2022/08/30(火) - 09:56
新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が出場したブルターニュクラシック・ウエストフランス。激しいアタックが繰り広げられ、集団スプリントでワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が他を圧倒。大会初制覇を成し遂げた。
8月28日に自転車熱の高いフランス北西部のブルターニュ地方で行われたブルターニュクラシック・ウエストフランス(UCIワールドツアー)。初回開催が1931年とツール・ド・フランスに次ぐ歴史あるワンデーレースは、今年第86回目を迎えた。
コースはブルターニュ地方の小村プルエーを発着点とする254.8km。長い登りはないものの、この地域特有の起伏に富んだ丘陵地帯を巡るためその獲得標高差は3,100mを超える。特にラスト20kmからは1km前後の丘が断続的に続き、一度フィニッシュ地点を通過(残り12km地点)してから2つの丘を越えて平坦路にフィニッシュする。
歴代優勝者にピュアスプリンターやクラシックレーサーたちの名前が並ぶ大会には、ワールドツアーにふさわしく豪華メンバーが集結。ツール・ド・フランスを沸かせたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)に加え、2020年覇者のマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)や同じフランスで開催されたe-MTB世界選手権に出場したペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)らが揃った。
プルエーを離れてすぐにルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)が入った6名の逃げグループが形成。それを大柄なオランダ人クラシックライダーをずらりと揃えたユンボ・ヴィスマがプロトンを牽引しながら、3分半差で折り返し地点であるバンヌを通過した。
ロウによるペーシングで快調に突き進む逃げ集団とは反対に、プロトンでは起伏に加え狭くコーナーの多いコースで落車が多発。幸い大きな怪我を負う選手はいなかったものの、その影響もあり中々ペースが上がらないプロトンからこの翌日にユンボ・ヴィスマへの移籍が発表されたヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)を中心としたグループが飛び出す。そして逃げ集団に合流を果たし、先頭集団は16名まで拡大した。
ここにスプリントに長けるマッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)が入ったことから、集団でのフィニッシュを嫌ったトラトニクが登りを利用してアタック。時を同じく、プロトンでは逃げに選手を送ることができなかったユンボ・ヴィスマがペースを上げ、それに背中を押されるようにファンアールトが1人飛び出し逃げ集団に合流を果たした。
一時は後続に15秒差をつけたトラトニクに、8月にチーム加入したアンドレア・ピッコロ(EFエデュケーション・イージーポスト)とサムエーレ・ゾッカラート(バルディアーニCSFファイザネ)のイタリア人コンビが合流して1度目のフィニッシュラインを通過する。そしてロット・スーダルがハイペースで牽引するプロトンがファンアールトを含む逃げを飲み込むと、最後まで粘ったトラトニクも吸収。残り4kmでレースは振り出しに戻った。
20名程度まで絞られた集団に戻ったトラトニクだったが、一呼吸を置くと再びアタック。これをファンアールトがチェックし、単純なスプリント勝負では不利となるバンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)の飛び出しもアシストのいないファンアールトが自ら引き戻す。そして勝負は集団スプリントへとなだれ込んだ。
ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が囲まれて行き場を失うなか、真っ先にスプリントを開始したのはアルノー・デリー(ベルギー、ロット・スーダル)だった。フィリップ・ジルベールとジャスパー・デブイスト(共にベルギー)のアシストを受けた20歳の加速に対し、別ラインで踏み込むファンアールトが前に出た。
そのスリップストリームを利用したアクセル・ローランス(フランス、B&Bホテルズ KTM)や、大外から追い上げたアレクサンダー・カンプ(デンマーク、トレック・セガフレード)を抑えたファンアールト。フランスで今シーズン最後のワールドツアーを、ツールでマイヨヴェールを獲得したファンアールトが制覇した。
「アタックが繰り返されるチャレンジングなレースだった。だがスプリントでの感触は良く、悪いポジションながらも他の選手の加速を利用して前に出た。この勝利に感動しているよ」とレースを振り返るファンアールト。「ツール・ド・フランスの後、十分に回復する期間を設けた。この後は重要な数週間が待っているので、徐々にでもコンディションが戻ってきているのは嬉しいね」と語った。
ファンアールトはこの後カナダでの2連戦(グランプリ・シクリスト・ド・ケベック&モンレアル)を経て、オーストラリア・ウロンゴンで行われるロード世界選手権で初となるアルカンシエル(チャンピオンジャージ)を狙う。また日本王者バイクを初披露した新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は58位(3分9秒遅れ)でフィニッシュしている。
8月28日に自転車熱の高いフランス北西部のブルターニュ地方で行われたブルターニュクラシック・ウエストフランス(UCIワールドツアー)。初回開催が1931年とツール・ド・フランスに次ぐ歴史あるワンデーレースは、今年第86回目を迎えた。
コースはブルターニュ地方の小村プルエーを発着点とする254.8km。長い登りはないものの、この地域特有の起伏に富んだ丘陵地帯を巡るためその獲得標高差は3,100mを超える。特にラスト20kmからは1km前後の丘が断続的に続き、一度フィニッシュ地点を通過(残り12km地点)してから2つの丘を越えて平坦路にフィニッシュする。
歴代優勝者にピュアスプリンターやクラシックレーサーたちの名前が並ぶ大会には、ワールドツアーにふさわしく豪華メンバーが集結。ツール・ド・フランスを沸かせたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)に加え、2020年覇者のマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)や同じフランスで開催されたe-MTB世界選手権に出場したペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)らが揃った。
プルエーを離れてすぐにルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)が入った6名の逃げグループが形成。それを大柄なオランダ人クラシックライダーをずらりと揃えたユンボ・ヴィスマがプロトンを牽引しながら、3分半差で折り返し地点であるバンヌを通過した。
ロウによるペーシングで快調に突き進む逃げ集団とは反対に、プロトンでは起伏に加え狭くコーナーの多いコースで落車が多発。幸い大きな怪我を負う選手はいなかったものの、その影響もあり中々ペースが上がらないプロトンからこの翌日にユンボ・ヴィスマへの移籍が発表されたヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)を中心としたグループが飛び出す。そして逃げ集団に合流を果たし、先頭集団は16名まで拡大した。
ここにスプリントに長けるマッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)が入ったことから、集団でのフィニッシュを嫌ったトラトニクが登りを利用してアタック。時を同じく、プロトンでは逃げに選手を送ることができなかったユンボ・ヴィスマがペースを上げ、それに背中を押されるようにファンアールトが1人飛び出し逃げ集団に合流を果たした。
一時は後続に15秒差をつけたトラトニクに、8月にチーム加入したアンドレア・ピッコロ(EFエデュケーション・イージーポスト)とサムエーレ・ゾッカラート(バルディアーニCSFファイザネ)のイタリア人コンビが合流して1度目のフィニッシュラインを通過する。そしてロット・スーダルがハイペースで牽引するプロトンがファンアールトを含む逃げを飲み込むと、最後まで粘ったトラトニクも吸収。残り4kmでレースは振り出しに戻った。
20名程度まで絞られた集団に戻ったトラトニクだったが、一呼吸を置くと再びアタック。これをファンアールトがチェックし、単純なスプリント勝負では不利となるバンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)の飛び出しもアシストのいないファンアールトが自ら引き戻す。そして勝負は集団スプリントへとなだれ込んだ。
ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が囲まれて行き場を失うなか、真っ先にスプリントを開始したのはアルノー・デリー(ベルギー、ロット・スーダル)だった。フィリップ・ジルベールとジャスパー・デブイスト(共にベルギー)のアシストを受けた20歳の加速に対し、別ラインで踏み込むファンアールトが前に出た。
そのスリップストリームを利用したアクセル・ローランス(フランス、B&Bホテルズ KTM)や、大外から追い上げたアレクサンダー・カンプ(デンマーク、トレック・セガフレード)を抑えたファンアールト。フランスで今シーズン最後のワールドツアーを、ツールでマイヨヴェールを獲得したファンアールトが制覇した。
「アタックが繰り返されるチャレンジングなレースだった。だがスプリントでの感触は良く、悪いポジションながらも他の選手の加速を利用して前に出た。この勝利に感動しているよ」とレースを振り返るファンアールト。「ツール・ド・フランスの後、十分に回復する期間を設けた。この後は重要な数週間が待っているので、徐々にでもコンディションが戻ってきているのは嬉しいね」と語った。
ファンアールトはこの後カナダでの2連戦(グランプリ・シクリスト・ド・ケベック&モンレアル)を経て、オーストラリア・ウロンゴンで行われるロード世界選手権で初となるアルカンシエル(チャンピオンジャージ)を狙う。また日本王者バイクを初披露した新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は58位(3分9秒遅れ)でフィニッシュしている。
ブルターニュクラシック・ウエストフランス2022結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 6:04:22 |
2位 | アクセル・ローランス(フランス、B&Bホテルズ KTM) | |
3位 | アレクサンダー・カンプ(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
4位 | アルノー・デリー(ベルギー、ロット・スーダル) | |
5位 | フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ) | |
6位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
7位 | オリヴェル・ナーセン(ベルギー、AG2Rシトロエン) | |
8位 | バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス) | |
9位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | |
10位 | アンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
58位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | 3:09 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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