2022/11/10(木) - 18:31
11月6日のさいたまクリテリウムにて、今年7月に獲得したマイヨジョーヌを披露したヨナス・ヴィンゲゴー。母国デンマークでの練習環境や、世界屈指の強豪チームとなったユンボ・ヴィスマについて話を聞いた。
惜しくも2位でさいたまクリテリウムを終えたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)は、本番当日、分刻みのスケジュールで動いていた。繰り返されるインタビューや記念撮影、サインにイベント、そしてクリテリウムメインレース。しかしヴィンゲゴーは、そんな中でも嫌な顔一つすることなく、スタッフやファンの目をまっすぐ見つめ応じていた。
そんなヴィンゲゴーに、ほんの数分ではあったものの、デンマーク自転車界や所属するユンボ・ヴィスマの強さの理由について語ってもらった。
「ここ数年、ユンボは強くなっていくばかり。特に今年はチームとして最高のシーズンになったと言える」。ワールドチームの中で今年、トップタイとなるシーズン48勝をマークしたユンボ・ヴィスマは、ヴィンゲゴーの言葉通り過去最高のシーズンとなった。特にツール・ド・フランスでは総合優勝はもちろん、マイヨヴェール(ポイント賞)を獲得したワウト・ファンアールト(ベルギー)とクリストフ・ラポルト(フランス)で区間6勝と大成功となる結果を得た。
年々を増していくチーム力の要因を尋ねると「いままでの積み重ねが実を結んだ結果だろう」と答えたヴィンゲゴー。更に「(チームによる取り組みは)細部まで計算されているんだ。本当に細かいところまでね」と語る。
その徹底ぶりは”マージナルゲイン”を合言葉に長らく自転車界を席巻したイネオス・グレナディアーズ(かつてのチームスカイ)を上回ると、イネオスからユンボに移ったローハン・デニス(オーストラリア)は証言している。また「しばらくユンボの時代は続くだろう」とも。
もちろんヴィンゲゴー自身も、チームによる”細かな積み重ね”の恩恵を受けた一人。例えばレース前に極度の緊張のあまり嘔吐し、プレッシャーが掛かると睡眠や食欲が減退するヴィンゲゴーを、チームはメンタルを安定させるトレーニングやコーチングを実施する学校へと送り、改善させた過去がある。
また、ヴィンゲゴーは「あとチーム皆の仲が良いことも強さの理由。それが良いチームの条件だからね」と付け加えた。
今年10月のジャパンカップで「デンマークの強さの理由」について話を聞いたヨハン・プリースパイタースン(バーレーン・ヴィクトリアス)と、かつてチームメイトだったヴィンゲゴー。同じ質問を投げかけると「デンマークのコンチネンタルチームが素晴らしい活動をして、若手育成に成功しているから。例えば僕の所属していたコロクイックも育成に最大限の力を注いでいた」と答えてくれた。
先のプリースパイタースンが、デンマーク人の強さの秘訣を「情報共有」であると言う一方で、ヴィンゲゴーは若手選手との交流がほとんどないのだという。「なぜなら僕が暮らすスキーべにはあまり選手がいないからね。もちろん近くに選手がいれば共に走りたいが、わざわざ100kmの道のりをかけてまでする必要性は感じない(笑)。それにトレーニング合宿ではずっと誰かと走っているので、デンマークで1人で走るのも悪くないからね」。
10月に発表された2023年のジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスのコース全貌。ジロには個人タイムトライアルが3ステージ(合計距離70.6km)登場する一方で、ツールは登り基調の個人TTが1つ(距離22km)と極めて対照的なコースとなった。
注目されるのはヴィンゲゴーが2連覇を狙うべくツールに出場するか、ジロ初制覇を狙うか、あるいはその両方か。直接ヴィンゲゴーに尋ねると「まだ決まっていない。この後すぐに話し合う予定だ」と、言いながらも「僕の望みは(ツールに)戻り2連覇を狙うことだが、違った興味(ジロ・デ・イタリア)があるのも事実」と明言を避けた。
ユンボ・ヴィスマは新シーズンが始まる直前の12月や1月に、ジロやツールに臨む主要メンバーの発表が通例となっている。そのためヴィンゲゴーの言葉通り、今後数ヶ月の間に明らかになることだろう。
text:Sotaro.Arakawa
惜しくも2位でさいたまクリテリウムを終えたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)は、本番当日、分刻みのスケジュールで動いていた。繰り返されるインタビューや記念撮影、サインにイベント、そしてクリテリウムメインレース。しかしヴィンゲゴーは、そんな中でも嫌な顔一つすることなく、スタッフやファンの目をまっすぐ見つめ応じていた。
そんなヴィンゲゴーに、ほんの数分ではあったものの、デンマーク自転車界や所属するユンボ・ヴィスマの強さの理由について語ってもらった。
「ここ数年、ユンボは強くなっていくばかり。特に今年はチームとして最高のシーズンになったと言える」。ワールドチームの中で今年、トップタイとなるシーズン48勝をマークしたユンボ・ヴィスマは、ヴィンゲゴーの言葉通り過去最高のシーズンとなった。特にツール・ド・フランスでは総合優勝はもちろん、マイヨヴェール(ポイント賞)を獲得したワウト・ファンアールト(ベルギー)とクリストフ・ラポルト(フランス)で区間6勝と大成功となる結果を得た。
年々を増していくチーム力の要因を尋ねると「いままでの積み重ねが実を結んだ結果だろう」と答えたヴィンゲゴー。更に「(チームによる取り組みは)細部まで計算されているんだ。本当に細かいところまでね」と語る。
その徹底ぶりは”マージナルゲイン”を合言葉に長らく自転車界を席巻したイネオス・グレナディアーズ(かつてのチームスカイ)を上回ると、イネオスからユンボに移ったローハン・デニス(オーストラリア)は証言している。また「しばらくユンボの時代は続くだろう」とも。
もちろんヴィンゲゴー自身も、チームによる”細かな積み重ね”の恩恵を受けた一人。例えばレース前に極度の緊張のあまり嘔吐し、プレッシャーが掛かると睡眠や食欲が減退するヴィンゲゴーを、チームはメンタルを安定させるトレーニングやコーチングを実施する学校へと送り、改善させた過去がある。
また、ヴィンゲゴーは「あとチーム皆の仲が良いことも強さの理由。それが良いチームの条件だからね」と付け加えた。
今年10月のジャパンカップで「デンマークの強さの理由」について話を聞いたヨハン・プリースパイタースン(バーレーン・ヴィクトリアス)と、かつてチームメイトだったヴィンゲゴー。同じ質問を投げかけると「デンマークのコンチネンタルチームが素晴らしい活動をして、若手育成に成功しているから。例えば僕の所属していたコロクイックも育成に最大限の力を注いでいた」と答えてくれた。
先のプリースパイタースンが、デンマーク人の強さの秘訣を「情報共有」であると言う一方で、ヴィンゲゴーは若手選手との交流がほとんどないのだという。「なぜなら僕が暮らすスキーべにはあまり選手がいないからね。もちろん近くに選手がいれば共に走りたいが、わざわざ100kmの道のりをかけてまでする必要性は感じない(笑)。それにトレーニング合宿ではずっと誰かと走っているので、デンマークで1人で走るのも悪くないからね」。
10月に発表された2023年のジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスのコース全貌。ジロには個人タイムトライアルが3ステージ(合計距離70.6km)登場する一方で、ツールは登り基調の個人TTが1つ(距離22km)と極めて対照的なコースとなった。
注目されるのはヴィンゲゴーが2連覇を狙うべくツールに出場するか、ジロ初制覇を狙うか、あるいはその両方か。直接ヴィンゲゴーに尋ねると「まだ決まっていない。この後すぐに話し合う予定だ」と、言いながらも「僕の望みは(ツールに)戻り2連覇を狙うことだが、違った興味(ジロ・デ・イタリア)があるのも事実」と明言を避けた。
ユンボ・ヴィスマは新シーズンが始まる直前の12月や1月に、ジロやツールに臨む主要メンバーの発表が通例となっている。そのためヴィンゲゴーの言葉通り、今後数ヶ月の間に明らかになることだろう。
text:Sotaro.Arakawa
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