2022/07/24(日) - 07:55
ラスト1.5kmに平均勾配7.2%の登坂が登場する40.7km個人タイムトライアルで、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がステージ優勝。ポガチャルを更に突き放したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が総合優勝を実質的に決めた。
ツール主催者であるA.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシヨン)は、3年連続でシャンゼリゼ決戦の前日に個人タイムトライアルを用意した。第109回大会のマイヨジョーヌ着用者を決める舞台となるのはフランス南西部ロット県の街ラカペル・マリバルから西へ進み、キリスト教の巡礼地であるロカマドゥールを目指す40.7km。例年の個人TTが30km前後というなか、2014年大会以来となる40kmを超える長距離で争われた。
40.7kmのコースは真っ直ぐな平坦路が続くいわゆる「TTスペシャリスト向き」のコース。しかしラストはテクニカルなコーナーに加えて残り5.4kmからマジェス坂(距離1.6km/平均4.7%)を越え、一度下ってからオスピタレ坂(距離1.57km/平均7.2%)を駆け上がる。またコース終盤は路面が荒れているため、選手たちにはTTバイクを操る能力も求められる。
連日選手たちを苦しめた暑さは28°(湿度41%)と落ち着き、心配された北からの横風もなくこの日は無風。言い訳のできない好条件のなか総合順位の下位から順に、家庭の事情によりリタイアを選択したネイサン・ファンホーイドンク(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)を除く138名の選手がスタートを切った。
前半にスタートした選手の中で好タイムを叩き出したのは世界選手権TT2連覇中のフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)。先日8月に予定していたアワーレコード挑戦の延期を発表したガンナは、前半に出走した選手のなかで唯一平均時速50km/hを超える48分41秒の快走を見せた。
ホットシートに腰掛けたガンナは「最終週の山岳で脚は疲れたなかでのTTとなった。この時点でのトップタイムは嬉しいが、この後にワウト(ファンアールト)など強い選手がどういう走りをするかによる」とコメント。そしてガンナの言葉通り、総合上位陣がさらにその上をいく走りを見せた。
ガンナの直後にスタートしたマティア・カッタネオ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)が43秒遅れでフィニッシュすると、今大会活躍が目立ったフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)が第1計測(10.6km地点)でガンナのタイムを1秒上回る。しかしその後の区間で伸び悩み50秒遅れでフィニッシュ。オランダTT王者ジャージを着たバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)も第1、第2計測(22.1km)でトップタイムを更新したものの、終盤に失速してガンナに40秒届かなかった。
総合表彰台の場所を争うトップ3と、マイヨヴェールを着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)の走りは別格だった。全体の116番目にスタートを切ったファンアールトはガンナより13秒早く第1計測を通過すると「最後の2つある登りのため残り6kmまでは力をセーブして走った」と言いながらも、第2、第3計測(32.6km地点)でもトップタイムを叩き出す。そして「一気にペースを上げた」と語るラストの登りを踏み切ったファンアールトは、ガンナのタイムを42秒上回る47分59秒でトップに躍り出た。
総合3位のゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が途中までファンアールトに肉薄する走りを見せ、32秒遅れ(平均時速50.333km/h)という好タイムでまとめて総合表彰台を確保した。そして総合2位でマイヨブランを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が3分26秒差の逆転を狙いスタートを切る。
ポガチャルは第1計測でこそ暫定トップのタイムで通過したものの、後半にかけてスピードを若干の失速。しかし27秒遅れというまずますのタイムでフィニッシュした。
そして圧巻の走りを見せたのは、マイヨジョーヌを着て139番目にラカペル・マリバルを飛び出したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)だった。第1計測をファンアールトよりも9秒早く駆け抜けたヴィンゲゴーは、第2計測を7秒、第3計測も3秒上回るタイムで通過。途中の下りコーナーであわやコースアウトというシーンを見せながらも、19秒遅れのタイムにまとめたヴィンゲゴーが、フィニッシュ地点で待ち受けるファンアールトに迎えられながらマイヨジョーヌ確保に成功した。
チームメイトの総合優勝と自身のステージ3勝目が決まった瞬間、人目をはばからず涙を流したファンアールトは「夢のようなシナリオに思わず感情が溢れ出てしまった。3週間に渡る戦いを終え、疲労するなか全てを出し尽くしたことも(涙を流した)理由の1つだろう」とコメント。安堵する表情で喜ぶファンアールトにとって、昨年の第20ステージに続く2年連続2回目の個人TT勝利。そしてユンボ・ヴィスマとしては3日連続、区間6勝目を手に入れた。
そして実質的な第109回ツール総合優勝の栄誉はヴィンゲゴーの手に。マイヨジョーヌを着てステージ2位に入ったヴィンゲゴーは「素晴らしすぎて上手く言葉にすることができない。もちろん僕を含めたチームは皆、2年前のことを思い出していた。恐怖とは言わないまでもそれが頭にあったのは事実。ただ、僕に出来ることは全力を尽くすだけだった」と語る。フィニッシュ後に涙を流したファンアールトについては、「チームの皆の距離感がそれだけ近いという証拠。お互いがお互いの成果を喜び合う。僕はワウトの勝利が本当に嬉しい。皆が友人、兄弟といった方が近い素晴らしい関係性なんだ」と語っている。
一方、ステージ3位で第20ステージを終えたポガチャルは「チームメイトを失ったりと山あり谷ありのツールだった。ヨナスとの戦いは特別な気持ちがした。今後もあと数年は彼と興味深い戦いができるだろう」とコメント。悔しい結果ながらも笑顔でそうインタビューに答えた。
この日スタートした選手全員が無事、制限時間内にフィニッシュ。そのため138名が翌日のパリ・シャンゼリゼへの凱旋切符を手に入れている。
ツール主催者であるA.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシヨン)は、3年連続でシャンゼリゼ決戦の前日に個人タイムトライアルを用意した。第109回大会のマイヨジョーヌ着用者を決める舞台となるのはフランス南西部ロット県の街ラカペル・マリバルから西へ進み、キリスト教の巡礼地であるロカマドゥールを目指す40.7km。例年の個人TTが30km前後というなか、2014年大会以来となる40kmを超える長距離で争われた。
40.7kmのコースは真っ直ぐな平坦路が続くいわゆる「TTスペシャリスト向き」のコース。しかしラストはテクニカルなコーナーに加えて残り5.4kmからマジェス坂(距離1.6km/平均4.7%)を越え、一度下ってからオスピタレ坂(距離1.57km/平均7.2%)を駆け上がる。またコース終盤は路面が荒れているため、選手たちにはTTバイクを操る能力も求められる。
連日選手たちを苦しめた暑さは28°(湿度41%)と落ち着き、心配された北からの横風もなくこの日は無風。言い訳のできない好条件のなか総合順位の下位から順に、家庭の事情によりリタイアを選択したネイサン・ファンホーイドンク(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)を除く138名の選手がスタートを切った。
前半にスタートした選手の中で好タイムを叩き出したのは世界選手権TT2連覇中のフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)。先日8月に予定していたアワーレコード挑戦の延期を発表したガンナは、前半に出走した選手のなかで唯一平均時速50km/hを超える48分41秒の快走を見せた。
ホットシートに腰掛けたガンナは「最終週の山岳で脚は疲れたなかでのTTとなった。この時点でのトップタイムは嬉しいが、この後にワウト(ファンアールト)など強い選手がどういう走りをするかによる」とコメント。そしてガンナの言葉通り、総合上位陣がさらにその上をいく走りを見せた。
ガンナの直後にスタートしたマティア・カッタネオ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)が43秒遅れでフィニッシュすると、今大会活躍が目立ったフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)が第1計測(10.6km地点)でガンナのタイムを1秒上回る。しかしその後の区間で伸び悩み50秒遅れでフィニッシュ。オランダTT王者ジャージを着たバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)も第1、第2計測(22.1km)でトップタイムを更新したものの、終盤に失速してガンナに40秒届かなかった。
総合表彰台の場所を争うトップ3と、マイヨヴェールを着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)の走りは別格だった。全体の116番目にスタートを切ったファンアールトはガンナより13秒早く第1計測を通過すると「最後の2つある登りのため残り6kmまでは力をセーブして走った」と言いながらも、第2、第3計測(32.6km地点)でもトップタイムを叩き出す。そして「一気にペースを上げた」と語るラストの登りを踏み切ったファンアールトは、ガンナのタイムを42秒上回る47分59秒でトップに躍り出た。
総合3位のゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が途中までファンアールトに肉薄する走りを見せ、32秒遅れ(平均時速50.333km/h)という好タイムでまとめて総合表彰台を確保した。そして総合2位でマイヨブランを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が3分26秒差の逆転を狙いスタートを切る。
ポガチャルは第1計測でこそ暫定トップのタイムで通過したものの、後半にかけてスピードを若干の失速。しかし27秒遅れというまずますのタイムでフィニッシュした。
そして圧巻の走りを見せたのは、マイヨジョーヌを着て139番目にラカペル・マリバルを飛び出したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)だった。第1計測をファンアールトよりも9秒早く駆け抜けたヴィンゲゴーは、第2計測を7秒、第3計測も3秒上回るタイムで通過。途中の下りコーナーであわやコースアウトというシーンを見せながらも、19秒遅れのタイムにまとめたヴィンゲゴーが、フィニッシュ地点で待ち受けるファンアールトに迎えられながらマイヨジョーヌ確保に成功した。
チームメイトの総合優勝と自身のステージ3勝目が決まった瞬間、人目をはばからず涙を流したファンアールトは「夢のようなシナリオに思わず感情が溢れ出てしまった。3週間に渡る戦いを終え、疲労するなか全てを出し尽くしたことも(涙を流した)理由の1つだろう」とコメント。安堵する表情で喜ぶファンアールトにとって、昨年の第20ステージに続く2年連続2回目の個人TT勝利。そしてユンボ・ヴィスマとしては3日連続、区間6勝目を手に入れた。
そして実質的な第109回ツール総合優勝の栄誉はヴィンゲゴーの手に。マイヨジョーヌを着てステージ2位に入ったヴィンゲゴーは「素晴らしすぎて上手く言葉にすることができない。もちろん僕を含めたチームは皆、2年前のことを思い出していた。恐怖とは言わないまでもそれが頭にあったのは事実。ただ、僕に出来ることは全力を尽くすだけだった」と語る。フィニッシュ後に涙を流したファンアールトについては、「チームの皆の距離感がそれだけ近いという証拠。お互いがお互いの成果を喜び合う。僕はワウトの勝利が本当に嬉しい。皆が友人、兄弟といった方が近い素晴らしい関係性なんだ」と語っている。
一方、ステージ3位で第20ステージを終えたポガチャルは「チームメイトを失ったりと山あり谷ありのツールだった。ヨナスとの戦いは特別な気持ちがした。今後もあと数年は彼と興味深い戦いができるだろう」とコメント。悔しい結果ながらも笑顔でそうインタビューに答えた。
この日スタートした選手全員が無事、制限時間内にフィニッシュ。そのため138名が翌日のパリ・シャンゼリゼへの凱旋切符を手に入れている。
ツール・ド・フランス2022第20ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 47:59 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +0:19 |
3位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +0:27 |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:32 |
5位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:42 |
6位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | +1:22 |
7位 | マティア・カッタネオ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) | +1:25 |
8位 | フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴォクトリアス) | +1:32 |
9位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:37 |
10位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:48 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 76:33:57 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +3:34 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +8:13 |
4位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +13:56 |
5位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +16:37 |
6位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | +17:24 |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | +19:02 |
8位 | ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +19:12 |
9位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナカザフスタン) | +23:47 |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +25:43 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 480pts |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 250pts |
3位 | ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 236pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 72pts |
2位 | シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス) | 64pts |
3位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 61pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 76:37:31 |
2位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +57:34 |
3位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | +1:27:43 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 230:07:04 |
2位 | グルパマFDJ | +37:33 |
3位 | ユンボ・ヴィスマ | +42:44 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Makoto AYANO, Kei Tsuji, CorVos
photo:Makoto AYANO, Kei Tsuji, CorVos
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