2010/07/12(月) - 01:00
タイラー・ファラー(アメリカ)とクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ)の二枚看板でツール・ド・フランスに挑んだガーミン・トランジションズ。しかしベルギーのスパにゴールする第2ステージでそのダブルエースが2人とも落車し、ヴァンデヴェルデがリタイアした。ジョナサン・ヴォーターズ監督は作戦変更を強いられている。
温泉地として知られるスパにゴールしたツール・ド・フランス第2ステージ。降り続いた雨が路面を濡らし、多くの落車の犠牲者を出した。その中にはガーミン・トランジションズのスター選手、タイラー・ファラーとクリスティアン・ヴァンデヴェルデの姿も。
ヴォーターズ監督は2人に連れ添って近くの病院へ。X線検査の結果、ファラーとヴァンデヴェルデの骨折が判明した。
今シーズン前半戦のスプリントで4勝を飾っていたファラーは、有力スプリンターの一人としてツールに出場した。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝を飾ったファラーは、今年のジロ・デ・イタリアではステージ2勝。グランツールスプリンターとして着実に成長していることを見せつけた。
ファラーのキャリアに欠けていたのは、最も重要なグランツール、ツール・ド・フランスでの勝利だった。昨年のツールでは何度か勝負に絡んだが、ことごとくマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)の前に敗北。今年カヴェンディッシュの調子が低迷していたこともあり、ファラーの活躍に注目が集まっていた。
そんなファラーの野望を、スパにゴールする第2ステージが打ち砕いた。涙を流し、トップから20分近く遅れてゴールにやってきたファラー。X線検査によって左手首にヒビが入っていることが判明したが、自らの意思でレースを続行することを決めた。
翌日はアランベールにゴールするパヴェステージ。「骨折した次の日にパヴェを走るのは全く楽しくなかった。でもこの骨折を乗り越え、レース出場を続けたい。徐々に調子は上がって来ている」。
その言葉通り、ファラーはモンタルジにゴールする第5ステージで、チームメイトのサポートを受けて10位。更に第6ステージでステージ2位に。
「まだまだパリまで時間はある。散々だったレース序盤を挽回するチャンスはまだ残させているはずだ」。ファラーの復活は、チームにとって嬉しいニュース。ヴォーターズ監督は胸を撫で下ろしている。
第2ステージの夜、ファラーはホテルに戻ってチームメイトに合流した。その一方で、肋骨を2本骨折し、瞼を切ったヴァンデヴェルデはスペイン・ジローナの自宅に戻った。
2008年大会で総合4位に入り、昨年大会ではブラドレー・ウィギンズ(イギリス)の総合4位をお膳立てしたヴァンデヴェルデ。ウィギンズが去った今、ヴァンデヴェルデがガーミンのソロリーダーを務めていた。
「これからは作戦を柔軟に変更しながら闘っていく必要がある。ファラーの回復具合に依るが、捨て身の走りでスプリントに挑みたい。逃げグループに選手を送り込む作戦も有りだ」。ヴォーターズ監督はそう語る。
ヴォーターズ監督が期待するのは、カナダ出身のライダー・ヘジダルの走りだ。昨年ウィギンズの総合4位に大きく貢献したヘジダルは、9月のブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝。山岳力には定評がある。しかしグランツールを闘うオールラウンダーとしては実績がないため、ヘジダルを固定リーダーにすることは無いと言う。とにかく逃げとスプリントでの活躍が現在のチームの目標だ。
「(手首の骨折を除けば)タイラーは他のどの選手よりも良いコンディションでレースに挑んでいる。これからはサバイバルレースになるだろう。パヴェステージをこなせたので、他のステージも問題なく走ることが出来るはず。シャンゼリゼにゴールするまでにまたチャンスが巡ってくるだろう」。
今年のツール・ド・フランスにはまだスプリンター向きのステージが3つ残っている。自宅でテレビ観戦しているヴァンデヴェルデを元気づけることが出来るのは、ファラーのスプリント勝利だ。
text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
温泉地として知られるスパにゴールしたツール・ド・フランス第2ステージ。降り続いた雨が路面を濡らし、多くの落車の犠牲者を出した。その中にはガーミン・トランジションズのスター選手、タイラー・ファラーとクリスティアン・ヴァンデヴェルデの姿も。
ヴォーターズ監督は2人に連れ添って近くの病院へ。X線検査の結果、ファラーとヴァンデヴェルデの骨折が判明した。
今シーズン前半戦のスプリントで4勝を飾っていたファラーは、有力スプリンターの一人としてツールに出場した。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝を飾ったファラーは、今年のジロ・デ・イタリアではステージ2勝。グランツールスプリンターとして着実に成長していることを見せつけた。
ファラーのキャリアに欠けていたのは、最も重要なグランツール、ツール・ド・フランスでの勝利だった。昨年のツールでは何度か勝負に絡んだが、ことごとくマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)の前に敗北。今年カヴェンディッシュの調子が低迷していたこともあり、ファラーの活躍に注目が集まっていた。
そんなファラーの野望を、スパにゴールする第2ステージが打ち砕いた。涙を流し、トップから20分近く遅れてゴールにやってきたファラー。X線検査によって左手首にヒビが入っていることが判明したが、自らの意思でレースを続行することを決めた。
翌日はアランベールにゴールするパヴェステージ。「骨折した次の日にパヴェを走るのは全く楽しくなかった。でもこの骨折を乗り越え、レース出場を続けたい。徐々に調子は上がって来ている」。
その言葉通り、ファラーはモンタルジにゴールする第5ステージで、チームメイトのサポートを受けて10位。更に第6ステージでステージ2位に。
「まだまだパリまで時間はある。散々だったレース序盤を挽回するチャンスはまだ残させているはずだ」。ファラーの復活は、チームにとって嬉しいニュース。ヴォーターズ監督は胸を撫で下ろしている。
第2ステージの夜、ファラーはホテルに戻ってチームメイトに合流した。その一方で、肋骨を2本骨折し、瞼を切ったヴァンデヴェルデはスペイン・ジローナの自宅に戻った。
2008年大会で総合4位に入り、昨年大会ではブラドレー・ウィギンズ(イギリス)の総合4位をお膳立てしたヴァンデヴェルデ。ウィギンズが去った今、ヴァンデヴェルデがガーミンのソロリーダーを務めていた。
「これからは作戦を柔軟に変更しながら闘っていく必要がある。ファラーの回復具合に依るが、捨て身の走りでスプリントに挑みたい。逃げグループに選手を送り込む作戦も有りだ」。ヴォーターズ監督はそう語る。
ヴォーターズ監督が期待するのは、カナダ出身のライダー・ヘジダルの走りだ。昨年ウィギンズの総合4位に大きく貢献したヘジダルは、9月のブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝。山岳力には定評がある。しかしグランツールを闘うオールラウンダーとしては実績がないため、ヘジダルを固定リーダーにすることは無いと言う。とにかく逃げとスプリントでの活躍が現在のチームの目標だ。
「(手首の骨折を除けば)タイラーは他のどの選手よりも良いコンディションでレースに挑んでいる。これからはサバイバルレースになるだろう。パヴェステージをこなせたので、他のステージも問題なく走ることが出来るはず。シャンゼリゼにゴールするまでにまたチャンスが巡ってくるだろう」。
今年のツール・ド・フランスにはまだスプリンター向きのステージが3つ残っている。自宅でテレビ観戦しているヴァンデヴェルデを元気づけることが出来るのは、ファラーのスプリント勝利だ。
text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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