5人、U23・3人の8人出走のレースとなった。
エントリーリスト上の優勝候補は今年エリートに上がった矢吹優夏(NESTO FACTORY RACING)だが、このコースで10月に開催されたジャパン・マウンテンバイク・カップの試走中に転倒・負傷したために不出走を決めている。U23を含め走力では小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が飛び抜けているが、レースを面白くしたのは末政実緒(SANTA CRUZ/ヨツバサイクル)の参戦だった。
今年はクロスカントリーのレースを走る予定は無かったが、「このコースでぜひ走って欲しい」という周囲の声を受けて参戦を決めた末政。言わずと知れたMTBトライアルとダウンヒルをルーツにもつレジェンドライダーで、2004年の世界選手権ダウンヒルの銀メダリスト。全日本選手権ダウンヒルは2000年から17連覇しているほか、2013年からはクロスカントリーにも参戦し、2015・2016年の2度全日本チャンピオンにも輝いている。
「ワールドクラスのテクニックをもつ末政が、この難コースをどう走るのか観てみたい」 そうした期待の声が出場を後押ししたかたちだ。
先に行われた男子ジュニア&ユースレースの終盤から降り出した雨は、小降りながらもコースを濡らし、難易度を徐々に上げていった。飛び出した小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)はすぐに独走に入り、走り出した8人の差もすぐに広がり、ディフェンディングチャンピオンの橋口陽子(AXteam elite)は滑りやすい岩の路面に苦戦する展開に。
1周目から独走に入った小林だが、1周め後半の岩盤と土の組み合わされた激下り「枯山水」で滑ってクラッシュ。顔面から岩に落ちるアクシデントに襲われる。前歯が折れる怪我を負いながらも再出走した小林は、血を流しながらも周囲の制止の声に耳を貸さずにレースを走り続けた。
他に誰も乗車でクリアできない枯山水でテクニックを披露したのが末政。トライアルのようにバイクを操り、ホップやジャンプを織り交ぜながら華麗にクリア。そして巨大な岩が連続する浄蓮の滝でもあえて難しいラインを通り、観客を沸かせた。ドライコンディションであっても難しい、空中のラインを繋ぐような難セクションを次々とクリアしていく。
スタートで最後尾近くだった末政は見る間に順位を上げるが、しかしそれでもトップを独走する小林との差は開き続けた。気迫あふれる走りを披露してトップフィニッシュした小林あか里がエリート含めた総合1位とU23チャンピオンに。
小林は歓喜のフィニッシュでレースを終えると路面に倒れ込み、その時初めて痛みを感じたかのように泣きだした。手に骨折の疑いもあり、そのまま病院へと搬送された。
小林から10分遅れでフィニッシュした2位末政実緒が、女子エリートのトップフィニッシュ。今は家庭を優先するママ選手。サポートしてくれた夫と子どもたちに迎えられ、クロスカントリーでは3度めの全日本チャンピオンに。
「ただでさえ難しいコースが雨と泥で笑っちゃうほど難しくなりました。皆さんの『ここで走る姿を観てみたい』の声に押されて出場したレースでしたから、難しいセクションでも無理してトライアル的にチャレンジして、楽しく走ることができました。楽しんだことで少し遅くなってるかも知れないですが」と末政は笑う。
エリート2位は橋口陽子(AXteam elite)、3位 平田千枝(Club La.sista Offroad Team)
。4位の早瀨久美(日本ろう自転車競技協会)までが完走。全体の3位でフィニッシュした松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED)がU23の2位に。
MTB全日本選手権2022 XCO女子レース 結果
女子エリート | ||
1位 | 末政実緒(SANTA CRUZ/ヨツバサイクル) | 1:28:34.56 |
2位 | 橋口陽子(AXteam elite) | +3:57.73 |
3位 | 平田千枝(Club La.sista Offroad Team) | -1Lap |
4位 | 早瀨久美(日本ろう自転車競技協会) | -2Lap |
女子U23 | ||
1位 | 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 1:17:52.86 |
2位 | 松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED) | +18:55.42 |
3位 | 浜下玲音(TEAM BG8) | -1Lap |
text&photo:Makoto AYANO
Amazon.co.jp