2022/07/28(木) - 08:39
ワイン産地の未舗装路を駆け抜けた女子ツール・ド・フランス第4ステージでマーレン・ローセル(スイス、SDワークス)が独走勝利。得意の独走力を武器に、ラスト23kmを一人で逃げ切った。
オーブ県トロワから、バール・シュル・オーブを目指すツール・ド・フランス ファム(UCIワールドツアー)第4日目は、今大会前半戦の重要ステージ。序盤こそイージーな平坦地帯を駆け抜けるが、後半68.1km地点からは前日に引き続きブドウ畑に囲まれたシャンパンの生産地を駆け抜ける。
アップダウンはもちろんのこと、この日はなんといっても砂利が敷き詰められた未舗装路(グラベル)区間が注目。5ヶ所の3,4級山岳と4つの未舗装路セクターが代わる代わる訪れる様はさながらストラーデビアンケ。ステージ優勝者はもちろん、総合成績を狙う面々にとっても、一瞬たりとも気を抜けないスリリングな一日となった。
序盤にはヴァレリー・デメイ(ベルギー、リブレーシング・エクストラ)を含む3名の逃げが決まったものの、メイン集団は1分差まで詰めた状態で残り60kmを切って始まる未舗装路区間へ。未舗装路や15%超の登坂が連続する序盤区間では重要選手のアタックこそ生まれなかったが、ペースアップに耐えられない選手が次々と脱落。ここで繰り下がりマイヨヴェールを着るロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)らが脱落を喫した。
未舗装路耐性に優れるメンバーを揃えたSDワークスや、キャニオン・スラムといったチームがメイン集団をコントロールして当初からの逃げメンバーを全て吸収。淡々とハイペースを刻む後方では前日涙の勝利を挙げたセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ)や、総合3位カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)、ジロ・ドンネを総合3位で終えた総合6位マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ)が次々とパンクに見舞われてしまう。
このエース勢3名はチームのサポートを受けてメイン集団に戻ったものの、ガルシアはこの後も度重なるパンクに見舞われて脚を使い、とどめには追走時に後輪をすぐ後ろを走っていた自チームカーのバンパーと接触させ落車してしまう。痛みを堪えながら再乗車したものの、ガルシアはこの日だけで3分11秒遅れ、総合11位まで転落することとなった。
一瞬ペースが緩んだ隙を突き、メイン集団を飛び出したのがマーレン・ローセル(スイス、SDワークス)だった。「私たちの作戦はアグレッシブに走り、タイミングを読んでアタックすること。私は自由が与えられ、躊躇うことなくフルスピードで踏み込んだ」と振り返るTTスペシャリストがすぐに独走体制を築き上げる。
ローセルを見送ったメイン集団内ではキャニオン・スラムが断続的に攻撃を仕掛け続けた。ニエウィアドーマたちが次々とペースアップを試み、前日も逃げたアレナ・アミアリウシク(ベラルーシ)ら3名が抜け出したものの、監督としてチームカーに乗るアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ)の指示を受けたローセルの独走力には束になっても敵わなかった。
ローセルは最後の未舗装路区間とアップダウン区間も力強くこなし、追いすがる3名を追い付かせず、休戦モードに入ったメイン集団を大きく引き離す。何度も何度も後ろを振りかえり、胸のチーム名を指さしてからガッツポーズで独走フィニッシュ。得意の独走力を武器にキャリアハイとなるツール・ド・フランス ファムのステージ優勝を遂げた。
「作戦が完璧にはまった。ツール・ド・フランスのステージウィナーになっただなんて信じられない。最後の未舗装区間と2つの登りがまだ残っていたのでリアルなタイムトライアルではなかった。私のスピードを武器に追走グループとのメンタルゲームに持ち込もうとし、残り4km地点ではもう後ろが追いついてこないだろうと思っていた」と遅れてフィニッシュしたチームメイトと勝利を分かち合ったローセルは言う。
TTスペシャリストとして名を馳せるローセルは、2019年にUCIの育成組織であるWCC(ワールドサイクリングセンター)に加入して以降本格的にプロキャリアをスタートさせた1991年生まれの30歳。選手としてはかなり遅咲きであるものの、180cmという恵まれた体格から繰り出されるスピードを武器に東京五輪と直近2年の世界選手権個人タイムトライアルで連続2位銀メダル。ビッグタイトルにはあと一つ手が届いていないものの、昨年はブエルタ初日に優勝、今年はロンド・ファン・フラーンデレンで5位とロードレースでも成績を挙げていた。
追走3名は1分24秒遅れでフィニッシュし、その16秒後ろでフィニッシュしたメイングループの頭はマイヨジョーヌを着るマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が取りフィニッシュポイントを加算。度重なるアクシデントで遅れたガルシアを除き、総合トップ10に大きな総合順位変動は起こらなかった。
オーブ県トロワから、バール・シュル・オーブを目指すツール・ド・フランス ファム(UCIワールドツアー)第4日目は、今大会前半戦の重要ステージ。序盤こそイージーな平坦地帯を駆け抜けるが、後半68.1km地点からは前日に引き続きブドウ畑に囲まれたシャンパンの生産地を駆け抜ける。
アップダウンはもちろんのこと、この日はなんといっても砂利が敷き詰められた未舗装路(グラベル)区間が注目。5ヶ所の3,4級山岳と4つの未舗装路セクターが代わる代わる訪れる様はさながらストラーデビアンケ。ステージ優勝者はもちろん、総合成績を狙う面々にとっても、一瞬たりとも気を抜けないスリリングな一日となった。
序盤にはヴァレリー・デメイ(ベルギー、リブレーシング・エクストラ)を含む3名の逃げが決まったものの、メイン集団は1分差まで詰めた状態で残り60kmを切って始まる未舗装路区間へ。未舗装路や15%超の登坂が連続する序盤区間では重要選手のアタックこそ生まれなかったが、ペースアップに耐えられない選手が次々と脱落。ここで繰り下がりマイヨヴェールを着るロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)らが脱落を喫した。
未舗装路耐性に優れるメンバーを揃えたSDワークスや、キャニオン・スラムといったチームがメイン集団をコントロールして当初からの逃げメンバーを全て吸収。淡々とハイペースを刻む後方では前日涙の勝利を挙げたセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ)や、総合3位カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)、ジロ・ドンネを総合3位で終えた総合6位マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ)が次々とパンクに見舞われてしまう。
このエース勢3名はチームのサポートを受けてメイン集団に戻ったものの、ガルシアはこの後も度重なるパンクに見舞われて脚を使い、とどめには追走時に後輪をすぐ後ろを走っていた自チームカーのバンパーと接触させ落車してしまう。痛みを堪えながら再乗車したものの、ガルシアはこの日だけで3分11秒遅れ、総合11位まで転落することとなった。
一瞬ペースが緩んだ隙を突き、メイン集団を飛び出したのがマーレン・ローセル(スイス、SDワークス)だった。「私たちの作戦はアグレッシブに走り、タイミングを読んでアタックすること。私は自由が与えられ、躊躇うことなくフルスピードで踏み込んだ」と振り返るTTスペシャリストがすぐに独走体制を築き上げる。
ローセルを見送ったメイン集団内ではキャニオン・スラムが断続的に攻撃を仕掛け続けた。ニエウィアドーマたちが次々とペースアップを試み、前日も逃げたアレナ・アミアリウシク(ベラルーシ)ら3名が抜け出したものの、監督としてチームカーに乗るアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ)の指示を受けたローセルの独走力には束になっても敵わなかった。
ローセルは最後の未舗装路区間とアップダウン区間も力強くこなし、追いすがる3名を追い付かせず、休戦モードに入ったメイン集団を大きく引き離す。何度も何度も後ろを振りかえり、胸のチーム名を指さしてからガッツポーズで独走フィニッシュ。得意の独走力を武器にキャリアハイとなるツール・ド・フランス ファムのステージ優勝を遂げた。
「作戦が完璧にはまった。ツール・ド・フランスのステージウィナーになっただなんて信じられない。最後の未舗装区間と2つの登りがまだ残っていたのでリアルなタイムトライアルではなかった。私のスピードを武器に追走グループとのメンタルゲームに持ち込もうとし、残り4km地点ではもう後ろが追いついてこないだろうと思っていた」と遅れてフィニッシュしたチームメイトと勝利を分かち合ったローセルは言う。
TTスペシャリストとして名を馳せるローセルは、2019年にUCIの育成組織であるWCC(ワールドサイクリングセンター)に加入して以降本格的にプロキャリアをスタートさせた1991年生まれの30歳。選手としてはかなり遅咲きであるものの、180cmという恵まれた体格から繰り出されるスピードを武器に東京五輪と直近2年の世界選手権個人タイムトライアルで連続2位銀メダル。ビッグタイトルにはあと一つ手が届いていないものの、昨年はブエルタ初日に優勝、今年はロンド・ファン・フラーンデレンで5位とロードレースでも成績を挙げていた。
追走3名は1分24秒遅れでフィニッシュし、その16秒後ろでフィニッシュしたメイングループの頭はマイヨジョーヌを着るマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が取りフィニッシュポイントを加算。度重なるアクシデントで遅れたガルシアを除き、総合トップ10に大きな総合順位変動は起こらなかった。
ツール・ド・フランス ファム アベック ズイフト2022第4ステージ結果
1位 | マーレン・ローセル(スイス、SDワークス) | 3:16:30 |
2位 | エヴィータ・ムジック(フランス、FDJ・スエズ・フチュロスコープ) | +1:24 |
3位 | アレナ・アミアリウシク(ベラルーシ、キャニオン・スラム) | |
4位 | ヴェロニカ・エワーズ(アメリカ、EFエデュケーション・ティブコSVB) | |
5位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | +1:40 |
6位 | ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) | |
7位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) | |
8位 | アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) | |
9位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
10位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 11:48:46 |
2位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) | +0:16 |
3位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | |
4位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | +0:21 |
5位 | アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) | +0:51 |
6位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | +0:57 |
7位 | ジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM) | +1:05 |
8位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) | +1:14 |
9位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ) | +1:48 |
10位 | エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) | +2:20 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 186pts |
2位 | ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) | 128pts |
3位 | ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) | 128pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | フェムケ・ジェリッツ(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク) | 8pts |
2位 | コラリ・ドゥメ(フランス、サンミシェル・オベール93WE) | 5pts |
3位 | ラウラ・アセンシオ(フランス、セラティツィットWNTローター) | 5pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ジュリー・デウェルド(ベルギー、プラントゥール・プラ) | 11:53:14 |
2位 | ジュリア・ボルグストローム(スウェーデン、AGインシュランス・NXTGチーム) | +0:16 |
3位 | ファイファー・ジョルジ(オランダ、チームDSM) | +0:22 |
チーム総合成績
1位 | SDワークス | 35:31:07 |
2位 | キャニオン・スラム | +0:56 |
3位 | トレック・セガフレード | +3:44 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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