2022/09/14(水) - 15:33
7月にドイツのフランクフルトで開催されたユーロバイクで様々な新製品が発表された。そこで登場した新製品などがこの時期の国内ショップ向け展示会でお披露目され始めている。インターテックも9月上旬に展示会を開き、新たな製品を販売店スタッフに紹介した。
インターテックといえばベルを中心に、ワフー、ブラックバーン、ステージズサイクリング、ティフォージオプティクスなどアメリカンブランドに強い代理店。ラインアップはアドベンチャーやツーリングなどで活躍してくれるアイテムやバッグ類が充実しつつ、フィットネスやアスリート向けの製品のバラエティに富んでいるていることが特徴だ。
展示会場を足を運び入れて正面で待ち構えてたのはベルの大きな展示ラック。非常に多くのヘルメットが並ぶ中で、注目したいのが今年の春先に発表された新型フラッグシップ"XR"だ。全国のショップで試着キャンペーンが順次開催されていることもあり、手にとって確認したことのある方もいるだろう。
改めて紹介すると、XRはロードレースやサイクリングだけではなく、グラベルやアドベンチャー、ちょっとしたMTBクロスカントリーライディングに適したマルチユースのフラッグシップモデル。これまでの伝統的なロードサイクリングを超えて、あらゆるシチュエーションにフィットするデザインは、自転車で様々な遊び方を楽しむ方にマッチするだろう。
XRの特徴はロードレーシングヘルメットよりも後頭部のカバー範囲が広いシェル造形と、MIPS SPHERICALという最新のテクノロジーだ。MIPS SPHERICALというのは、ヘルメットのインナーシェルを二重構造とし、ヘルメットが回転衝撃を受けた際に外と内のシェルが滑るように設計されたもの。ヘルメットの滑りが肝であり、脳内へと到達する衝撃を吸収し、脳震盪などのリスクを低減させることが可能となっている。
ベルは、同じ会社の別ブランドであるジロと共用する研究開発施設DOMEにて世界で数台しかないMIPS用の試験機にてテストが繰り返されているという。さらに自動車の試験装置を開発している会社と共同開発した振り子式試験機も導入し、MIPSの性能評価を行なっているのだとか。その施設でテストが行われるヘルメットは1万個にものぼるという。
数多の試験を行ったことでベルはMIPS搭載モデルは未搭載と比較して10%は衝撃管理能力に優れると、今回の展示会に訪れた本国の担当エリックさんは言う。また、ヘルメットの性能評価は非常に多くの要因に左右されやすいが、先述したように膨大な数の試験を経て、MIPS搭載ヘルメットの性能を評価したのだという。
MIPS SPHERICALはシェル自体をMIPSとすることで、風の通り道となるシェル内部の溝や、フィット性を犠牲にすることなく、MIPSの性能を引き出していることが特徴でもある。加えて、シェルの外と内側でEPSフォームの密度を変更することで、単純な衝撃吸収能力も最適化が行われている。安全に配慮したMIPSテクノロジーは登場してから10年ほどだが、アメリカではほとんどがMIPS搭載モデルに移行しているのだとか。
また、ベルはXRのデザインを踏襲したミドルグレードFALCON XRをこの展示会でお披露目した。どのようなライドスタイルにもフィットするシンプルな造形とされており、あらゆるサイクリストのコーディネートにマッチしてくれるだろう。
FALCON XRももちろんMIPS搭載モデルであり、フィッティングシステムと一体となったインテグレーテッドMIPSが採用されている。フィッティングシステムと統合されたことで、一般的なMIPSのフィット性の課題を解決しており、痛みや違和感の発生を抑えているという。
専用の赤色LEDをブラックバーンと共に開発しており、後頭部のベンチレーションホールに装着することが可能となっている。この専用ライトは標準で付属するモデルと、付属しないモデルが用意されており、必要に応じて選び分けられるのは嬉しい。また、後日LEDライトのみで販売される予定とのことだ。
モトクロスやオフロードライドをルーツに持つベルだけあり、MTBダウンヒル用ヘルメットの新作FULL-10はリッチなモデルとなっている。フルカーボンのアウターシェルによって頭を守ることはもちろん、MIPS SPHERICALを導入し、転倒リスクの高いMTBでの安全性を高めている。
シェルを二重構造にすることで通気性を高めたXR同様、このモデルも非常に優れた通気性をMIPS SPHERICALによって実現。その性能は大胆なエアチャネルと後頭部の排気ポートからも感じさせるため、気になる方は一度実物を見てもらいたい。他にも顎紐をまとめるD型リングはチタン製、顎パッドは簡単に外せる作りなど妥協のないスペックにも注目だ。
インターテックはOLD MAN MOUNTAIN(オールドマン・マウンテン)というラックブランドの取り扱いを開始する。展開される2モデルのDivideとElkhornは、車輪軸(スルーアクスルやクイックリリース)とサブステーでホールドすることが特徴。ラックマウントが用意されていない自転車などにも装着することができ、ユーザーの遊び方の幅を広げてくれるはずだ。
今回の展示会では大胆にもフルサスマウンテンバイクにDivideを装着した展示を実施(Elkhornはグラベルバイクに装着)。舗装路が非常に多い日本国内では珍しいスタイルだが、E-MTBであればラックを装着してSUV的な使い方もアリかもしれない。アシストの力を利用しながら、のんびりと走るものよさそうだ。
昨年より扱いを開始したオルケースからは、B2 Bike Travel Caseがついに国内で販売されるとのことだ。このバッグは、ブランドが誕生した理由となったAirport Ninjaの派生モデルであり、飛行機輪行の際にオーバーチャージとならないサイズまでコンパクトに自転車を収納できるバッグだ。
フロントフォークまで外す必要があるため導入のハードルは高めだが、遠征費を少しでも安く抑えながら全国各地のレースやイベントに参加したいといった方におすすめ。
もし、自転車をバラバラにせず、快適に飛行機輪行を楽しみたいという場合は、イーボックのROAD BIKE BAG PROがおすすめだ。ボーラ・ハンスグローエからのフィードバックをもとに開発された製品であり、ハンドルバーを曲げたり、外したりする必要がないことが魅力。TTバイクなども収納できるため、トライアスリートなどにもうってつけだ。
アメリカで人気のアイウェアブランド、ティフォージ・オプティクスは、今春に登場した大型一眼レンズのRailに早くも派生バージョンRail Raceが登場。基本設計は共通しているが、レンズの外縁がマット加工となり、ベンチレーションホールが設けられ、通気性を高めている。見た目と性能ともによりレーシーにアレンジされた一本となっている。
インターテック取り扱いの中でも大きなブランドといえばワフーだろう。サイクルコンピューターのELEMNTシリーズとスマートトレーナーのKICKRシリーズを中心としたエコシステムが特徴のブランドであり、今春にSPEEDPLAY POWRLINK ZEROをリリースしたことで、アウトドアとインドアを網羅できるエコシステムに進化を遂げている。
新製品といえばSPEEDPLAY製品やKICKR ROLLRだが、ワフーは今春にRGT Cyclingというバーチャルサイクリングサービスを買収し、Wahoo RGTとして展開開始させていることがトピック。様々なコースで走れることはもちろん、ライドデータをもとにバーチャルサイクリング世界にルートを作成できることが特徴だ。
風景などは再現できないものの、簡易的な風景などが自動生成されるため、お馴染みのライドルートをバーチャルで楽しみやすくなっている。これまではスマートローラーに斜度データを反映させることができたが、画面を見てサイクリングすることでインドアでも楽しめるはずだ。また、この機能を使ってライドイベントを作成することもできるため、普段の練習会なども室内で再現してみても面白そうだ。
スマートローラーやサイクルコンピューター、スポーツ向けスマートウォッチを展開し、競技者やフィットネス目的の方をサポートするワフー。これから展開される新製品にも要注目だ。
text&photo:Gakuto Fujiwara
インターテックといえばベルを中心に、ワフー、ブラックバーン、ステージズサイクリング、ティフォージオプティクスなどアメリカンブランドに強い代理店。ラインアップはアドベンチャーやツーリングなどで活躍してくれるアイテムやバッグ類が充実しつつ、フィットネスやアスリート向けの製品のバラエティに富んでいるていることが特徴だ。
展示会場を足を運び入れて正面で待ち構えてたのはベルの大きな展示ラック。非常に多くのヘルメットが並ぶ中で、注目したいのが今年の春先に発表された新型フラッグシップ"XR"だ。全国のショップで試着キャンペーンが順次開催されていることもあり、手にとって確認したことのある方もいるだろう。
改めて紹介すると、XRはロードレースやサイクリングだけではなく、グラベルやアドベンチャー、ちょっとしたMTBクロスカントリーライディングに適したマルチユースのフラッグシップモデル。これまでの伝統的なロードサイクリングを超えて、あらゆるシチュエーションにフィットするデザインは、自転車で様々な遊び方を楽しむ方にマッチするだろう。
XRの特徴はロードレーシングヘルメットよりも後頭部のカバー範囲が広いシェル造形と、MIPS SPHERICALという最新のテクノロジーだ。MIPS SPHERICALというのは、ヘルメットのインナーシェルを二重構造とし、ヘルメットが回転衝撃を受けた際に外と内のシェルが滑るように設計されたもの。ヘルメットの滑りが肝であり、脳内へと到達する衝撃を吸収し、脳震盪などのリスクを低減させることが可能となっている。
ベルは、同じ会社の別ブランドであるジロと共用する研究開発施設DOMEにて世界で数台しかないMIPS用の試験機にてテストが繰り返されているという。さらに自動車の試験装置を開発している会社と共同開発した振り子式試験機も導入し、MIPSの性能評価を行なっているのだとか。その施設でテストが行われるヘルメットは1万個にものぼるという。
数多の試験を行ったことでベルはMIPS搭載モデルは未搭載と比較して10%は衝撃管理能力に優れると、今回の展示会に訪れた本国の担当エリックさんは言う。また、ヘルメットの性能評価は非常に多くの要因に左右されやすいが、先述したように膨大な数の試験を経て、MIPS搭載ヘルメットの性能を評価したのだという。
MIPS SPHERICALはシェル自体をMIPSとすることで、風の通り道となるシェル内部の溝や、フィット性を犠牲にすることなく、MIPSの性能を引き出していることが特徴でもある。加えて、シェルの外と内側でEPSフォームの密度を変更することで、単純な衝撃吸収能力も最適化が行われている。安全に配慮したMIPSテクノロジーは登場してから10年ほどだが、アメリカではほとんどがMIPS搭載モデルに移行しているのだとか。
また、ベルはXRのデザインを踏襲したミドルグレードFALCON XRをこの展示会でお披露目した。どのようなライドスタイルにもフィットするシンプルな造形とされており、あらゆるサイクリストのコーディネートにマッチしてくれるだろう。
FALCON XRももちろんMIPS搭載モデルであり、フィッティングシステムと一体となったインテグレーテッドMIPSが採用されている。フィッティングシステムと統合されたことで、一般的なMIPSのフィット性の課題を解決しており、痛みや違和感の発生を抑えているという。
専用の赤色LEDをブラックバーンと共に開発しており、後頭部のベンチレーションホールに装着することが可能となっている。この専用ライトは標準で付属するモデルと、付属しないモデルが用意されており、必要に応じて選び分けられるのは嬉しい。また、後日LEDライトのみで販売される予定とのことだ。
モトクロスやオフロードライドをルーツに持つベルだけあり、MTBダウンヒル用ヘルメットの新作FULL-10はリッチなモデルとなっている。フルカーボンのアウターシェルによって頭を守ることはもちろん、MIPS SPHERICALを導入し、転倒リスクの高いMTBでの安全性を高めている。
シェルを二重構造にすることで通気性を高めたXR同様、このモデルも非常に優れた通気性をMIPS SPHERICALによって実現。その性能は大胆なエアチャネルと後頭部の排気ポートからも感じさせるため、気になる方は一度実物を見てもらいたい。他にも顎紐をまとめるD型リングはチタン製、顎パッドは簡単に外せる作りなど妥協のないスペックにも注目だ。
インターテックはOLD MAN MOUNTAIN(オールドマン・マウンテン)というラックブランドの取り扱いを開始する。展開される2モデルのDivideとElkhornは、車輪軸(スルーアクスルやクイックリリース)とサブステーでホールドすることが特徴。ラックマウントが用意されていない自転車などにも装着することができ、ユーザーの遊び方の幅を広げてくれるはずだ。
今回の展示会では大胆にもフルサスマウンテンバイクにDivideを装着した展示を実施(Elkhornはグラベルバイクに装着)。舗装路が非常に多い日本国内では珍しいスタイルだが、E-MTBであればラックを装着してSUV的な使い方もアリかもしれない。アシストの力を利用しながら、のんびりと走るものよさそうだ。
昨年より扱いを開始したオルケースからは、B2 Bike Travel Caseがついに国内で販売されるとのことだ。このバッグは、ブランドが誕生した理由となったAirport Ninjaの派生モデルであり、飛行機輪行の際にオーバーチャージとならないサイズまでコンパクトに自転車を収納できるバッグだ。
フロントフォークまで外す必要があるため導入のハードルは高めだが、遠征費を少しでも安く抑えながら全国各地のレースやイベントに参加したいといった方におすすめ。
もし、自転車をバラバラにせず、快適に飛行機輪行を楽しみたいという場合は、イーボックのROAD BIKE BAG PROがおすすめだ。ボーラ・ハンスグローエからのフィードバックをもとに開発された製品であり、ハンドルバーを曲げたり、外したりする必要がないことが魅力。TTバイクなども収納できるため、トライアスリートなどにもうってつけだ。
アメリカで人気のアイウェアブランド、ティフォージ・オプティクスは、今春に登場した大型一眼レンズのRailに早くも派生バージョンRail Raceが登場。基本設計は共通しているが、レンズの外縁がマット加工となり、ベンチレーションホールが設けられ、通気性を高めている。見た目と性能ともによりレーシーにアレンジされた一本となっている。
インターテック取り扱いの中でも大きなブランドといえばワフーだろう。サイクルコンピューターのELEMNTシリーズとスマートトレーナーのKICKRシリーズを中心としたエコシステムが特徴のブランドであり、今春にSPEEDPLAY POWRLINK ZEROをリリースしたことで、アウトドアとインドアを網羅できるエコシステムに進化を遂げている。
新製品といえばSPEEDPLAY製品やKICKR ROLLRだが、ワフーは今春にRGT Cyclingというバーチャルサイクリングサービスを買収し、Wahoo RGTとして展開開始させていることがトピック。様々なコースで走れることはもちろん、ライドデータをもとにバーチャルサイクリング世界にルートを作成できることが特徴だ。
風景などは再現できないものの、簡易的な風景などが自動生成されるため、お馴染みのライドルートをバーチャルで楽しみやすくなっている。これまではスマートローラーに斜度データを反映させることができたが、画面を見てサイクリングすることでインドアでも楽しめるはずだ。また、この機能を使ってライドイベントを作成することもできるため、普段の練習会なども室内で再現してみても面白そうだ。
スマートローラーやサイクルコンピューター、スポーツ向けスマートウォッチを展開し、競技者やフィットネス目的の方をサポートするワフー。これから展開される新製品にも要注目だ。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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