2022/07/15(金) - 19:38
ガリビエ、クロワ・ド・フェール峠を経てラルプデュエズへと登るマンモスステージはマイヨジョーヌ争いのハイライトでもあった。昨日鮮烈な走りでマイヨを奪ったヴィンゲゴーはチームに守られ、ポガチャルの攻撃に耐えきった。
昨ステージのグラノン峠での攻防でマイヨジョーヌを手に入れたヨナス・ヴィンゲゴーとユンボ・ヴィスマ。この日最も重要なのはヴィンゲゴーのマイヨジョーヌを守るというミッションだった。ポガチャルの2度のアタックとフィニッシュに向けてのスプリントに対抗したヴィンゲゴーはタイム差を付けられること無くフィニッシュ。マイヨジョーヌを守ることに成功した。
ヴィンゲゴーは言う。「今日のチームの作戦はレースを厳しくすることだった。厳しければ厳しいほど僕には有利になるはずで、そのうえで激しい展開になることを防げれば僕に向いたレースになる。ステージ優勝は目指さず、皆を苦しめること。
ポガチャルのアタックは予想していた。彼はこれからもアタックを仕掛けてくる。でも僕の最大のタスクは彼に貼り付くこと。彼を視界から逃さないことで、それが今日僕らがやり遂げたことだ。今この美しいジャージを手にしている。これを守るためにできることはすべてする。今日は最初にこれを着て走る特別な一日だった」。
ポガチャルは言う。「何度かトライしたけど、ヨナスは着いてきた。彼はすごく強い。でも今日は、僕にとって最初のモチベーションとなるいい一日だった。ツールのフィニッシュはまだ遠いからね。パリまで闘い続けるよ。自分にできることは全てする」。
気温35度を超える暑さの厳しい一日となったこの日。ユンボ・ヴィスマはマイヨジョーヌのヴィンゲゴーをケアしながら走った。余裕のあるワウト・ファンアールトがチームカーに戻り、ボトルを受け取ってはチームメイトへと運ぶ。ヴィンゲゴーにはチームメイトがボトルを水をかけてやる光景も何度も見られた。
UAEチームエミレーツも同様、ポガチャルをサポートすべくチームプレイに徹した。ポガチャルは言う。「昨日よりいいレースができた。チームはよく働いてくれた。彼らは僕にたくさんの氷を運んでくれて、おかげで暑さを感じなかった。それが自信につながったよ」。
しかしチームメイトの数においてUAEに対するユンボの優勢は明らかだった。最後のラルプデュエズの上りに入ったとき、ヴィンゲゴーにはセップ・クス、プリモシュ・ログリッチ、ステフェン・クライスヴァイク、ワウト・ファンアールトの4人のチームメイトが残っていた。
ファンアールトが麓からのスロープで速いテンポを刻み、マイヨジョーヌ集団の人数を絞ると、ログリッチ、クライスヴァイク、クスへと繋ぎヴィンゲゴーをアシストした。
登りでのアシストの要となったクスは言う。「チームの走りはスーパーストロングだった。今日は逃げグループのことは関係なかった。僕らは僕らのレースをしたまで。クロワ・ド・フェール峠ではすごく厳しいペースにして、ラルプデュエズを迎えたときにはチームのほとんどが残っていた。一定の厳しいペースを保った。僕らはそれを維持できることも分かっていた。
昨日のレースのあとで、今日からはレースをもっとわかりやすくしたかったんだ。しかし同時に彼(ポガチャル)が弱みを見せたらその機会を逃さないようにとも考えていた。最後のラルプの登りでは僕ら選ばれた4人でハイペースを刻んだ。そこからアタックできないようにね」。
自身のレースを走り終え、ヴィンゲゴーがポガチャルに遅れずにフィニッシュしたことを知ったクライスヴァイクは言う。
「(それを知って)ほっとした。ポガチャルのことだから、何をしでかすかわからなかったから。ヨナスが一緒にフィニッシュできて本当に良かった。僕らは彼の総合リードを守るためにベストを尽くすよ。これからもできる限り力を尽くす。最初はステージ勝利を目指すつもりもあったけど、レースなかばの展開をみて、僕らは総合争いに集中すべきだと切り替えたんだ。逃げを吸収するために余計な力を使うべきじゃないってね」。
ファンアールトは言う。「今日も僕らはすごいチームプレイをしたね。昨日よりもっと防御は堅かった。でも同時にその走りはハードだったよ。僕らの優先度はあくまで2つのジャージをパリまでチームに留まるように守り切ること」。
今日もアシストに徹したログリッチ。しかし依然として第5ステージでの落車で負った怪我からくる腰まわりの痛みが続いているという。脱臼した肩をかばうため、痛みの残る腰を使ってペダルを漕いでいる状態だという。「痛めた背中の痛みはまだ残っている。今も生き残るために闘っているんだ。一日一日様子を見ているよ」。
べノートは言う。「ピレネーではポガチャルからもっと激しい”爆撃”を受けるだろうね。でも今日は生き残るべきもっとも重要な一日だった。あと9日だね」。
ポガチャル単身の強さに対し、数を揃えた鉄壁のチーム力がユンボ・ヴィスマの強みであることが改めて強調されたステージ。ユンボのチーム力について問われたヴィンゲゴーは言う。
「もちろん僕らはこのツール・ド・フランスのなかで最高のチームで、それは今日、昨日、そして第一週に見せたとおり。すべてのチームメイトに感謝している」。
昨年のツールとの違い、自身のレベルがどれほど違うのかについて聞かれてこう答える。「精神的に大きく成長したと思う。去年の終盤も同じレベルに達していたとは思うけど、精神的にはより成長している」。
ヴィンゲゴーに対して攻撃を仕掛けるも、ポガチャルにとってはユンボ・ヴィスマのチームの強さをも敵に回す状態となる。「ユンボは強すぎると思うか?」との問にポガチャルはこう答える。
「そうは思わない。彼らは本当に強いのは確か。でも最後にどうなるかは見ていて欲しい。ヨナスは最強のクライマーの一人だ。でも僕は彼に対抗できる。今日よりもっと適した日にまたアタックしたい。彼らは強いけど、倒せないとは思わない」。
ポガチャルにとってまた悪いニュースは、チームマネジャーのホセアン・マチンフェルナンデス氏がチーム内PCR検査においてコロナ陽性が発覚し、チームを離れることになったこと。チームメイトが減ったうえに指導者の離脱ということだけでなく、未だにチームに新型コロナの脅威が残っていることも分かった。ポガチャルはユンボ・ヴィスマとの闘いだけでなく、COVID-19の脅威とも向き合わなくてはならない。
text&photo:Makoto.AYANO in France
昨ステージのグラノン峠での攻防でマイヨジョーヌを手に入れたヨナス・ヴィンゲゴーとユンボ・ヴィスマ。この日最も重要なのはヴィンゲゴーのマイヨジョーヌを守るというミッションだった。ポガチャルの2度のアタックとフィニッシュに向けてのスプリントに対抗したヴィンゲゴーはタイム差を付けられること無くフィニッシュ。マイヨジョーヌを守ることに成功した。
ヴィンゲゴーは言う。「今日のチームの作戦はレースを厳しくすることだった。厳しければ厳しいほど僕には有利になるはずで、そのうえで激しい展開になることを防げれば僕に向いたレースになる。ステージ優勝は目指さず、皆を苦しめること。
ポガチャルのアタックは予想していた。彼はこれからもアタックを仕掛けてくる。でも僕の最大のタスクは彼に貼り付くこと。彼を視界から逃さないことで、それが今日僕らがやり遂げたことだ。今この美しいジャージを手にしている。これを守るためにできることはすべてする。今日は最初にこれを着て走る特別な一日だった」。
ポガチャルは言う。「何度かトライしたけど、ヨナスは着いてきた。彼はすごく強い。でも今日は、僕にとって最初のモチベーションとなるいい一日だった。ツールのフィニッシュはまだ遠いからね。パリまで闘い続けるよ。自分にできることは全てする」。
気温35度を超える暑さの厳しい一日となったこの日。ユンボ・ヴィスマはマイヨジョーヌのヴィンゲゴーをケアしながら走った。余裕のあるワウト・ファンアールトがチームカーに戻り、ボトルを受け取ってはチームメイトへと運ぶ。ヴィンゲゴーにはチームメイトがボトルを水をかけてやる光景も何度も見られた。
UAEチームエミレーツも同様、ポガチャルをサポートすべくチームプレイに徹した。ポガチャルは言う。「昨日よりいいレースができた。チームはよく働いてくれた。彼らは僕にたくさんの氷を運んでくれて、おかげで暑さを感じなかった。それが自信につながったよ」。
しかしチームメイトの数においてUAEに対するユンボの優勢は明らかだった。最後のラルプデュエズの上りに入ったとき、ヴィンゲゴーにはセップ・クス、プリモシュ・ログリッチ、ステフェン・クライスヴァイク、ワウト・ファンアールトの4人のチームメイトが残っていた。
ファンアールトが麓からのスロープで速いテンポを刻み、マイヨジョーヌ集団の人数を絞ると、ログリッチ、クライスヴァイク、クスへと繋ぎヴィンゲゴーをアシストした。
登りでのアシストの要となったクスは言う。「チームの走りはスーパーストロングだった。今日は逃げグループのことは関係なかった。僕らは僕らのレースをしたまで。クロワ・ド・フェール峠ではすごく厳しいペースにして、ラルプデュエズを迎えたときにはチームのほとんどが残っていた。一定の厳しいペースを保った。僕らはそれを維持できることも分かっていた。
昨日のレースのあとで、今日からはレースをもっとわかりやすくしたかったんだ。しかし同時に彼(ポガチャル)が弱みを見せたらその機会を逃さないようにとも考えていた。最後のラルプの登りでは僕ら選ばれた4人でハイペースを刻んだ。そこからアタックできないようにね」。
自身のレースを走り終え、ヴィンゲゴーがポガチャルに遅れずにフィニッシュしたことを知ったクライスヴァイクは言う。
「(それを知って)ほっとした。ポガチャルのことだから、何をしでかすかわからなかったから。ヨナスが一緒にフィニッシュできて本当に良かった。僕らは彼の総合リードを守るためにベストを尽くすよ。これからもできる限り力を尽くす。最初はステージ勝利を目指すつもりもあったけど、レースなかばの展開をみて、僕らは総合争いに集中すべきだと切り替えたんだ。逃げを吸収するために余計な力を使うべきじゃないってね」。
ファンアールトは言う。「今日も僕らはすごいチームプレイをしたね。昨日よりもっと防御は堅かった。でも同時にその走りはハードだったよ。僕らの優先度はあくまで2つのジャージをパリまでチームに留まるように守り切ること」。
今日もアシストに徹したログリッチ。しかし依然として第5ステージでの落車で負った怪我からくる腰まわりの痛みが続いているという。脱臼した肩をかばうため、痛みの残る腰を使ってペダルを漕いでいる状態だという。「痛めた背中の痛みはまだ残っている。今も生き残るために闘っているんだ。一日一日様子を見ているよ」。
べノートは言う。「ピレネーではポガチャルからもっと激しい”爆撃”を受けるだろうね。でも今日は生き残るべきもっとも重要な一日だった。あと9日だね」。
ポガチャル単身の強さに対し、数を揃えた鉄壁のチーム力がユンボ・ヴィスマの強みであることが改めて強調されたステージ。ユンボのチーム力について問われたヴィンゲゴーは言う。
「もちろん僕らはこのツール・ド・フランスのなかで最高のチームで、それは今日、昨日、そして第一週に見せたとおり。すべてのチームメイトに感謝している」。
昨年のツールとの違い、自身のレベルがどれほど違うのかについて聞かれてこう答える。「精神的に大きく成長したと思う。去年の終盤も同じレベルに達していたとは思うけど、精神的にはより成長している」。
ヴィンゲゴーに対して攻撃を仕掛けるも、ポガチャルにとってはユンボ・ヴィスマのチームの強さをも敵に回す状態となる。「ユンボは強すぎると思うか?」との問にポガチャルはこう答える。
「そうは思わない。彼らは本当に強いのは確か。でも最後にどうなるかは見ていて欲しい。ヨナスは最強のクライマーの一人だ。でも僕は彼に対抗できる。今日よりもっと適した日にまたアタックしたい。彼らは強いけど、倒せないとは思わない」。
ポガチャルにとってまた悪いニュースは、チームマネジャーのホセアン・マチンフェルナンデス氏がチーム内PCR検査においてコロナ陽性が発覚し、チームを離れることになったこと。チームメイトが減ったうえに指導者の離脱ということだけでなく、未だにチームに新型コロナの脅威が残っていることも分かった。ポガチャルはユンボ・ヴィスマとの闘いだけでなく、COVID-19の脅威とも向き合わなくてはならない。
text&photo:Makoto.AYANO in France